「じゃあここに呼んだ連中に言うわ。球技大会中に余計ないざこざは絶対に起こさないこと。分かった?」
「「「はいっ!!」」」
「元春が襲われたりしなかったら守れると思うよ」
「真昼さんと赤音さんに危害が及ばなかったら問題ないけど、そうじゃなかったら保証は出来ないかな」
「「「はいっ!!」」」
「元春が襲われたりしなかったら守れると思うよ」
「真昼さんと赤音さんに危害が及ばなかったら問題ないけど、そうじゃなかったら保証は出来ないかな」
吹寄の釘刺しに素直に応じた土御門、青ピ、半蔵に対して月夜と真夜が素直じゃない返しをしたことで素直な三人は肝を冷やした。
日頃、真面目な部類に入る二人の思いがけない返答に吹寄の怒りが爆発しそうだったが何とか耐えてみせた。
日頃、真面目な部類に入る二人の思いがけない返答に吹寄の怒りが爆発しそうだったが何とか耐えてみせた。
「ま、まあいいわ。二人は他の奴らよりも安心できるし……。上条、一方通行、浜面はどうしてくれよう……」
(にゃー、カミやんはともかくアクセラと浜面はワケ有りだってのに結局……。あの二人も大概不幸だぜい)
「はい、今日はこれで解散! 土御門、貴様はさっさと情報屋に上条を脅せるネタを貰ってくる!」
(にゃー、カミやんはともかくアクセラと浜面はワケ有りだってのに結局……。あの二人も大概不幸だぜい)
「はい、今日はこれで解散! 土御門、貴様はさっさと情報屋に上条を脅せるネタを貰ってくる!」
解散と聞いてあからさまに喜んでいるのは無関係だが恋人が呼ばれたことで付いて来た郭、真昼、赤音。
他の面々もそれぞれに帰宅しようかと思っていたが、真夜がふと思ったことを吹寄に尋ねる。
他の面々もそれぞれに帰宅しようかと思っていたが、真夜がふと思ったことを吹寄に尋ねる。
「吹寄さん、ちょっといいかな?」
「何よ井ノ原弟」
「上条を脅すネタを使うのはいいんだけどさ、どうして自分で貰いにいかないの? 最近、紫木と仲良さそうだったけど喧嘩でもした?」
「何よ井ノ原弟」
「上条を脅すネタを使うのはいいんだけどさ、どうして自分で貰いにいかないの? 最近、紫木と仲良さそうだったけど喧嘩でもした?」
実は吹寄と情報屋がここ最近、一緒にいるというのはクラスメートなら殆どの人間が知っていることなのだ。
情報屋が吹寄に告白したことを知らない真夜は何気なく尋ねたのだが、吹寄に口ごたえしたという事実が場の空気を変えてしまった。
情報屋が吹寄に告白したことを知らない真夜は何気なく尋ねたのだが、吹寄に口ごたえしたという事実が場の空気を変えてしまった。
「……別に。き、貴様には関係無いわよ」
「ゴメンね、変なこと聞いて。でも紫木と一緒に居る時の吹寄さん、何だか楽しそうだったからさ」
「た、たた楽しくなんか無いわよ! 私と情報屋は単に情報を共有してただけ! それなのにあいつが急に好きとか言ってきたの! 私は恋愛なんか興味無いのに……」
「ゴメンね、変なこと聞いて。でも紫木と一緒に居る時の吹寄さん、何だか楽しそうだったからさ」
「た、たた楽しくなんか無いわよ! 私と情報屋は単に情報を共有してただけ! それなのにあいつが急に好きとか言ってきたの! 私は恋愛なんか興味無いのに……」
慌てふためく吹寄を見た土御門はネタに使えるかと考えたが、やっぱり後が怖いので止めることにした。
その間も真夜の無自覚の追い込みが吹寄に続けられていた。
その間も真夜の無自覚の追い込みが吹寄に続けられていた。
「もしかして紫木のこと振ったの? 恋愛に興味が無いからって」
「……そうよ」
