とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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「まあ授業中の態度に関しての誤解を解いちまえば後はどうとでもなるぜい。寄宿舎入りは初春ちゃんのご両親の頼みってことにするにゃー」
「成程。ならば問題は早く解決しそうですね。この堕天使エロメイドならば春上の警戒心も和らぎ、話もすんなりと進むでしょうし」

 神裂は土御門の言うことに納得し、早くも問題を解決したような気分になっていた。
 しかしそんな神裂の楽観的な考えを中断させたのは当麻と月夜だった(当麻は腰をトントン叩きながら)。

「けど美琴の話だと白井の奴も来るって話だからなー。下手したら青ピまで付いて来かねないし……」
「私はやっぱり堕天使エロメイドに不安を感じるよ。黒子ちゃんはともかくさ、上条くんがここに居て美琴ちゃんがどう出るのか、そこが一番怖いな……」
「月夜、それこそ心配無用だにゃー♪ カミやんがねーちんに堕天使エロメイドを着せるなんて美琴ちゃんが思うはずないぜよ。カミやんが余計な……どした? カミやん」
「あー、ちょっとな。策はあるとは言ったけど堕天使エロメイドだってことはバラしてないから大丈夫だろ」

 それなら大丈夫だと安心した土白と神裂、しかし美琴が今回の作戦を当麻が考えたという勘違いをしているとは思ってもいなかった。

「では残るはこのマントを脱ぎ捨てるタイミングですね。よくよく考えると難しいものですね、マントを脱ぎ捨てるタイミングというものは」
「そればっかりはねーちんに任せる他ないぜよ。にしても堕天使エロメイドは改めてすんばらしいものですたい! 月夜、今度是非にゴフッ!」

 自分に堕天使エロメイドを着せようとする不埒な恋人、土御門に月夜は返事の代わりに棘付きの氷のグローブで殴り飛ばした。
 ただ今の時刻10時40分、約束の時間まであと20分。

――――――――――

 同時刻、美琴たちは未だに春上と初春の部屋の玄関に居た。

「だ、大丈夫よ春上さん。あの人は黒子の恋人だから怖くないからねー?」
「そ、そうなの? で、でも何だかおっきくてとっても怖いの……。それにとっても不安なの……」

 集合してから10分、美琴の後ろに隠れて怯えている春上の姿があった。
 その原因は反対側で黒子の後ろに立っている青ピにあったが、青ピは言い知れない理不尽を感じずにはいられなかった。

「な、なぁ黒子はん。何でボク、あないに怖がられてんの? 大人しくしとるし、紳士的に振舞ってるやん」
「え、ええ、それは黒子も理解しておりますわ。ですが○○様には春上さんを怯えさせる何かがあるのでしょう。……人徳の無さでしょうか?」
「ひどっ!!」

 今回のことは内緒にしていた黒子だが寮の前で不意打ち的に青ピと出会ってしまい、仕方なく付いてこさせる羽目になったがこんなことになるとは思ってもいなかった。
 しかし約束の時間も迫っているので黒子は春上に青ピの危険性の無さを分かりやすく説明し始める。

「安心してくださいな春上さん。この方はレベル0ですが、私の思考と同等といっても過言ではありませんの」
「……余計に怖いの」
「「なぜや(ですの)!?」」
「……当たり前でしょうが」

美琴は驚愕する二人を見て、やれやれと肩を下ろす。
そんな美琴を見て察したのか、怯えている春上は勇気を出して三人の前に出た。

「そ、そろそろ行かないと駄目なの!!御坂さんも白井さんももう行くの!!」
「えっ?さりげなくうちの名前出てないで?うちの名前も出してー!!」

こうして少女三人+aは学校に向かった。美琴の逆鱗に触れるとも知らずに……。
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「おっ、どうやらあっちも着いたようだな……んげっ!」
「どうしたぜよ? カミやん。変な声上げて」
「最悪かもしれん……。青ピまで居やがる」
「マジですか! チイッ、何の心構えも無しにねーちんの堕天使エロメイドを見た日にゃあ青ピが暴走しかねんぞ! 月夜!」

 10時55分、柵川中学へと入ってきた美琴たちの中に青ピが混じってることに驚愕する当麻と土御門。
 土御門はすぐさま月夜に指示、雪の翼を使って美琴たちの所まで来ると、青ピを掴み上げて教室へと戻って行った。
 その際、美琴たちには歩いて教室に来て欲しいと頼んだのは月夜のナイスアドリブといってもいいだろう。

「な、何でカミやんが! それにつっちーに白雪はん、それに神裂はんまで!」
「青髪くん、もしかしてここで何があるのか知らされてないの?」
「だってボク、黒子はんに付いてきただけやもん。つーか神裂はん、そないなけったいなもん羽織って何かあったんですか?」

