結論から言おう。殺ったのはアタシだ。
ズレアバーシャは思いを巡らせる。そうそれは『殺人の記憶』。
ズレアバーシャは思いを巡らせる。そうそれは『殺人の記憶』。
何重にも重ねられたセキュリティの中、眠らされていた七十七のサイボーグではあったが、
この基地が元QX団の本拠地である以上、一部の人間にとってセキュリティは無きに等しいモノであった。
この基地が元QX団の本拠地である以上、一部の人間にとってセキュリティは無きに等しいモノであった。
それは『コルレオーネの造反』!ひいては『“迷宮の道化師”ゲン・ドルベル』の策謀!!
アムステラ神聖帝国の侵略戦争が始まった、今を持って尚、どうコルレオーネが逃走したのか事実を解明し切れないその『汚点』ッ!!
アムステラ神聖帝国の侵略戦争が始まった、今を持って尚、どうコルレオーネが逃走したのか事実を解明し切れないその『汚点』ッ!!
何故なら・・!QX団の本拠地には隠し通路が張り巡らされ、一部の人間にとって都合の良い基地となり果てていたからである!!
故に今回の件も、かつてコルレオーネの脱走を手引きした“闘売女”ズレアバーシャにとって、さほど難しい事では無かったからだ!!
故に今回の件も、かつてコルレオーネの脱走を手引きした“闘売女”ズレアバーシャにとって、さほど難しい事では無かったからだ!!
極々簡単に潜入をし・・かつての仲間達を惨殺した。軽くは無い。積み上げられた罪の数々の中でも特に重いモノとなった。
だがズレアバーシャにはそれが必要であった。このままでは手柄と出世を求めるアクートにとって意にそぐわぬ結果となるからである。
だがズレアバーシャにはそれが必要であった。このままでは手柄と出世を求めるアクートにとって意にそぐわぬ結果となるからである。
ギガント28号は三ツ星の手柄。どうにかして打ち倒したい。出来るだけ楽にだ。
だからアタシは『過去と決定的な“決別”』を下したのだ。
それはアタシが本当に本当の『外道』なるお話の事。
それは愛する『アクートの為』に。彼が望んだからアタシは殺った。
さぁ、アクート。これから鷲鼻のバトゥロ(エイグロン)はウチ等を疑うだろう。
どうやって切り抜けるんだい?ズレアバーシャは羨望の眼差しでアクートを見つめる・・。
どうやって切り抜けるんだい?ズレアバーシャは羨望の眼差しでアクートを見つめる・・。
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○クロガネの賛歌・第4章
ー ギ ガ ン ト 破 壊 指 令 ー 爆 熱 ! 巨 大 ロ ボ ッ ト 編
第6話「 犯 人 は ズ レ ア バ ー シ ャ ! そ し て ! ! 」
アクートはこう言う。
「難儀だなあ、バトゥロ。こうなったら、どうするよ?」
バトゥロが答える。
「犯人を暴き捕えてくれよう。」
「我等が同胞を殺した罪。それは決して軽くはない。」
アクートが続ける。
「おい、バトゥロ。てめぇ勘違いしてねぇか?」
バトゥロ。
「何をだ・・・?」
アクートがこう言い放つ。
「お前ぇ達は『新参者』だ。」
「地球侵略以前より、アムステラに属していたとは言え、
『太陽系の地球と言うと見た事も聞いた事も無い、どマイナー星出身の1蛮族』だぜ~?」
『太陽系の地球と言うと見た事も聞いた事も無い、どマイナー星出身の1蛮族』だぜ~?」
「下級階層ですらない『犬猫、いいやゴキブリ以下の生き物だ。』」
「そんな奴等が殺されたトコロで、イチイチ犯人なんて暴く必要なんてあるのかよ・・・?」
バトゥロは答える。
「人間としては下級以下かも知れない。」
「しかし軍の兵器としては一級の戦力であると自負をしている。」
「そんな兵器を破壊した者を、むざむざとほおっておけると思うのか貴殿は?」
アクートはこう言う。
「兵器ならば治せば良いだろぅ?壊れたんだからよ。」
「それが出来ないんだから、人間だ。つまりはヒッヒッヒ!」
「下級以下の虫ケラ野郎と言う事さ。」
アクートは続ける。
「なら、犯人なんざ探すよりやる事があるだろう?」
「手前ぇの耳にも届いているハズだ?対ギガント28号の対応の遅れっぷりをよ。」
