いちゃいちゃの究極っつとABCとかになるんかね?
上条「何か日が当たるようなったなここ?」
美琴「え? ええ、そ、そうね、来た時より明るくなったわね」
上条「んー。つう事はあれか? 何か期待されてるって事なのか? 俺たち」
美琴「え? さ、さあどうかしらね」
美琴(期待って……。一体何期待されてるっての!? 大体、いちゃいちゃって、やっぱ手ぇ繋いで公園歩いちゃったとかそー言う事なのかしら……)『ジ……(上条の右手をガン見)』
上条「何見てんだ御坂?」
美琴「は……? え、えええ、えーと……。あは、あははははは……、取り合えず、えいっ!」『バチッ』
上条「うおっ!? 危ねぇ! 何しやがんだ急に、このビリビリ娘はっ!」
美琴「ビリビリって言うなってんでしょうが、このバカァァァアアア!!」
上条「おまっ! 電撃飛ばしといて今度は逆ギレですか!?」
美琴「何よ、ちょっと電撃飛ばしたくらいで一々ギャーギャー騒ぐんじゃないわよ、小さい男ね! どぉーせその右手のおかげで効きゃしないんだからどぉでもいいでしょうが!!」『ダンダンッ!(足踏み)』
上条「被害を受けた上に非難まで受けるとは……。ふ、不幸だぁ……」『ガク……』
美琴「フンッ。(ど、どうやら誤魔化せたみたいね……)」
上条「あー……、カミジョーさんは今ので非常にショックを受けました。ですので、今日はこのまま帰ってよろしいでしょうか? ええ、いいですよ。はいそうですか、では皆さんさやうなら……」
美琴「コラコラ。アンタは何勝手に締めくくって帰ろうとしてんのよ? 私はどーすんのよ? わ、た、し、は」
上条「お前も帰ればぁ? ハァ……」
美琴「あ、ちょ、もうっ! ちょ……とぉ、ま、ち、な、さ、い、よぉ……」『ぐぐぐ……(上条の腕を掴んで踏ん張る)』
上条「何だよ御坂……。今日のカミジョーさんは傷心旅行に出たいくらいブルーなんですのよ? ただ傷心旅行に行く金なんかこれっぽっちも無いから、取り合えずスーパーの特売にでも行ってこようと思ってるんですがね?」
美琴「そ、それって私より大事なの!? (い、言っちゃった!?)」『カァ……ッ』
上条「はあ? あの……、仰っている意味が良く判り兼ねるのですが?」
美琴「…………」
上条「あの……、御坂?」
美琴(これ以上言っちゃダメ! 私が期待しちゃう! 私がコイツに期待しちゃうからっ!! と、とにかく、とにかく何か言わないと……)
上条「もしもーし」
美琴「え、あ、え、えーと……ね。その、あの、何て言うか……」『モジモジ……』
上条「ああーっ!!」
美琴「ふえっ?」『ビクッ』
上条「御坂!!」『ガシィィッ!!(美琴の両肩をホールド)』
美琴「ハイッ!!」『ビクッ』
上条「また『ゲコ太』か? そうなのか? そうなんだな?」
美琴「え! えぇ!?」
上条「やっぱりそーなんだなー。おかしいと思ったんだ。お前がこんな変な企画にホイホイ乗ってくるなんて。考えてみたら前回の罰ゲームん時もそうだった。その前は、海ば……ま、あれはいいな。あれはノーカンだな。ノーカンノーカン」
美琴「あ、あの…」
上条「お前ホントゲコ太好きなんだなー。よし判った! 他ならぬ御坂の頼みなら聞いてやらない事も無い事も無いの反対だからアリだ!!」
美琴「え……、ちょ、ちょっと……」
上条「インデックスの事では、随分と借りがあるからな。あん時は罰ゲームやら、その後のごたごたやらですっかりうやむやになっちまったけど、俺は忘れてたわけじゃ無いんですよ?」
