第7話「決戦」
「多いな…」
「多いわね…」
公園を離れ、2人が向かったのは第7学区のメインストリートなのだが、クリスマスイヴということもあり普段の2倍くらいの人で溢れている。
その人ごみのおよそ7割が手をつないだり、腕を組んだりして幸せそうな空気をまとっている。
ちなみに残りの3割は店の呼び込みであろうトナカイやサンタの格好をした人たちと女の子同士ではしゃいでいるグループ、何故家の外に出て来たのか疑問に思うような負のオーラをまとった男が数名といったところだ。
「多いわね…」
公園を離れ、2人が向かったのは第7学区のメインストリートなのだが、クリスマスイヴということもあり普段の2倍くらいの人で溢れている。
その人ごみのおよそ7割が手をつないだり、腕を組んだりして幸せそうな空気をまとっている。
ちなみに残りの3割は店の呼び込みであろうトナカイやサンタの格好をした人たちと女の子同士ではしゃいでいるグループ、何故家の外に出て来たのか疑問に思うような負のオーラをまとった男が数名といったところだ。
「ご飯食べるのも一苦労しそうね…」
美琴はあまり人ごみが得意ではない。
どこを歩いているか分からなくなるし、変なところを触られることも多くなるからだ。
「ちょっと、どこのお店行くつもりなの?いつものファミレスもこんな感じじゃない?」
上条の経済状況を分かっている美琴は、ご飯もいつものファミレスなのでは?と思っていた。
しかし、
「今日の上条さんはいつもと違いますよ。お店も予約してますしね。」
「へっ?そうなの?アンタにしては手際がいいわね。」
「『にしては』ってのは余計だ。ただ問題が1つあってだな…」
「?」
こちらを見上げたまま首を傾げる美琴。
黒い翼を展開した一方通行以上の破壊力をもって上条の精神を攻撃してくる。
「っ!」
とっさに顔を逸らしそうになるが、先ほどの公園でのやり取りの二の舞になると思い、我慢する。
顔が赤くなったのは、カップル達に当てられたからだと言い訳しよう。
「あぁ、予約した店が向こうにあるんだよ。」
つまり、人ごみを縫って店まで行く必要があるということ。
「こっ、この人ごみを…。はぐれちゃいそう。」
「まぁ、俺もそう思うから…ほい。」
上条の右手が美琴の前に差し出される。
「…何?」
「手、つなごうぜ。そしたらはぐれなくてもすむだろうし。」
上条は前を向いたまま話しているが、耳が真っ赤になっている。
こんな風に気を遣ってもらっていることも嬉しいが、上条が照れていることに嬉しさと同量の驚きを交えつつ、美琴は上条の手を取る。
今まで何人もの人の幻想を打ち破って来た右手だったが、自分自身の幻想は打ち破ることが出来なかったようで、ただの高校生として右手の影響でただの中学生に戻った女の子を連れて、人ごみの中にまぎれて行った。
美琴はあまり人ごみが得意ではない。
どこを歩いているか分からなくなるし、変なところを触られることも多くなるからだ。
「ちょっと、どこのお店行くつもりなの?いつものファミレスもこんな感じじゃない?」
上条の経済状況を分かっている美琴は、ご飯もいつものファミレスなのでは?と思っていた。
しかし、
「今日の上条さんはいつもと違いますよ。お店も予約してますしね。」
「へっ?そうなの?アンタにしては手際がいいわね。」
「『にしては』ってのは余計だ。ただ問題が1つあってだな…」
「?」
こちらを見上げたまま首を傾げる美琴。
黒い翼を展開した一方通行以上の破壊力をもって上条の精神を攻撃してくる。
「っ!」
とっさに顔を逸らしそうになるが、先ほどの公園でのやり取りの二の舞になると思い、我慢する。
顔が赤くなったのは、カップル達に当てられたからだと言い訳しよう。
「あぁ、予約した店が向こうにあるんだよ。」
つまり、人ごみを縫って店まで行く必要があるということ。
「こっ、この人ごみを…。はぐれちゃいそう。」
「まぁ、俺もそう思うから…ほい。」
上条の右手が美琴の前に差し出される。
「…何?」
「手、つなごうぜ。そしたらはぐれなくてもすむだろうし。」
上条は前を向いたまま話しているが、耳が真っ赤になっている。
こんな風に気を遣ってもらっていることも嬉しいが、上条が照れていることに嬉しさと同量の驚きを交えつつ、美琴は上条の手を取る。
今まで何人もの人の幻想を打ち破って来た右手だったが、自分自身の幻想は打ち破ることが出来なかったようで、ただの高校生として右手の影響でただの中学生に戻った女の子を連れて、人ごみの中にまぎれて行った。
上条が予約していた店は意外にもイタリアンレストランだった。
高級というわけではないのだが、内装もサービスもそれなりでデートに使うにはちょうどいい感じの店である。
「アンタ、何でこんな店知ってるのよ?」
「前からちょっと気になっててな。よくこの店の前通るし。」
「ふ~ん。アンタにしてはいいチョイスじゃない?内装もいい感じだし。」
「紳士上条さんとしては、気に入ってもらえてよかったですよ。」
軽口をたたいていると料理が運ばれて来た。
店員曰くコース料理らしく、デザートを含めて5品らしい。
前菜の2品を食べ終わったとき、美琴は気になっていたことを聞いてみた。
「そういえば、妹はいいの?」
「は?」
「アンタ昨日指輪プレゼントしてたじゃない?妹をほったらかしにして、私とこんなところで食事してたらあの子怒るわよ?」
美琴としては今日で最後だと思っているので、妹への罪悪感は薄れている。
しかし、消えてしまったわけではないので返答次第によっては、病院に連れて行こうと考えていたのだ。
高級というわけではないのだが、内装もサービスもそれなりでデートに使うにはちょうどいい感じの店である。
「アンタ、何でこんな店知ってるのよ?」
「前からちょっと気になっててな。よくこの店の前通るし。」
「ふ~ん。アンタにしてはいいチョイスじゃない?内装もいい感じだし。」
「紳士上条さんとしては、気に入ってもらえてよかったですよ。」
軽口をたたいていると料理が運ばれて来た。
店員曰くコース料理らしく、デザートを含めて5品らしい。
前菜の2品を食べ終わったとき、美琴は気になっていたことを聞いてみた。
「そういえば、妹はいいの?」
「は?」
「アンタ昨日指輪プレゼントしてたじゃない?妹をほったらかしにして、私とこんなところで食事してたらあの子怒るわよ?」
美琴としては今日で最後だと思っているので、妹への罪悪感は薄れている。
しかし、消えてしまったわけではないので返答次第によっては、病院に連れて行こうと考えていたのだ。
