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上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/12スレ目短編/805」(2010/10/10 (日) 08:55:43) の最新版変更点

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*限定!プレミアムゲコ太 #asciiart(){{{ 冬のとある日の朝 とある公園にて――― 「ったく、アイツは何やってんだか…」 いつもより更に早く寮を出ていた美琴は呆れていた。 無理も無い、待ち合わせ相手の上条がまだ来てないのだ。 (まさかアイツ、また朝からトラブルにでも巻き込まれてるのかしら?) もしそうならば、どうしよう? と考えていると、やっと上条が待ち合わせ場所であるいつもの公園へとやって来た。 「御坂! すまんっ!!」 美琴の姿を見つけるや否や、急いで駆け付けた上条は素直に謝る。 実は昨日、罰ゲームを賭けてゲームセンターで争い、上条が僅差で負けていたのだ。 今日はその罰ゲームを実行する日である。 上条としてはただでさえ不利な状態なのに、何か文句を付けられて罰ゲームの内容が重くなるのは勘弁願いたかった。 「ま、いつもの時間よりは少し早い位だし、怒ってないわよ。  そ・れ・よ・り・も… 罰ゲームの件だけど早速やってもらうからね?」 「か、上条さんは何をやらされるのでしょう…?」 内心ビクビクしつつ質問した上条に、美琴は緑色の物体を手渡す。 …改めて良く見なくても、それはゲコ太のぬいぐるみであった。 しかも、心なしか少し大きい。 「朝から何てもんを持ってるんだ、お前は! それに、急にこんなもん渡されても上条さんはどうすれば…」 「それ、今日から期間限定でコンビニだけで発売される『ゲコ太ぬいぐるみ』シリーズの新商品よ。  んで… 早速『売り切れないうちに』って買ったは良いんだけど、今日は生憎と持ち物検査の日でさー。」 「ま、まさか…」 「そっ! 今日1日、アンタが持ってなさい♪」 「ちょ、ちょっと待てっ! 袋は? これを買った時の袋は!?」 「それが、袋に入れてくれなかったのよね~。 という訳だから無いわよ?  それに袋があったとして、袋に入れて1日持ってても面白くないでしょ?」 「本気と書いてマジですか!?」 「本気よん♪ 今回の罰ゲームは、『ゲコ太ぬいぐるみを抱えて1日過ごす事』だから。  床に置いたり、変な所に置いたりしたのが分かったら、罰ゲームは即無効。 やり直しだからね?」 「あの~。 上条さんには今日、体育があるんですが… まさか、体育の授業中も抱えてろと?」 「うっ! そ、それは仕方無いわね。 いいわ、それじゃ体育の授業は例外でOK。 でも、それ以外はしっかり大事に抱えてなさいよ?」 「美琴さん、ありがとう!!」 「喜んでくれて良かったわ。 それじゃもう時間もあんまり無いし、私は行くわねー。 放課後、またここに集合でー。」 そう言うと、手を振りつつ美琴は去ってしまった。 (あれ? 「ありがとう」とか言ってみたものの、こんな理不尽な状況を突きつけたのは美琴じゃねーか。 ふ、不幸だ…) げんなりとしつつ、手元にあるゲコ太を見やる。 さて、ゲコ太。 上条さんは今日1日で、一体どうなるんだろうな…。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 同日 とある高校にて――― 登校途中にゲコ太を入れて隠せる袋を探したものの、見つけられなかった。 時間に余裕が無かったのも悔しい。 結局、ゲコ太を片腕に抱きつつ登校したのだが、周りからの視線がかなりイタい… 急いで教室へと入った上条は、自身の席でゲコ太を胸元に置き、窓から見える風景を見ていた。 それはもちろん現実逃避の為でしかない。 「おはようだにゃー… って、げっ!! いつからカミやんはそんな趣味に!?」 「おはようさん。 …カミやん。 いくら色々な趣味に寛容なボクでも、そないな趣味はちょっと…」 普段は堅い結束で結ばれているはずの土御門と青ピも予想通りのリアクションだった。 