「す、凄いなぁ。浜やんと半蔵はん、まさに阿吽の呼吸ゆうやつやね。見事なコンビネーションや」
「この二人を中心とした。超攻撃型。それが。私のチームのカラー」
「この二人を中心とした。超攻撃型。それが。私のチームのカラー」
内からも外からも見事なシュートを見せる半蔵、フェイクの上手さが光る浜面はまさにチームの要とも呼べる存在だった。
個人の能力が輝く二人だが、それ以上に輝いていたのはまるで長年コンビを組んでいたかのようなパスワークにあった。
キャプテンの姫神は浜面と半蔵を見て、またも思いついた言葉をさも名言のように呟く。
個人の能力が輝く二人だが、それ以上に輝いていたのはまるで長年コンビを組んでいたかのようなパスワークにあった。
キャプテンの姫神は浜面と半蔵を見て、またも思いついた言葉をさも名言のように呟く。
「浜面くんと服部くん。スキルアウトの二人は。こう呼ぶのが相応しい。そう。竹馬の友じゃなくて。竹馬のホ」
「「言うなぁああああああああああああああっ!!!」」
「残念。でも私だって。負けてはいない。見せてあげる。私の実力を」
「「言うなぁああああああああああああああっ!!!」」
「残念。でも私だって。負けてはいない。見せてあげる。私の実力を」
そう言うと姫神は青ピに何かを指示した後で浜面と半蔵にディフェンスをするように促す。
いくら影が薄いとはいえ、最初から注目していれば対処は出来ると浜面と半蔵は読んでいた。
しかし二人は思い知る、姫神秋沙の凄さが【吸血殺し】ではなくその系統の能力者を思わせるほどの影の薄さにあることを。
いくら影が薄いとはいえ、最初から注目していれば対処は出来ると浜面と半蔵は読んでいた。
しかし二人は思い知る、姫神秋沙の凄さが【吸血殺し】ではなくその系統の能力者を思わせるほどの影の薄さにあることを。
「おっ、青髪にパスするか。賢明だな……ってすぐに姫神にリターンかよ!」
「任せろ半蔵! こっちで姫神の動きは掴んで……っていねぇ! しかもボールまで見失っちまった!」
「任せろ半蔵! こっちで姫神の動きは掴んで……っていねぇ! しかもボールまで見失っちまった!」
たった数秒目を離した程度で姫神を捉えられなくなった浜面と半蔵、自分達の背後から“パサッ”というネットを揺らす音を聞いて驚いた。
振り返るとそこにはゴールを決めた姫神が得意気な笑みを浮かべていたのだ。
振り返るとそこにはゴールを決めた姫神が得意気な笑みを浮かべていたのだ。
「どう? 影の薄さを活かしたパスワーク。それにスティールもガンガン決める。そして楽々フリーで。パスももらえる。みんなの力も合わせれば。きっと勝てる」
「そう、だな。他のチームのように強い能力者が居るわけじゃねーけどこれなら優勝だって夢じゃねーぜ!」
「浜面、優勝を楽観的に語るのはまだ早いぞ。C(センター)は身長からして青ピ、だからこそ厳しいんだ」
「何で? 何でボクがCなことが不安なん?」
「そう、だな。他のチームのように強い能力者が居るわけじゃねーけどこれなら優勝だって夢じゃねーぜ!」
「浜面、優勝を楽観的に語るのはまだ早いぞ。C(センター)は身長からして青ピ、だからこそ厳しいんだ」
「何で? 何でボクがCなことが不安なん?」
半蔵の言いたいことを青ピ本人は理解していなかったが、姫神はすぐさま理解してビシッと指摘する。
「青髪くんは。身長のわりには。ガッシリしていない。ゴール下でのぶつかり合い。きっと当たり負けする」
「そんなっ! せやったらボクはどないしたらええんや?」
「……そりゃあお前、アレだ。強そうな奴にガンガンぶつかって鍛えるしかないだろ。ゴリラ相手にだけど頑張れ」
「そんなっ! せやったらボクはどないしたらええんや?」
「……そりゃあお前、アレだ。強そうな奴にガンガンぶつかって鍛えるしかないだろ。ゴリラ相手にだけど頑張れ」
チーム内で一番身長があるだけでCに選ばれた青ピ、彼の特別メニューはまさに地獄と呼ぶに相応しいのかもしれない。
比較的順調な滑り出しのバスケ組だったが後日、姫神の影の薄さが凄すぎて困る羽目に。
比較的順調な滑り出しのバスケ組だったが後日、姫神の影の薄さが凄すぎて困る羽目に。