「プレゼントなんて買ってないぞ。」
「…は?」
「だから、俺は妹にプレゼントなんか買ってない。」
「…っ!嘘言わないでっ!!じゃあ、なんで抱き合ってたのよっ!!?」
「抱き合ってなんかねぇよっ!!ちょっとプレゼントを選ぶのに付き合ってもらっただけだ!!」
「嘘よ!!」
「嘘じゃねぇってっ!!」
いつものように口喧嘩を始める2人だったが…
「お客様、他のお客様の迷惑になりますのでお静かにしていただけますか。」
「「っ!すいません!!」」
店員にとがめられ矛を引く2人。
(じゃあ、何で妹の小指に指輪があったのよ…。)
(やっぱり、勘違いしてたか…。今言うのは簡単だけど店の中だしなぁ…)
それぞれ自分の考え事に没頭する2人。
レストランを出るまで2人は無言のまま、食事をしていた。
「…は?」
「だから、俺は妹にプレゼントなんか買ってない。」
「…っ!嘘言わないでっ!!じゃあ、なんで抱き合ってたのよっ!!?」
「抱き合ってなんかねぇよっ!!ちょっとプレゼントを選ぶのに付き合ってもらっただけだ!!」
「嘘よ!!」
「嘘じゃねぇってっ!!」
いつものように口喧嘩を始める2人だったが…
「お客様、他のお客様の迷惑になりますのでお静かにしていただけますか。」
「「っ!すいません!!」」
店員にとがめられ矛を引く2人。
(じゃあ、何で妹の小指に指輪があったのよ…。)
(やっぱり、勘違いしてたか…。今言うのは簡単だけど店の中だしなぁ…)
それぞれ自分の考え事に没頭する2人。
レストランを出るまで2人は無言のまま、食事をしていた。
「ありがとうございました。」
食事も終わり、2人は店を後にした。
ちなみに支払いは全て上条が出している。
美琴が半分出すと主張したときも「デートのときくらいカッコつけさせてくれよ。」と言われ、顔を真っ赤にしている間に支払いは終わっていた。
時間は20:30になったところだ。
予定通りの時間になっていたので上条は次のデートプランに移る。
「御坂、まだ時間あるか?」
「? 門限は23:00だから大丈夫よ。」
食事も終わり、2人は店を後にした。
ちなみに支払いは全て上条が出している。
美琴が半分出すと主張したときも「デートのときくらいカッコつけさせてくれよ。」と言われ、顔を真っ赤にしている間に支払いは終わっていた。
時間は20:30になったところだ。
予定通りの時間になっていたので上条は次のデートプランに移る。
「御坂、まだ時間あるか?」
「? 門限は23:00だから大丈夫よ。」
中学生の門限が23:00なのは遅すぎるような気がするが、これは第7学区にある中学校全体がそうなのだ。
クリスマスや年末年始などイベントのときは、どうしても夜遅くまで遊びたくなる。
しかし、門限が早くに設定されていると遊ぶことも出来なくなってしまい、結果門限破りや門限後の外出などが出てしまう。
ならば、門限を遅い時間に設定すればどうだろうか?
ある程度遊んだので帰ろうとする者や、律儀に門限を守ろうとする者がいるため街からはいきなり人が減ることになる。
そうすれば、アンチスキルの監視もしやすくなり、まだ遊んでいる者を補導することも容易になる。
このような理由で第7学区の中学校では合同で門限を設定しているのだ。
まぁ、遊んでいる当人達にはあまり関係のないことなのだが…
クリスマスや年末年始などイベントのときは、どうしても夜遅くまで遊びたくなる。
しかし、門限が早くに設定されていると遊ぶことも出来なくなってしまい、結果門限破りや門限後の外出などが出てしまう。
ならば、門限を遅い時間に設定すればどうだろうか?
ある程度遊んだので帰ろうとする者や、律儀に門限を守ろうとする者がいるため街からはいきなり人が減ることになる。
そうすれば、アンチスキルの監視もしやすくなり、まだ遊んでいる者を補導することも容易になる。
このような理由で第7学区の中学校では合同で門限を設定しているのだ。
まぁ、遊んでいる当人達にはあまり関係のないことなのだが…
「イルミネーションでも見に行かないか?セブンスミスト前にある。」
「うん。」
「じゃあ…」
「…」
2人はまた手をつなぎ、セブンスミスト前まで歩いて行く。
後ろ姿は他のカップルとなんら変わりはない。
「うん。」
「じゃあ…」
「…」
2人はまた手をつなぎ、セブンスミスト前まで歩いて行く。
後ろ姿は他のカップルとなんら変わりはない。
「ここも人でいっぱいだな。」
「そうね…」
20:45
「そうね…」
20:45
2人はセブンスミストに到着していた。
「御坂疲れてないか?座る場所探して来た方が…」
「大丈夫。」
「そうか?なんか店出てからあんま喋ってないけど…」
「大丈夫だって。心配してくれてありがとう。」
手を繋いだまま、笑顔で答える。
美琴の笑顔に自分がダメになるのを自覚しつつ、手は離せない上条。
この笑顔を独り占めにしたいという欲求が増して来るのを感じる。
(いつの間にかこんなに好きになってたんだな…)
しみじみと思いつつ、時間が過ぎるのを待つ。
「御坂疲れてないか?座る場所探して来た方が…」
「大丈夫。」
「そうか?なんか店出てからあんま喋ってないけど…」
「大丈夫だって。心配してくれてありがとう。」
手を繋いだまま、笑顔で答える。
美琴の笑顔に自分がダメになるのを自覚しつつ、手は離せない上条。
この笑顔を独り占めにしたいという欲求が増して来るのを感じる。
(いつの間にかこんなに好きになってたんだな…)
しみじみと思いつつ、時間が過ぎるのを待つ。
「ねぇ。」
「どうした?」
「何で私を誘ったの?その…イヴ……なのに。し、しかも…これって…で、デートよね?」
「(…お前と一緒にいたかったから。)」
そっぽを向き、顔を真っ赤にして答える上条。
声そのものは小さかったが…
「っ!?」
(コイツ今、『一緒にいたかった』って言った!?聞き間違いじゃないわ…よね?)
上条の真意は分からない。
ただ、もう一度聞き返すような事もしなかった。
自分の中で上条の言葉を何度も繰り返すだけで、幸せな気分になる。
美琴はそれだけで満たされていた。
「どうした?」
「何で私を誘ったの?その…イヴ……なのに。し、しかも…これって…で、デートよね?」
「(…お前と一緒にいたかったから。)」
そっぽを向き、顔を真っ赤にして答える上条。
声そのものは小さかったが…
「っ!?」
(コイツ今、『一緒にいたかった』って言った!?聞き間違いじゃないわ…よね?)
