とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

15-12

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kinsho_second

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「青ピに戦力は期待してない、戦われたらむしろ迷惑だ。けど白井ちゃんのテンションを上げることは出来る。それで彼女が大活躍すればカミやん達も楽できるだろ?」
「言われてみれば確かに……。分かった、青ピのことは任せとけ!」
「拝啓、おかん……友達って何なんやろねぇ……。あれ? 勝手に涙が出よるわ……」

 当麻と土御門の言い草に激しく落ち込んだ青ピに誰も触れようとしなかった。
 そして浜滝&半郭は校内へ、土白は一方通行が飛び降りた逆方向から屋上を後にしようとしたが最後に土御門がある言葉を残す。

「いいかみんな、絶対に油断するなよ。クソ生意気な後輩共に俺達先輩の偉大さを見せ付けるんだ、いいな?」
「「「「「「「おーーーーーーーーーっ!!!」」」」」」」
「ま、一番厄介な心理掌握はアクセラ狙いだから苦戦することは無いと思うにゃー。けど、万が一ピンチになったら保健室に向かうぜよ。んじゃ健闘を祈る!」

 当麻達は保健室に居る人間を思い出し、出来ることなら頼ることはしないと心に誓う(新入生達の為にも、場合によっては自分達の為にも)。
 土白、浜滝&半郭が去った屋上では先ほど美琴たちと落ち合う約束をした当麻、青ピが残っていた。

「カミやん! 絶対にボクを守ってや!」
「安心しろ青ピ。それは俺の役目じゃな」

 その時、地上から激しい雷撃音、そして新入生達であろう叫び声が聞こえてきた。
 約一分後、雷撃音も叫び声も聞こえなくなったと思うと屋上に美琴、黒子、浦上が黒子の空間移動で現れたのだった。

――――――――――

「何だか外が騒がしいですね。けど真昼さんも赤音さんもグッスリ眠ってくれてて良かったです」
「ですねー。それにしても茜川ちゃんの能力にまさか精神を安定させる音波を生み出せるとは思いもしませんでした」
「茜川は自分の能力に癒し効果があることを喜んでいましたよ。しかしまだまだ完全にモノにするのは先でしょうけどね」」

 こちらは保健室、入学式で途中退場したポリアモリーカップル、そんな三人に時間割のプリントを届けに来た小萌、木山が居た。
 真昼と赤音が寄り添い合って寝ているが、赤音は気分が悪いのではなく真昼を寝かしつけるのに使用した【鼓膜破砕(ボイスシャット)】の新バージョンが原因である。
 赤音の能力の新バージョンは今までの攻撃系とは違い、相手の精神を穏やかにする平和的なもの、しかし他の攻撃系よりも遥かに疲れるものだったりする。

「まあ、この辺も訓練で使いこなせるようにしてみせます。……しかしこの騒ぎが収まるまではここから出られそうにありませんね」
「出ないほうが賢明ですよー。それに真昼ちゃんと茜川ちゃんが起きないことには動きようもありませんし。真夜ちゃんには悪いですけど我慢して欲しいですー」
「大丈夫ですよ月詠先生。この騒ぎが収まるまでは大人しくしてますから。けど……この騒ぎで二人が起きたらどうするか分かりませんけど」

 真昼と赤音のベッドの隣にある椅子に腰掛けて二人を優しく見守ってる真夜の最後の台詞を聞いて木山と小萌は思った、二人が起きるような騒ぎにならないようにと。
 しかしその心配は一先ず置かれることになる、何故なら座標移動で翔太と一緒に保健室にやって来た結標が鼻血塗れで現れたのだから。

――――――――――

 その頃、クレイウーマンはインデックスの居る教会を発見、遠くから様子を伺っていたが教会の周囲を浮かんでいるものに気付き、ギョッとした。
 教会の周囲に浮いていたもの、それは眼球型の偵察用ゴーレムで同系統を操るクレイウーマンは一目でその術者が誰かを看破した。

