とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part01

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-①プロローグ-


現在は深夜

とある病院にて
「これは記憶喪失だね……」
カエル顔の医者はツンツン頭の少年に告げる、少年は頭に大きなガーゼを貼り付けている

「………それって、いつ頃治るんですか?」
少年は顔を青ざめさせカエル顔の医者に尋ねた
「それはわからないね、ボクとしても全力で処置はさせてもらったけど…こればっかりは時間をかけるしかないね」
カエル顔の医者は目を伏せ頭を左右に振る

「そんな……」
少年は崩れるように病院の病室前にある長椅子に腰を落とした

「君はこれからどうするんだい? ただ呆けているだけなら何も好転はしないと思うよ」
そう告げカエル顔の医者はその場を去っていった

ツンツン頭の少年、上条当麻は中空をぼんやり眺めている

□ □ □

時刻は戻り夕刻

上条は急いでいた、いつものスーパーで特売があるのに筋肉猛獣の災誤先生に無理矢理掃除をさせられていたのだ

「青ピと土御門の奴ら俺をおいて逃げやがって……ちくしょう、特売間に合うかな…」
と考えて走っていたわけだが、神様(あのバカ)はどうしても間に合わせてくれる気はないようだ
「ちょっと、アンタ! あのごたごたが終ったと思ったら会う機会ないんだから…無視しないで止まりなさいっ!!」
戦争後しばらく見なかった顔が必死に走る上条の足を止める
「御坂か…あん時は助かったよ、それじゃ…俺急いでるから、後でメールでも送ってくれよ」
そう言って上条は片手を挙げ美琴の隣を走り抜けようとして
「そう、わかった……って私がすんなり通すと思ってんの?」バチバチッ

急な放電に上条は急ブレーキをかけ、右手で美琴の肩に手を置き放電を止める
「あ、あぶねーな! もう少しで俺黒こげだぞ!」
立ち止まり上条は叫ぶが美琴は顔を少し赤めて
「ふん、人を軽くあしらって行こうとするから罰よ、罰」
と理不尽な発言をするが
「でも、迷惑かけられないから一緒に行って後で話し聞いてもらうわ」
少し反省したのかそんなことを言う

「ま、まあ……上条さんは用事を済ませられるなら別にいいんですが」
上条もそれで少し納得する
「それじゃ、急いでその用事を終らせちゃいましょ」
そう言って美琴は上条の手を引いて走り出す
「お、おい…急にひっぱんなって」
上条は転びそうになりながら美琴に行く場所を伝え一緒に走る

それから買い物は終わり、ゆっくり話せる場所という事で上条の家に向う事にした

「それでも、私を軽くスルーしようとした理由がこれって…なんだか泣きそうだわ」
美琴はそう言うと上条と自分が持っているスーパーの袋を見て溜息をつく
「しょうがねえだろ、貧乏学生にとっては特売は死活問題にも発展しかねないんだから」
そう言って上条は「ま、俺も悪い事は悪いと思ってるけど…」と付け足した
「ま、そう思ってるんなら許してあげるわよ」
美琴の機嫌はそれほど悪いわけではないらしい

「あ、やべえ……味噌切らしてるのに買ってくるの忘れてた…」
「ちょ、なにここまで歩いてきたのにそんな事言ってんのよ……はぁ、急いで戻るわよ」
美琴は溜息をつきながらも歩みを止め、上条が言った品を買いに二人で戻ろうとする
が、キキーッとタイヤが悲鳴を上げるような音を聞いた
その時には二人の目の前に大型トラックが迫っており、残念ながらとても回避できるタイミングではない
運転手は飲酒運転でハンドルを変な風に切ったために歩道の上条と美琴の方に突っ込んできたのだ

□ □ □

時刻は深夜

「うっ………ここは?」
そこは、いつもの病室で見覚えのある天井に窓には何度も見た景色が広がっている
「俺は助かったのか? ……って御坂は! 痛っ…」
記憶では一緒にいたが今はいない美琴が気になり上条は飛び起きたと同時に頭に激痛が走る
手をやるとそこには大きなガーゼが張ってあった
自分の怪我でますます美琴がいないことに何か嫌な予感がする
「探さねーと……」
夕方の時とはまるで別の身体のような軋み、重くなった身体で病室から出ようとする上条

