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「上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある少年の帰還記念祭/Part01」(2011/08/07 (日) 08:45:12) の最新版変更点
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*とある少年の帰還記念祭 1
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雪の降るような寒い朝、御坂美琴はベッドの上で目を覚ました。
今は12月、あまりの寒さにぬいぐるみを抱きしめ毛布を頭からかぶって寝ていたようだ。
今日もいつもの変わらない1日が始まる―――はずだった。
(ん~………あれ?なんだかぬいぐるみの感触が違う……?)
いつも抱いて寝ているむいぐるみの感触が明らかにおかしい。
なんだか大きいし人肌のようだし良い匂いがする。
(……ふにゅ……何これすっごい心地いい……)
いつもは得られない幸福感と満足感を感じ思わずギュッと抱きしめてほおずりを始める。
と―――
「へ?」
何かに頭をなでられた。いやなでられている。
ありえない出来事に美琴はそろりと毛布から顔を出した。
すると―――
「あ、起きちゃった?」
「…………え?」
なんとすぐ目の前には上条の顔があった。
そしてぬいぐるみだと思いがっちり抱きしめていたのも上条だった。
「…………………………あ、なんだ夢か。」
「いや違うから。」
意味のわからない状況を夢と決めつけたが速攻で否定された。
否定はされたがこんな状況夢以外ありえない、とりあえず夢であることは間違いないと美琴は決定づけた。
そしてボーっと目の前の上条の顔を見続けているとあることに気がついた。
上条の顔が赤い。それに目を合わせてくれないしなぜか恥ずかしそうにしている。
(何よ……目くらい合わせなさいよね。夢でも私のことはスルーしようってわけ?)
上条の態度に不満を持った美琴は抱きつく力を強める。夢の中でくらい想い人に振り向いてほしい、自分の思う通りになってほしい。
「ほらさっきみたいに頭なでなさいよ~。早く早く~!」
「あの~……御坂さん?その、上条さんとしてはその格好で抱きしめられるといろいろとまずいのですが……」
その格好……?そういえばなんだがスースーする。
毛布の中の自分の格好を見てみると……
「……え、ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええ!!?な、なんで私パジャマ着てないの!?このワイシャツは何!!?へ?え?ていうかここどこ!!?」
「うおっ!」
美琴は上条を突き飛ばし1人毛布にくるまった。
ようやくこの状況が夢でないことを理解し美琴はパニックに陥った。
「お、おちつけ御坂!大丈夫だほとんど見てないから!!」
上条は美琴が下着を見られたことでパニックになったと勘違いしていた。
美琴の格好は下着はつけているようだがワイシャツの前はとまっておらず肌が丸見えだ。
(ちょ、ちょっと待って何この状況!?え、え!?昨日は何があったっけ?ってその前に今この状況を整理したほうがいい!?)
ここで美琴はパニック状態ながら頭の中でこの状況を整理する。
まずどこかわからない部屋のダブルベッドで上条と2人で寝ていた。
何やらベッドは湿っている。
そして自分の格好は下着と恐らくは上条のものであるだろうワイシャツを羽織っているだけ。
上条の格好は上は何も着ておらず下は制服のズボン。
さらに夢ではないらしい。
以上のことから考えられることは1つ。
(つ、つ、つ、つまり………………………………………やっちゃった?)