「それってさ、紫木のことは嫌いじゃないってことだよね? だったらやっぱりきちんとした答えはあげた方がいいよ」
「だから貴様には関係ないでしょ! 恋愛なんて興味持つ価値も無いわよ、くっだらない! 貴様達を見てれば分かるわよ!」
「……そうよ」
「それってさ、紫木のことは嫌いじゃないってことだよね? だったらやっぱりきちんとした答えはあげた方がいいよ」
「だから貴様には関係ないでしょ! 恋愛なんて興味持つ価値も無いわよ、くっだらない! 貴様達を見てれば分かるわよ!」
吹寄の暴言にさすがに我慢できなかった土御門達が彼女を責めようとしたその時、月夜が吹寄に頭突きをかました。
頭を押さえて蹲った二人以外が唖然とする中、痛みから回復した月夜が吹寄に言う。
頭を押さえて蹲った二人以外が唖然とする中、痛みから回復した月夜が吹寄に言う。
「自分で恋愛した結果、そうゆうこと言うならまだ分かるけど他人の恋愛見てそんな結論を下すのは良くないよ」
「し、しなくても分かるわよ。あなたと土御門にしても、他のカップルにしてもそう! 堕落し切ってるじゃない!」
「堕落かぁ~、確かにそう言われても仕方ないかもね。でもさ、私も月夜ちゃんも真夜君も真昼ちゃんも恋人が出来たからレベル上がったよ。それも堕落なの?」
「し、しなくても分かるわよ。あなたと土御門にしても、他のカップルにしてもそう! 堕落し切ってるじゃない!」
「堕落かぁ~、確かにそう言われても仕方ないかもね。でもさ、私も月夜ちゃんも真夜君も真昼ちゃんも恋人が出来たからレベル上がったよ。それも堕落なの?」
月夜と赤音の親友コンビネーションに吹寄はただ「うっ……」としか言えなかった。
「まっ、結局は個人の自由ぜよ。けどな吹寄、お前さんのしたことは情報屋のことを見ようとも知ろうともしないであいつの心を踏みにじったも同然ってことは覚えとけ」
「い、言い過ぎやでつっちー。……せやけどボクもみんなと同じ気持ちや。吹寄はんも一度は恋愛に興味持ってもええと思うで。ボクも人生変わったし♪」
「堕落するとかは当人達次第だぜ。少なくとも俺が知ってるカップルの中で堕落してるような奴は一人も居ないって断言してもいい」
「吹寄氏がそう思うのも分からなくもないです。でも、それでも見るだけ聞くだけでその判断は下して欲しくないです。それってすっごく勿体無いですから」
「い、言い過ぎやでつっちー。……せやけどボクもみんなと同じ気持ちや。吹寄はんも一度は恋愛に興味持ってもええと思うで。ボクも人生変わったし♪」
「堕落するとかは当人達次第だぜ。少なくとも俺が知ってるカップルの中で堕落してるような奴は一人も居ないって断言してもいい」
「吹寄氏がそう思うのも分からなくもないです。でも、それでも見るだけ聞くだけでその判断は下して欲しくないです。それってすっごく勿体無いですから」
土御門、青ピ、半郭の言葉を黙って聞いていた吹寄、自分の考えを改め始めていた。
「要はあれだ、聞くより見る、見るよりやる、そうゆうことだ。一番お前が嫌ってそうな付き合い方してる俺が言うことじゃ」
「……分かったわよ、興味持てばいいんでしょ、恋愛ってやつに。けど! それでもしも私が恋愛が下らないって思っても文句は言わせないわよ!」
「……分かったわよ、興味持てばいいんでしょ、恋愛ってやつに。けど! それでもしも私が恋愛が下らないって思っても文句は言わせないわよ!」
真昼の言葉を遮って、恋愛に目を向けることを宣言した吹寄を見て、他の面々は偉大な進歩だと思っていた。