美琴「そ、そんな……私は別に貸したなんて……」
上条「じゃ、要らないとか? 流石見た目通り太っぱ――」
美琴「それ以上言ったら許さないわよ」『ゴゴゴゴ……』
上条「ひゃい!?」
美琴「フン」
上条「ハァ……、で、どうすっかねこれから」
美琴「え?」
上条「やっぱあれかね? いちゃいちゃの究極っつとABCとかになるんかね?」
美琴「ハイ! 先生!」『ビッ』
上条「はい、御坂君」
美琴「AとかBとかCって、何?」
上条「あ、あ……」
美琴「何でそこで遠い目すんのよアンタは?」
上条「ぅぅぅ……。ごめん、別の事考えっから許してくれ!」
美琴「ほほ……う……」
上条「な、何っ?」『ビクッ』
美琴「私に言えない事、な訳ね?」
上条「あ、あ……、え、え……」『タラ……(冷や汗)』
美琴「ゆったんさい。先生怒らないから」
上条「とか言って怒るじゃん。俺の経験則から言って、それ言って怒らなかった人皆無――」
美琴「じゃ、判るわよねぇ? 言わなくても怒るって……」『ギロッ』
上条「ひっ!? ふ、ふこ、不幸だッ」
美琴「男なら覚悟を決める。ほら、さっさと全部吐いて楽になったらどうだ?」
上条「何? その電気スタンド俺に向ける様なポーズ? べ、弁護士呼んでくれよ刑事サン!? こ、この人暴力振るう気だよ! 自白強要だよ!!」
美琴「は、や、く、い、えっ、て、の!」
上条「痛ッ!? 痛い痛い!! 暴力反対!! つねるの禁止!! 人類みな兄弟ッ!! 痛ッ!! 喋る、喋るからつねるの止めて!!」
美琴「最初っから素直にしてりゃ痛い目見ないで済んだものを……」
上条「(こえーよ御坂、きっとコイツの前世ってナチスのSSか何かだよ……)」
美琴「誰が第三帝国の手先ですって? 馬鹿言ってないでさっさと白状する」
上条「ぅ。じゃ、怒ったり驚いたりすんなよ。暴力も禁止だからな!」
美琴「アンタに隠し子がいるって聞いても取りみだしません」
上条「いや、それは驚こうぜ――じゃ、話すけど、ABCってのは恋愛の順序を顕わしたものなんだけど……」
美琴「うんうん」
上条「ABCは3段階の順序を表してるんだ」
美琴「それでそれで」
上条「え……。まず、A。これがキス」
美琴「うん。Aがキス。……、…………」『ボンッ』
上条「ほらぁ。またふにゃぁか? いいぞ、大丈夫だ、問題無い。(その方が俺も助かる)」
美琴「たひっ、たひじょぶだから、つづけへ」
上条「うっ。じゃ、気をしっかり持てよ」
美琴「ふ、ふひゅん」
上条「(大丈夫かコイツ)じゃ、Bな。ペッティング。Hの前戯とか――」
美琴「あう゛」『ブシュー』
上条「み、御坂っ!!」
美琴「らいじょーぶ、らいじょーぶよー」
上条「はぁ、これじゃ何時ゲコ太ゲット(いちゃいちゃ)出来るか判んねーなー。ってか出来るのか?」
結局Bまで聞いた所でダウンした美琴は、上条さんの膝枕で、上条の上着を掛け布団代わりにお休み中。
一方、上条は、そんな美琴の寝顔を時折覗き込みながら、色々と思案中です。
上条(何か妙に熱い視線を感じるなー。つーか、いい加減起きねーかな御坂? こんなトコでいつまでも寝てっと背中イテーだろうし……)
上条「おーい、御坂? もしもーし。早く起きねーと、風邪引きますよー」『チョイチョイ(頬をつつく)』
美琴「うーん……。むにゃむにゃ」
上条「なんつー幸せそうな寝顔です事……」
上条(んー、起きねえなー、やっぱり。どーすっかなーこれ?)
