その頃の寮への帰り道で初春はあることについて考えていた、麦野の件である。
(正直なところ、麦野さんの件がすんなりと通るとは思わなかったなぁ)
学園都市第四位の麦野は普通ならこのような真っ当な道を歩むには相当な無茶がかかる、何せ暗部にドップリと浸かっている身なのだから。
ゆえに今回のことはあくまでダメ元だったのだが、何の障害も無く友愛高校の売店の売り子に麦野がなれたのだ。
ゆえに今回のことはあくまでダメ元だったのだが、何の障害も無く友愛高校の売店の売り子に麦野がなれたのだ。
(きっと多分、アレイスターさんの仕業なんだろうなぁ。友愛高校はあの人にとって体のいい実験場なのかもしれない……)
初春の考え通り、友愛高校はアレイスターにとって格好の場所になりつつあった、プラン推進の場として。
一方通行、浜滝、半郭、木山、芳川、結標、そして今回の麦野、真っ当な人生に身を置いていない人間が続々やって来ること事態が異例である。
それらも全てはアレイスターの差し金では無いのかと思った初春は改めて学園統括理事の恐ろしさを実感するが、今の彼女はそこで挫けるほど弱くはない。
一方通行、浜滝、半郭、木山、芳川、結標、そして今回の麦野、真っ当な人生に身を置いていない人間が続々やって来ること事態が異例である。
それらも全てはアレイスターの差し金では無いのかと思った初春は改めて学園統括理事の恐ろしさを実感するが、今の彼女はそこで挫けるほど弱くはない。
(でも……何もかもアレイスターさんの思い通りにはさせない。あの人にとって私は無力に等しいけど完全に無力じゃない! やれるだけのことはやろう、私の大切な人達のために)
改めて決意を固めた初春、気付けば自分の部屋の前に立っていることに気付きドアを開けると、
「お帰りなさいなの初春さん。今日はあたしがご飯作るの! 大丈夫、明日は絶対に負けないの!」
「は、春上、さん……?(どうしたんだろう? 一体。けど今は下手なことは聞けないからまた後にしよう)」
「は、春上、さん……?(どうしたんだろう? 一体。けど今は下手なことは聞けないからまた後にしよう)」
神裂との決着に意欲を燃やす春上が出迎えたが、彼女らしからぬテンションに面食らう初春だった。
――――――――――
その数分前、土白に神裂からの決行メールが届いたが日時を見た瞬間、少しげんなりする二人だった。
「「……不幸だ」」
その時間は、ちょうど特売をやっている時間だった。
学生は少しでも食べるものを欲していると言うのに、なんとも言えぬ不幸だった。
___________
学生は少しでも食べるものを欲していると言うのに、なんとも言えぬ不幸だった。
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その頃上条は、家に帰り神裂の例の事を話していた。
「……やっぱりそうだったの」
「やっぱりって……どういう事だよ?」
「春上さんって私の知り合いでさ、今日相談しに来たのよ」
「知り合い?付き合いだしてから一回も春上って子の事を一度も聞いたことがなかったのだが?」
「うん、ちょこっと事情があってね・・・・・・、この事を断り無しに話すのは何なんだけど・・・・・・少し省略して話すわね。」
「お・・・おう」
「去年の8月上旬ぐらいだったかな、飾利のルームメイトになったのよ。彼女少し悩みを抱えていてね。幼馴染が去年の夏まで行方不明だったの。飾利はその幼馴染を一緒に探すことを約束して調べだしたんだけど、その幼馴染はある事件に長いあいだ巻き込まれていて、その事件を私と飾利・黒子・涙子・固法先輩とあー、あと木山先生とで解決したわけ。」
「木山先生も?」
「うん、その幼馴染の担任だったからね。だから春上さんは親友であり恩人の一人である飾利を、いつも虐めている先生のそばには行かせたくないと思ってるわけなのよ」
「なるほど、恩人で親友である飾利が虐められるんじゃないかと心配だと、確かにその気持ちはわかるな」
「でしょ、誤解なのに頑なになっていて話を聞いてくれそうにないって訳」
「やっぱりって……どういう事だよ?」
「春上さんって私の知り合いでさ、今日相談しに来たのよ」
「知り合い?付き合いだしてから一回も春上って子の事を一度も聞いたことがなかったのだが?」
「うん、ちょこっと事情があってね・・・・・・、この事を断り無しに話すのは何なんだけど・・・・・・少し省略して話すわね。」
「お・・・おう」
「去年の8月上旬ぐらいだったかな、飾利のルームメイトになったのよ。彼女少し悩みを抱えていてね。幼馴染が去年の夏まで行方不明だったの。飾利はその幼馴染を一緒に探すことを約束して調べだしたんだけど、その幼馴染はある事件に長いあいだ巻き込まれていて、その事件を私と飾利・黒子・涙子・固法先輩とあー、あと木山先生とで解決したわけ。」
「木山先生も?」
「うん、その幼馴染の担任だったからね。だから春上さんは親友であり恩人の一人である飾利を、いつも虐めている先生のそばには行かせたくないと思ってるわけなのよ」
「なるほど、恩人で親友である飾利が虐められるんじゃないかと心配だと、確かにその気持ちはわかるな」
「でしょ、誤解なのに頑なになっていて話を聞いてくれそうにないって訳」
そこへ同じタイミングで上琴それぞれの携帯にメールが入った、主な内容は明日の件についてである。
ただ違うのはとりあえずの集合場所と時間で美琴は春上の寮に10時半なのだが、
