‣タイトル:民兵の抵抗
‣時系列:2年前
‣概要:セントエルモに属せず、ヌーフの主戦力同等に匹敵するマディス連邦提携組織「903連合」が管理局へ宣戦布告を表明。恩師の敵討ちを渇望するエクト、企みを掴み共謀者を集わせ反旗を翻す903連合民兵のイロハがヌーフ崩壊危機に対峙する話。
‣重要キャラ:エクト、アイオライト、ヘリック、ヤトノ、イロハ及び特務班面子、エリコ、アセナ、エイル、ストレプス
(三幕構成)
【第一幕】(設定)
‣バックストーリー:
G.D:1794年、組織体制が変化し嘗ての面影を失った「猟犬」に失望し報酬を求めるまま奇獣討伐を行っていたエクト。ある日、旧友タイザより元「猟犬」リーダーの故・ガリアが903連合内部へ何度か接触していた事、903連合総隊長フリュードとは親密な間柄だったという噂を聞く。信憑性を確かめるべく、エクトは903連合内部に潜入を試みる。一方、試験的高知能型デュナミス群「青い鳥」の一体であるアイオライトは度重なる局地戦闘による事故にて制御不能となり「自我」を得た。分身型として運用されていた彼女にあってはならないイレギュラーとして、投棄されてしまう。「誰かの役に立ちたかった」と呟き、彼女は稼働を停止する。
‣セットアップ:
「大戦」を経たイロハは管理局人事部のヘリックと縁があり、孤児院経営において資金難に困っている事を憂いていた。「大戦」の後、管制省からの援助に期待してなかったイロハは特別支部である903連合に所属していた。正式名は特別支部:民兵派遣部隊「特殊兵装研究室-903連合」であり、機人種である彼女の素体維持費も無償で提供される上に実力次第で報酬が跳ね上がるという条件が彼女にとって好都合だった。しかし、903連合の主力である「量産小隊」の運用に疑問を抱えていた。部隊の殆どが機人種である彼らが、次世代デュナミスを消耗品の様に扱っている。まるで自らがヒューマーから受けてきた仕打ち同然に。また、自らの出生経緯までデータに記録され機体所得権までも連合本部に確保されている事に気付き、除隊困難である事を理解していた。ヘリックは電海支部局長エリコより密かに耳打ちされていた。
「903連合は今後裏切る」と。
一方、エクトは下層地区を牛耳っているマフィアグループ「ヤタグロ・ファミリー」の構成員と接触する。以前より借りを作っていた彼らに情報提供を頼んでいた。構成員は「最近、デュナミス兵の違法投棄がある。対立している山月幇の幹部が秘密裏に隠蔽工作しているのを見た事があった。ありゃあ903連合ン所の兵士だ。」と語る。本来、903連合の部隊は基本的に下層地区に来る事は無い上に支部が何処に存在されているか公表されていない。場所を特定する為、彼らの居所を掴む必要があった。
また、若首領のレイヴン本人より取引場所の情報を貰い受ける。エクトは問う、何故そこまでしてくれるのかと。
「俺達コルゥ族は、色黒のアンタが嫌いになれねえんだよ。」と言い、エクトの煙草を勝手に頂戴し吸いだした。
‣インサイティング・インシデント
上官であるダリア少佐に「デュナミスの消耗が激しいのは何故か」とイロハが問いだす。ダリアは表情を変えずに「お前には関係ない、厳しい戦況下において性能が高まる個体が確認されている。管理局の総戦力向上の為に必要な事だ。」と返答する。イロハは更に問う。「戦力向上の為に、人格形成したデュナミスさえもお構い無しってか?」
先日、紛争地域一掃任務にて殉職した兵士の一人、アリウムはイロハと同室で寝食を共にする戦友でもあった。機人種同然に人格形成され、デュナミスの概念破壊を期待された次世代デュナミスの一人でもあった彼女を失った事もあり、イロハは903連合に未練など微塵も無かった。