因みに、男子生徒は大体2人と同じリアクションである。 が、女子生徒となると少し割合が違っていた。 吹寄など露骨に嫌悪等を示す者も居るには居たが、クラスの大半の女子は 「上条くん、ひょっとしてそっちにも興味あるとか? ねぇ… もし良ければ今度、一緒にお店にでも見に行かない?」 などと何故か上条への高感度がアップしていた。 持ち前の体質で、普段からクラスメイトにもフラグを立てていたからこそ、なのかも知れない。 (時間よ、早く過ぎ去ってくれー!!) 周りの色々な反応はともかく、こんな日に限って時が経つのは遅く感じるものである。 体育の授業が終わり、次の授業へと入った上条はゲコ太を半ば枕にして眠っていた。 今日はサッカーが行われ、憂さ晴らしも兼ねていつも以上に張り切った反動。 そして、気疲れのピークに達していたのだ。 通常、授業中に居眠りなどしていれば怒られる。 が、この日の上条は普段以上の不幸オーラと、高校生の男子なのにぬいぐるみを抱きしめて寝ているというカオスな状況。 こんな光景を見せられた担任の小萌先生は、注意しようにも注意出来ないで居た。 (何故か弄ったら負けるような気がするのですよー。 上条ちゃんは突っ込み所が満載過ぎるのです。) もしこの心の声を聞いたら、誰しもが「先生にだけは言われたくないです…」と思った事だろう。 結局、上条の扱いに少しは慣れているはずの小萌先生ですら弄る事は無かった。 という事は、他の教師なら言わずもがな… と言った所だ。 一方、上条自身は?と言えば… 最初こそ素直に寝ていたものの、寝過ぎて後半は寝たふりをしていた。  クラスの面々、そして授業毎にやってくる教師と向き合う勇気が無い。 そして、今更起きれるハズも無い。 そうこうしている内に、やっと帰りのHR(ホームルーム)を締める小萌先生の声がした。 終わった瞬間、上条は光の速さで教室から飛び出していく。 気のせいか、「うゎぁぁーん!」と泣いてさえいた気が…。 そんな上条の姿を見た一同は、「また何か不幸を抱えていたのか」と今更ながらに納得させられる。 と同時に「今日の事は忘れてあげよう…」と密かに同情するのだった。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 同日放課後 再びとある公園にて――― 放課後、急いで公園へと向かうと既に到着した上条がベンチで待っていた。 その目は、遠くを見つめている。 「珍しいわね、アンタが先に来て待ってるなんて。」 「何とでも言ってくれ。 今日、上条さんは何か新しいモノを得た気がしますよ。 そしてそれ以上に失ったモノも…」 「な~に、訳の分からない事言ってるんだか。 それより、ゲコ太をちゃんと大事に扱ってたでしょうね?」 そう言いつつ美琴はゲコ太を受け取ると、念入りに調べ始めた。 ゲコ太を渡した上条は、相変わらず遠くを見つめたままボソっと呟く。 「うぅ… 美琴のせいで、上条さんはもうお婿さんに行けなくい身体になってしまいました…」 「ったく、さっきから一体何を言ってんのよ。 そ・れ・に… もしアンタと結婚してくれる人が居ないって言うなら、ア、アタシが…」 「ん?」 「なっ、何でもない!何でも!! それよりもゲコ太~、会いたかったわよ~♪」 何とか話題を変えたのだが、無理やり過ぎて上条が何か言いたそうにこちらを見ている。 「罰ゲームなら、これで終わりでOKよ?」 「もう、これ系の罰ゲームは止めてくれよ? 笑い者を通り過ぎて、同情されてた気がするからな。」 「しっ、しないわよ! それに、今日は丁度ゲコ太シリーズの発売と重なったから、ってだけなんだから!!」 「わ~ったよ。 それじゃ色々と疲れたし今日はもう帰るわ。 そいじゃな~。」 そのまま肩を落とし帰って行く後姿を見て反省する。  (今度、今日のお詫びって事でどこかに誘うから… ごめんね。) もちろん反省だけでなく、新たな口実が出来て喜んでもいたのだが…。 あれから、美琴はまっすぐ常盤台学生寮の自室へと戻って来ていた。 幸い、黒子はまだ戻って来ていない。 ゲコ太ぬいぐるみを心ゆくまで堪能するには、今がチャンスだ。 