上条「いっそ抱き抱えてコイツの寮まで……。いやいや待てよ?」
上条(そんな姿を土御門やら青髪やらに見つかったら? いや、ぜってー見つかるに決まってる。んでアイツら俺の事目ぇ血走らせて追いかけ回すに決まってんだ。それで逃げ切ったとしても、後である事無い事言いふらさまくってみろ……!?)
上条「カミジョーさんのバラ色――予定――の恋愛模様が!? 神聖な花園が土足で踏みにじられてっ!! うっがー! 不幸だぁ――――――――――!!」
上条『ゼエ、ゼエ』「こ、こうなったらヤルしかねえ。鬼になれ――。血に飢えた獣になれ、上条当麻ッ!! そして奴らの喉笛をガブーッと……」
美琴「…………」
上条(あれ? いつの間に目を覚ましたんだコイツ?)
上条「みさ――」
美琴「イヤッ!!」『ゴンッ!(垂直アッパー)』
上条「はぐっ!?」
美琴「ぁ……」
上条「な、ないひゅあぱぁ……、ふこ……」『ドサッ(親指を立てながらゆっくりと崩れ落ちる)』
美琴「あれ? あ、あれぇ?」
美琴(私一体どうしたんだっけ? 落ち着いて思い出せー……。確か、コイツがAとかBとかおかしな事言いだしたんだったわ。それで……)『もそもそ』
美琴「これ……。ぇ?」
美琴(学、ラン……?)『ギュ―――――ッ(思わず学ランを引き寄せて丸まる美琴)』
美琴(はぁ、こんなモノからもでもアイツの無駄な包容力を感じるのねぇー……)
美琴「って!? な、何考えてんの私!? ち、違うのっ!! こ、これは寒いから!! そう!! 寒いから思わずあったかいなぁー、なんてっ!! はは、あはは、あはははは……、はは、は、は……」『スリスリ(空笑いしながら上条の膝をなでる)』
美琴「!!!」『ガバッ!! ズサササササササッ!!』
美琴(な、何でわ、わた、わた、わた……)
美琴「ふにゃあ」『ゴンッ!』
美琴「あだっ!? ぅ……、頭が割れる……。不幸だわこれ……」『すりすり(自分の頭をなでる)』
美琴「!!」『ババッ! バババッ!!(高速で自身の身だしなみチェック)』
美琴「ふー……、おかしな所は無いみたいね……」『ガックリ』
上条「う、う……」
美琴「あはははは。ま、まあ、アレね。は、初めてが気付かないうちに終わっちゃいましたじゃ、ああ、あんまりにも情けないもん……ブッ!?」『カァァァァァァアアアアア……(ゆでダコの様に真っ赤)』
上条「不幸だ……。まだ顎がガクガクする」『コキコキ』
美琴「ふぁ、ふぁたひは何期待してんのひょ? あ、あんにゃヤツ……、あんにゃヤツゥにはひ……」
上条「あの右は絶対世界に通用するよ。日本初のヘヴィ級王者誕生ってか?」
美琴「誰がヘヴィ級じゃゴラァ――――――――――ッ!!」『ガシッ!!(タックル&馬乗り)』
上条「うわっ!? み、御坂!!」
美琴「アンタはこんな時まで私の事スルーなんかっ!! ス、ル、ウ、な、ん、かァァァァァァアアアアアア!!」『ガクガク(マウントから胸倉を掴んでゆする)』
上条「な、ん、の、は、な、し、だ、や、め、ろ、お、お、お、お……」
美琴「ざけんじゃないわよこのっ!! パンチは褒めて、体は放置ですって!? こんな目の前に美味しいそうな女の子が転がってたら、唇の一つや二つや三つ奪うのが漢(おとこ)の筋ってもんでしょうが!!」
