あの子は私にとって致命的な毒。
一度味わった毒は、精神をも侵し尽くす。
嗚呼、知らなければ良かった・・・あの時、助けなければ良かった。
私はこの世界に閉じ籠りたかった。出来れば、この身も滅んでしまえば楽だったのかもしれない。
死ぬ勇気は無い。かと言って・・・殺される勇気も、その恐怖に打ち勝つ事も出来なかった。
只でさえ、普通に死ぬ事も出来ないんだ。永遠の絶望に苛まれて、この箱庭に閉じ籠っている。
虚しい、只ひたすらに虚しい。
狂う事も、壊れる事も、目覚めぬ事も出来ない。
どうして?どうして私ばかりこんな目に合わなければならなかったの?
私は普通に生きたかった。普通に生きて、普通に死んで、普通の人の様な人生を歩みたかった。
この島は、まるで墓場だ。永遠に死ねない者達の墓場。
エンティとルインが凄く羨ましかった。
あの島で数少ない友達だったけど、本当は妬ましかった。
だって心が壊れてたから、苦痛なんてまともに感じてなかった可能性だってあった。だったら私もそうなりたかった。
でも、未だに変わらない私は狂う勇気さえも・・・もう残ってなかったんだ。
あの子と会って以来、何かが変わる予感はしていて・・・同時に大きな不安に苛まれていった。また私は、誰かを傷つけてしまう。
どうしてこうなってしまったんだろう?私がフォトナーだったから?皆と違う力があっただけで、こんな目に合うなんて思わなかった。
メガロの様に、救い出そうと必死にもがいてくれてるけど・・・もう、私は分かったの。
私は、あの子とは全然違うんだって。あの子は私にとって眩しすぎた。
だから、私の様な死にぞこないは消えなければならないんだ。
そうしないと私自身があの子にとって脅威になってしまう。
これ以上、あの毒を知ってしまったら・・・この決心も、揺らいでは全てが駄目になってしまう。
もう、友達ごっこもやめましょう。
これ以上、あの子の傷を深くしたくない。
ねえラウム、貴方を騙していた事・・・もう知っているのかしら?
それと、貴方は既に理解してるのでしょう。
私を殺せるのは、貴方だけだって。
最終更新:2019年01月30日 02:43