上条の真意は分からない。
ただ、もう一度聞き返すような事もしなかった。
自分の中で上条の言葉を何度も繰り返すだけで、幸せな気分になる。
美琴はそれだけで満たされていた。
20:55
(もうそろそろだな。)
上条はケータイで時間を確認する。
すぐそこまで一世一代の告白の時間が迫って来ている。
あらためて隣にいる少女の顔を見る。
イルミネーションの光に照らされる少女は、きれいだった。
寒さからだろうか、頬が少し赤らんで見え中学生のはずの少女がいつもより大人びて見える。
上条はケータイで時間を確認する。
すぐそこまで一世一代の告白の時間が迫って来ている。
あらためて隣にいる少女の顔を見る。
イルミネーションの光に照らされる少女は、きれいだった。
寒さからだろうか、頬が少し赤らんで見え中学生のはずの少女がいつもより大人びて見える。
(…きれいだな。)
心の中で素直にそう思った。
…はずだった。
「そうね。」
「っ!!」
自分が声に出していたとは思っていなかった。
上条は慌てたが、美琴はイルミネーションのほうを見ていた。
どうやら、美琴のことを見ていったことには気づかれていないようだ。
ホッとしている上条だったが、美琴が繋いでいた手を離したことに気がついた。
どうしたのかと横を見る前に右腕の感触が答えが教えてくれた。
心の中で素直にそう思った。
…はずだった。
「そうね。」
「っ!!」
自分が声に出していたとは思っていなかった。
上条は慌てたが、美琴はイルミネーションのほうを見ていた。
どうやら、美琴のことを見ていったことには気づかれていないようだ。
ホッとしている上条だったが、美琴が繋いでいた手を離したことに気がついた。
どうしたのかと横を見る前に右腕の感触が答えが教えてくれた。
「み、御坂っ!?どうしたんだ急にっ!?」
「べ、別に深い意味は無いわよっ!ただ、ちょっとやってみたかっただけで、別にアンタだからしたわけじゃないんだからねっ!!イヴなんだし、これくらいいいでしょ!?(こんなこと出来るの最後かもしれないんだし…)」
「…別に上条さんは構わないんですがね、周りの視線がちょっと痛いなぁと思ったわけで。」
美琴はコートを着ているが、見えているスカートは常盤台の制服のものである。
カップルだらけのこの場所でも、多少は美琴に目移りのしている男もいるのでその辺で言い争う声まで聞こえる始末。
やはり、常盤台のお嬢様の称号はすごいものだ。
「周りだって似たようなもんじゃない。誰も気になんてしてないわよ。」
「でもなぁ…」
「それとも、アンタはこういうの嫌なの?」
上目遣いでその言葉は反則である。
男には反論の余地も許さない。
「っ!?…分かりました。美琴たんの好きなようにして下さい。」
「っ!?いきなり名前で呼ぶなっ!!」
電撃は飛ばなかったが、代わりにコブシが飛んだ。
嬉しさ半分、恥ずかしさ半分のためたいした威力はなかったが…
「べ、別に深い意味は無いわよっ!ただ、ちょっとやってみたかっただけで、別にアンタだからしたわけじゃないんだからねっ!!イヴなんだし、これくらいいいでしょ!?(こんなこと出来るの最後かもしれないんだし…)」
「…別に上条さんは構わないんですがね、周りの視線がちょっと痛いなぁと思ったわけで。」
美琴はコートを着ているが、見えているスカートは常盤台の制服のものである。
カップルだらけのこの場所でも、多少は美琴に目移りのしている男もいるのでその辺で言い争う声まで聞こえる始末。
やはり、常盤台のお嬢様の称号はすごいものだ。
「周りだって似たようなもんじゃない。誰も気になんてしてないわよ。」
「でもなぁ…」
「それとも、アンタはこういうの嫌なの?」
上目遣いでその言葉は反則である。
男には反論の余地も許さない。
「っ!?…分かりました。美琴たんの好きなようにして下さい。」
「っ!?いきなり名前で呼ぶなっ!!」
電撃は飛ばなかったが、代わりにコブシが飛んだ。
嬉しさ半分、恥ずかしさ半分のためたいした威力はなかったが…
20:59
「そろそろだな」
「?何??」
「まぁ、見てろって。」
上条がイルミネーションに目を移す。
美琴もそれに従った。
「?何??」
「まぁ、見てろって。」
上条がイルミネーションに目を移す。
美琴もそれに従った。
21:00になった瞬間イルミネーションが一斉に消えた。
「!?」
美琴は驚いて周りを見渡す。
ポフっと頭の上に何かが乗った。
見ると上条が苦笑している。
頭の上にあるのが上条の右手であることに気づき、顔を真っ赤にする。
どこからか音楽が流れて来る。
「これを一緒に見たかったんだよ。」
「えっ?」
「!?」
美琴は驚いて周りを見渡す。
ポフっと頭の上に何かが乗った。
見ると上条が苦笑している。
頭の上にあるのが上条の右手であることに気づき、顔を真っ赤にする。
どこからか音楽が流れて来る。
「これを一緒に見たかったんだよ。」
「えっ?」
イルミネーションが灯り始めた。
すると先ほどまでなかったはずの特大のクリスマスツリーが出現している。
どうやら立体映像のようだがまるで本当にそこにあるような迫力がある。
その周りをトナカイやサンタが飛んでいる。
イルミネーションもそれに合わせ、色とりどりに光を換える。
すると先ほどまでなかったはずの特大のクリスマスツリーが出現している。
どうやら立体映像のようだがまるで本当にそこにあるような迫力がある。
その周りをトナカイやサンタが飛んでいる。
イルミネーションもそれに合わせ、色とりどりに光を換える。
「雪だ!!」
周りいる全員が光景に見惚れている中、誰かが叫んだ。
見上げると白い雪が降って来ていた。
上条と美琴は静かに雪を見ていた。
周りではホワイトクリスマスだ。とかロマンチック…などと口々に言っている。
見上げると白い雪が降って来ていた。
上条と美琴は静かに雪を見ていた。
周りではホワイトクリスマスだ。とかロマンチック…などと口々に言っている。
「なぁ。」
「?」
「ちょっと真面目な話してもいいか?」
「?いいわよ。」
「御坂、俺と「あ~、カミやん!!」っ!!」
「?」
「ちょっと真面目な話してもいいか?」
「?いいわよ。」
「御坂、俺と「あ~、カミやん!!」っ!!」
これからというときに邪魔をされ、ちょっとキレ気味の上条。
(誰であろうと、とりあえず一発殴ってもいいよな。)