上条「ま、待て御坂、お、お前言ってる事がおかしいって」
美琴「何がよっ!? AとかBとかCとか!! とにかくアンタが先に言いだしたんだから、さっさと責任とって私に実践してみろってのよ!! この据え膳食わずの甲斐性な――」
上条「落ち着け美琴ッ!!」『ギュ(持ちつかせようと抱きしめる)』
美琴「ッ!?」『ビクッ』
上条「美琴、ちょっと落ち着こうな。ほら、女の子のマウントポジションはカミジョーさん的には嬉し恥ずかしシチュエーションながら、取り合えず上から降りて」
美琴「う、うん……」『ボボボボボ……』
上条「よし美琴。で、何だって? 俺と、その、AとかBとかどうしたって?」
美琴「え? そ、それは、えーとぉ……」『ザァ―――――(一気に血の気が引く)』
上条「はぁ……、いいよ。言わなくて」
美琴「へ?」
上条「あのさー。お前、もう少し自分を大事にしろよな。ゲコ太ゲコ太ってそんなにお前にとって大事なのか?」
美琴「え? え?」
上条「まー、ふった俺が悪いんだけどさ。よく無いだろ? そう言う事は、好き同士がしなくちゃな」
美琴「ちょ、ちょっと待って! 何か話がおかしな方向に行って――」
上条「とにかく今回の目標は何だ! ヨシ! 美琴クン言ってみたまえ!」
美琴「へ? あ? い、いま、美琴って呼ん――」
上条「それはいいから答えたまえ!」
美琴「あ、はい……。い、いちゃいちゃ……、する?」
上条「そう! 正解ッ!」『ビシッ』
美琴「ふえ?」
上条「では第二問! 我々がいちゃいちゃするための障害を述べよ!」
美琴「え……、ア、アンタの女性遍歴?」
上条「ぐはっ!? そ、それは誤解が六回ですのよ御坂さん。ぼ、僕は決して優柔不断なハーレムキャラではございませんし、そもフラグ男などと良く言われますが、けっしてそれが良いのかと言えば、たまに発生する桃色イベントぐらいで、その後は、もう、もう……。あ、心の汗……」
美琴「(ウ、ウザい)」
上条「ぐぞ……。俺だってなぁ。俺だって、ホントは恋愛したいんだぜ。誰はばかる事無くキャッキャウフフしてえんでございますよ!!」
美琴「え!? そ、それならわたし――」
☆「それには及ばん」『グゴゴゴゴゴゴ……(床からせり上がる水槽。そこには逆さに浮かんだ、男にも女にも以下省略)』
上条&美琴『ビクッ』「「ア、アンタだれ?」」
☆「気にする事は無い。そうだな。上条当麻君。君の先輩、とだけ言っておこう」
上条(先輩……? 学校にいたかこんな変な奴……?)
☆「特に意味は無い。一つ付け加えるなら、学校ばかりとは限らん、と言う事だ」
上条「は、はあ……」
美琴「あの……」
☆「何かね?」
美琴「さっきの言葉の意味って?」
☆「言葉どおりだ。君たちは君たちの思うままに青春を謳歌したまえ、と言う事だ」
美琴「え、それってどう言う意味……?」
☆「学園都市第3位の割には飲みこみが悪いな。それとも聞き返す事に何か意味があると取るべきかな?」『ニヤリ』
美琴「んなっ!? ちょ、ちょっと、今の言葉取り消しなさふががっ!?」
上条「わ、判りましたっ! 自由にしていいって事ですよね!」
美琴「むがあ―――――!!」
☆「君は物わかりがいいな」
