荒沢シンが他国の女性パイロットと出会うのは、大体寝室である。
今日もシンと同年代の女性が彼の寝室に来ていた。
「ヨッス」
寝室の前で、赤髪の少女が腕を組んでシンを待ち構えていた。
「え?あっ、えーと」
シンの知らない赤髪のスポーティな少女。初対面のはずだが、どこかで会った気もする。寝起きの頭をフル回転させるが答えは出ない。
「ヒント、テレビスペシャル・天才剣道少年対天才格闘少年」
「有馬君!」
「有馬君!」
ヒントを出されてシンは思い出す。
「せいかーい。で、どうよ?モニターを介さずに生で見る俺は?」
まだKGFに入る前、テレビ番組の対談企画でモニター越しに彼女と話した事があった。ただし、当時の相手はまだ男性だったが。
「変わったなあ、有馬君。その、色々と」
「シンも人の事言えねえだろ。今や地球のヒーローじゃねえか。後、アーティと呼んで欲しいな。今はアーティで通っているから」
「そっか、それで有馬く、アーティはここへ何をしに?」
「お前、これから訓練だろ?俺が相手をしてやる」
「え?」
「テレビ企画では瓦割りとかボール避けとか色々やったよな?あん時は俺の完敗だったが、今日は勝つからな」
「シンも人の事言えねえだろ。今や地球のヒーローじゃねえか。後、アーティと呼んで欲しいな。今はアーティで通っているから」
「そっか、それで有馬く、アーティはここへ何をしに?」
「お前、これから訓練だろ?俺が相手をしてやる」
「え?」
「テレビ企画では瓦割りとかボール避けとか色々やったよな?あん時は俺の完敗だったが、今日は勝つからな」
◆ ◆ ◆
立花槇絵が食堂に向かうと、テレビで見た有名人がカツ丼を食べていた。
「美味い、この基地の連中はいつもこんないいの食ってるのか」
「…マサイマン?」
「…マサイマン?」
マサイマン。ついこの間、食堂のテレビで修斗大会に出ていた野人が何故かテレビの向こうからこっちに来ていた。ドッキリを警戒して槇絵はカメラを探したが、カメラは見当たらなかった。
「ふう、ゴチソウサマ」
槇絵がカメラを探し、目を離した一瞬の間にカツは消えていた。食事を終えた野人は槇絵に気付き声を掛けてきた。
「あんた、ここの人?アタイ、マキエ?って子に会いたいんだけど、どこいったら会える?」
「槇絵は私です」
「何だ、そうか。じゃあ、今日の模擬戦よろしく」
「え?」
「槇絵は私です」
「何だ、そうか。じゃあ、今日の模擬戦よろしく」
「え?」
◆ ◆ ◆
「おにゃのこのオパーイに貴賤はありません。おっきいのもちっさいのも皆違って皆良いのですみょん」
「だが、それでも好みは存在する。ジュダ君は吸う派だったな。ならばウチのスタッフの中でタイプは…」
「だが、それでも好みは存在する。ジュダ君は吸う派だったな。ならばウチのスタッフの中でタイプは…」
ジュダ・ミョンウェーと岩倉小十朗は大真面目な顔で最低な話をしていた。いや、最初は確かに技術者として真面目な話をしていたはずだったのだが、いつの間にかオペレーターの胸の話になっていた。