その考えにたどり着いた美琴はボンッという音とともに顔をこれまでにないほど赤くした。
すると突き飛ばされた上条はベッドに座り直し気まずそうに
「あ~……御坂、ひょっとしてお前昨日のこと覚えてない?」
昨日のこと、そう言われても美琴は何も思い出せない。
「う、え、お、覚えてない……」
美琴は毛布にくるまりながら少しでも思い出そうとはしているもののパニック状態のためまともに考えられない。
「御坂……わけがわからないとは思うがとりあえず昨日のことを少しでも思い出せ。まずはそこからだ。」
「あ、う、うん……」
上条の言葉に少し落ち着きを取り戻す。
「じゃあさ……まずパーティのことは思い出せるか?」
「ッ!パーティ……そうだ……」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
時はまず1週間さかのぼる。
美琴「ど、どうしよう…いったいどうすれば……」
この日御坂美琴は悩んでいた。
いや、この日だけではない、ここ最近ずっと悩みっぱなしだ。
その悩み事の原因はもちろんのごとく想い人、上条当麻にあった。
と、いっても前みたいにロシアから帰ってこないことに悩んでいるのではない。
帰ってきたからこそ悩んでいるのだ。
まだ上条が学園都市に帰ってきていなかったころ、美琴の調子は最悪だった。
ロシアから上条を連れ戻せなかったことを悔やみ、また上条が帰ってこないことに絶望しまともに学校生活をおくれていなかった。
本当は学校になど行きたくなかったが寮にこもっていても寮監や黒子に心配をかけてしまうのでしかたがなく学校へは行っていたが気が気ではなかった。
そしてある日美琴が学校から寮に帰ってくると何やら入り口が騒がしい。
だが一刻も早く自分の部屋に戻りたかったので気にすることなく通り過ぎようとすると目に映る1つの人影。
それがツンツン頭の少年であると認識した瞬間、何も考えず美琴は抱きついていた。
言いたいことはたくさんあったが頭の整理が追いつかずただただ泣くことしかできなかった。
そして今現在、抱きつき泣いてしまったことで大いに悩んでいるのである。
寮の玄関で起こったことだったのでもちろん寮監や多くの常盤台生に見られていた。
そのため様々な誤解を招くこととなったのも悩みの1つだが最大の悩みといえば
美琴「……今度会うときどんな顔して会えばいいのよ……」
冷静になってからとんでもないことをしたと理解し、それから1週間ずっと同じことで悩んでいた。
そのため上条に抱きついてしまってからはは上条に会わないようにするため学校が終わると一切寄り道をせず寮に直行するという生活が続いている。
そしてこの日も同じような1日を送るはずだった。が、後数歩で寮に到着するというところで
???「「見つけましたよ御坂さん!!」」
美琴「ッ!?」
誰かに呼び止められ美琴の足は停止した。この声はあの2人組に間違いない。
美琴「さ、佐天さん…初春さん……なんでここに……?」
美琴を笑顔で呼び止めたのは美琴の親友、初春飾利と佐天涙子。
『なんでここに?』と、聞きはしたが美琴には2人がここにいる理由が容易に想像できた。
初春「そんなの例の話を聞くために決まってるじゃないですか!それで御坂さんが抱きついた人はやっぱり彼氏なんですか!?」
佐天「ちょっと初春!そんな当たり前のこと聞かないでよ!それよりどこまで関係は進んでるんですか!?」
美琴「え!?ち、違うから!アイツとはそんな関係じゃないから!」
初春「いやいや嘘はいいですから!ていうかなんでいきなり抱きついたんですか?大泣きしたとかも聞きましたけど?」
必死に否定する美琴だがそんなことは関係ないとばかりに質問を続ける2人。
後少しで常盤台の寮に着く、どうやって逃げようか美琴が考えていると
???「おーみさかー久しぶりだなー。」
ふいに後ろから声をかけられた。
美琴は救世主かと思ったが現実はそう甘くない。
美琴「舞夏……確かに久しぶりね……」
声をかけてきた人物とはメイド服を着た少女土御門舞夏、この日ももちろん清掃用ロボットに乗っての登場だ。
ただ普通に話しかけてきただけなら救世主だが普通ではなかった。明らか何か企んでいるようでにやにやと笑っている。
嫌な予感しかしない。
美琴「……で、何か用があったの?」