イロハは不信感しか持っておらず、再度ヘリックと公安四課のアセナ教官に相談しようと考えた。大戦を経ても機人種への差別的姿勢は拭い切れては無かった。未だに兵器という認識が残ったままだからだ。人気の無い裏通りで、イロハは奇襲を受ける。仕掛けてきたのは同じく903連合小隊の一人、ヴトだった。ヴトとの激戦を繰り広げ、イロハは問い詰める。「私を殺す様に言われたか?ルプスと云うよりは只の飼い犬だな。」と挑発を受け「アンタとは決着を付けたかったが、もう良い。そこまで言うなら上の命令通り殺してやるよ。」とヴトは獰猛な眼光でイロハを睨みつける。そこに連合第7小隊所属ヴァニタスが仲介に入り込む。
「ここで殺し合いをしても無駄ですよ。貴女達二人、処分が決まっていますから。」ヴァニタスの発言に、ヴトは理解出来ておらずイロハは「やっぱりな」と呆れ気味に呟いた。
エクトはレイヴンが指定した廃棄場へと赴いていた。そこには多数の廃棄されたデュナミスが存在し、そこから価値のある部品を違法密輸者達が回収作業を行う状況だった。しかしいつもの光景とは違い、903連合が廃棄したデュナミスを山月幇の構成員達は故意的に破壊し部品を回収していた。どうやら903連合の作業員が隠密的に破棄し、再起動不能になる様入れ替わりの形で山月幇の構成員がそこに介入していた。わざわざマフィアグループを活用する理由に疑問を持ったが、山月幇の構成員以外の住人が全く見られない事から関係者以外を決して近づけない様に雇った訳だとエクトは確信した。手掛かりを見つけるべく、盗み聞きをしていると「なぁ、良いのか?先月廃棄した筈のデュナミス一体が見つかってねエって話・・・。」「ほっとけ、どうせ903連合のお偉いさんはそんな事気にしねえ。」という会話が聞こえた。マフィアの話から有益な情報は期待出来ない、そう判断したエクトは瓦礫の山を散策する。次世代デュナミスとして期待された機体の部品、大破していなければ美しい造形だっただろう素体の数々、旧式デュナミスの上に重なるかの様に人の形をした素体が目に入る。エクトは驚いた、奇獣討伐の際に肩を並べたデュナミスの同型さえも廃棄されていたのだ。「コイツにも個性があっただろうに・・・捨てなくても良いだろ。」顔面パーツの亀裂が涙を伝う様に線引かれている。
「そこで何をしている?」構成員に見つかったエクトは焦る事無く、グリア・カペルの補助パーツに手を掛けた。
「お宝探しだよ、ドラ猫ちゃん達よぉ。」相棒武器のフロース・アンゲルに似合わぬ外骨格装衣、通称「咢」を起動し身に纏うその姿は悪魔そのものだった。
見る者を圧倒する黒い横縞の毛並みを纏うティグリス族、山月幇のグループは戦闘力に優れた亜種で構成されている。珍しい「人も捕食対象」の種族である。一般人であれば彼らを見る度威圧されるも、エクトは奇獣狩りを生業としてきた。例え数十の群れだろうと関係なかった。
‣ピンチI
①組織対策課のタギは上司と口論していた。903連合の違法デュナミス運用について調査志願をするも、信憑性は無いと却下される。タギはこの上官に対し、違和感を感じ取っていた。別部署もそうだ、何故か903連合の事になれば口を紡ぐ。デュナミスの戦力実装化を本格的に開始させた画期的な部署であり、紛争地域鎮圧・奇獣討伐・敵性組織一掃など武装組織が手を焼いていた案件を難なくクリアしている。多大な犠牲を出しながら。その実績に胡散臭さも感じるタギは、自己流のやり方で903連合の企みを掴もうと誓う。そんな彼に、ヤトノは声を掛ける。
②903連合本部、特殊兵装研究室の研究員達は重役と秘密裏の会話をしている。