「いやー、この司令室の窓から見下すオパーイは良いものですみょんね」
「だろ?昼休みになると、オペレーター達がすぐ下で食後の軽い運動をするんだ。向こうからはこっちが見えないから、大声を出さなきゃ覗いているのはバレん」
「二人とも、いい加減にしねーとバラすぞ」
「だろ?昼休みになると、オペレーター達がすぐ下で食後の軽い運動をするんだ。向こうからはこっちが見えないから、大声を出さなきゃ覗いているのはバレん」
「二人とも、いい加減にしねーとバラすぞ」
いつの間にか入ってきた美崎教官が、馬鹿話しをしていた二人に釘を刺す。
「おっ、もう模擬戦の準備は出来たのかい?」
「ああ、既にレオンハルトがスタンバイしてる。おい、そこの銀髪おかっぱ!一煎目はお前だろ。早く来い」
「ううっ、辛い現実が…。どうせ無理ゲーなら槇絵ちゃんが良かったみょん」
「ああ、既にレオンハルトがスタンバイしてる。おい、そこの銀髪おかっぱ!一煎目はお前だろ。早く来い」
「ううっ、辛い現実が…。どうせ無理ゲーなら槇絵ちゃんが良かったみょん」
美崎教官にドナドナされながらジュダは涙を流す。この日、ジュダとチームメイトの二名はカラクリオーチームと模擬戦をするという任務を受けていた。
表向きは今後の共闘の為だが、実際の所は試合を通しての岩倉博士とオシリス社の腹の探り合いである。最近、ジュダが持つ旧ヴァルル派のブラックボックス情報があちこちに知られたので、いっその事まだ情報に価値がある内にカラクリオーチームとの交渉カードとして使い切ろうと上層部が判断したのだ。
「多分、この仕事終わったら私アフリカとヨーロッパとインドの表社交界と裏社交界でフルボッコだみょん…ああ〜、あの時に東ヨーロッパで誘惑に乗らなければ〜」
「うるせえ、はよ乗れ!皆テメー待ちだ」
「うるせえ、はよ乗れ!皆テメー待ちだ」
こうして、カラクリオーチームとメタルマーメイドの親善試合三番勝負が始まったのだった。
【第一試合】
レオンハルト(銃王機)
VS
ジュダ(オニャンコポン)
レオンハルト(銃王機)
VS
ジュダ(オニャンコポン)
「美崎教官、この勝負どうなると思う?」
「とーぜん、レオンハルトが勝つ、つーか、完勝してもらわんと駄目だろ。相手の機体見てみろ、PGだぞ」
「とーぜん、レオンハルトが勝つ、つーか、完勝してもらわんと駄目だろ。相手の機体見てみろ、PGだぞ」
美崎教官の言う通り、ジュダの乗るオニャンコポンはインドの量産機ピンクガネーシャが元になっていた。消防が主たる目的であるこの機体は、未調整修斗や2型と並ぶ地球最弱候補の機体である。現時点地球最強と名高い銃王機とは、比べるのも失礼だ。
「まあ、確かにジュダ君には僅かな勝ち目も無いさ。だが、あのプロペラがどんな効果を果たすかは見ておきたい」
オニャンコポンは通常のPGとは明らかに違う点があった。頭部・両肩・腹部の四箇所にプロペラが付いており、そのギミックがどんな影響を与えるのかが、この試合の唯一の注目点となるだろう。
「ええーい!やれるだけやってやるんだみょん!システム起動!」
ブィィィィン!!