舞夏「そうだぞーこれを渡そうと思ってなー。」
美琴「これは…?」
そう言って渡されたのは1枚の紙切れ。
なんでもない紙切れのようだが書いてあることがとんでもない。
美琴「なになに……え!?つ、土御門!?これ……マジ?」
舞夏「ああ大マジだぞー!」
美琴は驚きを隠せない。
そこに書いてある内容とは
初春「『上条当麻帰還記念!大パーティー開催!!』?……これ何なんですか?」
佐天「上条当麻って誰?」
佐天と初春も舞夏から紙をもらって興味津々に見ている。
そんな2人に舞夏は
舞夏「上条当麻ってのはみさかの大好きなやつだぞー。」
美琴「ッッッッッ!!??!?」
まさかの爆弾発言、美琴が止める間もなかった。
美琴「ちょ、土御門っ!アンタ何言ってんの!?そんなことあるわけないじゃない!」
舞夏「そんなわけあるじゃないかー。あんな人前で抱きついて、泣いて、まるで映画のようだったぞー。」
美琴が初春と佐天に隠そうと思っていたことを舞夏はいとも簡単にすべて話してしまった。
美琴はおそるおそる初春と佐天のほうを見ると2人のにやにやはMAXに達していた。これはまずいと美琴は全力で感じた。
話題をそらそうと1つ思いついたのが
美琴「いや、そんなことよりなんでアンタがこんな企画を!?」
舞夏「主催者が私の兄貴なんだー。それでできるだけ多くの人を誘ってくれって頼まれてなー。」
美琴「そ、そういやアンタの兄貴ってアイツと同じクラスだったっけ……」
美琴は冷や汗が流れるのを感じた。
普段の美琴なら“しょうがないから行く”ふりをして内心大喜びで参加するだろう。
しかし1週間前の件があるため実に行きづらい上、行けば確実に横で目を光らせている2人組にいじられまくることは間違いない。
美琴「あー…行きたいのは山々なんだけどさ…その日は用事「御坂さん!!」が……」
美琴はやっぱりきたか、と思った。
佐天と初春は尋常じゃないくらい目を輝かせている。
佐天「もちろん行きますよね!?この紙には関係ない人でも参加OKって書いてありますし私も行きますよ!」
美琴「ええ!?佐天さん行くの!!?」
佐天「え?そんなの当たり前じゃないですか。」
これは予想外、美琴の予想を遥かに上回った答えが返って来た。
すると初春がふいに思いついたようで
初春「そうだ佐天さん!白井さんや春上さんに固法先輩、それから婚后さん達も誘ってみんなで行きましょうよ!」
美琴「いや、あの……」
断ろうかとしたがもはや参加しなくてはならない雰囲気になりつつある。
それでもなんとか断れないかと頭をフル回転させる。
目の前で舞夏と佐天が何か話していることなど気にもせずに何か断る理由を作ろうと必死だ。
舞夏「詳しいことはその紙に書いてあるから読んでおいてくれー。じゃあ私は他の人にも配ってくるからまたなー。」
佐天と会話を終えた舞夏はそう言い残して清掃用ロボットに乗ったまま去っていった。
舞夏が去ったあと3人で渡された紙の内容を詳しく読んでみると……
・日にちは12月○○日午後5時から
・上条当麻に関係ある人ない人歓迎!特に女子は大歓迎!!
・場所は第○学区の『とあるパーティー会場』にて!
・参加費無料!美味しい料理多数用意してあります!
・いろんな出し物やゲームもあります!!
・とにかく誰でもいいから誘って参加しよう!
などと書かれていた。
これを見た初春と佐天はヒートアップ。
初春「参加費無料!?これは行くしかないですよ!」
佐天「それに『とあるパーティー会場』っていえば結構大きなとこだよ初春!確か1000人くらい入る会場があるって聞いたけど。」
初春「いやあるにはありますけど小さいほうの会場でやるんじゃないですか?個人のパーティーですしね。」
佐天「そう言われるとそうかー…そうだ!どうやって白井さんを説得させる?」
2人はもはや行く気満々だ。
しかし美琴も超必死である。
美琴「あ、あのさー…盛り上がってるとこ悪いんだけどやっぱり知らない人のパーティーって行きづらくない?」
初春「何言ってるんですか!上条さんにも話を聞きたいですし絶対行きますよ!」
佐天「それにさっき舞夏さんに聞いたら私達以外にも関係のない人が参加するらしいですし大丈夫ですよ。」
美琴は私が大丈夫じゃないと思った。
それからもあれこれ言い合いをしていると聞きなれた声がした。
???「あらお姉様?今日はまだ寮に帰ってなかったのですわね。」
美琴「!!黒子!」
その声を聞き3人は舞夏の去っていった方向を見るとそこには美琴のルームメイト、白井黒子の姿があった。
美琴は今度こそ救世主が現れたと思った。
今ほど黒子が自分の元に現れて嬉しいと思ったことはないかもしれないくらい美琴は嬉しかった。
と、ふと黒子の手に目をやると何やら紙切れを持っている。
3人はすぐにそれがあの紙だとわかった。
黒子「お姉さまもこのパーティーについて聞いたのですね……」
黒子も美琴たちが舞夏からパーティーの話を聞いたのだとわかったようだ。
美琴は期待した、黒子は絶対ダメだと言ってくれると。
初春は悩んだ、どうやって黒子を説得しようかと。
佐天は考えた、最悪黒子が行かないと言い張っても美琴を連れて行く方法を。
そんな3人を前に黒子は軽く微笑んで
黒子「……この日は必ず予定を空けておいてくださいねお姉様。初春と佐天さんもですわよ。」
3人「「「……………………………………え?」」」
美琴達は自分の耳を疑った。
今黒子はなんといったのだろうか。あり得ない言葉が聞こえてきたような……
初春「え……っと白井さん、それはどういう意味なんですか?」
黒子「もうわかっているでしょう。このパーティーに参加するという意味ですわ。」
そう言って黒子は手に持っていた紙をきれいに折りたたみ鞄にしまい込んだ。
そんな黒子に対し美琴は信じられないといった表情で
美琴「な、なんで?アンタのことだから絶対ダメって言うと思ったのになんでなの!?」
黒子「そんなの大勢の人の前でお姉様とあの殿方の関係がなんでもないということを証明し誤解を解くためですわ。」
これで希望はすべて消え去った。もう美琴になす術は残されていない。
さらに初春が追い討ちをかける。
誰かと電話したかと思うと笑顔で美琴のほうを見て
初春「御坂さん!春上さんもすごく楽しみだって言ってますよ!その期待を裏切るようなまねはしませんよね?」
美琴「………………はい……」
美琴はあきらめた。もう断ることは不可能だと。
こうして美琴達のパーティー行きは決定した。
さらにその後いつも何かとお世話になっているアンチスキルの黄泉川や鉄装も参加するということがわかり、渋っていた固法の参加も決定。
誘った時から行く気満々だった婚后と婚后が行くなら行くということで湾内、泡浮も加え結局みんなで参加することとなった。
美琴「はぁ……どうなることやら……不幸ね…」
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#navi(上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある少年の帰還記念祭)
第1話『目覚め』
雪の降るような寒い朝、御坂美琴はベッドの上で目を覚ました。
今は12月、あまりの寒さにぬいぐるみを抱きしめ毛布を頭からかぶって寝ていたようだ。
今日もいつもの変わらない1日が始まる―――はずだった。
(ん~………あれ?なんだかぬいぐるみの感触が違う……?)
いつも抱いて寝ているむいぐるみの感触が明らかにおかしい。
なんだか大きいし人肌のようだし良い匂いがする。
(……ふにゅ……何これすっごい心地いい……)
いつもは得られない幸福感と満足感を感じ思わずギュッと抱きしめてほおずりを始める。
と―――
「へ?」
何かに頭をなでられた。いやなでられている。
ありえない出来事に美琴はそろりと毛布から顔を出した。
すると―――
「あ、起きちゃった?」
「…………え?」
なんとすぐ目の前には上条の顔があった。
そしてぬいぐるみだと思いがっちり抱きしめていたのも上条だった。
「…………………………あ、なんだ夢か。」
「いや違うから。」
意味のわからない状況を夢と決めつけたが速攻で否定された。
否定はされたがこんな状況夢以外ありえない、とりあえず夢であることは間違いないと美琴は決定づけた。
そしてボーっと目の前の上条の顔を見続けているとあることに気がついた。
上条の顔が赤い。それに目を合わせてくれないしなぜか恥ずかしそうにしている。
(何よ……目くらい合わせなさいよね。夢でも私のことはスルーしようってわけ?)
上条の態度に不満を持った美琴は抱きつく力を強める。夢の中でくらい想い人に振り向いてほしい、自分の思う通りになってほしい。
「ほらさっきみたいに頭なでなさいよ~。早く早く~!」
「あの~……御坂さん?その、上条さんとしてはその格好で抱きしめられるといろいろとまずいのですが……」
その格好……?そういえばなんだがスースーする。
毛布の中の自分の格好を見てみると……
「……え、ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええ!!?な、なんで私パジャマ着てないの!?このワイシャツは何!!?へ?え?ていうかここどこ!!?」
「うおっ!」
美琴は上条を突き飛ばし1人毛布にくるまった。
ようやくこの状況が夢でないことを理解し美琴はパニックに陥った。
「お、おちつけ御坂!大丈夫だほとんど見てないから!!」
上条は美琴が下着を見られたことでパニックになったと勘違いしていた。
美琴の格好は下着はつけているようだがワイシャツの前はとまっておらず肌が丸見えだ。
(ちょ、ちょっと待って何この状況!?え、え!?昨日は何があったっけ?ってその前に今この状況を整理したほうがいい!?)
ここで美琴はパニック状態ながら頭の中でこの状況を整理する。
まずどこかわからない部屋のダブルベッドで上条と2人で寝ていた。
何やらベッドは湿っている。
そして自分の格好は下着と恐らくは上条のものであるだろうワイシャツを羽織っているだけ。
上条の格好は上は何も着ておらず下は制服のズボン。
さらに夢ではないらしい。
以上のことから考えられることは1つ。
(つ、つ、つ、つまり………………………………………やっちゃった?)
その考えにたどり着いた美琴はボンッという音とともに顔をこれまでにないほど赤くした。
すると突き飛ばされた上条はベッドに座り直し気まずそうに
「あ~……御坂、ひょっとしてお前昨日のこと覚えてない?」
昨日のこと、そう言われても美琴は何も思い出せない。
「う、え、お、覚えてない……」
美琴は毛布にくるまりながら少しでも思い出そうとはしているもののパニック状態のためまともに考えられない。
「御坂……わけがわからないとは思うがとりあえず昨日のことを少しでも思い出せ。まずはそこからだ。」
「あ、う、うん……」
上条の言葉に少し落ち着きを取り戻す。
「じゃあさ……まずパーティのことは思い出せるか?」
「ッ!パーティ……そうだ……」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
時はまず1週間さかのぼる。
美琴「ど、どうしよう…いったいどうすれば……」
この日御坂美琴は悩んでいた。
いや、この日だけではない、ここ最近ずっと悩みっぱなしだ。
その悩み事の原因はもちろんのごとく想い人、上条当麻にあった。
と、いっても前みたいにロシアから帰ってこないことに悩んでいるのではない。
帰ってきたからこそ悩んでいるのだ。
まだ上条が学園都市に帰ってきていなかったころ、美琴の調子は最悪だった。
ロシアから上条を連れ戻せなかったことを悔やみ、また上条が帰ってこないことに絶望しまともに学校生活をおくれていなかった。
本当は学校になど行きたくなかったが寮にこもっていても寮監や黒子に心配をかけてしまうのでしかたがなく学校へは行っていたが気が気ではなかった。
そしてある日美琴が学校から寮に帰ってくると何やら入り口が騒がしい。
だが一刻も早く自分の部屋に戻りたかったので気にすることなく通り過ぎようとすると目に映る1つの人影。
それがツンツン頭の少年であると認識した瞬間、何も考えず美琴は抱きついていた。
言いたいことはたくさんあったが頭の整理が追いつかずただただ泣くことしかできなかった。
そして今現在、抱きつき泣いてしまったことで大いに悩んでいるのである。
寮の玄関で起こったことだったのでもちろん寮監や多くの常盤台生に見られていた。
そのため様々な誤解を招くこととなったのも悩みの1つだが最大の悩みといえば
美琴「……今度会うときどんな顔して会えばいいのよ……」
冷静になってからとんでもないことをしたと理解し、それから1週間ずっと同じことで悩んでいた。
そのため上条に抱きついてしまってからはは上条に会わないようにするため学校が終わると一切寄り道をせず寮に直行するという生活が続いている。
そしてこの日も同じような1日を送るはずだった。が、後数歩で寮に到着するというところで
???「「見つけましたよ御坂さん!!」」
美琴「ッ!?」
