ミセシメミステリック

岩手県、森の中にて

「なんなんですかー?」

暗く静寂な空間に可愛らしい乙女の声が木霊する

「ここどこですか、なんであたし連れてこられたんですか
何でこ、こんな暗い森の中でひっ、一人でいなきゃいけないんですかぁ……」

最後はほぼ涙声である、その声は一部の男性に大受けであろうが、ロワにおいては何の役にも立たない
パロロワにおいて忘れられがちだが、ロワが始まってすぐは深夜なのである
訓練を受けた軍人ならともかく、朝比奈みくる ――正確には「親愛の物語」だが――
ただの少女がこんな場所に放り込まれた時の反応としては当たり前のものだろう
しかも、今回はルール説明も何も一切なし
見せしめですら最後にテロップが流れただけでロワが始まったのだ
彼女がパニくるのも仕方のない話であった

「誰でも良いからぁ、助けてくださいぃ……」

「うん、良いよ」

そう呟く少女に答える声があった
どうやら、運良く誰か他の参加者が近くにとばされて来ていたようだ
ちょっと待っててねぇと答える声はどんどん近づいてきて

「やあ、久しぶり、『親愛の物語』君」

かの悪名高き外道王、折原臨也の形を持って、「喪失の物語」は彼女の前に現れた


◇ ◇ ◇


「それにしても、こんなに早くロワが始まっちゃうなんてねえ」

「何の話ですか?」

「いや、こっちの話、気にしないで」

はあ、と呟く親愛の物語は先ほどと比べ、だいぶ落ち着いていた
ゲームに乗っていない、それに同ロワ出身の他参加者と出会えたことにより、安心感を得たのだろう

「それでさ、頭の足りない僕なりに考えた仮説があるんだけど、ちょっと聞いてくれないかな?」

「私で良いなら……って、ロワ始まったばかりなのにもう考察始めちゃったんですか!?」

さすが、トップ書き手は違うなあ、とどこかずれている感想を抱く親愛(ry
いやいや、そんなたいしたことじゃないよ、と謙遜する喪失(ry
端から見ると、とても良いコンビに見えるだろう
実際、親愛(ryは頼りがいのある仲間に出会えて、幸福感を味わっていた

「それでね、僕が疑問に思ったことは、このロワの欠けてる部分なんだよ」

「欠けてる部分…ですか?」

「君はなんだと思う?、仮にもロワ書き手なんだから、これぐらいは考えればわかるはずだよ」

いったい何なんだろう、参加者はおおまかだけど名簿があるし、地図は仮に日本地図を採用したはずだ
主催者も魔球っぽいけど決定したし……って、なんで私、こんなこと知ってるんだろう?

自分が知らないはずの情報を知っていることに戸惑いを隠せない親愛(ry
彼女自身は気付いていなかったが彼女に与えられた能力は『禁則事項です☆』
本来は知ることができない、さまざまな禁則事項を知ることができる、正にチートwwwじみた能力だった

「欠けているのは……見せしめの存在さ」

「えっ?でも見せしめは漫画ロワ短編の旧OP書き手さんじゃあ……」

しかし、そこまで書き手ロワ3rdのことを知っているのはチートじみた能力を持った彼女のみ
実際、オープニングには主催者である◆ANI2to4ndEと「あの子」しか出ていない
他の書き手は何の説明も受けず、いきなり会場に飛ばされた事になるだろう
まあ、みんな空気を読んでそのことには触れていないが……

「おや、君は何か知ってるみたいだね。
でも、僕はいきなりここに飛ばされて、『魂』がここが書き手ロワの会場であることを『理解した』
つまり僕たち普通の参加者たちからすれば、見せしめなんていないってことになるんだよ」

笑いながら話を続けていく喪失(ry、
しかし親愛は周りが暗すぎて見えなかったが、その眼は笑っていなかった
むしろその眼は獲物を狙う肉食獣のように、ランランと輝いていた

「えっと、話は分かりましたけど、それが喪失さんの考えた仮説とどう繋がるんですか?」

「なあに、大したことじゃない、それよりも……その話をしながら支給品の確認でもしないかい?
時間は有限、手を動かしながら頭も動かした方が効率が良さそうだしね、ああ、君のデイパック、後ろにあるよ」

そう言いながらデイパックの中身をガサゴソと探る喪失
親愛も彼に習って、後ろを向いて自身のデイパックを確認しようとしたのだが……

(あれっ、私 の デ イ パ ッ ク は ?)