試合開始の合図と同時に、ジュダが動く。オニャンコポンの全てのプロペラを回転させると、機体がゆっくりと上昇を始めた。オニャンコポンに使われている金属の大部分は軽い安い脆いでお馴染み破防鋼。ならば、プロペラを付ければ飛ぶ。
しかし、オニャンコポンの真髄はここからだった。
ブィィィ…ィィ
上昇が終わると次第にプロペラ音が小さくなり、やがて聞こえなくなった。だが、プロペラ自体は変わらず回り続けている。
そして、プロペラ音だけでなく、オニャンコポンからあらゆる機械音が消えると、その姿までもが空へと溶けてレーダーからも消えていき…
「みょおおおおん!?」
完全に消えるかと思われたその瞬間、銃王機から放たれたレールガンの弾が直撃しオニャンコポンは爆発した。
第一試合、勝者レオンハルト。
「おかしいみょん!何で開始直後に被弾したんだみょん!」
試合終了後、納得行かないジュダはレオンハルトに詰め寄った。
「落ち着けカワイイお嬢さん」
「カワイイなんてそんな…じゃなくって!何で攻撃が届いたの!!」
「カワイイなんてそんな…じゃなくって!何で攻撃が届いたの!!」
ジュダが納得出来ないのは勝敗自体では無く、射程の問題だった。一戦目は銃王機の有効射程外から始めて欲しいと事前に土下座でお願いしたのに、即被弾したのだ。
「私は浮上しただけだし、銃王機の移動速度ではあの短時間で有効射程まで詰めるのは不可能ですみょん」
「その通り。だから、有効射程より遠くに当てる手を使った。なに、原始的な話さ。風に乗せて角度をつけて撃った」
「その通り。だから、有効射程より遠くに当てる手を使った。なに、原始的な話さ。風に乗せて角度をつけて撃った」
ジュダは一瞬あー成歩堂と納得したが、直ぐにいやいやいやと手を横に振った。
「それ、弓とかで使う技術!レールガンでやったんですかみょん!?」
「実際届いただろ?ただでさえ薄いPGをさらに軽量化した君の機体なら、威力が無い弾でも撃破可能と踏んたのさ」
「完敗です。あー、ステルス化してからのヒットアンドアウェイで五分は粘れたはずなのにー!」
「実際届いただろ?ただでさえ薄いPGをさらに軽量化した君の機体なら、威力が無い弾でも撃破可能と踏んたのさ」
「完敗です。あー、ステルス化してからのヒットアンドアウェイで五分は粘れたはずなのにー!」
いい勝負してから負けたかったという、後ろ向きな本音を漏らしジタバタするジュダ。その首根っこをムチャウがひょいとつまむ。
「ジュダ邪魔。今からアタイが出撃するから」
「あ、うん。メンゴ。ムチャウ、一応言っとくけど、【変身】はしちゃ駄目みょんよ」
「分かっている。ニャミニャミが壊れたらアタイの負け。じゃ行ってくる」
「あ、うん。メンゴ。ムチャウ、一応言っとくけど、【変身】はしちゃ駄目みょんよ」
「分かっている。ニャミニャミが壊れたらアタイの負け。じゃ行ってくる」
【第二試合】
槇絵(雀王機)
対
ムチャウ(ニャミニャミ)
槇絵(雀王機)
対
ムチャウ(ニャミニャミ)
「ニャミニャミ…、完成したって聞いたけど、修斗ベースなら私の戦術は決まっている」
槇絵はいつもの様に牌ビットを展開し、相手との距離を保つ。ニャミニャミに飛び道具は無いと判断しての選択。実際、ニャミニャミの外見からは飛び道具は装備している様には見えず、牌ビットからのビームを必死に掻い潜っている。
「凄いね、密猟者に囲まれた時と同じ、いや、それ以上だ。流石に全部避けてアンタまで辿り着くのは無理か。熱っ!」
回避を続けるニャミニャミの右腕に遂にビームが命中する。
「うん、上手く腕に当たった」
ムチァウそう言うと、ニャミニャミの熱で赤く変色した右腕を上空に向けた。
「んしゃ、返す!」
ニャミニャミの手からビームが発射され、牌ビットの一つを落とす。
「まさか、腕に武器を内蔵していたの!?」
「アタイのはそーじゃない。アンタのビームをちょっと食って返しただけ」
「アタイのはそーじゃない。アンタのビームをちょっと食って返しただけ」
ニャミニャミの右手はドレインハンドと呼ばれる特殊武装になっている。これはウルトラマサイの持つ、触れた物を吸収し成長する能力を限定的に解放したもので、ビーム系限定で攻撃を吸収し跳ね返す効果がある。
勿論、大会では反則だから装備しないし、一度に吸収できる量も牌ビット換算で二発か三発まで。