上条「ハハハハ。よ、良く言われますぅ」
☆「(これで、後回しに考えていたプランが大幅に短縮される)」
上条「え?」
☆「若者が細かい事を気にするな。では、存分に励みたまえ。成功を期待している」『グゴゴゴゴゴゴ……(水槽が床に沈んで行く)』
上条「はぁ……、何だったんだ一た痛ッ!!」
美琴「ぷぇ。口離せこの馬鹿ぁ!!」
上条「だからって噛む事ねえだろ?」
美琴「ざけんじゃないわよ!! アノ金魚ヤロー、私の事見て笑ったのよ!? タダじゃおかない!! 今すぐ床ぶち抜いてあのクソ水槽から引きずり出して3枚にオロシテやるんだからっ!!」
上条「物騒な事言ってないで外行くぞ、外」
美琴「は、な、せっ、て、の、が、わ、か、ん、ねーのか、アン、きゃ!?」『ガバッ(上条にお姫様だっこされる)』
上条「ああ、判りませんねー。猛獣ビリビリ中学生のたわ言など」
美琴「ま、またビリビリって!? アンタまで私の事馬鹿に、きゃああ――――!?」『グワッ(上条がぐるぐる回りだしたので思わず首にしがみつく)』
上条「大人しくしないと、ぐったりするまでメリーゴーランドの刑にしますよぉ――――?」
美琴「わ、判った、判ったから、回るの、きゃああああ!?」『グルン(今度は逆回転)』
上条「判ってくれた?」
美琴「判ったって言ったでしょぉぉおぉおおお!? だ、だから、だから早く止め、きゃああああああああああああ!!」
美琴(ふふ。ホントは全然平気なんだけど、面白いからもう少しこのまま)『ギュ』
美琴「(べ、別に気分転換に抱きついてる訳じゃないんだからね! 勘違いしないでよね!)」『ギュ――――ッ』
上条「どうだ御坂ぁ!! こ、これが上条ハリケーンだぁ―――――――――――――!!」
美琴「やめてとめて、きゃああああああああああああ―――――!!」『ギュギュッ』
謎の部屋を抜け出した2人は、☆の言った通り好き勝手する事にしたのだが。
美琴「どこ向かってんのよ?」
上条「取り合えずスーパー」
美琴「スーパー?」
上条「そう、スーパー」
美琴「先生質もーん!」『バッ』
上条「はい、美琴君!」
美琴「美こっ!? み、みみ、美ここ……」
上条「巫女? 姫神の事か?」
美琴「違ッ!? って姫神って誰?」
上条「うちのクラスメイトの巫女さん。これがまた格好とは正反対の何と言うか何と言うか、色々残念な感じなんだよ」
美琴「いつの女?」
上条「は?」
美琴「いつ助けた女なの?」『パリパリ……』
上条「ぇ……」(何怒ってんだコイツ?)『ジリジリ……』
美琴「私より先? 後?」『ギロッ』
上条『ゴクッ』「さ、先」
美琴「どっちのが大変だった?」
上条「へ?」
美琴「どっちのが手間かかる女だったのか聞いてるのよ?」『ピシッ』
上条「ひぇええ!? ひ、姫神っかな? そん時俺、右腕もげて死にかけたし。あ、でも、お前ん時も、全身打撲で毛細血管バンバン弾けてやっぱ死にかけだったしな」
美琴「…………」
上条「え? 何? 良く聞こえな――」
美琴「馬鹿っつたのよ、このトウヘンボクッ!!」『バリバリバリッ』
上条「ぬおぅわっ!! 御坂お前、急な電撃は止めろって――」
美琴「死ぬわよ」
上条「は?」
