とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

15-1

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匿名ユーザー

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そんなドタバレンタインデーも終わった4月の始業式の日。

ホームルーム
それは普通の高校ならどこにでもある朝の行事。
(まれに挨拶がすべて「ごきげんよう」だったりする事はあるが)。
「にしてもクラス一緒って変じゃね?」ただしこの一点が上条のところでは普通ではなかった
「ああ、それはだな。」
情報屋が仕入れてきた情報を開陳する。

「このクラスひとくせもふたくせもあり過ぎて他のクラスと混ぜたら他のクラスまで影響食らうってのと、
小萌先生くらいしか統制できないかららしい。」

「…反論の余地なしね。ん?ってことは担任はまた小萌先生なの?」吹寄が聞く。
「そうらしい」情報屋が言うと。

「「「「「「いやっほーい!!」」」」」」男子(特に青ピ)の歓声が。
しかし長くは続かない。

「でも副担はゴリラらしい。」
直後、絶叫が窓をふるわせた。

また ホームルームとは
特別な連絡や小さいイベントがなされる場。
むろん
上条たちのいる高校とて例外ではない。
そして
今日はそういうイベントがある日。
そういう日は
朝の教室はどっかの耳が早い奴が噂を聞きつけてざわめくところから始まる。

「それと転校生が来たらしいぞ。なんかスゲー奴らしい。」
ただし、上条のクラスでこの手の噂を持ってくる耳の早い奴は

「ホントか情報屋!?」
情報屋こと紫木 友であることが常なのだが。
さらに言うと情報屋はかならず吹寄の所へ行って報告をするのがいつの間にかデフォに成りつつある。この意味するところは……まだ、だれも知らない。
いや、想像すらできなかった……。そんな4月の朝であった。

ついでに言っておくと
「すごい奴ってどういう意味だ??」上条が至極もっともな疑問を述べれば
「今度こそ貧乳ウサギばんざいだにゃー!」土御門がばかなことを言って
「土御門…………頭冷やせやこの浮気者!!」カチン!と月夜に凍らされ
「何をバカなことっ!」「そげふっ」吹寄が何故か上条に渾身の回し蹴りを決め
「わてもそろそろロリっ子がこのクラスに来てもええ思うんや」「「「「「「「お前にはあのジャッジメントがいるだろうが!!!」」」」」」」青ピがクラスの男子にフルボッコされる。
と、いうのはもはやお約束に近い。

「はっ、くだらねェ。ロリだの何だの関係ねェだろォがよォ」「「「「「「貴様にだけは言われたくない!!!!!」」」」」」これまたほぼお約束。

「おまえら平和だなあ…」「お前もそう思うか浜面…」「はまづら、はまづらもだんだん平和ボケしてきてると思う」「半蔵様も。その体勢では不意打ちに抵抗できませんよ?」
「「そうかなー…って二人ともクラス違うよね!?」」
この二人は毎度呆れて見るポジションでありながら突っ込みもこなしている。意外とすごいお二人である。


そんなこんなしているうちにホームルームが始まる。

「はーい、ホームルームを始めるのですよー………って、なんで青ピちゃんは顔がはれてるんですかー?」「何もないでセンセ」
嘘つけっ! とクラス全員が心の中で突っ込むがさすがの小萌とて生徒の心の声まで聞きとることはできない。
「ならいいのですよー。では転校生のご紹介ですー。今度の子は男の子なのですよー。おめでとう子猫ちゃん残念でした野郎どもー。」
ああああーという男子の声が響く。
ついでに「男子ですごい奴って?」「一方通行より凄いのはいる訳ないよね?」「にゃー。別の意味でかもしれないぜい」「ん?土御門いつ氷から脱出した??」と言うささやきも聞こえる。実際土御門の予想は当たっていたのだが。