――――――――――
こちらはバレー組、一つの問題が持ち上がる。
「さて、バレーにおいて重要なリベロだけど野原。貴様がやりなさい」
「ど、どうして俺が! 俺なんかが能力者のスパイク受けたら即退場になっちゃうって!」
「貴様常々言ってるじゃない。心眼があるとか何とか。だったら大丈夫でしょ?」
「ど、どうして俺が! 俺なんかが能力者のスパイク受けたら即退場になっちゃうって!」
「貴様常々言ってるじゃない。心眼があるとか何とか。だったら大丈夫でしょ?」
リベロ、要は守備専門の特別なポジションだが吹寄に選ばれた野原は猛反対。
理由はシンプルで能力者が放つスパイクなんか受けたら大変なことになる、そんなのは嫌だというものだった。
理由はシンプルで能力者が放つスパイクなんか受けたら大変なことになる、そんなのは嫌だというものだった。
「それに貴様は私達のクラスでも稀少な念力系統の能力者だろう?それを応用すれば直接球に触らなくても良いだろうに」
「確かに俺レベル2になったけどな!!そこまで緩和できるものじゃない!!レベル3の攻撃を防げればまだいい方!!だがしかし、この『チラリズム紳士同盟』野原!!何かいいパンチラ画像があるならば、やってやろうじゃないかあ!!」
「……今度情報屋の新商品の美女抱き枕を予約しやる」
「確かに俺レベル2になったけどな!!そこまで緩和できるものじゃない!!レベル3の攻撃を防げればまだいい方!!だがしかし、この『チラリズム紳士同盟』野原!!何かいいパンチラ画像があるならば、やってやろうじゃないかあ!!」
「……今度情報屋の新商品の美女抱き枕を予約しやる」
最近情報屋は情報と共に画像も扱っており、使えそうな画像はそういう形にして売っているのだ。
「……パンチラシリーズでなら手をうってやる」
「よし、決定だ」
「よし、決定だ」
――――――――――――――――
その頃サッカー方では、必殺技の特訓をしていた。
「やっぱり『氷の竜巻シュート』が一番いいよね」
ちなみにこの『氷の竜巻シュート』は仮の名前であって決定したわけではない。
「まてまて、あれ俺も巻き込まれたぞ白雪。確かにボールを中心にして竜巻を起こすのはすごいけど、被害がヤバすぎ」
「そうそう、井ノ原弟の言う通り。俺は『スノージェットボール』の方がいいと思う」
「それ確かに早かったけどコントロール今一つなんだよねー……他の皆は必殺技どう?」
「そうそう、井ノ原弟の言う通り。俺は『スノージェットボール』の方がいいと思う」
「それ確かに早かったけどコントロール今一つなんだよねー……他の皆は必殺技どう?」
「俺の【線形視認】は白雪のような必殺技には向かないんだよなぁ。そういやぁ真夜はまだシュート打ってないよな? 打ってみろよ」
「……真昼さんがそう言うなら。けど土御門にも本気で打つなって言われてるから期待しないでね。じゃあ東原、GK頼むよ」
「……真昼さんがそう言うなら。けど土御門にも本気で打つなって言われてるから期待しないでね。じゃあ東原、GK頼むよ」
いきなりGKを頼まれた東原、冗談じゃないとばかりに真夜に詰め寄る。
「井ノ原弟、お前俺を殺す気か! お前の人間離れしまくった脚力で打ったシュートなんて受けるだけで即入院だぞ!」
「大丈夫だって。【瞬間超人】の強化は全箇所40に抑えてるから問題は無いよ、うん。それに東原は格闘技やってるからGKに向いてるかなって」
「だったらお前の姉ちゃんだって同じだろ! むしろ俺は井ノ原姉をキーパーに推薦する! あの男らしい……ヒッ!」
「東原って冗談が上手いんだな。真昼さんのような可愛い女の子を男らしいだなんてさ。女の子を危険なポジションに付かせるような薄情な男じゃないよな? 東原は」
「大丈夫だって。【瞬間超人】の強化は全箇所40に抑えてるから問題は無いよ、うん。それに東原は格闘技やってるからGKに向いてるかなって」
「だったらお前の姉ちゃんだって同じだろ! むしろ俺は井ノ原姉をキーパーに推薦する! あの男らしい……ヒッ!」
「東原って冗談が上手いんだな。真昼さんのような可愛い女の子を男らしいだなんてさ。女の子を危険なポジションに付かせるような薄情な男じゃないよな? 東原は」