美琴「アンタなんかホントはぜんっぜん弱いんだから、いつか死んじゃうわよ!!」
上条「あの……、急にシリアス?」
美琴「茶化すんじゃないわよこの馬鹿ぁ――――――――――!!」『ドスッ(頭から鳩尾に体当たり)』
上条「おふっ!!」
美琴「勝ち逃げなんかしたら許さないんだから、ぐすっ、ぐすっ」
上条「不幸だぁ……。って、あれ?」
美琴「ぐすっ、ぐすっ……」
上条「あの……」
美琴『キッ』「ぐすっ、ぐすっ……。何よぉ、すんっ、ぐすっ」
上条(何ですかこの修羅場……?)『ポリポリ(上条困った顔で頬をかく)』「ふぅ。あのな、美琴」『パシッ(美琴のの頬を両手で挟んで)』
美琴「ふきゅい!?」
上条「俺を勝手に殺すな」
美琴『コクコクコク……(目だけでうなずく)』
上条「まあ確かにお前が言う通り、俺も毎回生き残る度に、は、まぁ本当によくもって思うのは確かだよ。だけどな、『死ぬ気で頑張る』とか、『死んでも頑張る』とか、そー言う言葉は、俺の辞書にはねーんだわ」
美琴「…………」
上条「それでもお前が不安に思うなら約束してやる。勝ち逃げはしない」
美琴「で、出来ると、思ってんの?」
上条「ああ出来る。信じてるからな――仲間を」
美琴「ッ!? そこ……ぁ……」(聞けないっ! 仲間(そこ)に私はいるのかなんて……)
上条「頼むぜ美琴」
美琴『ぽわぁぁぁぁぁ……(星と花を散らせた蕩ける様な満面の笑み)』
上条「それにはまず泣き虫治してくれよな」
美琴「ハッ!? うっさいうっさいうっさーい!! も、当麻のくせに生意気なのよっ!!」
上条「ハハッ、その調子で頼むぜ御坂。天下の学園第3位様には、涙より元気いっぱいのが似合ってるぜ!!」(あれ? 今名前で呼ばれた様な気がすっけど……)
取り合えず仲直り(?)した2人は、当座の目的地、『スーパー』に向かっていたのだが……。
美琴「ねえ」
上条「…………」
美琴「ねえっ!」
上条「…………」
美琴「この状況ですら無視すんのかコラァ!!」『バシバシ』
上条「って!? 何なんですかお前は? 反抗期ですか?」
美琴「呼んでんだから返事くらいしろっ!!」
上条「ああ……、わりぃわりぃ。で、何んだ?」
美琴「えっ、あ、あのぅ……」『モジモジ』
上条「どうした御坂? 顔なんか真っ赤にして」
美琴「え……あ、えっ、あぁ……」(「何で私の手を握って歩くの?」って聞きたいのに言葉が出ないっ!?)『チラ、チラ(目線が手と、顔と、何も無い空間を順番に追う)』
上条「ああっ!!」
美琴「!!」『ビクゥ』
上条(トイレ、だろ? この様子、きっとそうだ。そうに違いありませんぜ、とカミジョーさんの中の紳士な部分が申しております)
上条「わりぃわりぃ。え、えーとー」『キョロキョロ』(ここは自然に俺がトイレに行くふりをして……。お! おあつらえ向きの店があるじゃんよ)「美琴わりぃ。ちょっと寄り道いいか?」
美琴「え? あ、ちょ、ちょっとぉ」『タタッ、トタタ、トタッ……(上条に手を引かれてよろける様に後について行く)』
そうして2人が入ったのは、とある大型ショッピングセンターの1階。しかも入った場所が悪かったのか、上条の運(ふこう)のなせる技か、この日の1階はフロア全てで女性用インナーを扱っていたのだ!!