「変身したアタイに比べちゃ不便極まりないが、それでも今は十分」
撃ち落とされた牌ビットを拾い上げ、それを投げ飛ばし近くのビットを破壊、さらに、そのビットを盾にしてニャミニャミと雀王機との距離を詰めていく。
「このままじゃ不味い。私に出来る事は…」
雀王機にはドレインハンドを一撃で破壊する熱量も接近するニャミニャミを撃退する武術も無い。だが、それでも打つ手は二つある。
「私が選ぶのはこっち」
自らの感性を信じ、槇絵は雀王機の全ビットを射出する。だが、ビットは空中に浮かぶ事無く地面に落下していった。
これは、オープンリーチモードでは無い。
「なんだい、それ?ボスから聞いてたアンタの切り札とは違うな」
「裸単騎モード」
「裸単騎モード」
ビットの格納パーツも排除し、身軽になった雀王機がライジングロッドを構え迎撃体勢をとる。
「裸単騎?成る程、アタイと殴り合うなんていい度胸じゃないか」
裸単騎モードの意味を接近戦特化と解釈しムチャウは真っ直ぐに、脇目も振らずにニャミニャミを突撃させる。
その横っ面を一枚の牌ビットが力の限り殴り飛ばした。
「んがっ!!」
操縦者が意識を失いニャミニャミは地面に横たわる。
裸単騎モードとは、ただ一つのビットに全神経を集中し超スピードで操作するモード、そう、裸単騎なんだから牌は一枚だけ所持してないといけないのである。
ムチャウの敗因は麻雀のルールを知らない事だった。
第ニ試合、勝者槇絵。
「何か、騙し討ちみたいな形になってしまいましたね」
「いいさ、アタイが勝手に勘違いして詰めを誤っただけ」
「いいさ、アタイが勝手に勘違いして詰めを誤っただけ」
申し訳なさそうにする槇絵をムチャウがフォローする。
「これで二連敗、トータル負け確定。残念、カラクリオーチームに引き分け以上ならかなりボーナスでたのに。まあいい、アーティが勝てば多少は借金減る」
「荒沢シンは、私達の切り込み役は強いですよ?」
「それでも勝つとアーティは言っていた。秘策があるらしい」
「秘策、ですか?」
「アタイも内容は知らない。知ってても教えない」
「荒沢シンは、私達の切り込み役は強いですよ?」
「それでも勝つとアーティは言っていた。秘策があるらしい」
「秘策、ですか?」
「アタイも内容は知らない。知ってても教えない」
実際に模擬戦をして槇絵は理解した。ムチャウは強かった。結果は自分の勝ちだったが、ミス一つでひっくり返る程度の差だ。そんなムチャウがシンとの勝負をアーティに譲った。ムチャウの本領は明らかに接近戦だというのに。
つまり、アーティは少なくともムチャウに近いかそれ以上の戦闘力を持ち、シンを倒す準備までしてきたという事だ。
だが、それでも槇絵に不安は無かった。彼女はただ己のチームメイトを信じて戦場を見つめる。間もなくして、戦場に二つの機体が現れた。
【最終戦】
シン(剣王機)
対
アーティ(オグン)
シン(剣王機)
対
アーティ(オグン)
「…てっきりカスタム修斗で来ると思ってたよ」
シンはアーティの乗機が格闘に特化した修斗系では無かった事に少し驚く。
「俺達は色々実験中の身だからな。少しでも情報のパターンを得る為に、全員が別種の機体に乗せられてんのさ。ジュタがPG系、ムチャウが修斗系、で、俺がこの5型、オグンだ」
「確かR5ってやつだっけ?」
「なんだ、知ってんのか」
「ああ、ちょっと前にインドのパイロットが乗っているのを見せてもらった」
「確かR5ってやつだっけ?」
「なんだ、知ってんのか」
「ああ、ちょっと前にインドのパイロットが乗っているのを見せてもらった」
シンはアーティの機体に似たものを見た事があった。右腕のアームブレードを器用に使い、接近戦主体で戦闘するピンク色の5型カスタム。あれとアーティの乗るオグンは瓜二つだった。
「行くぜ!しゃあっ!」
頭を少し下げ、右腕のリーチを活かしてのフック。
「やっぱりそうだ。アーティ、悪いけどこの勝負、俺が有利だ」
シンの予想通り、アーティの戦法はオードリー・スガタと同じ。そして、練度ではアーティより彼女の方が上。ならば、攻略は十分に可能。
剣王機はオグンのアームブレードを掻い潜り、己の間合いを確保する。
だが、オグンの初撃ははフェイント。相手が懐に潜り込んだ時の左のショートアッパー!