「嘘、でしょ? なんで、なんであのシェリー=クロムウェルが学園都市に? 聞いてないわよそんな報告! どうなってるのよ一体!」

 眼球型ゴーレムを作ったシェリー、何だかんだできちんと仕事はやっているのだ、たとえ今も初春を楽しそうに愛でているとしても。
 クレイウーマンは何とか思考を冷静にすると、考えを巡らせて一つの決断をする。

「ステイル=マグヌスなら何とかなるかと思ったけどシェリー=クロムウェルまで一緒となると分が悪い。それに他にも魔術師が中に居るかもしれない。……ここは後にしよう」

 結局クレイウーマンはステイルとシェリーを相手取ってインデックスを奪取するのは不可能と考え、ハイドマンと合流すべく友愛高校へ向かうことにした。

―――――――――

 一方、友愛高校裏門にヤンデレ第四位こと麦野が向かっていた。
 目的など言うまでもなく浜面に逢いに、愛を伝える為なのだがその表情は少し暗い。

「はぁ…浜面に会って野外プレイを強要しようかと思ったけどここってあの化け物が居るのよね、私のレーザ喰らってすぐさま回復したあの野郎が」

 そう、バレンタインの時にレーザーで焼いた真夜がすぐさま回復して歩いて帰ったことを浜面から聞かされた麦野は自分のことを棚上げして真夜を化け物扱いしていたのだ。
 もちろん真夜も麦野のことは女性に失礼と思いながらも同じような感覚を持っており、一ヶ月もの間はゾンビの夢でうなされるという酷い状態だったのだ(今は大丈夫だが)。

「あの化け物に会わずに浜面と外でH、これね! ああんっ♪ 何だかゾクゾクして来たわ……って何? あの連中。邪魔だから潰しとこっか♪」

 気持ちを浜面とのHという果てしない野望で一杯にすると麦野は元気になると、裏門にいる当麻達狙いの新入生達に向かって閃光のアームを何の挨拶もなく振り下ろしたのだった。

うぎゃー!?と、新入生達は吹っ飛んでいった。

「……さーてと、浜面はどっこかにゃーん」



その頃の浜滝、半郭はと言うと、

「「「「「「「「「「「「待てェェェえええええええええええええええ!!」」」」」」」」」」」」
「「「待てと言って待つバカがどこにいるッッッ!!」」」

約十五人の新入生に、北校舎と南校舎二階で追いかけれていた。
浜面達は逃げていたが、こう言うところで能力者と無能力者の長所と短所が出てくるのだ。
無能力者の場合はここで体力勝負。能力者の場合は体力が無いぶん能力で潰しにかかる。
だが、先程から攻撃は避けられてばかりである。それに浜面などは滝壺を抱き抱えながら走っている(万が一攻撃がカスリでもしないため)にも関わらず、息切れなどしている様子はなかった。
新入生達はカチンと来たのか、一斉に攻撃を放つがそこで角に曲がられた。
新入生達も角に曲がると、

「「喰らとけッッッ!!」」

半郭が掃除ロッカーを倒してきた。

「「「「うぎゃあ!?」」」」

いきなりの奇襲に能力を使う暇を与えず、四人ほど撃破。次の瞬間に四つ程鎖が飛んでまた四人撃破。
これでこの場に残っているのは七人だ。
だが相手は二人。残りの二人は先に逃げたらしい。
何だか知らないが、一気に減った仲間達の変わりか、新入生の一人が挑発にかかった。

「奇襲なんて卑怯だぞ!!恥ずかしくないのかぁ!?」
「うるせー、数で仕掛けてくるオマエラだって卑怯だろ」
「半蔵様の言う通りです。多勢に無勢とは正にこの事」
「うっ……」