ゲコ太は現在、大き目の袋に入っている。 公園に向かう前に急いで用意したものだ。 自分のベッドに座り、袋からゲコ太をゆっくりと出す。 見れば見る程可愛い… 見ている内に我慢しきれなくなり、思わずゲコ太を抱きしめる。 …と、ふわりと美琴の鼻をくすぐるものがあった。 確認の為、もう一度深呼吸する。 「この匂い… まさか、アイツの…」 そう。 美琴は上条に、「ゲコ太ぬいぐるみを抱えて1日過ごす事」と言った。 それは言うまでも無く「大事に扱いなさい」という意味で、だった。 だが上条は体育の後、それをどうしていたかというと… 結果、美琴にとってはプレミア感この上ない『上条の匂い付き』という限定ゲコ太ぬいぐるみの出来上がりとなる。 全てを理解した瞬間、美琴はギュッ!とゲコ太を更に抱きしめていた。 (はぁ… こうしてると、アイツに抱きついてるみたい…  「美琴。 実はオレ… 前からお前の事が…」  「えっ!? 当麻…?」  「お前の事が好きなんだ! もう離さない!」  「だ、ダメ… 急に抱きしめるなんて…」  「今更俺の気持ちは隠せない! 隠す気もないさ!!」  「私も… 実は私も当麻の事前から好きだったの…」  「なら、2人には何も問題は無いじゃねえか。 さぁ、2人でレッツ恋人♪」  って、私何想像しちゃってるんだろう? キャ~♪キャ~♪) …ぬいぐるみを抱きしめるだけでなく、LEVEL5の演算能力を存分に利用して妄想モードも全開なようだ。 「お姉さま? お姉さま? こんな早い時間から、ベッドに横になってどうなされたんです?」 不意に美琴の肩が揺すられた。 どうやら黒子が帰って来た音に気が付かなかったらしい。 ダメ妄想全開だった所を不意に見つかった恥ずかしさ。 そして、未だ抱きしめているゲコ太から時折ふわりと香る上条の匂い。 更にはダメ押しとなる先程までの妄想… それらを合わせた結果、どうなるかというと 「ふ…」 「お姉さま?」 「ふ…」 「ふ?」 「ふにゃ~♪」 「お゛ね゛ーさ゛ま゛ーーーー!!」 次の瞬間、美琴の肩に触れていた黒子の手を通し、心臓に悪いスパーク音が黒子を襲ったのであった。 }}} #back(hr,left,text=Back)
*限定!プレミアムゲコ太 #asciiart(){{{ 冬のとある日の朝 とある公園にて――― 「ったく、アイツは何やってんだか…」 いつもより更に早く寮を出ていた美琴は呆れていた。 無理も無い、待ち合わせ相手の上条がまだ来てないのだ。 (まさかアイツ、また朝からトラブルにでも巻き込まれてるのかしら?) もしそうならば、どうしよう? と考えていると、やっと上条が待ち合わせ場所であるいつもの公園へとやって来た。 「御坂! すまんっ!!」 美琴の姿を見つけるや否や、急いで駆け付けた上条は素直に謝る。 実は昨日、罰ゲームを賭けてゲームセンターで争い、上条が僅差で負けていたのだ。 今日はその罰ゲームを実行する日である。 上条としてはただでさえ不利な状態なのに、何か文句を付けられて罰ゲームの内容が重くなるのは勘弁願いたかった。 「ま、いつもの時間よりは少し早い位だし、怒ってないわよ。  そ・れ・よ・り・も… 罰ゲームの件だけど早速やってもらうからね?」 「か、上条さんは何をやらされるのでしょう…?」 内心ビクビクしつつ質問した上条に、美琴は緑色の物体を手渡す。 …改めて良く見なくても、それはゲコ太のぬいぐるみであった。 しかも、心なしか少し大きい。 「朝から何てもんを持ってるんだ、お前は! それに、急にこんなもん渡されても上条さんはどうすれば…」 「それ、今日から期間限定でコンビニだけで発売される『ゲコ太ぬいぐるみ』シリーズの新商品よ。  んで… 早速『売り切れないうちに』って買ったは良いんだけど、今日は生憎と持ち物検査の日でさー。」 「ま、まさか…」 「そっ! 今日1日、アンタが持ってなさい♪」 「ちょ、ちょっと待てっ! 袋は? これを買った時の袋は!?」 「それが、袋に入れてくれなかったのよね~。 という訳だから無いわよ?  それに袋があったとして、袋に入れて1日持ってても面白くないでしょ?」 「本気と書いてマジですか!?」 