ザンッ
斬撃音と同時にオグンの左腕が地面に落ちた。シンは分かっていた。アームブレードと左腕を時間差で繰り出すワンツー、これも過去に日本に来たスガタから教えられていた戦法だ。それに対するカウンターが綺麗に決まったという訳だ。
「まずいな」
追い詰められ焦りの言葉を吐いたのは、アーティでは無くシンだった。
剣王機の右手首から白煙が上がり、切れたコードがブラサガッている。一見被害は軽微だが、全ての攻撃が右手の握力と精密な動作に支えられている剣王機にとっては大打撃だった。
「してやられた、って事か」
「ああ。お前ならスガタさんの戦法を学習し対策も出来ている。そう信じて奇襲を仕掛けさせて貰った」
「ああ。お前ならスガタさんの戦法を学習し対策も出来ている。そう信じて奇襲を仕掛けさせて貰った」
オグンの頭部が割れ、チェンソーを思わせる長い回転刃が顔を出している。剣王機の右手を傷つけたのはこの刃だ。
荒沢シンは最強の剣士だ。剣王機の弱点も熟知している。故に、普通なら彼から小手一本を取るのは不可能に近い。だからアーティは罠を張った。自分と同じ柔術ベースの格闘家で自分とほぼ同じ機体に乗るスガタの動きを真似して見せた。シンならきっとこれを容易く突破しオグンの左腕を奪うと信じて。
「分の悪い賭けだったが俺は勝った。お前は利き手を実質失い、俺は利き手と切り札のこの頭が健在だ。どうするシン?続けるか?」
「当たり前だ。これは実戦を想定した訓練。勝ち目が見えなくなったぐらいで降参する訳ないだろ!」
「そうこなくっちゃな!」
「当たり前だ。これは実戦を想定した訓練。勝ち目が見えなくなったぐらいで降参する訳ないだろ!」
「そうこなくっちゃな!」
近接戦闘を左手だけでしなくてはならなくなった剣王機は、斬撃を飛ばしながら後退し、オグンはそれを掻い潜りながら大小二本のブレードで斬りつける。
剣王機は逃げおグンは追う。何度か攻防を繰り返す内に、両者のダメージは深刻なものになっていく。
「片手にも関らず、いい粘りっぷりだったなシン!だが、よーやくダメージ差が逆転したぜ!このまんま続けたら、もうちょいで俺の勝ちだな!」
装甲が剥がれ、各種配線が剥き出しになった剣王機を見てアーティは勝ち誇る。オグンのダメージもほぼ変わらないが、手数の有利を保ってきたので、このまま行けばアーティの勝利が濃厚だろう。
しかし、それでもシンは敗北を認めない。それどころか、敗色がより濃厚になったのに、右手が使えなくなった時よりも余裕があった。
「…流石たなアーティ。一対一なら君の勝ちだ。でも、勝っのは俺達、カラクリオーチームだ」
「確かに、二勝してるからお前らの勝ちだけどよ、そういう言い訳はカッコ悪いからやめた方がいいぜ?」
「そういう事じゃない。ここからチームの力で俺達で勝ちを掴むって事さ」
「どういう事だよ」
「こういう事だ!」
「確かに、二勝してるからお前らの勝ちだけどよ、そういう言い訳はカッコ悪いからやめた方がいいぜ?」
「そういう事じゃない。ここからチームの力で俺達で勝ちを掴むって事さ」
「どういう事だよ」
「こういう事だ!」
突如剣王機の周囲の地面が光り、無数の光の剣が出現した。
「な、なんだこりゃあ!聞いてねえぞこんなん!」