言い返せなくなる新入生達。とにかく、逃げる素振りを見せない前の二人を片付ける事にした。
だが、ふいに低い声が聞こえた。

「それに……」

ビクゥ!?新入生達の体が飛び上がった。何故ならそれは、



もう先に逃げたはずの浜面の声が、後ろから聞こえたからである。



「……それにこれが俺達の戦闘スタイルだ」

直後、新入生達は浜面の新たな奇襲によって倒れ伏せた。

浜面は全員片付けたのを確認すると、

「滝壺~!!大丈夫か!?怪我とか無いか!?無茶なことやってすまん!!」

さっきまで自分も入っていた滝壺の入っている掃除ロッカーに走りよった。
いうまでも無いが、浜面が新入生達の後ろにたてたのは掃除ロッカーにいたからである。

「大丈夫、どこも怪我してないから、安心して」
「よ、良かったぁ~……」
へなへなと倒れる浜面に、滝壺は抱きしめ浜面の唇を奪った。さすが滝壺と言うべきか、積極的なアプローチに浜面は思いっきり抱きしめる。
今すぐにでも引き裂きたいバカップルである。
だがそんな二人、いや浜面に文句を垂れる女がここにいた。

「浜面氏、またいいとこ取りしましたね」
「おい郭、そんなに目立ちたがるんじゃねえ」
「だって!!前半私と半蔵様の最高のコンビネーションだったんですよ!?さすがにちょっと悔しいです!!」
「……何かご褒美やればいいのか?」
「いえいえ、そこまでではなく、何かこう……スカッとするようなムグ!?」

半蔵は、何の予告も無しに郭の唇を奪った。
その行動に二人とも真っ赤である。

「……ちゃんとご褒美やったんだから、気を引き締めろよ」
「は、はいぃ!!く、郭頑張ります!!」

ここもすっかりバカップルモードに入っていたのだった。



その頃、上条&青髪ピアスはと言うと……。





屋上で新入生の相手をしていた。
だが、襲撃者のうち女子たちは美琴、黒子、浦上がいる事に恐怖し動けずにいる。
現在、攻撃をしているのは男子のなかで中・遠距離攻撃が可能なものたちだけなのである。
しかし、能力者の攻撃は当麻が防御して、その隙に黒子はテレポートで相手を空中へ移動させる。そこへすかさず美琴が電撃をくらわせる。
そんな攻防を美琴たちが合流してから30分ほど続いているのである。

「あーもう!どんだけいんのよ・・・これじゃ埒があかないわ!」ビリッリッ
「上条さんもそろそろ休憩したいんですがね!」パキャァァァァン!
「こう数が多いと私の鉄針も使えませんしねぇ」ヒュン!ヒュヒュン!
「ところで○○様?」
「なんでっしゃろ?黒子はん?」

黒子はふと感じたことを青髪ピアスに質問する。

「この学校の教師の方々はどうして、この騒動を止めようとしませんの?」
「あーそれは、いつもの事だからとちゃいますの?」
「・・・・・・いつもの事なんですの?」
「「いつものことです!!」」

当麻と青髪ピアスが声をそろえて、黒子に返答した。
それを聴いた美琴、黒子、浦上は呆れた顔で二人の顔を交互に見た後に大きくため息を付いた。

「「「ハァァァァァァーーーーーーーー」」」
「な、なんでそこでため息をするんでせうか、美琴さん?」
「ため息もつきたくなるわよ!!!」

そう叫んだ後、凄まじい雷撃が屋上に降り注ぎ屋上は当麻の後ろを除いて黒ずんでしまった。
黒子、青髪ピアス、浦上は雷撃雨の前に当麻の後ろに避難している事はお約束。
この状況を目の当たりにした新入生の面々は、恐怖に呑まれた悲鳴を上げて逃走したのである。

「逃げてったわよ♪当麻♪」
「・・・・・・『逃げてったわよ♪』じゃねぇぇぇぇ!!どうすんだよ、このありさま!」
「・・・そうですわ!お姉さま!後始末をする私たちのことを考えてくださいませんと!」
「だっていつもの事だって聴いてカッとなっちゃたんだモン♪」
「・・・・・・生徒指導室行き決定だな・・・・・・」
「・・・・・・そうやなカミやん・・・・・・・」
「「ハァァァァァ、不幸だ・・・」」

お仕置き決定確実なため当麻と青髪ピアスは一度、目が遇った後にうつむいてしまうのだった。

ドン!ドドン!ドドドン!ドギャーーン!ガッシャーーーン!