訂正、かなりキレてます。
(誰であろうと、とりあえず一発殴ってもいいよな。)
訂正、かなりキレてます。
「カミやん、こんなところで奇遇やなぁ。デート中じゃないん?」
そんな上条に空気をぶち壊した青髪ピアスが近づいて来る。
「お前かっ!人が真剣な話をしようとしてるときにっ!!つーかクラスの皆とパーティじゃなかったのかよ!?」
「皆おるで。パーティの閉めにイルミネーション見よかって話になって見に来てん。」
確かに青髪の後ろには見知った顔がこちらを見ている。
そんな上条に空気をぶち壊した青髪ピアスが近づいて来る。
「お前かっ!人が真剣な話をしようとしてるときにっ!!つーかクラスの皆とパーティじゃなかったのかよ!?」
「皆おるで。パーティの閉めにイルミネーション見よかって話になって見に来てん。」
確かに青髪の後ろには見知った顔がこちらを見ている。
女子のほとんどが鬼の形相ではあったが。
「…不幸だ」
上条がつぶやく。
しかし、クリスマスなのに神様はとことん優しくなかった。
「…不幸だ」
上条がつぶやく。
しかし、クリスマスなのに神様はとことん優しくなかった。
「お~、御坂。こんなところで何してんだ?」
「っ!?つ、土御門!?何って、それは、その…」
「っ!?つ、土御門!?何って、それは、その…」
今まで上条の後ろに隠れる形になっていて上条のクラスメイトからは見えなかった美琴だったが、反対側から来た舞夏に見つかってしまう。
「今度は舞夏!?どうしてこんなについてないんでせうか?」
「なるほど~。上条当麻とデートか~。御坂もやるな~。」
「「っ!?」」
図星をさされ、顔を真っ赤にする2人。
「2人とも顔真っ赤だぞ~。いや~、いいもん見たな~。」
お互いの顔が赤くなっている事実に、さらに顔が赤くなる2人。
「なるほど~。上条当麻とデートか~。御坂もやるな~。」
「「っ!?」」
図星をさされ、顔を真っ赤にする2人。
「2人とも顔真っ赤だぞ~。いや~、いいもん見たな~。」
お互いの顔が赤くなっている事実に、さらに顔が赤くなる2人。
「カミやん、男が顔真っ赤にしても気持ち悪いだけなんだにゃー。」
舞夏の後ろから、湯気が出てる飲み物を持った土御門が歩いて来る。
「まぁ、いるはずだよな…。」
(どうすっかな。仕切り直そうにもこんだけ知り合いがいたら、ここでやるのは恥ずかしすぎるし。)
この状況で自分たちだけ逃げ出すのは至難の技だ。
上手く逃げる方法をと考えていた上条に、土御門が肩を組んで来た。
舞夏の後ろから、湯気が出てる飲み物を持った土御門が歩いて来る。
「まぁ、いるはずだよな…。」
(どうすっかな。仕切り直そうにもこんだけ知り合いがいたら、ここでやるのは恥ずかしすぎるし。)
この状況で自分たちだけ逃げ出すのは至難の技だ。
上手く逃げる方法をと考えていた上条に、土御門が肩を組んで来た。
「カミやん。」
「何だ?」
「(ここから離れるなら協力するにゃー。)」
「(それはありがたいけど、いきなりどうした?)」
「(青髪を見るぜよ。)」
「(…)」
「何だ?」
「(ここから離れるなら協力するにゃー。)」
「(それはありがたいけど、いきなりどうした?)」
「(青髪を見るぜよ。)」
「(…)」
そっと後ろを振り向く上条。
青髪ピアスが後ろのクラスメイト達に合図を送っているのが見えた。
静かに散開し、自然な感じに見えるよう周りにとけ込んで行く。
おそらく合図と同時に2人を取り押さえにかかるだろう。
青髪ピアスが後ろのクラスメイト達に合図を送っているのが見えた。
静かに散開し、自然な感じに見えるよう周りにとけ込んで行く。
おそらく合図と同時に2人を取り押さえにかかるだろう。
「(具体的にどうする?)」
ここで取り押さえられたら、仕切り直しもない。
窮地を脱するべく、土御門と作戦を練って行く。
「(カミやんは、超電磁砲と一緒に学校の方に逃げるんだにゃー。向こうは人も多いし、まぎれられると思うぜよ。)」
「(お前らはどうするんだ?)」
「(俺たちはカミやんたちとは反対側に逃げるぜよ。舞夏はメイド服だから人ごみにまぎれても見つかると思うし、逆に人通りの少ない方に逃げて巻いてしまったほうがいいんだにゃー。)」
「(分かった。お互いいいクリスマスを過ごせたらいいな。)」
「(カミやんこそ。この後、告白するんだろ?)」
「(っ!?なんで知って!?)」
「(俺はカミやんのことなら何でも知ってるにゃー。)」
「(…)」
「(真っ赤になっても気持ち悪いだけだってさっき言ったぜよ。)」
「(うるせー。)」
「(まぁ、いいんだにゃー。…そろそろ作戦を開始するぜよ、カミやん。)」
「(…分かった。)」
ここで取り押さえられたら、仕切り直しもない。
窮地を脱するべく、土御門と作戦を練って行く。
「(カミやんは、超電磁砲と一緒に学校の方に逃げるんだにゃー。向こうは人も多いし、まぎれられると思うぜよ。)」
「(お前らはどうするんだ?)」
「(俺たちはカミやんたちとは反対側に逃げるぜよ。舞夏はメイド服だから人ごみにまぎれても見つかると思うし、逆に人通りの少ない方に逃げて巻いてしまったほうがいいんだにゃー。)」
「(分かった。お互いいいクリスマスを過ごせたらいいな。)」
「(カミやんこそ。この後、告白するんだろ?)」
「(っ!?なんで知って!?)」
「(俺はカミやんのことなら何でも知ってるにゃー。)」
「(…)」
「(真っ赤になっても気持ち悪いだけだってさっき言ったぜよ。)」
「(うるせー。)」
「(まぁ、いいんだにゃー。…そろそろ作戦を開始するぜよ、カミやん。)」
「(…分かった。)」
いろいろつっこみたいところがあった上条だが、周りの状況から見て今は無理だと判断する。
包囲網は7割がた完成し、いつ命令が下ってもおかしくない。
包囲網は7割がた完成し、いつ命令が下ってもおかしくない。
2人はまだ話している自分たちの大切な人の手を取ると一目散に駆け出した。
「逃げた!?」
「待てっ!!」
「追えっ!追うんだ~っ!!」
焦って包囲網を崩し、ばらばらに動いているクラスメイトを後ろに上条と美琴は人ごみへと紛れて行った。
「逃げた!?」
「待てっ!!」
「追えっ!追うんだ~っ!!」
焦って包囲網を崩し、ばらばらに動いているクラスメイトを後ろに上条と美琴は人ごみへと紛れて行った。
2人はいつもの公園まで来ていた。
