とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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だれでも歓迎! 編集

小ネタ ラッキースケベが起こったら その1



 ゴツン!!
「「!!?」」
 二人の頭がぶつかると同時、唇がプニッと触れあった。
 頭の衝撃よりそちらの方が何倍も衝撃で、一拍も置かずズバッ! と両者距離を取る。
「……、っ」
 美琴は手を口に当てて茫然としてしまった。
 顔が茹で蛸のように赤くなってもいたが、上条は気づかない。ズドバー! っと超高速で土下座モードへ
移行する。
「ご、ごごごごごごめんなさいでしたー!!」
「…………初めて……だったのに」
「ッ!!」
 ぼそっ、と呟かれた一言に、上条の心がまるで杭で突かれたように痛む。
 申し訳なさと、もう一つ、よく理解できない切なさが胸をギリギリと締め付ける。
「ほんと……悪い。こんな不幸で奪っちまって。俺も初めてだったけど、女の子のファーストキスとは
比べものにならねーよな。もういっそ好きなだけ殴ってくれていいぞ! ビリビリも存分に打ち込め!
レールガン……はさすがに死ぬが。大体のことは何でも言うこと聞いてやる!!」
「…………」
「うっ」
 上条には地面しか見えなかったが。
 ゴゴゴゴゴ!! と美琴から漂う凄まじいオーラを感じ取れた。
 しかし責任は自分にある。甘んじて受けなければならないだろう。
「ね、ねえ」
「は、はい!」
「あ、アンタにとっては……その、……『不幸』、だった?」
「へ? 何が?」
「このアクシデントが」
「まさか。むしろ歓迎……って言ったら変だけど、お前と唇が触れあって嫌な要素なんてどこにもねーぞ?」
「そう……」
「?」
 上条はその意図が分からず不審に思い、恐る恐る顔を上げる。
 そこで初めて美琴の顔が真っ赤であることに気づいた。
「アンタ、本当に何でも言うこと聞くんでしょうね?」
「は、はい! ……でも命だけはご勘弁を……」
「じゃあ、――――」
「え? 悪い、聞こえなかった」
「……ちゃんと聞け! 言うわよ? いい?」
「はい」



「……もう一度……、ちゃんと! キスしなさい!!」



「…………………………………………はい?」
「~~~!!」
「って、謎の言葉残して逃げようとすんな!」
 踵を返そうとした美琴の腕を、上条は掴んだ。
 無理矢理振り向かせると、真っ赤な顔に、涙まで浮かんでいる。
「えっと…………いい、のか? てか何で……」
「聞くなバカ!! だって……い、一瞬過ぎで、よく分からなかムグッ!」
 美琴の口が塞がれる。もちろん塞いだのは上条。何か、たがのようなものが一気に外れてしまった。
 美琴の体は強く抱きしめられ、頭まで押えられる。
(あ、熱い……)
 唇が熱くて溶けそうだ。全神経が唇だけに集中しているような感覚。
 美琴はぎゅっと目を閉じ、それに身を委ねる。
 やがて上条は唇を離し、より密着するように美琴を抱き寄せた。
「御坂!」
「当麻……」
 今なら、絶対言える気がした。
 上条の心音が聞こえるくらいに、こんなに温もりを感じられるくらいに近いのだから。



「当麻、好き」




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