そして
「入ってくださいー。」

その瞬間、すべての生徒が『すごい奴』の意味を知った。

「「「「「「「「「「小学生!?」」」」」」」」」」「いえ、ちゃんと16ですが?」
このやり取りに慣れているらしく転校生は嫌そうな顔もせずニコニコと笑って答える。

「では、自己紹介よろしくなのですー。」
「はい、この度転校してまいりました月詠 翔太です。よろしくお願いいたします。」
どう聞いても小学生の転校のあいさつ という感じの声である。
小学生にしてははっきりと、よどみなく言うところがかろうじて16『かもしれない』くらいである。

クラスがざわめく。
「きゃーっ、かわいいー♪」「ホント小学生みたい♪」というのは女子生徒。

「月詠?」「小萌センセと同じやがな」「名字もだけど小学生に見えるってのも共通だよ」「うん、兄弟と言われても信じられる」「そういえば二人、似てるような……」冷静な生徒たち(男子の全員と吹寄、姫神以下数人だけの女子)はささやく。

これらのざわめきの幕引きはほかならぬ小萌によってなされる


「翔太君は私の甥っこなのですよー。」
するとざわめきは一瞬にして静まり、

「「「「「「「「「「なるほどー」」」」」」」」」」
普通担任の親せきであることが分かると大抵ざわめくが……。
上条たちのクラスは逆に納得してしまった。

「ん?ってことは小萌センセの親せきはみんな見ため小学生なんか?」青ピの目が輝く。
「んー?どうでしょう?」小萌が言う。
「つーか青ピ、てめえ『小萌先生の親戚の女の子は全員ロリっ子かも』って喜んでたろ?」
「ばれた?」
「「「「「「「「バレバレじゃボケぇええええ!!!!!」」」」」」」」」
ちなみにこのドタバタを翔太は若干、いや かなり引き気味に眺めていた(当然です。)

しかし彼らは知らない。
この子供…ではなかった高校生には彼女がいて。
しかもそいつがに転校してくるとは。


土御門ですら知らなかった「同僚」の転校は悲劇を引き起こすのか喜劇を引き起こすのか、この時点ではまだ誰も知らない。


空気を代えようと浜面は思い、情報屋にある話題をふきかける。

「そう言えば情報屋、今年の一年はレベル高いって言ってたけど、明日来る一年はどうなの?」
「……名簿のコピーがあるが、その情報はかなり高額だぞ?」
「金を取るのか?」
「違う、それなりの情報をよこせってことだ」

情報屋のこの情報は法に触れるため、それなりの情報が無かったらただ損するだけだ。
浜面はうーんと考えると最近噂になっていることを思い出す。

「上条が引っ越した先は学舎の園前」
「すでに持っている」
「常盤台の大半は上条に惚れてる」
「解りきったこと」
「……一方通行は最近あの打ち止めと唇でキスしてた。俺がこの目で見た」
「持ってけ泥棒!!」

また後ろからギャーギャー言って一方通行を襲ってるが、一方通行は『反射』の代わりに、『スルー』と言う能力を使う。
これは反射の次に簡単な演算で、どんなものでも受け流す。これなら周りに被害が減るため、クラスメイトに教われたときはこれを使っているのだ。
だがこの光景を翔太は見馴れていないため、開いた口が塞がらない。

「翔太ちゃん、これがこのクラスの日常なのです」
「……いや、おばさん。あの白い人大丈夫なの!?集団リンチうけてるよ!?」
「一方通行ちゃんは学園都市最強なので大丈夫なのです」
「ええっ!?僕そんなの聞いてないよ!?」
「まあ、その内なれるのです」

慣れるのかな……?と、翔太は首を傾げたのだった。
すると、いきなり浜面が椅子から転げ落ち、

「な、なんじゃこりゃー!?」

叫んだ。

「どうした浜面!!」
「れ、レベルが、学歴が」
「何があった!?」

上条が名簿を見る、すると上条は目を丸くし、

「女子が全員常盤台だと……?」

そう呟いた。


「「「「「「「「「「「「何だとッ!?」」」」」」」」」」」」

男達の首がクルッと、上条の方に向き、ドタドタと上条の持ってる名簿を奪い取る。

「本当だ!!何故に常盤台のお嬢様がこんな高校に!?」「おいおい、男子もレベル4しかいないぞ!?」
「ぎゃー!!女子の中に常盤台のレベル5、心理掌握がいる!!」
「先輩としてのメンズが立たない!!」
「しかし、常盤台のお嬢様が後輩って悪い気しないな」

