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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/8スレ目ログ/8-991 - (2010/05/09 (日) 13:15:29) の1つ前との変更点
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…打連れてこの河原を逍遙せるは当麻と琴となりけり。
琴はぽつりと言ふ。
「私はただ胸が一杯で、…何も言ふことが出来ない」
五歩六歩行きし後、当麻はやうやう言出でつ。
「……堪忍して下さい」
「何も今更謝ることは無いわ。一体今度の事はあンたも得心であるのか、それを聞けば可いのだから」
「…………」
「此処へ来るまでは、私は十分信じてをつた、あンたに限つてそんな了簡のあるべき筈は無いと」
憤りを抑うる琴の呼吸は漸く乱れたり。
「当麻、あンたは好くも私を欺いたわね」
当麻は覚えずおののけり。
「そんな悲い事をいはずに、ねえ琴さん。
僕も考へた事があるのだから、それは腹も立たうけれど、どうぞ堪忍して、少し辛抱してゐて下さいな。
僕はお肚の中には言ひたい事が沢山あるのだけれど、余り言難い事ばかりだから、口へは出さないけれど、
唯一言いひたいのは、僕は貴方の事は忘れはしない――僕は生涯忘れはしない」
途端に、琴の額より電光が躍りて、当麻を襲ひ来ぬ。
前に翳せる彼の手は、神の手の如くなり。電光は立処に消え失せり。
「聞きたくない! 忘れんくらゐなら何故見棄てた」
「だから、僕は決して見棄てはしない」
「何、見棄てない? 見棄てないものが禁書目録の許にゆくの、馬鹿な! 二人の嫁が有てるかい」
「だから、僕は考へてゐる事があるのだから、も少し辛抱してそれを――僕の心を見て下さい。
きつと貴方の事を忘れない証拠を僕は見せる」
「もう宜い。あンたの心は能く解つた」
琴の周りに黒煙の如く砂鉄が渦巻けり。やがて一本の禍々しき刃となりて琴の右手に収むる。
物言はず、力を極めて刃を振降ろせば、当麻は交わしつつ無残に伏まろびぬ。
「えい忌々しい」
「堪忍して下さい…」
上条当麻と御坂美琴は、御坂妹に手渡された原稿を見ながら、複雑な表情をしている。
「尾崎紅葉の金色夜叉がモチーフね…それはそれでいいとして…何で私たちがモデルなのよ!?」
「ミサカ先生でも、ミサミサ先生と呼んで下さっても構いません、とミサカは文豪になった気分で宣言します」
「人の話を聞けー!」
「…それはともかく、だな…」
上条は首を傾げる。
「普通、『貫一』が俺で、『宮』が御坂になるんじゃねーの、これ…?名前も琴、だし」
「ミサカも最初はそう考えましたが、足蹴にする方があなた、される方がお姉様となり、
誰にも理解できない作品となるため、逆にしました、とミサカは説明します」
「ちょっと待ちなさいよアンタ!」
美琴は、そりゃ逆にされるだろうという勢いで喚く。
「逆なら俺の口調も何とかしろ!なんでオネエ言葉なんだ!」
「あなたの口調はこの世界に似あわないので、とミサカは苦心したことを述べます」
「だったら選ぶな、俺を!」
「そ、それにこの話だとつまり?」
美琴は口ごもりながら、御坂妹に突っ込む。
「私と当…じゃなくてコイツはもう結婚しそうな仲になったのに、コイツはあのシスターを選んで、
その事に私は怒り狂って至近距離から砂鉄剣かましたり、無茶苦茶するってこと!?」
「あくまで架空の話ですよお姉様、とミサカはたしなめます。リアリティは追求しましたが、とミサカは補足します」
上条もブツブツとつぶやいた。
「どんなに滅茶苦茶にされても、御坂に深い事情があるんだ理解してくれとすがる俺に、リアリティがあるのか…」
(すがるかどうかはともかく、謎の理由の交際や結婚をしてもおかしくないわよアンタなら、とは思うわ…)
と、美琴は密かに毒づく。
「普通、物語はヒーローとヒロインがくっつきますから、原作もこういうエンドの可能性が高いですよ、
とミサカは爆弾発言をしてみます」
「えっ」
「えっ」
Fin.
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