それを見た土御門、情報屋のサポートをすると言った身なので彼にチャンスを与えるという意味である提案を吹寄に持ちかける。
それを見た土御門、情報屋のサポートをすると言った身なので彼にチャンスを与えるという意味である提案を吹寄に持ちかける。
「にゃー吹寄?提案があるんだけどいいかにゃー?」
「なんだ土御門?……貴様、くだらない事だったら切れるぞ」
「なんだ土御門?……貴様、くだらない事だったら切れるぞ」
もうとっくのとうに切れても意味がない(いや、ある意味怖い)のだが、土御門は気にせずに話す。
「実はだにゃー、情報屋が今度の野球の試合で活躍したら情報屋と付き合ったほしいにゃー」
「……なぜ貴様にそんな事を言われなくてはならんのだ?」
「……実は俺、情報屋に恋の相談にのっててにゃー」
「うそつけ、どうせ上条に相談されてるところに聞き耳でもたてたんだろう?」
「にゃんれすとー!?ちゃんと俺に相談してきたんだぜい!?」
「……なぜ貴様にそんな事を言われなくてはならんのだ?」
「……実は俺、情報屋に恋の相談にのっててにゃー」
「うそつけ、どうせ上条に相談されてるところに聞き耳でもたてたんだろう?」
「にゃんれすとー!?ちゃんと俺に相談してきたんだぜい!?」
吹寄の言うとおりなのだが、土御門は悔しがっているのかうそをつく。
「そうね……付き合うのはまだ駄目だけど後日一緒に遊びに行くくらいならいいわよ。あくまで情報屋が活躍したらの話だけど」
「ま、吹寄ならそれが一番の譲歩って奴かにゃー? しっかしデートって言わずに遊びに行くって言う辺り、もしかして照れてらっしゃグオッ!」
「うっ、うるさいっ!! 私はもう帰るわよ! それと明日の朝練、何が何でも上条、一方通行、浜面を連れて来なさいよ!」
「ま、吹寄ならそれが一番の譲歩って奴かにゃー? しっかしデートって言わずに遊びに行くって言う辺り、もしかして照れてらっしゃグオッ!」
「うっ、うるさいっ!! 私はもう帰るわよ! それと明日の朝練、何が何でも上条、一方通行、浜面を連れて来なさいよ!」
余計なことを言った土御門を頭突きで黙らせた後で慌てて帰った吹寄、気のせいではなく彼女の頬は少しだけ赤くなっていた。
半郭が「浜面を探してみる」と言ってその場を去った後で、頭突きから立ち直った土御門は今回の件の切っ掛けを作った真夜に礼を言う。
半郭が「浜面を探してみる」と言ってその場を去った後で、頭突きから立ち直った土御門は今回の件の切っ掛けを作った真夜に礼を言う。
「いやー助かったぜよ井ノ原弟。吹寄をその気にさせる方法を迷ってたからお前さんには感謝してるぜよ。いや、今回の件を教えた茜川に感謝すべきか?」
「赤音さんから何も聞いてないぞ、俺。単に吹寄さんの態度がおかしいって感じて、それで何となく思ったことを口にしただけだから」
「赤音さんから何も聞いてないぞ、俺。単に吹寄さんの態度がおかしいって感じて、それで何となく思ったことを口にしただけだから」
事前に事情を知っていた土白は真夜が天然であのようなことを言っていたことに驚いていた(赤音はもう慣れっこ)。
「あ、念の為言っとくけどさ、吹寄さんと紫木を無理矢理くっつけようとは思ってないから。二人が恋人同士になれるのはあくまで当人達の問題だし」
「……いや、俺だってそんなこと考えてないぜよ。野球組で情報屋のサポートくらいはするけどな。……って月夜、なぜに俺をそんな意外そうな表情で見るんだにゃー?」
「元春のことだから何だかんだで策を弄して吹寄さんと情報屋くんをくっつけるかと思ってたよ。それくらいなら元春、笑いながらやりそうだもん」
