桜の民 - (2011/06/23 (木) 13:04:02) の1つ前との変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
*桜の民
キノウツンには桜があった。
かつての話だ。今はもうない。
焼け落ちたのか、切り倒されたか。
その末を、誰も知らない。
不意にそんな桜のことを、思い出した。
#ref(1.jpg)
#ref(2.jpg)
#ref(3.jpg)
#ref(4.jpg)
#ref(5.jpg)
#ref(6.jpg)
#ref(7.jpg)
#ref(8.jpg)
#ref(9.jpg)
#ref(10.jpg)
※桜はイメージです
L:桜の民 = {
t:名称 = 桜の民(人)
t:要点 =
t:周辺環境 = キノウツン藩国
#contents()
**序話
新芽の季節。キノウツンに幼子たちが生まれた。
希望を帯びたその子らを、大人たちは桜の民、とそう呼んだ。
見た目に何ら変わりは無くとも、その子らに希望を託すために。
親が子に語る話に、そうそうバリエーションは無い。
昔話に御伽噺、創作童話に童謡、子守唄。
何処の国でもそう変わらない。
そしてこの国で、寝物語に子どもが請うたのは、昔話だった。
己の祖父が、己の祖母が。あるいは己の両親が関わる昔話を、彼らは好んだ。
辛い話も、悲しい話もあった。今もなお、苦しむ人々も居た。
しかしそれを受け入れて、大人達は子どもへと、悲喜交々全て含め、語った。
新芽となる子ども達へと語り継いだ。
希望とは、闇を踏み越えたところにあるのだと、そう信じて。
それに最初に気づいたのは、当然の話だが親であった。
公園の中、空き地、道端。子ども達の遊ぶ姿を微笑ましく見守る中。
ごっこ遊びが、目に留まった。
目を疑った。いや、疑うことさえ出来ずに呆然としていた。
地に倒れているのは、被害者の役目の子どもだろうか。
それに寄り添っているのは、家族の役の子どもだろうか。
どちらにも別段怪我はなさそうで、見るべきところもなかった。
そう。目が留まったのは、そこではなかった。
残る三人の少年。
恐らく内二人は、ムラマサの真似を。
そして残る一人は、イアイドの真似をしているのだろう。
手に持った木の枝は、日本刀の代わりか。
子どもらしくちゃんばらのように、振り回す。
その描く軌跡が、足使いが、目を惹いた
殺陣と言うには、それは真に迫っているように思えた。
両の目を煌々と輝かせ、互いの振るう枝を避け、叩き落し、一撃を狙う。
語りに上った、イアイドとムラマサの戦いのように。
そこには昔語の再現があった。
慌てた大人が止めに入り、素直に手を止めた子ども達の様子に、普段と変わるところは無かった。
ムラマサの毒に犯されるでもなく、子供たちは素直に、笑っていた。
変わって見えた瞳の色も、何時もと変わらぬそのままだった。
幾度も崩壊し、再建し、また失くし、そして立ち上がる。
そんなキノウツンに桜の新芽が芽生えたのだと、人々は囁いた。
**桜の民とは
**小話「キノウツンでの桜の民」
「――普段はみんなそれぞれ色々な職業についてて、普通に人々に紛れて暮らしているんだけど、
いざ危機が迫ると、そいつは ふい に現れてその力を発揮し始めるのさ。
大衆に混じって、自分の力を伝え与え、まわりに広げて、そう
冬の後に、急に咲きあふれる桜のような、
――そんな奴らなんだよ。
しらないうちに散り散りに消えちゃうとこも含めてね」
**スタッフ
イラスト:はる
文章:浅田・その他キノウツンの人たち
*桜の民
キノウツンには桜があった。
かつての話だ。今はもうない。
焼け落ちたのか、切り倒されたか。
その末を、誰も知らない。
不意にそんな桜のことを、思い出した。
新芽の季節。キノウツンに幼子たちが生まれた。
希望を帯びたその子らを、大人たちは桜の民、とそう呼んだ。
見た目に何ら変わりは無くとも、その子らに希望を託すために。
#ref(1.jpg)
#ref(2.jpg)
#ref(3.jpg)
#ref(4.jpg)
#ref(5.jpg)
#ref(6.jpg)
#ref(7.jpg)
#ref(8.jpg)
#ref(9.jpg)
#ref(10.jpg)
※桜はイメージです
L:桜の民 = {
t:名称 = 桜の民(人)
t:要点 =
t:周辺環境 = キノウツン藩国
#contents()
**序話
親が子に語る話に、そうそうバリエーションは無い。
昔話に御伽噺、創作童話に童謡、子守唄。
何処の国でもそう変わらない。
そしてこの国で、寝物語に子どもが請うたのは、昔話だった。
己の祖父が、己の祖母が。あるいは己の両親が関わる昔話を、彼らは好んだ。
辛い話も、悲しい話もあった。今もなお、苦しむ人々も居た。
しかしそれを受け入れて、大人達は子どもへと、悲喜交々全て含め、語った。
新芽となる子ども達へと語り継いだ。
希望とは、闇を踏み越えたところにあるのだと、そう信じて。
それに最初に気づいたのは、当然の話だが親であった。
公園の中、空き地、道端。子ども達の遊ぶ姿を微笑ましく見守る中。
ごっこ遊びが、目に留まった。
目を疑った。いや、疑うことさえ出来ずに呆然としていた。
地に倒れているのは、被害者の役目の子どもだろうか。
それに寄り添っているのは、家族の役の子どもだろうか。
どちらにも別段怪我はなさそうで、見るべきところもなかった。
そう。目が留まったのは、そこではなかった。
残る三人の少年。
恐らく内二人は、ムラマサの真似を。
そして残る一人は、イアイドの真似をしているのだろう。
手に持った木の枝は、日本刀の代わりか。
子どもらしくちゃんばらのように、振り回す。
その描く軌跡が、足使いが、目を惹いた
殺陣と言うには、それは真に迫っているように思えた。
両の目を煌々と輝かせ、互いの振るう枝を避け、叩き落し、一撃を狙う。
語りに上った、イアイドとムラマサの戦いのように。
そこには昔語の再現があった。
慌てた大人が止めに入り、素直に手を止めた子ども達の様子に、普段と変わるところは無かった。
ムラマサの毒に犯されるでもなく、子供たちは素直に、笑っていた。
変わって見えた瞳の色も、何時もと変わらぬそのままだった。
幾度も崩壊し、再建し、また失くし、そして立ち上がる。
そんなキノウツンに桜の新芽が芽生えたのだと、人々は囁いた。
**桜の民とは
**小話「キノウツンでの桜の民」
「――普段はみんなそれぞれ色々な職業についてて、普通に人々に紛れて暮らしているんだけど、
いざ危機が迫ると、そいつは ふい に現れてその力を発揮し始めるのさ。
大衆に混じって、自分の力を伝え与え、まわりに広げて、そう
冬の後に、急に咲きあふれる桜のような、
――そんな奴らなんだよ。
しらないうちに散り散りに消えちゃうとこも含めてね」
**スタッフ
イラスト:はる
文章:浅田・その他キノウツンの人たち
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: