とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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『えー突然ですけど、五月の第三土曜、日曜に球技大会をやろうと思います』

改築して初めての朝会、校長がいきなりそんなことを言い出した。

「「「「「「「「「「はァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!??」」」」」」」」」」

それはいきなりなのだから生徒達も驚くだろう。

「え!?球技大会って六月じゃなかったけ!?」「いくらなんでも早すぎだろ!?」「あの校長なにいってんのぉ!?」
「イキナリだっ!!暴言だぁ!!」「そんなの早すぎだ!!」「調整期間とかもあるんだぞぉ!?」「お前レベル0だろうが」
「ひでぇ!!まだ一年は同級生たちともあまり関係持ってないんだぞ!!」「二、三年に有利すぎだ!!」「無理無理!!」

生徒たちがざわめきついたその時、

『しぃぃぃいいいいいいずぅぅぅううううううかぁぁぁあああああああああにぃぃぃいいいいいいいいいいいい!!!!』

災誤にマイクからの大声で、皆耳を押さえた。うう……とうめきながら何とか立っている生徒たちに校長は話を続ける。

『……この学校が壊れたのは、誰のせいでしょうか?』
「「「「「「「「「「うっ……」」」」」」」」」」

そう言われると一部の生徒たちは何も言えなくなり、黙り込んでしまう。そんな状態でも校長は続ける。

『今回の原因はわかりました。な・の・で、球技で穏便にすませようということで急遽、球技大会を早めることにしました』

 校長の提案にまだ釈然としていない生徒達の目に飛び込んできたのは木山が校長のマイクをひったくってる所だった。

『あの、木山先生、何を……』
『校長、ここは私に任せて下さい。大丈夫、彼らを納得させてみせますから』

 木山の自信ありげな態度に校長は仕方なくといった感じで後を託す。
 ところが木山の提案はさらに生徒たちからの不満を増加させることになる。

『君達、五月に球技大会があるのが不満なんだろう? だったら今月の第四の土、日なら問題は無いはずだ。何事も善は急げと言うからな』

 当初の予定通りにしてくれるかと思いきや、さらに開催期間を早める木山に体育館は一瞬の静寂の後、大ブーイングが巻き起こる。
 しかし木山は全く堪えた様子を見せず、淡々とある事実を口にする。

『なんだ、君達はGWも球技大会のことを考え続けるのか。私は君達のような若者はGWは純粋に楽しむとばかり思っていたのだがな』

 GW、その言葉を聞いてブーイングをしていた生徒達はピタリと動きを止めて悩み始める。

『校長も仰っていただろう。これは入学式の件を穏便に解決するためのものだと。そのわだかまりを持ったまま、GWを楽しめるのか?』
『それは君達も嫌なはずだ。確かに期間は短い、だがそれ故に密度を濃くして互いの親密度を上げることも出来る。どうかな?』

 木山の理論に生徒達はざわつくが、そのざわつきに不満の意を込められたものはなくあくまで悩んでいる程度のものだった。
 そして木山は何かを思いついたかのように提案をするが、それは逆に教師陣が納得出来ないものだった。

『ではこうしよう。今日から球技大会までの間、授業は四時間目まで。昼休み以降を球技大会の準備や練習の時間にするということで。これならいいかい?』
『待ちなさい木山先生! 確かにあなたの言うことは分かりますがそれで生徒達が納得するとはウオッ!』

 割って入ってきた校長の言葉を遮ったのは生徒達からの拍手喝采、つまり賛成の意を表すものだった。

『どうやら生徒達は納得してくれたようです。校長、私のワガママに付き合わせる形で申し訳ないですが認めてはもらえないでしょうか?』
『……分かりました。ではそのように取り計らいましょう。では今回はこれにて解散とします!』

 生徒達が意気揚々と解散する中、木山と校長に駆け寄ったのは小萌だった。

「木山先生、どうしてまた球技大会の期間を早めちゃったりしたんですかー?」
「本音を言うなら一ヶ月もの間、彼らが大人しくしてるとは思えませんしその間はずうっとこんな空気ですよ。だったら早期決着がいいと思いまして」
「……成程。木山先生には何かとお世話になることが多いですな。あなたのお陰でレベルが上がったという生徒の意見をよく聞きますし」
「私は特に何もしていませんよ。ただ切っ掛けを与えるだけです、それからは生徒個人個人の力というものです」

 これを機に木山の生徒に対する人気は徐々に上がっていく、生徒の気持ちを考えてくれる教師(?)として。

――――――――――

 朝礼後、当麻のクラスでは早速クラス委員長の吹寄とおまけ状態の青ピが球技大会についての話し合いの場を設けていた。

「じゃあまず種目だけど野球、サッカー、バレー、バスケの4つ。参加種目は一人一種目のみよ」
「ちなみに一種目も出ないゆうんは無しやで」

 青ピの補足にあからさまな舌打ちをしたのは一方通行、それに吹寄はイラッと来たが無視することに。

「次は禁止事項についてよ。能力による相手への直接攻撃は一発退場、後は空を飛ぶのも駄目だから」
「そんなっ! 私の雪の翼の見せ所なんだよ! そこを何とか!」
「私の【鼓膜破砕】なら物的証拠は残らないから大丈夫だよね?」

 月夜と赤音の親友コンビの禁止事項上等な感じの発言に吹寄は頭痛を感じながら、補足事項を告げる。

「何とかならないし物的証拠が無くても駄目なものは駄目。でもそれぞれの球技に使用されるボールを媒介にしての能力による攻撃は有りよ」
「それってつまりボールを使っての攻撃なら何でもありってことかにゃー?」
「違うわよ……。あくまでルールに則っての攻撃ならいいみたいだけど、それぞれの球技の詳しいルールは明日発表みたい。さて」

 簡単な説明を終えた吹寄は黒板を“バンッ!!”と叩くと、クラスメートに力強く宣言する。

「いい貴様たち、やるからには全種目優勝よ! 理由はどうあれ、私達が一番ってことを全校生徒に知らしめるの! 分かった!」
「あ、あの~吹寄、さん? そんなに張り切ることは無いと上条さんは……え? な、何でそんな怖い顔でぐおっ!」

 少々引き気味だった当麻を吹寄は頭突きで黙らせる、その光景にクラスの誰もが当麻に同情した。

「誰のせいで球技大会が早まったと思ってるのよ? 上条当麻、貴様を筆頭に入学式で後輩と揉めた連中のせいでしょうがっ!」

 吹寄の言葉に心当たりのある面々はそれぞれに反応を見せる(当麻は頭突きによって気絶中)。
 土白は苦笑い、一方通行はまたも舌打ち、浜面と半蔵は当時を思い返しげんなりとし、真夜はため息を吐いた。

「というわけで万全を期すために土御門、貴様がチーム分けをすること。いいわね?」
「何で俺が! そうゆうのは個人の好きにした方が……」
「土御門、貴様バカなの? そうしたら戦力が集中するでしょ! 全種目制覇を狙うんだからバランスを考えるのが筋でしょ!」
「だからって俺じゃなくても」
「貴様が一番こうゆうことに長けてるでしょ? 考えられるベストなチーム分け、ちゃんとしなさいよ」

 全く取り付く島もない感じで球技大会のチーム作りを任された土御門、嫌々ではあるが全種目制覇はしたいので受け入れることに。
 そして吹寄と青ピと入れ替わるように黒板の前に向かう土御門は早速思案し始める、付いてくる月夜に気付かずに。

(バランスはもとより結標と心理掌握のチームがどの種目で参加するかが問題だな。それを考慮したうえで考えんと全種目制覇は難しいか……)
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