「……いや、俺だってそんなこと考えてないぜよ。野球組で情報屋のサポートくらいはするけどな。……って月夜、なぜに俺をそんな意外そうな表情で見るんだにゃー?」
「元春のことだから何だかんだで策を弄して吹寄さんと情報屋くんをくっつけるかと思ってたよ。それくらいなら元春、笑いながらやりそうだもん」
月夜の遠慮ない発言に他の面々が頷くを見て土御門は「ひどっ!」と一言言って月夜に縋りついた。
そして一行は解散し、自分達の家に帰るが偶然にも同じことを考えていた、朝練のことである。
そして一行は解散し、自分達の家に帰るが偶然にも同じことを考えていた、朝練のことである。
「にしても明日から朝練か。はぁ、気が滅入ってくるぜい。しかも明日は今日フケやがった三人を連れてこなきゃいかんし……」
「明日は大変だろうけどさ、今日から球技大会が終わるまで私、元春の部屋に泊まるから。それなら元気出るよね♪」
「いよっしゃーーーーーーっ! これで球技大会まで頑張れるですたい!」
「明日は大変だろうけどさ、今日から球技大会が終わるまで私、元春の部屋に泊まるから。それなら元気出るよね♪」
「いよっしゃーーーーーーっ! これで球技大会まで頑張れるですたい!」
土白、球技大会中は同棲シミュレーションを行うことが決まったようである。
「明日っから朝練か……起きれっかな、俺」
「そうゆう時はね~、王子様のキスで起こしてもらうのが一番だよ♪ というわけで真夜君、明日からおはようのチュー二人分お願いね」
「ええええええええっ! あ、朝からいきなり、そ、そんなこと……。い、嫌ってわけじゃないけど、その」
「「ダメ?」」
「……分かったよ。その代わり、ちゃんと起きてくれないと駄目だからね」
「「はーいっ♪」」
「そうゆう時はね~、王子様のキスで起こしてもらうのが一番だよ♪ というわけで真夜君、明日からおはようのチュー二人分お願いね」
「ええええええええっ! あ、朝からいきなり、そ、そんなこと……。い、嫌ってわけじゃないけど、その」
「「ダメ?」」
「……分かったよ。その代わり、ちゃんと起きてくれないと駄目だからね」
「「はーいっ♪」」
ポリアモリーカップル、真昼と赤音には嬉し楽しいハッピーな日々の、真夜にとっては嬉し恥ずかし試練の日々の幕開けである。
「明日から朝練ゆうことは黒子はんも間違いなく付いてくるやろなぁ。どないしよ……」
青ピは毎日起こしに来てくれる黒子同伴での朝練参加を考えると、周りの反応が怖くて仕方なかった。
しかし彼は知らない、朝練での自分の頑張る姿を見て、黒子が普通に惚れ直してくれるという展開が待っていることを。
しかし彼は知らない、朝練での自分の頑張る姿を見て、黒子が普通に惚れ直してくれるという展開が待っていることを。
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そして時刻は夕食時、上琴ハウスでは上琴と一打が一緒に食卓を囲むという微笑ましくも奇妙な構図が完成していた。
カレーを作るなら一緒に作ろうという打ち止めにママと慕われてる美琴の誘いで一打はお呼ばれされたのだ。
そんな中、話題に上がったのは友愛高校球技大会のことだった(当麻と一方通行、すでに吹寄の件は忘れている)。
カレーを作るなら一緒に作ろうという打ち止めにママと慕われてる美琴の誘いで一打はお呼ばれされたのだ。
そんな中、話題に上がったのは友愛高校球技大会のことだった(当麻と一方通行、すでに吹寄の件は忘れている)。