「そもそも手前ぇ等QX団の兵器だってのに、何を手をこまねいている。」
「相手取る部下どもがこう言ってるぜ。」
「 『 ボギヂオ・クラケットが、ギガント28号の対応をまともに取り扱ってくれない。 』ってな。 」
「何処のどいつがサイボーグ共をぶっ殺したのか知らねぇが、こう言いたいんじゃねぇのか?」
「 『 上層部への不満が爆発!早くギガント28号を倒す案練れや!!っとな。 』 」
バトゥロが答える。
「それは話のすげ替えではないのかね?」
「それとこれとは別の話だ。」
アクートは言う。
「いいや、あるんだなぁ、これがよぉ~~~!!」
「なぁ、ボギヂオ大佐。此処んトコ大佐への不満絶えないだろう、違うか?」
ボギヂオはビビリながら・・。
「た・確かに。最近、舌打ちされる事が増えて来たね!」
「バトゥロくん!そろそろ本腰入れてギガント28号を倒すべきだよ!!」
アクートは上機嫌に。
「ヒッヒッヒ。この通りだ。」
「ギガント破壊指令。・・早くやれよ。」
バトゥロが答える。
「いいだろう。時は満ちた。」
「三日後の夜半。一対一の決闘で持って・・・。」
「クルイ・ケン・キャクがギガント28号を討ってみせよう!!」
アクートは言い放つ。
「クルイ・ケン・キャクがじゃねぇ。」
「俺の邪蠍蟲(ジャカツキ)との2機でだ。」
バトゥロが否定する。
「言ったハズだ。サイボーグにはサイボーグのやり方がある。」
アクートが続ける。
「それが違うんだよ。言ったろ、死んだ虫ども(サイボーグども)と話が絡むってな。」
「バトゥロ。俺と取引しろ。『真犯人は誰か?』を教えたら『俺と邪蠍蟲(ジャカツキ)を出撃させな』。」
バトゥロがいぶかしむ(=不審に思う)。
「貴殿が知っているとはどういう意味だ?」
「貴殿が指示したのか?貴殿が見て見ぬフリをしたのか?」
「それとも、貴殿が真犯人か・・・?」
アクートは答える。
「俺に告げて来たのさ。殺したってな。」
「さあ。どうするよ、鷲鼻のバトゥロ??」
「知りたいんじゃあねぇのか?是が非としてもなぁ!!」
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鷲鼻のバトゥロは思いを巡らせる。
真犯人が見つかると言う事。
真犯人が見つかると言う事。
それは罰を下す事に意義があるんじゃあない。
それは数々の作戦を共にした、雄々しき仲間達の鎮魂の為に。
例え誰が何と言おうとも、殺された者は自分の同胞。
闇の世界でしか生きられぬ、機械の体に彩られた者達である。
例え誰が何と言おうとも、殺された者は自分の同胞。
闇の世界でしか生きられぬ、機械の体に彩られた者達である。
それを惨殺した犯人を知ると言う事。
知ると言う事。知ると言う事・・・!!
バトゥロはこう言い放つ。
「なら話すが良い。」
「裏切りモノは軍規に照らし合わせて処分する。」
アクートは否定する。
「駄目だ。殺されたのは虫けら以下の者達だ。」
「軍規に照らし合わせる事は出来ない。」
「そして、条件は俺と邪蠍蟲(ジャカツキ)を出撃させる事だ。」
バトゥロ。
「全権は私にある。」
アクートはこう言い放つ。
「全権は軍規に反する為にあるんじゃねぇ。軍規に則(のっと)る為にある。」
「それを自ら破るつもりか?鷲鼻のバトゥロ??」
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決して軽くないその天秤・・・。
自分は終生のライバルと認める“耐撃の百文字”と決着を付ける為に、このギガント破壊指令を遂行している。
闘う者が名無しのルーキーだからこそ良かった。彼女は自分と同じ位“耐撃の百文字”と戦う事に意味と意義を持っている。
闘う者が名無しのルーキーだからこそ良かった。彼女は自分と同じ位“耐撃の百文字”と戦う事に意味と意義を持っている。
だがアクートはどうだ?持っているモノは手柄を立てたいと言う欲望。それも出来るだけに楽にあげたいと思っているだけだ。
それはそれで、ある意味称賛に値する事である。だが自分とは相容れない考え方である。
それはそれで、ある意味称賛に値する事である。だが自分とは相容れない考え方である。
どうする?どうする?どうする??