「本気よん♪ 今回の罰ゲームは、『ゲコ太ぬいぐるみを抱えて1日過ごす事』だから。  床に置いたり、変な所に置いたりしたのが分かったら、罰ゲームは即無効。 やり直しだからね?」 「あの~。 上条さんには今日、体育があるんですが… まさか、体育の授業中も抱えてろと?」 「うっ! そ、それは仕方無いわね。 いいわ、それじゃ体育の授業は例外でOK。 でも、それ以外はしっかり大事に抱えてなさいよ?」 「美琴さん、ありがとう!!」 「喜んでくれて良かったわ。 それじゃもう時間もあんまり無いし、私は行くわねー。 放課後、またここに集合でー。」 そう言うと、手を振りつつ美琴は去ってしまった。 (あれ? 「ありがとう」とか言ってみたものの、こんな理不尽な状況を突きつけたのは美琴じゃねーか。 ふ、不幸だ…) げんなりとしつつ、手元にあるゲコ太を見やる。 さて、ゲコ太。 上条さんは今日1日で、一体どうなるんだろうな…。 }}} #center(){◆         ◇         ◆         ◇         ◆} #asciiart(){{{ 同日 とある高校にて――― 登校途中にゲコ太を入れて隠せる袋を探したものの、見つけられなかった。 時間に余裕が無かったのも悔しい。 結局、ゲコ太を片腕に抱きつつ登校したのだが、周りからの視線がかなりイタい… 急いで教室へと入った上条は、自身の席でゲコ太を胸元に置き、窓から見える風景を見ていた。 それはもちろん現実逃避の為でしかない。 「おはようだにゃー… って、げっ!! いつからカミやんはそんな趣味に!?」 「おはようさん。 …カミやん。 いくら色々な趣味に寛容なボクでも、そないな趣味はちょっと…」 普段は堅い結束で結ばれているはずの土御門と青ピも予想通りのリアクションだった。 因みに、男子生徒は大体2人と同じリアクションである。 が、女子生徒となると少し割合が違っていた。 吹寄など露骨に嫌悪等を示す者も居るには居たが、クラスの大半の女子は 「上条くん、ひょっとしてそっちにも興味あるとか? ねぇ… もし良ければ今度、一緒にお店にでも見に行かない?」 などと何故か上条への高感度がアップしていた。 持ち前の体質で、普段からクラスメイトにもフラグを立てていたからこそ、なのかも知れない。 (時間よ、早く過ぎ去ってくれー!!) 周りの色々な反応はともかく、こんな日に限って時が経つのは遅く感じるものである。 体育の授業が終わり、次の授業へと入った上条はゲコ太を半ば枕にして眠っていた。 今日はサッカーが行われ、憂さ晴らしも兼ねていつも以上に張り切った反動。 そして、気疲れのピークに達していたのだ。 通常、授業中に居眠りなどしていれば怒られる。 が、この日の上条は普段以上の不幸オーラと、高校生の男子なのにぬいぐるみを抱きしめて寝ているというカオスな状況。 こんな光景を見せられた担任の小萌先生は、注意しようにも注意出来ないで居た。 (何故か弄ったら負けるような気がするのですよー。 上条ちゃんは突っ込み所が満載過ぎるのです。) もしこの心の声を聞いたら、誰しもが「先生にだけは言われたくないです…」と思った事だろう。 結局、上条の扱いに少しは慣れているはずの小萌先生ですら弄る事は無かった。 という事は、他の教師なら言わずもがな… と言った所だ。 一方、上条自身は?と言えば… 最初こそ素直に寝ていたものの、寝過ぎて後半は寝たふりをしていた。  クラスの面々、そして授業毎にやってくる教師と向き合う勇気が無い。 そして、今更起きれるハズも無い。 そうこうしている内に、やっと帰りのHR(ホームルーム)を締める小萌先生の声がした。 終わった瞬間、上条は光の速さで教室から飛び出していく。 気のせいか、「うゎぁぁーん!」と泣いてさえいた気が…。 そんな上条の姿を見た一同は、「また何か不幸を抱えていたのか」と今更ながらに納得させられる。 と同時に「今日の事は忘れてあげよう…」と密かに同情するのだった。 }}} #center(){◆         ◇         ◆         ◇         ◆} #asciiart(){{{ 同日放課後 再びとある公園にて――― 放課後、急いで公園へと向かうと既に到着した上条がベンチで待っていた。 