さっきまで降っていた雪はもうやんでいる。
「ここまで、来れば、大丈夫、だろ。」
おそらく巻いたとは思うが、ついて来られててはたまらない。
誰もいないか用心深く見渡す。
「ちょっと、いきなり、どうした、っていうの?」
美琴にしてみれば舞夏と話しているときにいきなり手を掴まれ、走って来たのだ。
事情があるにせよ、あまり褒められてたものではない。
「説明は、するから、とりあえず、休ま、ないか?」
「ちゃんと、説明、してよ、ね。」
息も絶え絶えだった2人は公園のベンチに座る。
さっきまで降っていた雪はもうやんでいる。
「ここまで、来れば、大丈夫、だろ。」
おそらく巻いたとは思うが、ついて来られててはたまらない。
誰もいないか用心深く見渡す。
「ちょっと、いきなり、どうした、っていうの?」
美琴にしてみれば舞夏と話しているときにいきなり手を掴まれ、走って来たのだ。
事情があるにせよ、あまり褒められてたものではない。
「説明は、するから、とりあえず、休ま、ないか?」
「ちゃんと、説明、してよ、ね。」
息も絶え絶えだった2人は公園のベンチに座る。
お互いの呼吸が整ったところで上条が事情を説明する。
「悪いな。クラスの連中に連れてかれそうになってたから、逃げ出して来たんだ。」
「それはいいけど、何で追いかけられるの?アンタが何かしたの??」
「いや?クラスのパーティの誘いを断ったぐらいしか心当たりないけど…」
「パーティ?」
「あぁ、彼氏彼女がいない奴らで集まってどんちゃん騒ごうってパーティらしい。」
「アンタも誘われたの?」
「まぁな。でも、今日いきなりだったし、お前との約束があったから断ったんだ。」
(それでか…)
逃げ出す前、何人かの女の子がこちらを見てひそひそ話をしていたのだ。
おそらく、皆上条のことが好きで大勢でもいいから、上条とクリスマスイヴを過ごしたかった人なのだろう。
(でも、私との約束を優先してくれた。でも…)
「悪いな。クラスの連中に連れてかれそうになってたから、逃げ出して来たんだ。」
「それはいいけど、何で追いかけられるの?アンタが何かしたの??」
「いや?クラスのパーティの誘いを断ったぐらいしか心当たりないけど…」
「パーティ?」
「あぁ、彼氏彼女がいない奴らで集まってどんちゃん騒ごうってパーティらしい。」
「アンタも誘われたの?」
「まぁな。でも、今日いきなりだったし、お前との約束があったから断ったんだ。」
(それでか…)
逃げ出す前、何人かの女の子がこちらを見てひそひそ話をしていたのだ。
おそらく、皆上条のことが好きで大勢でもいいから、上条とクリスマスイヴを過ごしたかった人なのだろう。
(でも、私との約束を優先してくれた。でも…)
俯いたまま、何も話さなくなった美琴。
流石に心配になってきた上条。
どうしたものかな?と考えていると美琴がなにか呟いている。
「御坂?」
「…さっきの続き。」
「さっき?」
「…あの青い髪の人が声かけて来る前、何言おうとしてたの?」
「あの時?あれは、その、あれだよ、あれ!!」
「おじいちゃんみたいな事言ってないで、教えて……」
「……御坂?」
「私、ほんとに何で誘われたか分かんないの。昨日は妹と抱き合っときながら次の日に私とデートなんておかしいでしょ?アンタは妹が好きなんでしょ!?なら、もう私に優しくしないでよっ!!甘えたくなっちゃうじゃないっ!!」
「…」
上条の顔も見れず、美琴の叫びは続く。
「別に妹とアンタが付き合ったとしてもいいのっ!アンタなら妹を悲しませたりしないはずだからっ!!でも、私は、あの子の姉として、アンタ達の隣で、…笑ってたいの!だから、もう、私に構わ、ないで…。アンタ、のこと、ふっきらなきゃ、となりでわら、っえ、ないから」
叫びから涙へと変わった。
流石に心配になってきた上条。
どうしたものかな?と考えていると美琴がなにか呟いている。
「御坂?」
「…さっきの続き。」
「さっき?」
「…あの青い髪の人が声かけて来る前、何言おうとしてたの?」
「あの時?あれは、その、あれだよ、あれ!!」
「おじいちゃんみたいな事言ってないで、教えて……」
「……御坂?」
「私、ほんとに何で誘われたか分かんないの。昨日は妹と抱き合っときながら次の日に私とデートなんておかしいでしょ?アンタは妹が好きなんでしょ!?なら、もう私に優しくしないでよっ!!甘えたくなっちゃうじゃないっ!!」
「…」
上条の顔も見れず、美琴の叫びは続く。
「別に妹とアンタが付き合ったとしてもいいのっ!アンタなら妹を悲しませたりしないはずだからっ!!でも、私は、あの子の姉として、アンタ達の隣で、…笑ってたいの!だから、もう、私に構わ、ないで…。アンタ、のこと、ふっきらなきゃ、となりでわら、っえ、ないから」
叫びから涙へと変わった。
「何で俺が妹のことを好きなんだ?」
「っ!?」
美琴は完全にキレた。
昨日、あんなことをしといてまだしらを切るつもりなのか、と。
「アンタっ!っ!?」
上条が美琴を見ていた。
だが、いつものように疲れてだるそうな感じでも、昨日見た優しい感じでもない。
いつかの鉄橋の上で見たときのように、真剣な眼差しだった。
一瞬、気圧された美琴だったが、まだ怒りは収まっていない。
「だって、だって、じゃあ指輪は何なのよ!!」
「指輪?」
「昨日、妹がつけてたじゃないっ!あの指輪は何なのよ!!」
「あれはプレゼントだ。」
「ほら見なさい!やっぱり、アン「お前への」タ…は?」
「だから、あれはお前へのプレゼントなんだって。」
「なっ!?」
「ほら。」
「っ!?」
美琴は完全にキレた。
昨日、あんなことをしといてまだしらを切るつもりなのか、と。
「アンタっ!っ!?」
上条が美琴を見ていた。
だが、いつものように疲れてだるそうな感じでも、昨日見た優しい感じでもない。
いつかの鉄橋の上で見たときのように、真剣な眼差しだった。
一瞬、気圧された美琴だったが、まだ怒りは収まっていない。
「だって、だって、じゃあ指輪は何なのよ!!」
「指輪?」
「昨日、妹がつけてたじゃないっ!あの指輪は何なのよ!!」
「あれはプレゼントだ。」
「ほら見なさい!やっぱり、アン「お前への」タ…は?」
「だから、あれはお前へのプレゼントなんだって。」
「なっ!?」
「ほら。」
上条が取り出したのは、昨日妹が小指にはめていたものと同じ指輪だった。
「これ…」
「言っただろ?プレゼントだって。」