GKに反対な東原、ついつい真昼のことを男らしいとか言ってしまったので真夜の怒りを少し買ってしまう羽目に。
目が全く笑っていない真夜の笑顔の説得(?)に折れた東原、晴れてGKになる。
とはいえ真昼のことを悪く言われた真夜の蹴りを喰らわなかっただけラッキーなのかもしれない。
目が全く笑っていない真夜の笑顔の説得(?)に折れた東原、晴れてGKになる。
とはいえ真昼のことを悪く言われた真夜の蹴りを喰らわなかっただけラッキーなのかもしれない。
「心配ないって。俺、リベロやるからさ、シュートは出来るだけ打たせないようにするから。じゃあ早速だけどシュート打つぞー」
「お、おう! どんと来い…………うわーーーっ!」
「お、おう! どんと来い…………うわーーーっ!」
東原は驚いた、真夜の蹴ったボールがもの凄い速度で、しかも衝撃波を生むほどの威力で迫ってきたことに。
反射的に避けた後ろのネットに“ギュルルルルっ!”という変な音を立てながら突き刺さるボールに唖然とする東原。
反射的に避けた後ろのネットに“ギュルルルルっ!”という変な音を立てながら突き刺さるボールに唖然とする東原。
「駄目だろ東原、避けるなんて。俺の必殺技……じゃないけどシュートを見るだけじゃなくて東原のGKの特訓でもあるんだかあ痛っ!」
「アホかーーーーーーーーーーーッ! 本番前に殺す気かーーーーっ! 大体俺の能力は普通のスポーツじゃやったことねーんだぞ!」
「そういえば東原くんの能力って相手の動きをすぐさまコピーできるってやつだよね?」
「あ、ああ。けど自分の身体能力を超えた動きは出来ないんだけど……白雪? 何でそんなにやる気なんだ?」
「アホかーーーーーーーーーーーッ! 本番前に殺す気かーーーーっ! 大体俺の能力は普通のスポーツじゃやったことねーんだぞ!」
「そういえば東原くんの能力って相手の動きをすぐさまコピーできるってやつだよね?」
「あ、ああ。けど自分の身体能力を超えた動きは出来ないんだけど……白雪? 何でそんなにやる気なんだ?」
東原がツッコミとして真夜の頭に投げたボールを持って、シュートの態勢に入る月夜。
「ま、世界の名GKの映像を見てコピーするのは後にして、今は少しでも慣れておこうよ。東原くんもその方がいいと思うよ♪」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 確かにし、白雪の言うことも分かるけど……!」
「なら話は早いね。ガンガンいっくよーーーーーーーーーーっ!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 確かにし、白雪の言うことも分かるけど……!」
「なら話は早いね。ガンガンいっくよーーーーーーーーーーっ!」
東原に少しでもGKの感覚に慣れさせる為に手加減十分のシュートを打ちまくる月夜。
可愛い女の子とマンツーマンは望む所な東原だが、こればっかりは割に合わなさそうだと感じていた。
可愛い女の子とマンツーマンは望む所な東原だが、こればっかりは割に合わなさそうだと感じていた。
「俺達はどうする? 真夜」
「うーん、パス回しの練習しよっか。俺と真昼さんなら息ピッタリだから凄いコンビになれるよ♪」
「うーん、パス回しの練習しよっか。俺と真昼さんなら息ピッタリだから凄いコンビになれるよ♪」
それから十分後、体育の授業は終了した、数名はかなりボロボロにはなっているが。
――――――――――
あっという間に昼休み、今日から午後の授業は球技大会の練習や準備に充てられることになる。
「わり、俺ちょっと売店でパン買ってくる」
「じゃあ俺達は先に体育館に行ってっからなー」
「じゃあ俺達は先に体育館に行ってっからなー」
今日は滝壺の弁当が珍しく無かったので仕方なく売店でパンを買うことにした浜面、半蔵達バスケ組に先に体育館に行ってもらうことに。
しかし浜面を待っているもの、それは今日付けで友愛高校売店の売り子になった第四位だった。
しかし浜面を待っているもの、それは今日付けで友愛高校売店の売り子になった第四位だった。