幕間譚:ミッケ【違うこの世界にて】

 「んだよ、オレの姿が珍しいか?そう気にすんなって。何も目や手が多いワケでもあるまいし。」

オレをまじまじと見るオラクルの人間に向け、そう言ってやった。グラール太陽系の貧相な星に住んでいたオレが何故、違う宇宙の野郎に凝視されてるのも夢なのかと思うくらいだ。

異世界間交流が実現化したご時世に、運が良いのか悪いのかその話がオレの元に来やがった。まぁ、モトゥブでの生活も正直窮屈で堪らなかったし特に未練も無かったオレは特に抵抗等は無かった。これは嘘じゃない。
オレにとってその日がオラクル移住の記念すべき日だろう。その日から毎日が新鮮で仕方なかった。

まぁ正直そんな事はどうでもいい、オレの話なんざ人に聞かせる程ドラマティックでもねえ。スラム街の様な場所で生きる事だけを考えてた奴の話なんて野次馬でも聞かねえよ。
それより、オレと同じ様なビーストがオラクルにもいた事が正直驚いだけどな。彼女は祖父がビーストだった事でその血を強く受け継いだらしい。爺ちゃんっ子だから誇りだとよ、良い話だな。
複雑な気持ちだけどよ。

機構島の話は正直好奇心の方が勝っていた。因みに誘ってきたのは如何にも田舎にいるチンピラ集団のリーダー格の風貌をしたエクト。まぁソイツとつるむ様になったのは情報部で関わる機会があっただけでなく、オラクル育ちのビーストちゃんと知り合いだったかららしいんだとよ。良く分からん繋がりだっての。
それがキッカケで、オレは機構島の任務に携わる事になった。

島の中を探索してるうちに何か分からねえけど、オレは嫌悪感を少し抱いた。
資料は出向く以前に目を通していたが、実際に中に入って荒廃した設備、自然と同化した廃墟の世界、その環境で生き残った生態系。良く分からん無法地帯を間近で見た所為だろう。いや、そういう事にさせてくれ。

ああ、何処に行っても同じ事をする馬鹿はいるんだな_____って。そう思った。

元々ダーカーを倒す為に開発されたって兵器も存在するらしい。んなモン興味はねぇって言ったらウソになる。
まるでスタティリアみたいだ。違うとこはあるけどよ。

今後、ディアブル・パズの様な馬鹿でかい敵は当たり前の様に出てくるだろう。
ヘリックさんが集めたメンバーは頼りにならん事は無い。
だけど、だけどオレはビーストだ。語れる程の人生では無かったが、種族としての誇りは捨てたつもりは無い。

だからこそ、オレはオレの力を信じ切っている。
先陣を切って出る立場にいる事が、オレの役割だと思ってる。

汚れ役も、憎まれ役も気にすることは無い。
オレは、オレが出来る事を全力でやるつもりだ。

自分の故郷がそうだった様に、非人道的な研究で犠牲者も少なくなかったんだろう。
オレは本当に、運に恵まれてたんだな。もう一度チャンスを貰えたんだから。


不当な扱いを受ける奴は、もう必要ないだろ?
最終更新:2018年01月05日 01:40