そんな騒いでるなか、情報屋はへらへらしながらその疑問らに答える。

「常盤台のお嬢様は上条、一方通行、浜面に惚れて来た。男子はこの三人を倒して学園都市最強の称号を手に入れる。と、俺は聞いている」
「「「「「「「「「「「「殺せェェェええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」」」」」」」」」」」」

男達が怒りのあまり、学園都市最強の三人組に襲いかかろうとしたが、

「いい加減に授業始めますよ!!」

それ以上に怒っている小さい先生に止められたのだった。


しかし教師の説明なくして納得できないおでこがここに。
「先生!これはいったいどういう事ですか!?」
吹寄が聞く。ついでに上条をにらみながら。

「先生もこの間見て気絶しかけたのですよー。」
「そうじゃなくて何でこんなことになったんです!?」

すると小萌は上条と一方通行のほうを見て言う。
「上条ちゃんと一方通行ちゃんのせいなのですよー。」
「……でしょうね。具体的には??」

「調べたところこういうわけなのですー『今度中3になるわが常盤台のエースにすごい彼氏がいるらしいんですの。』
『私も聞きましたわ、その方学園都市最強を2度も倒したそうですの』『私は5回と聞きましたの』『しかも今では学園都市最強と机を並べるご学友だそうですわ』
『何ですって!?昨日の敵は今日の友 ですか?』『それでそのお二人はどんな学校に通われてるんですの??』」
小萌は見事にお嬢様口調を真似てやって見せた。

「と、言うわけで常盤台のお嬢様が大挙してうちを受験して全員合格してしまったのですよー。」
むろんその分普通の学力レベルの人が普通の学校を受けたのに落ちた!と絶句しているのだが。

「ちょっと待てェ!5回もやられた覚えはねェぞ上条!」周りは あー、倒されたことは否定しないんだ…と思った。
「俺に怒んな!噂に尾ひれがついたんだろうよ。」

「確かに学園都市最強とそれを倒した人間。……ある意味うちの学校は最強なのでは?」
「吹寄ちゃん、確かにそうかもしれませんが学力の面ではまだまだなのですー。
と、言うわけで今年からは学力でも最高になれるように全校生徒の夏季補修を長くする予定なのですよー。」

ええええええええ!!!!!!
クラスが震えた。

「上条当麻……貴様のせいでっ!」吹寄が怒る。
むろんクラスのみんな同じようなもんで……

「「ふ、不幸だッ!!」」
学園都市最強とそれを倒した男がレベル0~2のクラスメイトに追いかけられるという
不可思議な状態がここに現出することに。


「ううっ、僕、こんなクラスでやっていけるのかな……」
「そんな心配する必要は無いぜよ。確かにこのクラスは変わり者が多いが根はいい奴が殆どだぜい」
「えっと、君は?」
「俺は土御門元春、このクラスの唯一の良心と呼ばれてる男ぜよ♪」

 弱気になっている翔太に声をかけた土御門だが、自分の名前を出した途端に考え込んでしまったのを見て不思議に思う。
 土御門は知らない、翔太と結標が恋人同士で時々ではあるが結標から土御門に対する愚痴を言っているのを。

「月詠くん、元春の言うことは話半分で聞いた方がいいよ。こいつ、私の恋人だけどさらっと嘘吐くから♪」
「月夜ー、そいつは酷い言い草ぜよ……。あ、こいつは白雪月夜、俺の恋人なんだにゃー♪ 可愛いやつだがやきもち焼きなのが玉にゲフッ!」
「気にしないでねー♪ 今のは元春の戯言だから。ごめんね、ちょっと席外すね。今から元春にお仕置きしなくちゃいけないから♪」

 席を外すと言いながら月夜は翔太から見える位置で土御門を『氷のグローブ・スパイク付き』でボコボコにしていた。
 既にカオスと化した教室でさすがの小萌も手が付けられない状態の中、騒ぎを簡単に治められる赤音が立ち上がる。
 赤音は真夜、真昼、小萌、翔太、姫神、半蔵の静かにしていた面々に特注耳栓を付けるように促して、

「うるっさーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーいっ!!!!!!」

 【鼓膜破砕(ボイスシャット)】の大声で騒いでるクラスメートを大人しく、否、無理矢理黙らせた。
 当麻は右手の使用が遅れ、一方通行は『反射』してなかったので他のクラスメート同様に赤音の大声に目を回していた。
 ようやく静かになった教室で赤音は耳栓をしてる人達にオッケーサインを出して特注耳栓を外すように促す。

「毎度毎度感謝するですー♪ 赤音ちゃんの大声はクラスを大人しくさせるのに一番ですねー」
「いえいえ、それほどでも。初めまして月詠君、私は茜川赤音。この真夜君とは恋人同士なんだ、よろしくね♪」
「赤音さん、その紹介は恥ずかしいんだけど……。俺は井ノ原真夜、よろしく月詠」
「よ、よろしく……(良かった、この二人はまともそうだ)」

 翔太は赤音と真夜にようやく常識人に出会えた喜びを感じていたが、次の真昼の自己紹介で大きく覆される。

「俺は井ノ原真昼、こう見えても立派な女だぜ。ちなみに真夜は双子の弟で世界一愛してる恋人だ」
「……えっ? だって井ノ原くんは茜川さんの恋人って……。こ、小萌おばさん、どうゆうこと?」
「えーっとですね、その三人は本人達も了承済みの恋人なんですよー。深く考えない方がいいですよ、付き合い自体は他のカップルよりも健全ですから」

 初めて見たポリアモリーなカップルの混乱状態の翔太、そこに更なる混乱の種が舞い込む。

「真夜、いいのかよ、あんなこと言われて。さり気なく小萌先生、お前らのこと変わり者カップルって言ってんだぞ」
「まあ変だってのは自覚してるから気にしてないよ。でも半蔵だって人のこと言えないと思うぞ。恋人の郭さんに様付けで呼ばせてるだろ?」
「あ、あれはあいつが勝手にだな……!」
(恋人に様付けで呼ばせてるってことはアブノーマル? どこを見ても変人だらけだよ、このクラス……)

 この高校に転入して後悔し始めていた翔太、しかし姫神によって彼がクラスの騒ぎの中心になってしまう事態に。

「はじめまして翔太くん。私は姫神秋沙。小萌先生とは。居候させてもらった仲。というわけで私と付き合って。キャラが立つには。これしかないから」
「(ま、また変な人が、しかも告白されたよ! でも僕には淡希がいるから……)ごめんなさい! ぼ、僕、付き合ってる女性がいるから」


そして常盤台では……

「お姉様……」
「どしたの黒子。なんかやつれてない?」

御坂美琴と、疲れきった白井黒子が話をしている。

「ま!お姉様!!まさか『あのこと』を知らないのですか!!?
 あ、そうですわね。お姉さまはいつも上条様のことを考えていて気づかれなかったのでしょうに」
「し、失礼よ!否定はしないけども!!」

そこは常盤台のエースのメンツとして否定してくださいの、という言葉を飲み込み。

「常盤台の3年生の大半が、進学先を○○様がいる□□高校なんですの」

青ピがいる高校、必然的に自分の当麻がいる高校であると理解し、

「ちょい待ち。ってことは何?□□にお嬢様が大集合?……原因はもちろん」
「それだけではありません。上条当麻、一方通行、浜面仕上に惚れてしまわれた生徒に、
 その3人を倒そうと、数々のレベル4の男子が□□に。偏差値がいきなり30ほど上がったと寮監が騒いでおりました」