「以前廃棄した青い鳥、指揮官型以上に自己進化の可能性を秘めていました。上の判断は間違っていたと思うのですが。」「総隊長はこれを残念な判断だと答えていた。しかし分かっていた結果だ、それは上層部にとって都合の悪い結果だからだ。AIが種族以上に優れてはならない、そうお達しでな。」青い鳥のデュナミス群のデータを比較している。冒頭で投棄された彼女は、無限の可能性を秘めている。管理局の管制室に不満を抱いている事だけが読み取れる。
③一方、エクトは運が悪い事に、ティグリス族の「黄泉還り」である若頭と対峙していた。神格獣の恩恵を受ける者の戦闘力に歯が立たず、瓦礫山の調査が不十分なまま一時退散する事となった。ひたすら路地を駆け抜けるも徐々に追い詰められていくエクト、万事休すかと思った矢先「こちらへ!今なら間に合います!」声の主に手を引っ張られ半壊したボロ屋敷匿われた。嗅覚にある程度優れたティグリス族とて、屋台の並ぶ不衛生な下層地区では役に立たない。エクトは無事助かったのだ。
「ありがとな、命拾いしたぜ。」感謝を述べられた彼女は照れ臭そうに答える。
「例には及びません、貴方様のお役に立てたならば・・・幸いなのです。」
彼女は機人種だろうか?人工レンズがそう気付かせるも、彼女の造形は儚げな花の様に可憐な少女とも見える。そして傷だらけの素体に片足を引き摺る姿が痛々しく見ていられなかった。
‣ファン・アンド・ゲームズ
ここはエイルの経営する箱街多種族診療所。ヴァニタスの制止を余所にイロハに襲い掛かり、結局ヴトは返り討ちに遭い軽傷を負った。納得のいかないヴトは再戦を求めるもイロハは「今、孤児院で犬を飼ってるんだよな。」と言いつつヴトの擦り傷に軟膏を塗っていく。そして再度ブチ切れるヴト。
「ねぇここで喧嘩する必要ある?」と呆れるエイル。イロハはヴトに何故自分を襲ったのかを聞く。「んぁー?お前が裏切って敵組織に所属するから隠密に殺せって言われたんだよ。」と告げられる。微妙な顔をするイロハは次に呆れた顔を示した。「露骨過ぎるだろ、おい。私のデータを全部確保したんで用無しってか?」と。
そこでコーヒーを沸かすヴァニタスは二人に告げる。どうやら二人を制止する行為を諦めた様子。
「未だ、私の事は利用価値がある様で。証拠隠滅対象ではなさそうです。このまま私は貴女達二人を消した事とし、死体も一方は廃棄場へ・・・もう一方は奇獣の餌にしたと告げます。勿論痕跡はしっかり残すつもりです。彼らは執念深いですからね。これからどうしますか?辺境で暮らすか、反旗を・・・」
「潰すに決まってんだろ、利用されるだけ死ぬなんて。大戦生き残っといてそれは無ぇだろうが。」
ヴァニタスが話し切る前に、イロハは殺気纏う声を放った。
一方、下層地区に匿って貰っていたエクトはアイオライトに連れられ集合地区へと向かっている。山月幇が牛耳っていないヤタグロ・ファミリーのテリトリーであるこの場所は、二人にとっても都合の良い場所だった。
「私はここの住民達に救われました。ここでは種族の隔たりが無く、私でも住みやすい環境で・・・ある意味理想的なのでしょう。」
エクトはアイオライトの肌に注目した。傷付いた素体も勿論だが、彼女は機人種なのだろう。スペックを察するに、戦闘機能も搭載されている可能性も否定できない。捨てられたという事から、経緯から考察するも酷く苦労したのだろうと・・・エクトは考えるのも面倒になり、彼女に話を切り出す。
「」
‣セントラル・クエスチョン
‣ファースト・ターニングポイント
【第二幕】 (対立、衝突)
‣ミッドポイント
‣バッドガイズ・クローズ・イン
‣ピンチⅡ
‣オール・イズ・ロスト
‣ダークナイト・オブ・ザ・ソウル
‣セカンド・ターニングポイント
【第三幕】 (解決)
‣クライマックス
‣レゾリューション
‣エンディング
最終更新:2021年01月30日 23:54