「…ちょっと待って。意味分かんない。」
さすがの学園都市第3位の頭でも処理が追いつかない。
美琴は、とりあえず浮かんで来る疑問から解消していくことにした。
「ならなんで昨日妹がこれと同じ指輪をつけてたのよ?」
「あれは、この指輪にしようって決めた後にサイズが分からなくて、たまたま歩いてた妹に協力してもらってただけだ。」
「抱き合ってたのは?」
「あれは、店員さんの一言に妹が反応しただけでありまして…」
「なんて言われたの?」
「『優しい彼氏ですね。』って。」
「それで?」
「アイツが倒れそうになったから支えただけです。」
「…まぁいいわ。最後の質問。アンタ、何で私にプレゼントしかも指輪なんて送ろうと思ったの?」
「…」
「答えて…」
「言っただろ?プレゼントだって。」
「…ちょっと待って。意味分かんない。」
さすがの学園都市第3位の頭でも処理が追いつかない。
美琴は、とりあえず浮かんで来る疑問から解消していくことにした。
「ならなんで昨日妹がこれと同じ指輪をつけてたのよ?」
「あれは、この指輪にしようって決めた後にサイズが分からなくて、たまたま歩いてた妹に協力してもらってただけだ。」
「抱き合ってたのは?」
「あれは、店員さんの一言に妹が反応しただけでありまして…」
「なんて言われたの?」
「『優しい彼氏ですね。』って。」
「それで?」
「アイツが倒れそうになったから支えただけです。」
「…まぁいいわ。最後の質問。アンタ、何で私にプレゼントしかも指輪なんて送ろうと思ったの?」
「…」
「答えて…」
一番気になっていたことだった。
いくら鈍感な上条でもプレゼントに指輪を送ることで生まれる意味ぐらいは分かっているだろう。
それでも、自分へのプレゼントとして指輪を選んでくれた意味。
それは美琴に取って、期待しないほうが難しかった。
いくら鈍感な上条でもプレゼントに指輪を送ることで生まれる意味ぐらいは分かっているだろう。
それでも、自分へのプレゼントとして指輪を選んでくれた意味。
それは美琴に取って、期待しないほうが難しかった。
上条は顔を背ける。
「ねぇ…答えて。」
期待と同量以上の不安が混じった美琴の声が聞こえる。
「…きだから。」
「えっ?」
「ねぇ…答えて。」
期待と同量以上の不安が混じった美琴の声が聞こえる。
「…きだから。」
「えっ?」
「御坂のことが好きだからだよ。」
「っ!?」
「最初はただうっとうしくて、やたら好戦的なイメージしかなかったんだ。会うたびにビリビリしてくるし、名前では呼ばれないし、怒鳴ってばかりだったしな。」
「最初はただうっとうしくて、やたら好戦的なイメージしかなかったんだ。会うたびにビリビリしてくるし、名前では呼ばれないし、怒鳴ってばかりだったしな。」
遠い目をして上条は続ける。
「でも、あの日の鉄橋の上で会った御坂は、学園都市第3位でも常盤台のエースでもない、ただの女の子だった。自分の目的を邪魔する奴でも本気で攻撃出来ない優しくて、泣き虫な女の子だった。」
上条はあの時のことを思い出すかのように目を閉じる。
「それから、偽デートしたり、大覇星祭、そのあとの罰ゲーム、第3次世界大戦、帰って来てからの日々…」
ここで一旦言葉を区切り、上条は美琴の方に向き直った。
「そのどれもにお前が俺の隣にいてくれた。不幸な目にあっても、ケンカしても、遊びに行っても、今日も。全部楽しかったんだ。でも…」
上条は止まらない。
「そのうちものたりなくなってきた。御坂の笑顔を独占したい、俺だけに笑って欲しい。ってな。で、気づいたらもう好きになってたんだ。だから…」
美琴の目を見つめ、上条は言う。
「でも、あの日の鉄橋の上で会った御坂は、学園都市第3位でも常盤台のエースでもない、ただの女の子だった。自分の目的を邪魔する奴でも本気で攻撃出来ない優しくて、泣き虫な女の子だった。」
上条はあの時のことを思い出すかのように目を閉じる。
「それから、偽デートしたり、大覇星祭、そのあとの罰ゲーム、第3次世界大戦、帰って来てからの日々…」
ここで一旦言葉を区切り、上条は美琴の方に向き直った。
「そのどれもにお前が俺の隣にいてくれた。不幸な目にあっても、ケンカしても、遊びに行っても、今日も。全部楽しかったんだ。でも…」
上条は止まらない。
「そのうちものたりなくなってきた。御坂の笑顔を独占したい、俺だけに笑って欲しい。ってな。で、気づいたらもう好きになってたんだ。だから…」
美琴の目を見つめ、上条は言う。
「御坂美琴さん、俺と付き合って下さい!」
私はアイツの告白で頭がいっぱいだった。
もう意識が飛ぶとなる一歩前まで来ているのだが、まだ返事をしていない。
返事をしないといけないと思っているのだが、言葉が出ない。
代わりに涙が溢れて来た。
いきなり泣き出したのを見て、アイツが慌てている。
早く泣き止みたいのに、涙は止まってくれない。
どうしようかと思っていたら、いきなり目の前が真っ暗になった。
どうやら抱きしめられているらしい。
アイツの温もりを感じるし、心臓の音も聞こえる。
顔が真っ赤になるのが、自分でも分かる。
アイツの心臓の音がうるさいくらい耳に届く。
アイツも緊張してたんだな…
ちょっと落ち着いて来たのに、また涙が溢れそうになる。
息が止まりそうだ。
落ち着かないはずなのに、安心する。
なんだかよくわからないうちに私は意識を失った。
もう意識が飛ぶとなる一歩前まで来ているのだが、まだ返事をしていない。
返事をしないといけないと思っているのだが、言葉が出ない。
代わりに涙が溢れて来た。
いきなり泣き出したのを見て、アイツが慌てている。
早く泣き止みたいのに、涙は止まってくれない。
どうしようかと思っていたら、いきなり目の前が真っ暗になった。
どうやら抱きしめられているらしい。
アイツの温もりを感じるし、心臓の音も聞こえる。
顔が真っ赤になるのが、自分でも分かる。
アイツの心臓の音がうるさいくらい耳に届く。
アイツも緊張してたんだな…
ちょっと落ち着いて来たのに、また涙が溢れそうになる。
息が止まりそうだ。
落ち着かないはずなのに、安心する。
なんだかよくわからないうちに私は意識を失った。
22:30
「…ん」
「お、起きたか?大丈夫か??」
「え?」
美琴の上に上条の顔がある。
「っ!?」
「まだ寝てろって。」