ただ違うのはとりあえずの集合場所と時間で美琴は春上の寮に10時半なのだが、
「何で俺は直接柵川中学に10時集合なんだよ……。話し合いは11時からだってのに、ハァ、不幸だ」
「きっと神裂さんも不安なのよ、だからそんなこと言わないの。……大丈夫、明日は私もサポートしてあげるから。立場上、難しいけどね」
「ありがとな美琴。けど心配はいりませんのことよ♪ こっちにはとっておきの策があるからさ」
(当麻のとっておき? 珍しく自信満々だからきっと凄い策なんだわ。期待してもいいかもね)
「きっと神裂さんも不安なのよ、だからそんなこと言わないの。……大丈夫、明日は私もサポートしてあげるから。立場上、難しいけどね」
「ありがとな美琴。けど心配はいりませんのことよ♪ こっちにはとっておきの策があるからさ」
(当麻のとっておき? 珍しく自信満々だからきっと凄い策なんだわ。期待してもいいかもね)
一時間前集合に嘆く当麻、しかし美琴の存在が彼の不幸を和らげてくれた。
しかし当麻、堕天使エロメイドを伏せたのはいいがその策をさも自分が立案したかのように言った、これが明日の大不幸フラグである。
ここで土御門考案とでも言っておけば良かったのだが、言い終えてからでは後の祭りだし本人はそのことに全く気付いていない。
しかし当麻、堕天使エロメイドを伏せたのはいいがその策をさも自分が立案したかのように言った、これが明日の大不幸フラグである。
ここで土御門考案とでも言っておけば良かったのだが、言い終えてからでは後の祭りだし本人はそのことに全く気付いていない。
「あ~あ、神裂には内緒って言われてたんだけどなぁ……。ま、明日は素直に謝るとしますかね」
「私は……言わない方がいいわね。黒子も来るし春上さんに裏切られたって思われるの辛いし」
「それがいいんじゃないか。じゃ、明日の為にも今日は一緒に風呂入ろうぜ!」
「私は……言わない方がいいわね。黒子も来るし春上さんに裏切られたって思われるの辛いし」
「それがいいんじゃないか。じゃ、明日の為にも今日は一緒に風呂入ろうぜ!」
明日の為とか理由をつけてはいるが、単に美琴と一緒にお風呂に入りたい当麻、当然美琴も快く了承する。
そして今日という一日は終わりを迎え、神裂VS春上の戦いという一日が始まる。
そして今日という一日は終わりを迎え、神裂VS春上の戦いという一日が始まる。
――――――――――
運命(?)の朝の午前六時、起きたのは神裂だった。
集合時間は午前10時なのだが、今日が神裂にとって重要な日なので目が冴えて仕方ないというのが理由である。
集合時間は午前10時なのだが、今日が神裂にとって重要な日なので目が冴えて仕方ないというのが理由である。
「大丈夫、今日という日を乗り越えさえすれば飾利と同じ屋根の下で暮らせるのです。待っていて下さい飾利、お姉ちゃんは頑張りますから!」
いつもの服に着替えた神裂は、堕天使エロメイドの入った袋をベッドの上に置くと、腹が減っては戦は出来ぬという考えのもと食堂へと向かった。
とはいえまだ早い時間なので食堂には誰も居なかったが、厨房には後ろめたい理由から会いたくない男が料理を作っていた。
とはいえまだ早い時間なので食堂には誰も居なかったが、厨房には後ろめたい理由から会いたくない男が料理を作っていた。
「おはようなのよプリエステス! もう少し待ってて欲しいのよな、すぐに美味しい朝飯を準備するのよね!」
「お、おはようございます建宮。そういえば今日の当番はあなたでしたか。……ところで何か変わったことはありませんでしたか?」
「お、おはようございます建宮。そういえば今日の当番はあなたでしたか。……ところで何か変わったことはありませんでしたか?」
厨房に居たのは食事当番の建宮、いつもと変わらぬ様子だったのでうっかりにも程があるレベルで昨日のことを尋ねる。
「変わったこと、ですか? そういえば堕……いやいや! な、なーんにも無かったのよね! 決してわしの秘蔵コレクションが盗まれたりなどしなかったのよ!」
「そうですか、そうならばいいのですが(やはりあれは全て後ろ暗いものだったのですね。後で改めて問い質すとしましょうか)」
(ノートの方は頭の中に完全に入ってるからまた後で書き直せばいいとして問題は堕天使エロメイドの方なのよ。あれには特別に防御魔術が施してあるし何より……)
「そうですか、そうならばいいのですが(やはりあれは全て後ろ暗いものだったのですね。後で改めて問い質すとしましょうか)」
(ノートの方は頭の中に完全に入ってるからまた後で書き直せばいいとして問題は堕天使エロメイドの方なのよ。あれには特別に防御魔術が施してあるし何より……)
自分の部屋の惨状とかについて何も言わなかった建宮に安心すると共に、自分のことを棚上げして説教してやろうと思った神裂。
一方、建宮は料理を作りながらも盗まれた堕天使エロメイドについて考えていたが、それがまたとんでもないものだった。
一方、建宮は料理を作りながらも盗まれた堕天使エロメイドについて考えていたが、それがまたとんでもないものだった。
(あれは同じ人物が二度着たら一週間は脱げんからなぁ。ま、上条当麻の右手があれば問題なく脱げるから心配はいらんのだが。それにあれを二度も着るような知り合いはわしにはおらんのよ♪)
――――――――――
その頃、土御門の部屋では月夜が起きており、愛しい恋人こと土御門の素顔を楽しそうに眺めていた。