どんより空気を一掃するかのように突如、学校中から爆発音と破砕音が響いた。
嫉妬の怨嗟に巻き込まれながらも、ハイドマンによる攻撃が始まったのである。


「やれやれ、一時はどうなるかと思ったが感謝すべきだろうな。あの元アイテムリーダーの第四位に」

 裏門に居て麦野の閃光のアームでやられたかと思われたハイドマン、彼はいち早く麦野の存在を察知しその場から大急ぎで離脱していたのだ。
 万が一を考えて隠密術式を使用し、麦野に存在を知られないようにするという念の入れようである。

「それにしても俺はついている。こうして自由に行動できるのも学生が多く残ってる上に奴らが暴れているからだ。この調子なら」

 自分の幸運に酔いしれるハイドマンの胸元に入っている栞が光った、クレイウーマンからの連絡である。
 連絡はこちらからのはずなのにどうしてクレイウーマンからの連絡があったのか不思議に思ったハイドマン、ここから彼の余裕は徐々に削がれていく。

「どうした? クレイウーマン。こちらの時限術式はまだ設置し終えていないぞ。今は撹乱で忙し」
『それは後! よく聞いて。学園都市に私達の掴んだ情報にない魔術師が居たわ、シェリー=クロムウェルよ。この分だと』
「考えたくはないが他にも魔術師が居てもおかしくはなさそうだな。ちっ、厄介なことだ。だが時限術式のによる爆破が各地域で始まる、これで形勢は我らに傾く」

 自分達が得ていた情報以外の魔術師の存在に最初は焦ったハイドマンだったが、自分の虎の子の時限術式の存在が彼の心を落ち着かせる。
 そして時限術式の発動時間が来たのだが一向に学校外からの爆発音が聞こえてこない、その事実がハイドマンを焦らせる。

「な、何故だっ! どうして時限術式が発動しない! くそっ、いっ、一体どうなっている!」
『落ち着きなさい。おそらく私達の知り得ない魔術師があなたの術式を解除したのよ、信じられないことにね』
「そんな莫迦な話があるかっ! 俺が学校の外で仕掛けた時限術式は全部で八つ! それを全て解除するなど有り得ない!」
『だから落ち着きなさいと言っている。私もそっちに向かっているから今は身を潜めなさい。合流し次第、幻想殺しの抹殺に当たるわよ』

 そうしてクレイウーマンからの連絡が途切れると、ハイドマンは自慢の時限術式を解除された悔しさを抑えて隠密術式を使用して身を潜めるのだった。

――――――――――

 その約一分後、爆発音を聞きつけてやって来たのは土白だった。
 月夜はそれまで新入生達の相手をしていた疲れを癒しつつ、爆発の痕跡を調べている土御門に尋ねる。

「元春どう? その爆発跡を作ったのってやっぱり魔術師?」
「ああ。しかし当の本人の姿は確認できないな。けどまあ、これくらいの規模の破壊なら思ったよりの脅威は無さそうぜよ」
「けど元春、これだけ派手に学校破壊して怒られないかな? 規模がそこそこでも問題があると思うよ」
「そんなの新入生共のせいにするに決まってるにゃー♪ 俺達は被害者ってことならそんなにお咎めも無いはずですたい」

 土御門はハイドマンによる破壊を大したことないように言っているが実際は結構なもの、だが彼にとってはバレンタインの第二学区のような規模の破壊レベルが脅威なので仕方ない。
 後でとばっちりを喰らう新入生達に同情を禁じ得ない月夜なのであった。

「さてっと、これからどうしよっか? 魔術師を探す? それとも新入生達の数を減らす?」
「んー、そうだなー、新入生共を片しつつ魔術師捜索、これでいっとくかにゃー」
「オッケー♪ じゃあ張り切っていってみよー!」

 そして土白はやって来た新入生達を蹴散らしながら校舎へと入っていった、近くの茂みで安堵しているハイドマンに気付かずに。

――――――――――

 こちらは一番張り切っている一方通行、次々と襲ってくる新入生達を叩き潰しながら進んで行く、誘導されてることに気付きつつも。
 そして一方通行は敢えて相手の誘いに乗る形で入っていった、心理掌握率いる精鋭部隊がいる体育館へと。
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