さすがにここまでくると、怒ると言うよりただ呆れるしかない。

「ああ……。○○様がよからぬ生徒に誘惑されないか黒子は心配で胸が爆発しそうです」
「あの変態趣向を好きになるのは珍しいんじゃない?あとさりげなく最近胸が大きくなったの自慢しないで」

もろもろのことがあったりなかったりで白井の胸は成長している。といっても元々育ち盛りの中学生、美琴のも同じぐらい成長している。――5センチほど

「大丈夫かしら。入学初日に入院なんてしたら私あの高校、廃墟にしたくなっちゃう」
「……リアルすぎる冗談は欲しいですわ」

少しだけ静かになった学舎の園。何人かの教師が□□に教師指導のため移動していたためだ。

学園都市に震撼を及ぼしているあの学校は大覇星祭で長点上機学園を抜いて1位になるのはそう遠くない話だろう。


そしてその高校の一室では、転校生の衝撃発言に絶叫していた。

「「「「「「「「「「「「な、何ですとォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」」」」」」」」」」」」

世界共通、転校生に彼女、それは話題になるだろう。そしてそれはこのクラスにも当てはまる事だった。

「どんな!!どんな女!?」
「えっと……」
「胸は!!巨乳!?貧乳!?」
「巨乳です」
「「「「「巨乳キタァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」」」」」
「「「「「「貧乳じゃないのかちくしょォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」」」

ここだけは男共の趣味が女子にバレるのだが、今の男共にそんなもの関係なのだ。
土御門は最後の希望にかけ、もう一つ質問をする。

「あ、相手の年はやっぱり十歳くらいかにゃー?」
「何でそうなるんですか!?」
「いや、見た目的にだにゃー……」
「ちゃんと年上です!!」
「「「「「「お姉さんキャラキタァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」」」」」」
「「「「「「妹キャラはいずこにィィィいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」」」」」」

どっちかと言うと年下キャラが好きな男達は崩れ落ち、再起不能に陥る。
そんな崩れ落ちてる男達に、優しい翔太は声をかけてみる。

「お、女の子は胸でもないし、年は関係ないんじゃないでしょうか?」

今、火種はまかれた。

「何を言っているぅ!!巨乳何て邪道だ!!あんなデカイモノなど捨ててしまえ!!」
「何を!?貧乳など、包容力が無いんだよ!!包容力が!!愛と夢なんて詰めることができないだろ!?」

「何を言っている!?貧乳こそ神に与えられた究極の美っ!!それを侮辱するやつは人間などではないっ!!」
「貧乳が神だと?ふざけるな!!あんな固いもののどこがいい!?母性の塊は男を包んでこそ本領発揮できるのだっ!!」

男達は自分の信念のため、『胸対立戦争』のまく上げだった(ただのとっくみあいと能力の使用)。

「……赤音ちゃん、もう一度お願いします」
「……さっきからやってますが無理です。あっちが大きすぎです」
「ううっ、赤音ちゃんでも無理ですか……。なら翔太ちゃん、お願いします」
「えっ!?おばさん!!僕には無理だよ!!範囲が絞れなくて皆に当たっちゃうよ!!」
「大丈夫なのです。翔太ちゃんのデータはちゃーんと把握してますから。おもいっきりやっちゃってください」
「おばさん、僕はどうなっても知らないからね……」

次の瞬間、男達が物理的に燃えた。

「「「「「「「「「「「「アチイィィィいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」

追記しておくが、燃えなかった男は上条、一方通行、上条を利用した土御門と浜面である。


そんな物理的に燃えている男子はほっといて、小萌先生は教壇で翔太の能力解説をする。

「えー、翔太ちゃんの能力はただの発火能力(パイロキネシス)とは違いまして、
空気中の元素をプラズマ化し、あらゆるものを焼き尽くす能力なのですよ」
「それめちゃくちゃ便利な能力じゃないですか!!」