起き上がろうとする美琴の頭に右手をのせ、元の位置に戻す。
「私…?」
「気失ってたんだよ。うなされたりはしてなかったから大丈夫だろうって思って寝かせといたんだ。」
見ると上条はコートを着ていない。
一瞬あっけにとられた美琴だったがすぐに自分の上に乗せられているものが何か把握する。
「バカっ!震えてるじゃないっ!!もう大丈夫だから、コート着なさいよっ!」
「でも…」
「デモもストもないっ!ほんとに大丈夫だから。」
美琴は起き上がり、上条にコートを返す。
「お、起きたか?大丈夫か??」
「え?」
美琴の上に上条の顔がある。
「っ!?」
「まだ寝てろって。」
起き上がろうとする美琴の頭に右手をのせ、元の位置に戻す。
「私…?」
「気失ってたんだよ。うなされたりはしてなかったから大丈夫だろうって思って寝かせといたんだ。」
見ると上条はコートを着ていない。
一瞬あっけにとられた美琴だったがすぐに自分の上に乗せられているものが何か把握する。
「バカっ!震えてるじゃないっ!!もう大丈夫だから、コート着なさいよっ!」
「でも…」
「デモもストもないっ!ほんとに大丈夫だから。」
美琴は起き上がり、上条にコートを返す。
「「あのさ、」」
「何?」
「そっちこそ、何だよ?」
「アンタから言いなさいよ。」
「お前から言えよ。」
「…」
「…」
気まずい空気が流れる。
「さっきの…」
「ん?」
「さっきの返事…まだしてなかったから…。」
「…別に今じゃなくてもいいぞ。なんなら、無かったことに「ダメっ!!」っ」
「ダメ。無かったことになんてさせない。今ここでちゃんと返事するから聞いて欲しい…」
美琴の思いを受け止める。
その覚悟をするまでの時間はたっぷりあった。
あとは…
「分かった。」
どんな結果になろうが受け止めるだけ。
「何?」
「そっちこそ、何だよ?」
「アンタから言いなさいよ。」
「お前から言えよ。」
「…」
「…」
気まずい空気が流れる。
「さっきの…」
「ん?」
「さっきの返事…まだしてなかったから…。」
「…別に今じゃなくてもいいぞ。なんなら、無かったことに「ダメっ!!」っ」
「ダメ。無かったことになんてさせない。今ここでちゃんと返事するから聞いて欲しい…」
美琴の思いを受け止める。
その覚悟をするまでの時間はたっぷりあった。
あとは…
「分かった。」
どんな結果になろうが受け止めるだけ。
美琴は前を見たまま話し始める。
「アンタのことは前から気になってて、とにかくアンタに私を見て欲しくてビリビリしたり、罰ゲームを持ちかけたりしてた。でもアンタがいつだったか病院を抜け出して来たみたいにボロボロだったあの日。アンタがどんな思いで私や周りの人を助けてくれてるかを知っちゃってあの日からはもうダメだった。」
「アンタのことは前から気になってて、とにかくアンタに私を見て欲しくてビリビリしたり、罰ゲームを持ちかけたりしてた。でもアンタがいつだったか病院を抜け出して来たみたいにボロボロだったあの日。アンタがどんな思いで私や周りの人を助けてくれてるかを知っちゃってあの日からはもうダメだった。」
上条を見つめ、自分の想いを伝える。
「アンタの、当麻のことが好きで好きでしかたが無いの。」
また、目から涙が溢れる。
いつから自分はこんなに泣き虫になってのだろうと思う。
でも、不思議と嫌な気分はしなかった。
また、目から涙が溢れる。
いつから自分はこんなに泣き虫になってのだろうと思う。
でも、不思議と嫌な気分はしなかった。
「御坂美琴は上条当麻が大好きです。」
(綺麗だな)
今日何度そう思ったかも分からない。
ただ、今の表情(かお)をがたまらなく綺麗たっだ。
自分の顔がほころぶのが分かる。
つられるように少女がほほえむ。
ただ、今の表情(かお)をがたまらなく綺麗たっだ。
自分の顔がほころぶのが分かる。
つられるように少女がほほえむ。
――勝手に体が動いた。
目の前の少女を抱きしめるために。
抱きしめた瞬間に電流が走った。
想像していたよりも華奢な肩に、細い腕に、体の熱に。
少女が腕をまわしてくる。
少女の髪からいい香りがする。
自分とはまったく違うモノであることをあらためて理解する。
目の前の少女を抱きしめるために。
抱きしめた瞬間に電流が走った。
想像していたよりも華奢な肩に、細い腕に、体の熱に。
少女が腕をまわしてくる。
少女の髪からいい香りがする。
自分とはまったく違うモノであることをあらためて理解する。
何分くらいそうしていただろう。
2人はそっと包容を解いた。
目が合う。
何かが伝わる。
お互いが考えていることが分かる。
少年は少女の頬に手をあて、少女はそっと目を閉じた――――
2人はそっと包容を解いた。
目が合う。
何かが伝わる。
お互いが考えていることが分かる。
少年は少女の頬に手をあて、少女はそっと目を閉じた――――
22:55
上条と美琴はまだ公園にいた。
美琴は上条の肩に頭を乗せ、上条は美琴の肩に手をまわしている。
もう帰らないと門限に間に合わないのだが、なんとなく離れがたくずっとここにいたのだ。
美琴は上条の肩に頭を乗せ、上条は美琴の肩に手をまわしている。
もう帰らないと門限に間に合わないのだが、なんとなく離れがたくずっとここにいたのだ。
「御坂、そろそろ「嫌」っておい。」
「そろそろ帰れって言うんでしょ?嫌よ。(まだ離れたくないもの…。)」
まだ素直に自分の気持ちを伝えられない美琴。
恋人になったとはいえ恥ずかしいものは恥ずかしいんだと自分で言い訳をしてみる。
「つってもどうする気だ?これ以上一緒にいるのは無理だろ?」
「アンタの家…」
「えっ?」
「アンタの家に泊めなさいよ。」
「は?」
「だから、アンタの家に泊めてって言ってるのっ!!」
「オイコラ中学生。お前、自分の言ってる意味分かってるのか?」
「分かってるわよっ!子供扱いしないでよねっ!!」
(絶対分かってないだろ…)
「そろそろ帰れって言うんでしょ?嫌よ。(まだ離れたくないもの…。)」
まだ素直に自分の気持ちを伝えられない美琴。
恋人になったとはいえ恥ずかしいものは恥ずかしいんだと自分で言い訳をしてみる。
「つってもどうする気だ?これ以上一緒にいるのは無理だろ?」
「アンタの家…」
「えっ?」
「アンタの家に泊めなさいよ。」
「は?」
「だから、アンタの家に泊めてって言ってるのっ!!」
「オイコラ中学生。お前、自分の言ってる意味分かってるのか?」