誰かに呼び止められ美琴の足は停止した。この声はあの2人組に間違いない。
美琴「さ、佐天さん…初春さん……なんでここに……?」
美琴を笑顔で呼び止めたのは美琴の親友、初春飾利と佐天涙子。
『なんでここに?』と、聞きはしたが美琴には2人がここにいる理由が容易に想像できた。
初春「そんなの例の話を聞くために決まってるじゃないですか!それで御坂さんが抱きついた人はやっぱり彼氏なんですか!?」
佐天「ちょっと初春!そんな当たり前のこと聞かないでよ!それよりどこまで関係は進んでるんですか!?」
美琴「え!?ち、違うから!アイツとはそんな関係じゃないから!」
初春「いやいや嘘はいいですから!ていうかなんでいきなり抱きついたんですか?大泣きしたとかも聞きましたけど?」
必死に否定する美琴だがそんなことは関係ないとばかりに質問を続ける2人。
後少しで常盤台の寮に着く、どうやって逃げようか美琴が考えていると
???「おーみさかー久しぶりだなー。」
ふいに後ろから声をかけられた。
美琴は救世主かと思ったが現実はそう甘くない。
美琴「舞夏……確かに久しぶりね……」
声をかけてきた人物とはメイド服を着た少女土御門舞夏、この日ももちろん清掃用ロボットに乗っての登場だ。
ただ普通に話しかけてきただけなら救世主だが普通ではなかった。明らか何か企んでいるようでにやにやと笑っている。
嫌な予感しかしない。
美琴「……で、何か用があったの?」
舞夏「そうだぞーこれを渡そうと思ってなー。」
美琴「これは…?」
そう言って渡されたのは1枚の紙切れ。
なんでもない紙切れのようだが書いてあることがとんでもない。
美琴「なになに……え!?つ、土御門!?これ……マジ?」
舞夏「ああ大マジだぞー!」
美琴は驚きを隠せない。
そこに書いてある内容とは
初春「『上条当麻帰還記念!大パーティー開催!!』?……これ何なんですか?」
佐天「上条当麻って誰?」
佐天と初春も舞夏から紙をもらって興味津々に見ている。
そんな2人に舞夏は
舞夏「上条当麻ってのはみさかの大好きなやつだぞー。」
美琴「ッッッッッ!!??!?」
まさかの爆弾発言、美琴が止める間もなかった。
美琴「ちょ、土御門っ!アンタ何言ってんの!?そんなことあるわけないじゃない!」
舞夏「そんなわけあるじゃないかー。あんな人前で抱きついて、泣いて、まるで映画のようだったぞー。」
美琴が初春と佐天に隠そうと思っていたことを舞夏はいとも簡単にすべて話してしまった。
美琴はおそるおそる初春と佐天のほうを見ると2人のにやにやはMAXに達していた。これはまずいと美琴は全力で感じた。
話題をそらそうと1つ思いついたのが
美琴「いや、そんなことよりなんでアンタがこんな企画を!?」
舞夏「主催者が私の兄貴なんだー。それでできるだけ多くの人を誘ってくれって頼まれてなー。」
美琴「そ、そういやアンタの兄貴ってアイツと同じクラスだったっけ……」
美琴は冷や汗が流れるのを感じた。
普段の美琴なら“しょうがないから行く”ふりをして内心大喜びで参加するだろう。
しかし1週間前の件があるため実に行きづらい上、行けば確実に横で目を光らせている2人組にいじられまくることは間違いない。
美琴「あー…行きたいのは山々なんだけどさ…その日は用事「御坂さん!!」が……」
美琴はやっぱりきたか、と思った。
佐天と初春は尋常じゃないくらい目を輝かせている。
佐天「もちろん行きますよね!?この紙には関係ない人でも参加OKって書いてありますし私も行きますよ!」
美琴「ええ!?佐天さん行くの!!?」
佐天「え?そんなの当たり前じゃないですか。」
これは予想外、美琴の予想を遥かに上回った答えが返って来た。
すると初春がふいに思いついたようで
初春「そうだ佐天さん!白井さんや春上さんに固法先輩、それから婚后さん達も誘ってみんなで行きましょうよ!」
美琴「いや、あの……」
断ろうかとしたがもはや参加しなくてはならない雰囲気になりつつある。
それでもなんとか断れないかと頭をフル回転させる。
目の前で舞夏と佐天が何か話していることなど気にもせずに何か断る理由を作ろうと必死だ。
舞夏「詳しいことはその紙に書いてあるから読んでおいてくれー。じゃあ私は他の人にも配ってくるからまたなー。」
佐天と会話を終えた舞夏はそう言い残して清掃用ロボットに乗ったまま去っていった。
舞夏が去ったあと3人で渡された紙の内容を詳しく読んでみると……
&nowiki(){・}日にちは12月○○日午後5時から
&nowiki(){・}上条当麻に関係ある人ない人歓迎!特に女子は大歓迎!!