上条(うわっ!? 何でこんなッ!! ク、クソッ、き、気にするんじゃ無い上条当麻。無心!! 無心になるんだ)『スタスタスタ……(斜め下を向いて視野を極力狭くして足早に歩く)』
美琴(やっ、ちょっ、あのニーハイかわいい……。このショーツのひらひらもステキね……。でもどうしてこんな所……? ハッ!? も、もしや……)『カァァァアアアアア……』
美琴「ねぇ……」『モジモジッ』
上条(見るな感じるな考えるな。アレには中身は入って無い。ただの布切れ、ただの布切れなんだ!)『スタスタスタ』
美琴「あの、さ……。私も最近黒子の奴に毒されて来たのかな? その……、たまには大人の下着なんてもの、その、いいかなあ、なんて……」『モジモジッ』
上条(あの黒いガーターベルトも、スケスケのキャミソールも俺には見えない! 見えないんだぁぁぁああああああああああ!!)『スタスタスタ』
美琴「それでね、もし、やっぱさ、そう言うの買うならさ、い、異性って言うの? ほら、黒子とかじゃ色々と危険だし? と、年、う、上の意見なんかも参考にし、しし、したいし?」『モジモジッ』
上条『ビクッ』(くあっ!! ば、馬鹿なっ!? 何ですか? 何で下着姿のオネーサンが頬笑みながら目の前を横切るんでせうか!? ここは桃源郷? いや馬鹿止めろ俺の心!? 無心だと言うのが判らんのかっ!!)『タタタタタ(上条、小走りになる)』
美琴「でさ、か、かかか、勘違い、し、しな、しな、しないで聞いて欲しいんだけど。さ、参考に、ア、アアア、アンタの意見聞かせ……て……ほしい、かな? なんて……」『モジモジッ』
上条(ヒッ!!)『ビクッ』「ノーパン……」
美琴「ノ、ノーパンッ!?」『ビクッ』
上条『ガクガク(目の前を通った超シースルーショーツ『羽衣』を着た女性を指さして震える)』
美琴(そ、そんな高いハードル、き、急に飛び越えろって言われ……ハッ!? これは試練? 私は今パートナーとして試されてるの……?)
上条『ギギギギ……(上条の首がぎこちなく回る)』「みさか……(棒読み)」
美琴『ビクッ』「え! あ!? あの、わ、私頑張るからっ!!」『グッ(拳を握る)』
上条「むりはするな。せかいがちがうんだ。わすれろ。おれもわすれるから(棒読み)」
美琴「だ、な、何言ってんのよ? だ、大丈夫だから。ほら、今証明して見せるからっ!」『パッ(上条の手を解く)』
上条「?」
美琴「み、見ないでよねこっち……っと、よっ、と……」『モソモソ、ゴソゴソ(上条から見えない角度で、何やらスカートに手を突っ込んでくねくねしている)』
上条「お、おい?」
美琴「お手」
上条「お手」
美琴「はい」『パサ』
上条「何これ?」
美琴「証明」
上条「何だよ証め……(手にしたものを広げると、見た事のある短パン)ぶっ!? こ、こりゅえ!!」『ボフン(真っ赤)』
美琴「今はこれが精一杯――無くさないでよね。い、ち、お、う、返してもらう予定だから」『カァ――――ッ(上条以上に真っ赤)』
上条『コクコク(短パンを握りしめてうなずく)』
美琴「オッケ。じゃ、そ、その、恥ずかしいから、もうしまってくれる?」『モジッ』
上条「お、おう、わりぃ……」『ゴソゴソ』
美琴(ポケットに仕舞った……)『ボフッ』
上条(何やってんだ俺? 御坂の短パン、ポケットにねじ込んで……。しかも、この状況になんかドキドキしてないかぁぁぁあああああああ?)
美琴「ねえ」
上条「ひゃい!?」『ビクッ(右腕に美琴がしなだれかかって来たので)』
美琴「折角だから、ここ、回ってもいい?」『ギュ』
上条「お、おう」(む、胸ッ!? 胸ェッ!?)
美琴(おかしいわね? こう言う時は必ず邪魔が入るモンなんだけど? ま、いいわ。今はこの時間を楽しみましょ)
白井「今日は一体全体何なんですの!? つまんない事件ばっかりあちこちあちこちあちこちと――」
初春『白井さん、そんな事言ってないでさっさとお財布探して下さい! 中に入ってる映画チケットで入館出来る時間は、あと30分切ってきゃ!?』
白井「初春?」
××『その映画は超レアなんです。これを逃すと次はいつか分からないんですよ! 本当に超よろしくお願いします!!』
初春『だ、か、勝手に通信しないで下さい! 白井さん、そう言う事らしいんでよろしくお願いしますね!』『ブツッ』
白井「ホント何なんですのよ今日は?」