バトゥロが取った行動は一つであった。
バトゥロ。
「・・・良いだろう。」
「我等が同胞の命を奪った者。決して許せはしない。」
「条件は飲もう。話すが良い。」
これしか無かった。
人は1人では生きていけない。
人は1人では生きていけない。
同胞(彼等)が居たからこそ自分はQX団でやって来れた。
そして彼等の死を思えば、腸(はらわた)が煮えくりかえる思いであった。
個を捨ててでも知りたい。
誰が真犯人であるのかをォーッッ!!!
そしてアクートはこう答えた。
「“闘売女(バトルビッチ)”ズレアバーシャだ。」
ズレアバーシャに覚悟は出来ていた。
どう言う形であるせよ、何時かこんな日が来ると言う事を・・。
どう言う形であるせよ、何時かこんな日が来ると言う事を・・。
それが早かった。ただそれだけの事と判断をした。
だからズレアバーシャはこう言い放つ。
「そうさ。アタシが犯人さ。」
「アタシが冷凍睡眠中のQX団サイボーグを皆殺しにしたんだ。」
バトゥロ。
「貴殿はドクトル・ベイベー様の旧知・・・。」
「何故にこの様な事を・・・!!」
率直な言葉であった。
あれほど“Queen X様”に『忠誠』を尽くしていた“コルレオーネ”が造反をした時にも耳を疑ったが・・。
QX団設立以前より、ドクトル・ベイベー様と親交が深かった“闘売女(バトルビッチ)”ズレアバーシャが裏切るなど・・・!!
あれほど“Queen X様”に『忠誠』を尽くしていた“コルレオーネ”が造反をした時にも耳を疑ったが・・。
QX団設立以前より、ドクトル・ベイベー様と親交が深かった“闘売女(バトルビッチ)”ズレアバーシャが裏切るなど・・・!!
呆然としたモノを覚える。だからこそ知り得たかった。何故にこの様な事をしたのかを・・!!
ズレアバーシャが答える。
「良いじゃないか理由なんか。」
「知ったとあっちゃあ、もう生かす気は無いだろう?」
「アクート隊に属しているとは言え、アタシもQX団上がりのサイボーグだ。」
「軍規関係無しに、好きに出来るだろーさ、鷲鼻のバトゥロ(エイグロン)。」
バトゥロはこう言う。
「貴殿とは数々の作戦を共にしてきた。」
「此処にQX団サイボーグの誰もが居てもそう思うだろう。」
「戯言でも構わない。何故、この様な事をした?」
そうだ。ズレアバーシャとは数々の作戦を共にしてきた。
決して優れたサイボーグでは無かったが、そのユニークな性格で良く場を和ませてくれた。
決して優れたサイボーグでは無かったが、そのユニークな性格で良く場を和ませてくれた。
そんな“裏切り”と言う言葉からかけ離れた、ズレアバーシャが何故こんな事を・・・?
知りたくは無かった。聞かなければ良かった。だがもう知ってしまった。
知りたくは無かった。聞かなければ良かった。だがもう知ってしまった。
知ってしまった以上、聞かずには居られない。
ズレアバーシャは無表情で答える。
「もう綺麗に生きれない。」
「QX団サイボーグとなった誰もが思う事だろーけど・・・。」
「アタシはその中でも、もっとも汚く生きて来たって事だよ、鷲鼻のバトゥロ(エイグロン)。」
バトゥロは・・。
「・・・・・・・・。」
答えない。ただ聞き入っている。
そしてズレアバーシャはこう言い放つ
「安心しな、鷲鼻のバトゥロ(エイグロン)。ケリは自分自身でつける。」
ズレアバーシャは拳銃を持ち、己のコメカミに当てる・・ッ!!
ッ
ッ
!
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴゴゴゴ ゴゴゴ ゴゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
ズレアバーシャは満面の笑みでアクートを見つめ、こう言い放つ。
「短い間だけれど楽しかった。」
「死後、縁があったらまた会おうね。」
「バイバイ、アクート。」
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ガァァァアアアアア ア ア ア ア ア ア ア ン ン ン ! ! !
銃声が鳴り響く!
バトゥロが目を見開く!
アクートがニヤリと嗤(わら)う!!
ボギヂオが怯える!!
其処で目をしたモノとは!!
