偽フランの一撃により、完膚無きまでに破壊された長野県。
その一角に、なぜか無傷で雄々しく屹立する物置が残っていた。
その物置の扉が、ゆっくりと開けられる。中から姿を現したのは、南春香の姿を持つ書き手。
長野県崩壊の際、県内にいた書き手の中でただ一人安否が不明になっていたカオス・クライだ。
「もう出ても平気かしらね……。とっさに物置に隠れなければ即死だったわ」
偽フランによる長野消滅の砲撃が放たれた時、
カオス・クライは住宅地にいた。そして、それが彼女に幸いした。
危険を感じ取ったカオス・クライは、とっさに近くにあったイナバ物置に飛び込んで難を逃れたのだ。
やっぱりイナバ、チート攻撃を喰らっても大・丈・夫!
「しかしまあ、ずいぶんと派手にやったものね……。これじゃKYMさんも死んだか、生きていてもそうとう遠くまで逃げたはず……。
仕方ない、合流は諦めて一人で行動しますか。時間もそう多くは残ってないしね」
誰にともなく呟くと、カオス・クライは荒廃した地面を歩き出す。
目的地は、埼玉。先の放送で、旅の扉があると告げられた場所だ。
◇ ◇ ◇
それから数十分後。カオス・クライは旅の扉がある埼玉県は幻影の大聖堂の前に到着していた。
ちょっと移動スピードが速いような気もするが、その辺はカオスパワーだ。
(意外に静かね……。旅の扉を巡って激闘が繰り広げられてるかとも思ったんだけど……)
ひょっとして内部で待ち伏せでもされているのだろうか、などと考えつつ、カオス・クライは慎重に大聖堂の扉を開ける。
すると目に飛び込んできたのは、光り輝く渦の前に座って本を読む金髪の美少女の姿だった。
「ん? ようやく誰か来たか」
その少女……百万は、視線を本からカオス・クライに移しつつ、軽い口調で呟いた。
「あの……。あなたの後ろにあるのが旅の扉ですよね?」
「ああ、そうだ」
「通してもらえますか? それとも、何か条件でもあるんでしょうか」
「条件か、あるぞ? 私は退屈している。お前が面白いやつだったら通してやろう」
「え、そう言われても……」
百万が提示した条件に、カオス・クライは戸惑いの色を見せる。
「私、特に変わった力もない普通の対主催ですから……。面白いと言われても……」
「ほう?」
カオス・クライの返答に対し、百万はニヤリと笑う。そして、突如として彼女の声色が変わった。
「あんた、嘘つきだね?」
「!?」
その短い言葉を聞いただけで、カオス・クライは魂を揺さぶられるかのような錯覚を受けた。
それほどまでに、百万の放った言葉は不思議な力に満ちていた。
「な、何言ってるんですか! 私は嘘なんて……」
「ふん、嘘喰いこと斑目貘の登場話を書いた私を舐めるなよ、小娘。貴様が嘘をついているかどうかなど、顔を見ればわかる。
さらに言ってやろうか? お前は嘘をつくことを何とも思わない、心の底からの嘘つきだよ」
弁解しようとするカオス・クライだが、百万はまったく取り合わない。
「そう……。そこまで見破られたんじゃしょうがないね」
カオス・クライの口調が、唐突に変わる。これ以上反論しても時間の無駄と悟り、素の彼女に戻ったのだ。
「けど、対主催ってのは嘘じゃないよ。あくまで生存率を上げるための策だけどね」
「知らん、私はロワを楽しめればいいんだ。対主催でもマーダーでもどっちでもかまわん」
「何だか冷たい反応だなあ。まあいいや。それで、通してもらえるにはどうすればいいわけ?
何か芸でも見せる? それとも、これまでの僕の行動でも話せばいいのかな?」
「いや、その必要はない。私の勘は、お前に同行すれば面白くなりそうだと判断した。
私と一緒に来い。それが条件だ」
「別にいいよ? 僕も生き残るために、仲間は増やしておきたかったしね」
百万の要求を、カオス・クライはあっさりと受け入れる。
「交渉成立だな。では共に行こう、次のフィールドにな」
「了解」
百万とカオス・クライが、お互いの手を握る。そして二人は、旅の扉の中に消えていった。
【1日目・早朝】
【新フィールドへ】
【カオス・クライ@らき☆ロワ】
【状態】疲労(中)
【装備】稜桜学園の制服
【持物】
争符・生命遊戯の支給品一式、不明支給品0~2
【思考】
基本:どんな手段でもいいから生き残る。
1、今は対主催サイドにつく
2、可能ならばKYMとも合流する
3、皆の前では普段は南春香のようなキャラを演じ、本性や能力は隠す
4、疲れた……
【備考】
※外見は南春香。人格は闇AIBOこと武藤遊戯。
※能力:とりあえずカオスと化す(一度使うとかなり疲労する)
【百万の愛でられし魔法使いの父@
安価漫画ロワ】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、不明支給品1~3、聖書@現地調達
【思考】基本:カオス・クライに同行する。
1:ロワを面白くできそうなことがあったら、積極的に首を突っ込む。
※外見はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル@魔法先生ネギま!です。
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最終更新:2009年06月17日 23:30