 そう、青ピは黒子から何も聞かされておらず単に黒子が居るから付いて来た、それだけだった。
 事情を知らない哀れな青ピに土御門は簡単に今回の件の説明をした。

「成程なぁ、初春はんの引越しでそないなことになっとったとは……。せやけどボクは黒子はんの味方やからそっちには付けへんで、悪いけど」
「あ、ああ、それで別に構わないけどさ、絶対にあることだけは守れよ。守れなかったら右で殴るからな」
「な、何やのその理不尽! それよりもその守ることをせめて教えてくれへん?」
「なーに内容自体は簡単ぜよ。ねーちんがマントの中に着込んでるモンを見ても興奮するなってことだにゃー♪ もし興奮したら……消すぞ?」

 あのマントの中にどんな桃源郷があるのかと想像を膨らませる青ピだったが、当麻と土御門の真剣な様子に想像さえも自粛することに。
 そして美琴たちも教室に着くと、話に聞いていない人間が数名居ることに驚く美琴たちだったがそれよりも話し合いが重要なので気にするのを止めた、とりあえず。
 午前11時、それぞれの味方が見守る中、神裂と春上の初春を巡る(?)話し合いの幕が切って落とされる。
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「さあ春上、よく話し合いましょう……春上? どうしました?」
「う、ううっ、か、神裂先生、何だかいつも以上に怖い感じがするの……。ど、どうして、そ、そんなもの被ってるの?」

 春上が怯えるのも無理からぬことで、正直言ってフード付きマントを被ってる時点で警戒されて当たり前なのだ。
 美琴、青黒は「そりゃそうだ」と思っていたが、当麻と土白は春上が怯えてるのを見てようやく理解した。

「こ、これはですね、普段あなたが私を警戒してることを考慮したある服を着ているのです。安心して下さい、私は怖くありませんから」
「ホント? ホントに初春さんをいじめるような悪い先生じゃないの? 怖くないの?」
「ええ」

 そう言って神裂はフード付きマントを脱ぎ捨て、堕天使エロメイドを披露する、七天七刀を装備するというオマケ付きで。
 神裂の堕天使エロメイド姿に春上たちは固まってしまう。

(な、なるほどなぁ。カミやん達に前もって言われとらんかったら今頃ボク、萌えとエロのコンボで取り乱しまくっとったわ……)
(あれは思うにクリスマスパーティーの時に土御門さんが見せたコスプレの女性バージョンですわね。神裂さんが着ると……エロ過ぎですわ)
「さぁ、もう私のことは怖くありませんね? では春上、改めて初春の件で話し合いを…………えっ?」
「うう~~~~~っ! か、神裂先生、とっても変なのっ!!」

 普通の中学生の春上にとって堕天使エロメイドはゲテモノ服にしか過ぎず、怯えた少女は美琴の後ろへと隠れてしまう。
 これにショックを受けた神裂は顔を真っ赤にさせて立案者の土御門の方、つまり当麻達へと詰め寄った。

「どーゆーことですか! これを着れば春上の警戒心は無くなるのではないのですか!」
「にゃー、ついつい仲間内のこととして考えちまったのがいけなかったみたいぜよ。あの春上って子のような普通の子にはソレは強烈だったんだにゃー」
「そんないい加減な! 上条当麻、白雪、まさかあなた達も同じようなことを考えていたとか言いませんよね?」

 堕天使エロメイドで追求してくる神裂に当麻はトラウマこそ払拭されたが間近で見るソレに、月夜は神裂の強調されまくってる胸についつい視線を逸らす。
 味方から見放されたに等しい状態に泣きたくなる神裂、しかしそれすらも吹き飛ばすような怒りを背後から感じる。

「アンタ」

 神裂は、いやその場に居た誰もがゾッとした、無表情の美琴が全身に雷を纏っていることに(春上は黒子の隣に避難)。
 美琴が言い放った「アンタ」という呼び方、その時点で彼女が向けるべき怒りが当麻だけに注がれていることを本人は理解した。

「み、美琴、こ、これはですね、苦肉の策というかですね……。もともと上条さん考案ではなくてですね、つ、土御門の奴がウオッ!」
「言い訳しない。アンタ昨日言ったわよね? とっておきの策って。それが何? 単にアンタが神裂さんのエロい姿を見たかっただけじゃない」
「そ、それは絶対に違グッ! そ、そりゃあ確かに神裂の堕天使エロメイドはエロいヌオッ! けどどうせなら俺は美琴に着てもらウワワッ!」
「自分が悪いって思ってんならいちいち右手で雷撃防ぐんじゃないわよ、往生際の悪い。……ああもう面倒ね」