上条がすかさず突っ込むが、翔太はあまりよくない顔をし、

「攻撃にはいい能力ですけど、対象が絞れなくて全部焼き付くしちゃうんです」

事実上、現在進行形で物理的に燃えてる男達の炎を消してる上条と一方通行、後白雪である。
転校の理由の一つは、小萌に能力の制御の仕方を教えてもらうためである。

「……コイツラ全員病院行きだな、まァあのカエル医者なら1日で直せるだろォけどな」
「ううっ……ごめんなさい」
「別に翔太が悪い訳じゃないだろ?こんなことで言い争ってるコイツラが悪いんだ。
コイツラは一度痛い目にあわなきゃ反省もしないだろ」

上条の言葉に翔太は少しだけ励まされるが、上条に対する女子の視線が何故かキツかった。

「カミやん、それはお前も同じぜよ」
「「「「「「「「「「「そーだそーだ!!」」」」」」」」」」」
「何で女子からも非難をうけてるんでせう!?不幸だー!!」

女子が言いたいのはフラグを立て続ける事に怒っているのだが、上条は一生気付くことは無いのであった。


 燃えなかったのは男子は当麻達以外にも居た、最初から『胸対立戦争』に参加していなかった真夜もその一人。
 貧乳の真昼、巨乳の赤音の二人を恋人にしてる彼にとっては対立すべき理由も無く、それ以前に真昼と赤音以外の女性観で論ずる思考など持ち合わせていない。
 まあ、仮に燃えたとしても【瞬間超人(リーンフォースセレクション)】を使えば火傷程度はあっという間に治ってしまうのだが。

(ふぅん、月詠か。自主練すれば能力の制御も出来るようになるかもな。試しに今度誘ってみるか♪) 

 真夜は思った、目の前の少年も自分達の自主練に参加してもらって強くなって欲しいと。
 その一方で自分を盾にした土御門と浜面を責める当麻の姿があった。

「てめぇらさっきはよくも人を火避け代わりに使いやがったな! たまには自分達で切り抜けろ!」
「無茶言うなカミやん。カミやんはこうゆう時にこそ存在して輝くもんぜよ♪」
「土御門の言う通りだ上条。俺らに災害から自力で助かる力は無い! だからこそ親友を頼るってのが筋ってもんだろ!」
(親友なら半蔵のことは少しくらいは気にかけるもんだろ……)

 それぞれの自論を掲げる土御門と浜面に呆れた当麻、特に火傷した半蔵に気付いていない浜面に対して。
 焼いてしまった男子を申し訳なさそうに見ている翔太を見て、真昼はバレンタインに見かけたあるものを思い出していた。

「やっぱりアレって月詠だったのか……? だとすると相手の女は……」
「どうした井ノ原姉? ははぁ、さては貧乳どころか無乳のことを嘆いゲフッ!」
「黙れバカ面、じゃなかった浜面。ただバレンタインの時に月詠らしい奴がすっげー露出してる茶髪の女と抱き合ってたのを見たような気がしただけだ」

 真昼の発言を受けて嫌な予感を立てたしまった土御門と一方通行。
 ちなみに真昼はセクハラ発言をした浜面を半蔵仕込の実戦テクニックを利用した膝蹴りを彼の顔面に叩き込んでいたりする。

「なあアクセラ。もしかしなくても翔太の恋人って」
「言うな。アイツの名前を口にしたら隣のクラスに転入してきたってふざけた展開になりかねねェ……」

 その頃、三年の教室では結標が自己紹介していた。
……………………………………もちろんさらしで。

「霧ヶ丘女学院から来ました、結標淡希ですよろしくお願いします」

ただただ、欲情期まっさかりの男達はその胸の谷間が見えないかと踏ん張っている。
そして女子たちはその男子たちに冷たい視線。
男達は現在進行形で何かささやきあっていた。

「俺のクラスにとうとう巨乳がッ!!」
「しかもさらしだぞ!?今年は俺の時代が来たのか!?」
「二年の郭と吹寄もいいが、あれはあれでたまらないィィィいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」
「おい落ち着け!!転校生に聞こえるぞ?」

もう全部聞こえてるんだけど……、と突っ込みたいのは我慢していい案を思いつく。

「ちなみに私、彼氏いるから」
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