慌てて周りを確認したが、どこにも落ちていない
どこだろう?そう疑問に思った瞬間、後ろから“撃鉄”を起こす音がした


       ◇       ◇       ◇


「な、なんでぇ……」

おやまあ、彼女ったらそそる声を出すじゃないか
まあ、僕の趣味じゃないけどね

「君を殺す理由のこと?
簡単さ、見せしめがいないんじゃあ、僕の理想のロワにはならないからだよ」

そんなこともわからないのか、って分かるわけ無いよね
でも僕は許せなかったんだよ、見せしめのいないロワなんてさ
僕が愛するロワは見せしめがいないといけない
あはは、強欲だろう、傲慢だろう?
でも、僕のモデルの折原臨也は旧ラノロワオルタナティブで進行役を努めていたんだ
だから、僕にも見せしめを殺す権利があるってわけ、詭弁?分かってるよそんなこと

「それに君はデイパックを支給されていない、主催者も、元から君を真の見せしめに選んでいたのかもしれないね」

「そ、そんな事……」

「ありえない、と言い切れるのかい?
ここは書き手ロワ、あらゆるフリーダムが許される正に天国だ
しかも、君のモデルとなった、ラノロワの朝比奈みくるは僕のモデルである折原臨也によって殺されている
まさにうってつけの状態、ここで君を殺さなかったら、ラノロワトップ書き手の名が廃るってもんだよ」


ちょっと言い過ぎちゃったかな、ラノロワのリスペクトなんか実際はどうでも良いんだかけど
でも、主催者が彼女を真の見せしめに選んだってのはあながち間違ってないかもね
実際、彼女にデイパックは支給されてないみたいだ
さらに、僕の性格を知っていながらここに配置したって事は……
そういうことなんだろう、◆ANI2to4ndE?
いいだろう、他人に踊らされるのは大嫌いだけど、ロワのためだと思えば全然苦痛にはならない
それに……画面の向こうの君、そう、君だ
パロロワ恒例の見せしめの話がなくて少し物足りなかったんじゃないかな?
まあ、そんな君も安心してくれてかまわない


最高の見せしめを用意してあげるよ


「さあ、そろそろ時間が惜しい、最後に何か言いたいことはあるかい?」

「いやぁ……誰か……助けて……」

「はあ……、もう少し気の利いたことは言えないのかい?
……まあいいや、それじゃあね、見せしめ君☆」

そして他の書き手がギャグやらクロスオーバーを楽しんでいるさなか
普通のパロロワとしては通常に、だが、なんでもありの書き手ロワとしては異常に
「親愛の物語」は“見せしめ”としては通常に、何をなすことなくその命を終えた

       ◇       ◇       ◇


ふう、疲れた
これで少しはロワが盛り上がってくれると良いんだけど……
世の中、そんなに上手くないか
後は、だれか他の書き手が来るまで、懺悔の言葉を呟きながらここで跪いていればいいだろう
どんな人が来るかは完全に賭けだね
でも、僕はロワを信じてる
ロワを信じる、なんて馬鹿げてると思うけど、それでも信じ続けるよ
だって、好きな娘を信じなかったら、その娘からも信じてもらえなくなるだろ?
「お前を信じる俺を信じろ」って名言もあるけど、俺はさしずめ「俺が信じるロワを信じろ」ってとこかな
まあ、正義は勝つって言葉もあるし、大丈夫だろ

えっ?お前のどこが正義なのかって?
やだなあ、こんなに必死になってロワを盛り上げようと頑張ってる俺が悪なわけないじゃないか☆


【喪失の物語@ラノロワ】
【状態】健康、すこし泥がついてる
【装備】S&W M38@現実
【道具】支給品一式、不明支給品0~2
【思考】基本:ロワを盛り上げる、手段は問わない(ただし自身の命は最優先)
1:ここで、誰かが来るのを待つ
【備考】
※外見は折原臨也です

※親愛の物語に何故デイパックが支給されていなかったかは不明
喪失の物語の仮説通り、真の見せしめに選ばれたからかもしれないし
何か他の理由があったのかも、もしかしたら何の理由もないのかもしれません

歪んだ愛の物語に続く】

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012:歪んだ愛の物語 喪失の物語 082:「普通の対主催にしか興味ありません!」←お前が言うな
012:歪んだ愛の物語 親愛の物語 謎符「U.N.オーエンからの挑戦状」

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最終更新:2009年05月13日 17:12
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