「はぁ、君の回復力には驚くばかりだね……」
病室のドアを開けて廊下に出たらカエル顔の医者がいた
「本来なら2,3日は寝てそうな怪我なのにねえ
それよりも君が気にしているのは一緒に運ばれてきたお連れさんかな?」
「御坂は無事なんですか!?」
上条は叫ぶようにして確認を取る
「病院では静かにね? 一応出来る処置は施したけど、目が覚めるまでハッキリとした事はわからないね」
カエル顔の医者は人差し指を口の前で立て静かにするようにとジェスチャーをし、真剣な顔で状況を言う
「あ、あの…おれ御坂についていちゃだめですか?」
「君もある程度酷い怪我なんだ、しっかり休まなきゃだめだよ…」
そう言ってくれるということは行ってもいいがしっかり休めとのことらしい

その後カエル顔の医者から病室を聞き向う
「御坂……」
一応上条は怪我人なのでカエル顔の医者が上条を連れて行く形で美琴の病室に向っている
「彼女はまだ寝ているよ、昏睡というのか…まだ意識が戻ってないんだ」
「………あの、今更ですけど俺達は一体どうなったんですか? トラックが迫ってきた所までは覚えているんですが」
と美琴が意識不明となる程の事って…と上条は考えていた
自分は記憶破壊という魔術での記憶喪失を実際に体験している

「トラックには二人ともはねられてはいないんだけどね、トラックは君達の少し前で横転して止まったんだ
ただ積んでいた物が問題でね、ブロック状の氷が横転して君達に飛んできたんだよ」
カエル顔の医者はそう言った
「でも御坂はレベル5の超電磁砲ですよ、防げないわけ…」
「ただ、そのトラックは違法な物も運送していたらしくてね……
能力者の能力を阻害する機器をどこかに運ぶ途中だったみたいなんだよ
実験も兼ねていたらしくてスイッチをオンにしたまま…ね、だから連れの子も能力が出せなかったみたいだね」
カエル顔の医者は目を伏せ顔を左右に振る
「そんな、でもなんで御坂の方が怪我が酷いんですかっ」
また声を大きくした事にカエル顔の医者は顔をしかめる
「それは、君を守ろうとしてくれたみたいだよ…目撃者によると君を突き飛ばしたみたいだからね、あ…ここだよ」
説明が丁度良く終ったところで病室に着いたようだ

……俺がこれだけの怪我で済んだのは御坂のおかげ…なのか…
上条は後悔した、守らないといけないのは俺だったはずなのに…と
病室に入ると眠っている美琴のベッドの横の椅子に御坂妹が座って美琴を看ていた
「あなたが無事でよかったです、とミサカはあなたの歩けている姿を見て安堵します」
どうやらいつも通りに人に心配をかけてしまったようだ
苦笑いを浮かべつつ「心配かけて悪いな…」と謝る

「御坂妹、美琴の様子はどうなんだ?」
「お姉様はまだ目が覚めません、とミサカはお姉様を…」
と御坂妹が詰まったのを見て上条が美琴に視線を向けると
「うっ…ん、あれ…ここは…」
「お姉様!」
「美琴!」
二人は声をかけていた
「…………えっと、あなた方はどなたですか? それにここはどこですか?」
目を覚ました美琴の一言で上条と御坂妹は固まった…
「美琴…御坂妹のこと覚えてねえのか? 俺の事も……」
固まっていた上条であったが震える声でそう搾り出した

「ごめんなさい………」
悪いと思ったのか美琴は深く頭を下げていた
「あ、いや……そんな頭下げんなよ、俺とお前の仲だろ?」
俺とお前の仲…と言ってもよくよく考えれば美琴の事をよくは知らないんだな…と思う上条
「お姉様は悪くありません、とミサカはお姉様を励まします」
御坂妹もショックを隠せないようだがそれよりも美琴をフォローする

そしてその後も話したが病室にいるとよろしくないという事で上条と御坂妹、カエル顔の医者は外に出た
御坂妹は個体調整の時間という事で退出後しぶしぶと自分の病室に戻っていった
そうして最初の会話になった

「何も好転しない……か、確かにそうかもしれない…でも俺を守るために御坂が記憶をなくしていいはずはない」
確かにただこうしているだけでは美琴の記憶は戻らないと思い、そして自分の病室に戻り始める
その途中で上条は自分の傷を癒しつつ美琴の記憶が戻るまで美琴の手助けをしようと心に誓うのであった

こうして、上条当麻の慌しい日々が幕を開ける


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