&nowiki(){・}場所は第○学区の『とあるパーティー会場』にて!
&nowiki(){・}参加費無料!美味しい料理多数用意してあります!
&nowiki(){・}いろんな出し物やゲームもあります!!
&nowiki(){・}とにかく誰でもいいから誘って参加しよう!
などと書かれていた。
これを見た初春と佐天はヒートアップ。
初春「参加費無料!?これは行くしかないですよ!」
佐天「それに『とあるパーティー会場』っていえば結構大きなとこだよ初春!確か1000人くらい入る会場があるって聞いたけど。」
初春「いやあるにはありますけど小さいほうの会場でやるんじゃないですか?個人のパーティーですしね。」
佐天「そう言われるとそうかー…そうだ!どうやって白井さんを説得させる?」
2人はもはや行く気満々だ。
しかし美琴も超必死である。
美琴「あ、あのさー…盛り上がってるとこ悪いんだけどやっぱり知らない人のパーティーって行きづらくない?」
初春「何言ってるんですか!上条さんにも話を聞きたいですし絶対行きますよ!」
佐天「それにさっき舞夏さんに聞いたら私達以外にも関係のない人が参加するらしいですし大丈夫ですよ。」
美琴は私が大丈夫じゃないと思った。
それからもあれこれ言い合いをしていると聞きなれた声がした。
???「あらお姉様?今日はまだ寮に帰ってなかったのですわね。」
美琴「!!黒子!」
その声を聞き3人は舞夏の去っていった方向を見るとそこには美琴のルームメイト、白井黒子の姿があった。
美琴は今度こそ救世主が現れたと思った。
今ほど黒子が自分の元に現れて嬉しいと思ったことはないかもしれないくらい美琴は嬉しかった。
と、ふと黒子の手に目をやると何やら紙切れを持っている。
3人はすぐにそれがあの紙だとわかった。
黒子「お姉さまもこのパーティーについて聞いたのですね……」
黒子も美琴たちが舞夏からパーティーの話を聞いたのだとわかったようだ。
美琴は期待した、黒子は絶対ダメだと言ってくれると。
初春は悩んだ、どうやって黒子を説得しようかと。
佐天は考えた、最悪黒子が行かないと言い張っても美琴を連れて行く方法を。
そんな3人を前に黒子は軽く微笑んで
黒子「……この日は必ず予定を空けておいてくださいねお姉様。初春と佐天さんもですわよ。」
3人「「「……………………………………え?」」」
美琴達は自分の耳を疑った。
今黒子はなんといったのだろうか。あり得ない言葉が聞こえてきたような……
初春「え……っと白井さん、それはどういう意味なんですか?」
黒子「もうわかっているでしょう。このパーティーに参加するという意味ですわ。」
そう言って黒子は手に持っていた紙をきれいに折りたたみ鞄にしまい込んだ。
そんな黒子に対し美琴は信じられないといった表情で
美琴「な、なんで?アンタのことだから絶対ダメって言うと思ったのになんでなの!?」
黒子「そんなの大勢の人の前でお姉様とあの殿方の関係がなんでもないということを証明し誤解を解くためですわ。」
これで希望はすべて消え去った。もう美琴になす術は残されていない。
さらに初春が追い討ちをかける。
誰かと電話したかと思うと笑顔で美琴のほうを見て
初春「御坂さん!春上さんもすごく楽しみだって言ってますよ!その期待を裏切るようなまねはしませんよね?」
美琴「………………はい……」
美琴はあきらめた。もう断ることは不可能だと。
こうして美琴達のパーティー行きは決定した。
さらにその後いつも何かとお世話になっているアンチスキルの黄泉川や鉄装も参加するということがわかり、渋っていた固法の参加も決定。
誘った時から行く気満々だった婚后と婚后が行くなら行くということで湾内、泡浮も加え結局みんなで参加することとなった。
美琴「はぁ……どうなることやら……不幸ね…」
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