ド ド ド ド ド ドドドド ドドド ドド ド ド ド ド ド ド ド ド
「アンタも俺と同じサイボーグなんだろう?」
「死ぬな。綺麗とか綺麗じゃないとか無しに生きろ!!」
「生きろ、ズレアバーシャ!!」
何も無い空間・・。
そう。名無しのルーキーが拳銃を掴み、銃口を上部へと逸らしたのだ。
そして、ズレアバーシャの命を救ったのである。
ズレアバーシャはこう言う。
「けど、アタシは鷲鼻のバトゥロ(エイグロン)の裁きを受けなければならない。」
「許すつもりは無いんだろう、鷲鼻のバトゥロ(エイグロン)??」
バトゥロは・・・。
「・・・。」
一呼吸を置き・・・。
こう言い放つ。
「しばし時間を空けよう。」
「今は信じがたい事実に正常な判断は下せない。」
「死んでいった我等がQX団サイボーグには待って貰う事になるが・・・。」
「すまない。明日まで待って欲しい。」
すかさずアクートが。
「おっと、待ちな。」
「俺と邪蠍蟲(ジャカツキ)を出撃させる事は今ハッキリして貰うぜ。」
バトゥロの回答。
「・・・。」
「解った。その事柄を認めよう。」
アクート嬉しげに。
「ヒャッハー!待ちわびたぜ、その言葉をよう!!」
「行くぜ、ズレアバ!たっぷりと可愛がってやる!!」
行くぜ、ズレアバ。
さっきのさっき、自分の出世欲の為に、自分を売り渡した男からそう言われると言う事。
憎まれ口の一つや二つでも叩きたい気持ち・・・にはなれなかった。
誰が何と言おうと、自分にはアクートしか居ないのだ。
「あ・・ああ・・・。今行くよ、アクート。」
ズレアバーシャはアクートに付き添った。
何時またこんな事があるか解らない。
だが今はこうして付き添う事しか、彼女には出来なかった。
残ったボギヂオも気まずそうに・・・。
「そ・それじゃ僕も行くね。」
その場を去った。
何も無い空間はこう言い放つ。
「なぁバトゥロさん。」
「1対1の決闘じゃなくなったけど、あんま気にしてないぜ俺。」
「ギガント28号を倒す事が先決だ。だから、あまり落ち込まないでおくれよバトゥロさん。」
だがバトゥロは寂しげに。
「すまぬが・・・。しばし1人にしてはくれぬか。」
何も無い空間は見えず頷(うなず)き。
「解った。」
「あんま背負い過ぎるなよ、バトゥ。」
そうしてその場を去って行った。
夜間訓練の時間が来た。
当たり前のように、サイボーグ用のトレーニングルームに来る名無しのルーキー。
だが、其処には一通の手紙が置いてあるだけであった。
宛先は自分こと名無しのルーキー宛である。
名無しのルーキーはその手紙を開いた。
手紙にはこう書いていた・・・。
『本日夜半、レゼルヴェ国にてクルイ・ケン・キャクでの決闘を申し込む。
三日の後“マドモアゼル平原”にて決着を付ける事をな。
そして私は、決闘の告げついでに“耐撃の百文字(ジ・ハンドレッド)”と決着をつもりで居る。』
其処まで読むと、名無しのルーキーは驚愕を覚えた。
「馬鹿な・・・ッ!!」
「何故だバトゥロさん!!」
続きにこう書いている。
『愚かな男と笑わば笑え。だが君だけには話そう。
我等がQX団・・死して行った英霊達の全ては“アムステラ神聖帝国の者達”によってのみ死していった・・!!』
『始めは機械兵士(デスロイド)により6人が殺された・・!そして今68人ものサイボーグが死して行った・・!!
何の為に彼等は死して行ったのか!外銀河全域を支配する超巨大宗教国家だからと言う理由で全て目を瞑れと言うのか!!』
『せめてもの安っぽい誇りである事は理解している!!
だが今を持って尚、己が信念をぶつけるべき相手は!“耐撃の百文字(ジ・ハンドレッド)”のみである!!
この両の拳に死して行ったQX団サイボーグ全ての無念を込めて、耐撃の百文字(ジ・ハンドレッド)を殴り殺す!!』
『畑違い等、百も承知!!・・・故に君は許してはくれぬだろう。』
『会わせる顔など無い。』
『だが生きて戻って来たその時は・・・。』
『力一杯私を殴りつけてくれ。』
『以上だ。本当にすまない事をする・・・。』
何も無い空間から・・・。
薄っすらと人型の光が形作られる。
そして、名無しのルーキーはこう言い放つ!!
「痛いほど気持ちが解るよ・・・。」
「解るけど、バトゥ・・・!!」
ッ
ッ
「 『 そ れ で も 俺 は “ 決 着 ”を 付 け たいんだぁぁあ あ あ あ あ あ ! ! ! ! 』 」
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