きゅっとしてドカーンでうっひょいひょい

「むきゅー、人いないなあ」
 さっきのハイテンションとは一片、むくれ顔で偽フランは森を抜けた。
 あれからそこそこ歩いては来たものの、一向に参加者が姿を見せる気配はないのだ。
 一応、仮初ながらのフランの力をチラつかせて消極的なレイハさんを脅して『街を探す』という選択肢を選んだはいいが、
マーダーとなったからにはやはり標的が出てきてくれないと困る。

「っていうか何より私が楽しくないしね。やっぱり一発目はきゅっとしてドカーンかな? 頭冷やしてあげようかな?」
 誰に向けたとも知らぬ問いかけ。しかし、それにすぐ近くにいたレイハさんは答えない。
 最初は彼女の説得を試みたレイハさんだったが何を言っても適当に流され、むしろ偽フランの無邪気な狂気とも言える殺し合いへの衝動、
そして擬人化への執着に気圧されてしまったのだ。
 かといって聡明なレイハさんは未だ彼女を正しい道へ戻す方法を模索してないわけではない。しかしデバイスであるレイハさんには偽フランを言葉意外の方法で変える術がないのだった。

 レイハさんがいたって相手がいないんじゃ宝の持ち腐れよね――そう呟きかけた時、どこからか拡声器の声が聞こえてきた。


――――「頼む、この放送を聞いた者達よ! 知らせてくれ、広く誰もが助かるように!」



「あーあ、あいつ死んだわね」
 淡々と偽フランは切り捨てた。フランちゃんうふふ的な彼女でも書き手の端くれ、拡声器の危険性ぐらいは知っている。
 というかニコロワ初代で拡声器を使ったいさじを殺したのは偽フランだ。
 しかし向こうも書き手であろうに。わざわざ危険を冒してまで放送する価値があったのだろうか? 偽フランは少々興味を覚えその放送を聞くことにすした。

 ま、協力する気はさらさらないけどねん。あたいったらマーダーだしとうぜんよね!



「埼玉だ! 旅の扉の一つは埼玉の教会内にある! 教会の悪魔という名の教会型の参加者の内側にだ!」



「ここじゃん!」
 今度は驚き飛びのくフラン。しかし参加者の内部とはどういうことか?
 普通の人間であれば多少は考え込んでもおかしくない内容、しかしフランは即座にその意味を理解した。

「……こんな、こんな近くに!! お宝が!! 私の命の結晶がぁぁぁぁっっっ!!!」
 そいで吠えた。
 旅の扉、FFDQロワにおける移動システムだ。存分に擬人化達と殺し合いをエンジョイするためには逃せない存在。
 それが参加者だと……つまり、本来旅の扉そのものであった教会が人に化してしまったことに他ならない。
 そしてそんな芸当ができるのは、特異能力を持つ書き手でもいなければ偽フランが知るのはただ一つ。

 そう、彼女にとって命のようにかけがえのないアイテム「萌えもんパッチ」に違いなかった。




「今一度考えてみて欲しい! 生き延びたい理由も、殺したい理由も、諦めたい理由もあなた達にあるのは分かってる!」

「それでも尚、俺は言おう」

「死ぬな、殺すな、諦めるな!」




 死ぬな? 当たり前だ。 
 殺すな? 冗談を。
 諦めるな? 言うまでもない。



「とぉっても、ありがちたい情報をありがとう。どこかの死亡フラッガーさん」
 それはかつてない程冷たく、それでいて希望に満ちた微笑み。

「あのパッチを萌える以外の目的で使おうなんて、無粋な人もいたものね」
 既に偽フランは決意していた。まず、当分は無差別マーダーはストップである。

 この県のどこかにいるはずの教会の悪魔を探し当てる。そのためには手段は厭わない。
 自分がそのうち殺す予定の参加者を一時的に対主催のフリをするなり何なりして利用し、とにかく何をしてでもそいつを見つけ出す。
 そして自分が追い求めし究極のアイテムをその手に奪還。そのままゴートゥーネクストステージだ。
 次ステージに移ったら殺し合いがエンジョイ出来ないだろうが、死んだら元も子もあるまい。まあ移動前に教会をぶっ壊して他人の妨害ぐらいはしてやるか。

「そうだ、そういうことだ! 誰かがいなくなる。それはそれだけでそういった可能性が減るということなんだ!
 だからもう一度言おう。死ぬな、殺すな、諦めるな!」


 ふと放送がまだ続いていたことに気づく。半分聞いてなかったけどまあいいだろう。

「そうね、あんたの言う通りかもしれないわ。
……殺したら可能性が減る……教会の悪魔の居場所、すなわち私の命の在り処の情報……なんてね」
 ま、目標達成したら元通りぶっ殺しにまわるけど。


「あ、そうそう! 私が教会の悪魔とやらを探し当てるまでは極力しゃべんないようにしなさいよ。
もし喋らざるを得なくなっても私が殺し合いに乗ってることは絶対に漏らさないこと。でないとジャンクにしてあげるから」
 本家ほどの力はなくとも、デバイスをきゅっとしてドカーンぐらいは出来る。そのを理解していたレイハさんは静かに返答した。
『……分かりました』
「よろしいっ」
 こいつを擬人化したら余計なことをしそうだから、擬人化姿に萌えたらすぐ戻そうかとか考えつつ、
 狂気の擬人化愛者は更に埼玉を行く――



【1日目・深夜 埼玉 森出口】
【◆OZbjG1JuJM 半人半獣の技工士(偽フラン)@ニコロワ】
【状態】健康 テンションあがってきた
【装備】 レイジングハート@ニコロワ
【持物】支給品一式、偽起爆リモコン@ニコロワβ
【思考】
基本:殺し合いをエンジョイする。気分次第で
1:教会の悪魔とやらを探し当て、何をしてでも萌えもんパッチを手に入れる
2:そのために一時的に対主催のフリをする。
3:レイハさんを擬人化したらすぐ戻す
4:人外支給品を集めて擬人化の桃源郷を
5:見つけた参加者をすぐ襲うかどうかは一応考えてからね
※レイジングハートはHAL厨になる前からの参戦です
※外見はフランの姿にマルクの羽、ピカチュウの耳と尻尾。
※劣化の範囲でフランの力が使えます

時系列順で読む


投下順で読む


兎角擬人化同盟(現在会員一名) 半人半獣の技工士(偽フラン) 【MUGEN?】ニコロワタッグトーナメントではない part1

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2009年05月19日 18:28
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。