 美琴の最後の言葉に彼女を良く知る者達は戦慄した、絶対にとんでもないことをやらかすという確信のもとに。

「まずいですわっ! ○○様! 春上さん! 緊急避難しますわよっ!」
「元春、私の傍から離れないでっ! 氷殻五層!」

 黒子は青ピと春上を連れて【空間移動】でグラウンドに避難、月夜は土御門と自分を守る為に氷の殻を五層にも展開して防御の態勢に。
 しかし当麻と神裂だけはまともな退避ないしは防御方法も取れぬままだが、美琴が悠長に待つわけも無い。

「教室ごとアンタを雷撃でとりあえず吹っ飛ばしてやるわ。そう、とりあえずね」

 そして美琴は手加減ゼロの雷撃を教室一帯に放つ、教室にあるもの全てを蹂躙するかのように。
 徹底的に破壊し尽くされた教室に残っていたのは雷撃の張本人の美琴、氷の殻全てを破壊されはしたが何とか無事な土白、そして当麻と神裂だった。

「とりあえず吹っ飛ばされろって言ったのになに防いでんのよアンタは」
「いやいやいや! そればっかりはいくら美琴の頼みでも無理だから! つーか防ぎ切れなくてダメージ負ってるんだけど!」
「まあいいわ。けど、神裂さんもそんなにダメージ負ってないってどうゆうことよ? 目障りに光ってる輪っかとか羽根もアンタの仕業?」

 逃げられなかった当麻は【幻想殺し】で凌いだが、それでも全てを防げなかったので所々にダメージを負っているが神裂に関しては当麻ほどのダメージは負っていない。
 背中に付いている羽根の装飾が神裂を守るように前面に出ているのを見て、すぐさま理解したのは土御門だった。

「まっさか堕天使エロメイドに防御魔術を仕込んでるとは思わんかったぜよ。見た感じ、魔術師の力量で防御力も上がるって感じだぜい」
(こればかりは建宮に感謝すべき……なのでしょうか? ですが御坂の雷撃でこの程度のダメージ、本当に助かりました。……防御魔術の施された服?)

 後で説教することには変わりないのだが、とりあえず建宮に助けられたと思うことにした神裂、一つの事実に気付いてしまう。
 過去にインデックスの【歩く教会】を破壊した当麻が近くにいる=この堕天使エロメイドも右手で触れられでもしたら、考えるだけでゾッとした。

「へぇ、アンタはどうあっても神裂さんにその服を着ててもらいたいんだ、ほほぅ」
「ち、違うって! これはきっと他の奴の仕業であって……神裂! とりあえずここで脱げブフォッ!」
「な、何て破廉恥なことを言うのですか!」

 当麻と神裂のプチ喧嘩を見て美琴は思った、あのバカ私が居る前で浮気すんなと。
 久々に付き合う前の怒りモードになった美琴、今度は神裂に喧嘩を売るような真似に出るという暴挙に。

「大丈夫ですよ神裂さん♪ そんなエロ服、すぐさま燃やしてあげますから。神裂さんを倒すくらいに簡単ですからすぐに済みますよ」
「…………今、何と言いました?」
「神裂さんを倒すのと同じくらい簡単にそのエロ服を燃やすって言ったんですよ。毎回毎回私とそこのバカにすぐさまやられてるじゃないですか」

 確かに美琴の言う通り、上琴の怒りモードや一方通行に簡単にあしらわれる神裂だがそれで弱いと思われるのは甚だ不愉快だった。

「そうですか、分かりました。御坂、本来ならあなたに手を上げるなどしたくはないのです。あなたも私と同じ飾利のお姉ちゃんなのですから」
「だったらどうだって言うんですか?」
「上下関係をハッキリさせてあげましょう。強さでも飾利のお姉ちゃんとしてもあなたより上だということをその身にとくと刻んであげますよ」

 年上として、魔術師として、聖人として、女教皇として、初春の姉としての矜持が神裂を戦いへと駆り立てる。
 二人が冷静じゃないことに気付いた当麻が二人を止めようとするが、一斉に自分を睨むのを見て不幸を予測してしまう。

「神裂さんと一緒にアンタもまとめて潰してやるから覚悟なさい」
「上条当麻、あなたにも私の強さを改めて教えてあげましょう。安心して下さい、初めて会った時とは違って本気で楽しませてもらいますので」

 そう言うと、神裂は七閃で上琴を教室の外へとはじき飛ばす、切れないように加減はして。
 突然の攻撃に対処できなかった上琴だったが、何とか態勢を立て直してグラウンドに降り立った。
 この程度でやられてはつまらないとばかりに少し笑みを作った神裂、後ろで呆然としている土白に告げる。

「土御門、白雪。これから先、あの二人と決着を付けるまで邪魔をしないで下さい。他への連絡も認めません、いいですね?」
「も、もちろんですたい!(つーかそんなことおっそろしくて出来るわけないにゃー!)」
「はいっ!(怖い! 神裂さんがこんな怖い人だと思わなかったよ!)」

 邪魔が入らないだろうと思った神裂、グラウンドで戦闘準備を済ませている上琴へと駆け出すのだった。
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