その目は、遠くを見つめている。 「珍しいわね、アンタが先に来て待ってるなんて。」 「何とでも言ってくれ。 今日、上条さんは何か新しいモノを得た気がしますよ。 そしてそれ以上に失ったモノも…」 「な~に、訳の分からない事言ってるんだか。 それより、ゲコ太をちゃんと大事に扱ってたでしょうね?」 そう言いつつ美琴はゲコ太を受け取ると、念入りに調べ始めた。 ゲコ太を渡した上条は、相変わらず遠くを見つめたままボソっと呟く。 「うぅ… 美琴のせいで、上条さんはもうお婿さんに行けない身体になってしまいました…」 「ったく、さっきから一体何を言ってんのよ。 そ・れ・に… もしアンタと結婚してくれる人が居ないって言うなら、ア、アタシが…」 「ん?」 「なっ、何でもない!何でも!! それよりもゲコ太~、会いたかったわよ~♪」 何とか話題を変えたのだが、無理やり過ぎて上条が何か言いたそうにこちらを見ている。 「罰ゲームなら、これで終わりでOKよ?」 「もう、これ系の罰ゲームは止めてくれよ? 笑い者を通り過ぎて、同情されてた気がするからな。」 「しっ、しないわよ! それに、今日は丁度ゲコ太シリーズの発売と重なったから、ってだけなんだから!!」 「わ~ったよ。 それじゃ色々と疲れたし今日はもう帰るわ。 そいじゃな~。」 そのまま肩を落とし帰って行く後姿を見て反省する。  (今度、今日のお詫びって事でどこかに誘うから… ごめんね。) もちろん反省だけでなく、新たな口実が出来て喜んでもいたのだが…。 あれから、美琴はまっすぐ常盤台学生寮の自室へと戻って来ていた。 幸い、黒子はまだ戻って来ていない。 ゲコ太ぬいぐるみを心ゆくまで堪能するには、今がチャンスだ。 ゲコ太は現在、大き目の袋に入っている。 公園に向かう前に急いで用意したものだ。 自分のベッドに座り、袋からゲコ太をゆっくりと出す。 見れば見る程可愛い… 見ている内に我慢しきれなくなり、思わずゲコ太を抱きしめる。 …と、ふわりと美琴の鼻をくすぐるものがあった。 確認の為、もう一度深呼吸する。 「この匂い… まさか、アイツの…」 そう。 美琴は上条に、「ゲコ太ぬいぐるみを抱えて1日過ごす事」と言った。 それは言うまでも無く「大事に扱いなさい」という意味で、だった。 だが上条は体育の後、それをどうしていたかというと… 結果、美琴にとってはプレミア感この上ない『上条の匂い付き』という限定ゲコ太ぬいぐるみの出来上がりとなる。 全てを理解した瞬間、美琴はギュッ!とゲコ太を更に抱きしめていた。 (はぁ… こうしてると、アイツに抱きついてるみたい…  「美琴。 実はオレ… 前からお前の事が…」  「えっ!? 当麻…?」  「お前の事が好きなんだ! もう離さない!」  「だ、ダメ… 急に抱きしめるなんて…」  「今更俺の気持ちは隠せない! 隠す気もないさ!!」  「私も… 実は私も当麻の事前から好きだったの…」  「なら、2人には何も問題は無いじゃねえか。 さぁ、2人でレッツ恋人♪」  って、私何想像しちゃってるんだろう? キャ~♪キャ~♪) …ぬいぐるみを抱きしめるだけでなく、LEVEL5の演算能力を存分に利用して妄想モードも全開なようだ。 「お姉さま? お姉さま? こんな早い時間から、ベッドに横になってどうなされたんです?」 不意に美琴の肩が揺すられた。 どうやら黒子が帰って来た音に気が付かなかったらしい。 ダメ妄想全開だった所を不意に見つかった恥ずかしさ。 そして、未だ抱きしめているゲコ太から時折ふわりと香る上条の匂い。 更にはダメ押しとなる先程までの妄想… それらを合わせた結果、どうなるかというと 「ふ…」 「お姉さま?」 「ふ…」 「ふ?」 「ふにゃ~♪」 「お゛ね゛ーさ゛ま゛ーーーー!!」 次の瞬間、美琴の肩に触れていた黒子の手を通し、心臓に悪いスパーク音が黒子を襲ったのであった。 }}} #back(hr,left,text=Back)

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