光の剣はオグンに向かい一斉に発射される。想定外の攻撃、オグンはガタガタ、避ける手段などあるはずもなく。
「マジどういう事だー!」
最終試合、勝者荒沢シン。
◆ ◆ ◆
「剣王機の右手が使えなくなった後、俺はただ逃げてた訳じゃない。槇絵が勝利した二戦目の決着地点に誘導していたんだ」
全ての模擬戦が終わった後、シンはアーティに自分がどうやって勝利に辿り着いたかを説明していた。
「ふんふん、それで?」
「カラクリオーチームは部分的に操縦系の共用が可能なんだ。俺は牌ビットを操作出来ないが、放置された牌ビットに剣王機の配線を繋げばビームの発射は可能だった」
「なるほどな、俺は事前準備でお前を上回れたけど、リアルタイムの機転で完敗していたと。よし、納得した!帰って報告書作る!」
「カラクリオーチームは部分的に操縦系の共用が可能なんだ。俺は牌ビットを操作出来ないが、放置された牌ビットに剣王機の配線を繋げばビームの発射は可能だった」
「なるほどな、俺は事前準備でお前を上回れたけど、リアルタイムの機転で完敗していたと。よし、納得した!帰って報告書作る!」
そう言いアーティは立ち上がり、帰り支度を始める。
「もう行くのか?」
「貧乏暇なしってやつ。なあに、今より平和になるかピンチになればまた会えるさ。あ、そうだ。シン、俺に勝った記念にプレゼントやるからこっち来い」
「貧乏暇なしってやつ。なあに、今より平和になるかピンチになればまた会えるさ。あ、そうだ。シン、俺に勝った記念にプレゼントやるからこっち来い」
ちょいちょいと手招きをするアーティ。シンは疑う事無く近づく。
チュッ
「あ、アーティ?!」
「長時間斬り合いで疲れただろ。俺の元気ちょっと分けてやった。じゃーなー」
「長時間斬り合いで疲れただろ。俺の元気ちょっと分けてやった。じゃーなー」
キスされた頬が熱を帯びて鼻血が絶え間なく噴き出してくる。シンが今まで味わった事の無い感触だった。戦闘の疲れ以外にも色々ぶっ飛んだ。
「何なんだよこれ…確かに元気出たけどさ」
取り残されたシンが困惑していると、槇絵やスタッフ達が近寄って来てシンを取り囲んだ。
「荒沢くん」「シン」「シンちゃん」「荒沢ぁ!」「シ〜ン」
「「「「「今回の子とはどんな関係なの??」」」」」
「「「「「今回の子とはどんな関係なの??」」」」」
「中学の頃のちょっとした知り合いです」
それ以外答えようが無かった。
- オニャンコポン
ジュダが乗るPGベースの機体。装甲が限界まで削り、頭・両肩・腹の四箇所のプロペラにより飛行し、また、プロペラ同士の音を相殺し機体に立体映像を被せ高度なステルス性を得ている。戦闘は他の仲間に任せ、各種妨害兵器に特化している。が、レオンハルト相手には使う暇さえ与えられなかった。
- ニャミニャミ(完全版)
修斗ベースにしたムチャウの機体。ヘビー級の大会に使ったものを調整しムチャウの動きについていける様にしただけでなく、ビーム兵器を一定量まで吸収し跳ね返す装置を腕に装備している。
- オグン
アーティの乗る5型カスタム。スガタが過去にオシリスから受け取った5型版パールヴァティーの色を肌色に変えた以外に大きな違いは無い。…と思いきや、頭部に大型の回転ブレードを収納しており、奇襲や大物狩りに用いられる。