「分かってるわよっ!子供扱いしないでよねっ!!」
(絶対分かってないだろ…)
上条にとって今日、美琴を家に泊めるのは非常にマズい。
あんな事があった後なのだ。日頃、鉄壁の理性を自称していても、今日ばかりは自分を抑える自信が無かった。
「頼むから今日は勘弁してくれ…。」
「何よ、か、か彼女の初めてのお願いくらい聞いてくれもいいじゃないっ!!」
「お前なっ!俺のことも少しは考えろよっ!!さっき告ったばっかでまともじゃねーんだよっ!!今日泊まりに来られたら何するか自分でも分かんねーんだっ!!」
「っ!何言ってんのよ、このド馬鹿っ!!」
顔を真っ赤にして電撃を放つ美琴。
上条も至近距離からの電撃を右手でかき消す。
「あっぶねーなっ!死ぬとこだったぞっ!!」
「フンっ!いたいけな中学生に手を出そうとした罰よ。」
「泊まりに来たいっつったのは御坂さんですが?」
「うっ、うるさいわねっ!別にいいじゃないっ、泊まる位!」
「よくないから言ってるんだろっ!」
「なによっ!!」
「なんだよっ!!」
あんな事があった後なのだ。日頃、鉄壁の理性を自称していても、今日ばかりは自分を抑える自信が無かった。
「頼むから今日は勘弁してくれ…。」
「何よ、か、か彼女の初めてのお願いくらい聞いてくれもいいじゃないっ!!」
「お前なっ!俺のことも少しは考えろよっ!!さっき告ったばっかでまともじゃねーんだよっ!!今日泊まりに来られたら何するか自分でも分かんねーんだっ!!」
「っ!何言ってんのよ、このド馬鹿っ!!」
顔を真っ赤にして電撃を放つ美琴。
上条も至近距離からの電撃を右手でかき消す。
「あっぶねーなっ!死ぬとこだったぞっ!!」
「フンっ!いたいけな中学生に手を出そうとした罰よ。」
「泊まりに来たいっつったのは御坂さんですが?」
「うっ、うるさいわねっ!別にいいじゃないっ、泊まる位!」
「よくないから言ってるんだろっ!」
「なによっ!!」
「なんだよっ!!」
ゲーコゲーコゲーコゲーコ
いきなりカエルの鳴き声が聞こえる。
「?なんだ?」
発信源を探すと美琴のポケットから聞こえて来ることが分かった。
「御坂、ケータイ鳴ってるぞ。」
「あぁ、アラームよ。23:00にセットしてたの。」
それはつまり。
「お前門限破り決定?」
「そういうことね。」
「じゃあ、送って行って事情説明してやるからさっさと、っ痛ぇ」
「ア、アンタがついて来たらパニックになるに決まってるじゃない!?」
おそらく今女子寮では黒子が暴走寸前で待っているだろう。
そこに上条をつれて行けば、暴れ狂うのは必然。
下手をすれば、寮生に彼氏がいることがバレてしまう。
実際バレてもあまり問題はないのだが、質問などが面倒なので美琴としては、しばらくはバレて欲しくはないのだ。
「はぁ。じゃあどうするんだよ?さすがに上条さんも、出来たばっかりの彼女を1人で帰らせるのは反対ですよ?」
「…彼女。」
美琴はその単語でまた顔を真っ赤にするのだった。
「?なんだ?」
発信源を探すと美琴のポケットから聞こえて来ることが分かった。
「御坂、ケータイ鳴ってるぞ。」
「あぁ、アラームよ。23:00にセットしてたの。」
それはつまり。
「お前門限破り決定?」
「そういうことね。」
「じゃあ、送って行って事情説明してやるからさっさと、っ痛ぇ」
「ア、アンタがついて来たらパニックになるに決まってるじゃない!?」
おそらく今女子寮では黒子が暴走寸前で待っているだろう。
そこに上条をつれて行けば、暴れ狂うのは必然。
下手をすれば、寮生に彼氏がいることがバレてしまう。
実際バレてもあまり問題はないのだが、質問などが面倒なので美琴としては、しばらくはバレて欲しくはないのだ。
「はぁ。じゃあどうするんだよ?さすがに上条さんも、出来たばっかりの彼女を1人で帰らせるのは反対ですよ?」
「…彼女。」
美琴はその単語でまた顔を真っ赤にするのだった。
落ち着いた美琴は話を戻す。
「だ、か、ら、泊めてっ。」
「可愛らしく言ってもダメなもんは、ダメです。」
「~~ケチっ!人が恥ずかしいのを我慢してお願いしてるのにっ!!」
「恥ずかしいならやらなきゃいいでしょ!お願いされてもこればっかりは上条さんも譲れません。」
「じゃあ、私は今日どこに泊まるの?」
「それは…」
言われて気づいた。
確かに美琴が寮に戻れないとなると、泊まるところが無い。
ホテルというてもあるだろうが、生憎今日はクリスマスイヴなのだ。
どのホテルもいっぱいだろう。
となると選択肢は上条の家しかないわけで…
(しょうがないか…。断ってた理由も俺がしっかりしていればいいことだし。頑張って保てよ、俺の理性っ!!)
「分かった、泊まれよ。」
「…いいの?」
「なんだよ、泊まりたかったんじゃないのか?」
「そ、それは――」
「まぁ、紳士上条さんは間違っても中学生には手を出さないですけどね。」
「…さっきと言ってることが違うじゃない。」
「あれは言葉のあやというか気の迷いというやつでして決して御坂に魅力が無いというわけではないのですがって御坂さんなんでビリビリしてるんですか、気に障るようなこと言いましたっけ言ったんですか言ったんですねゴメンナサイーー!!」
「もういいわよっ!!」
(私だけ緊張してて、馬鹿みたいじゃない!!)
上条はすねて後ろを向いてしまった美琴を後ろから抱きしめる。
「別にお前に魅力がないとかじゃなくって、なんというか…大切にしたいんだよ。だから、まぁ、そのうちな。」
こんなことを耳元で囁かれたらひとたまりも無い。
「…うん、待ってる。」
(*1)
「だ、か、ら、泊めてっ。」
「可愛らしく言ってもダメなもんは、ダメです。」
「~~ケチっ!人が恥ずかしいのを我慢してお願いしてるのにっ!!」
「恥ずかしいならやらなきゃいいでしょ!お願いされてもこればっかりは上条さんも譲れません。」
「じゃあ、私は今日どこに泊まるの?」
「それは…」
言われて気づいた。
確かに美琴が寮に戻れないとなると、泊まるところが無い。
ホテルというてもあるだろうが、生憎今日はクリスマスイヴなのだ。
どのホテルもいっぱいだろう。
となると選択肢は上条の家しかないわけで…
(しょうがないか…。断ってた理由も俺がしっかりしていればいいことだし。頑張って保てよ、俺の理性っ!!)
「分かった、泊まれよ。」
「…いいの?」
「なんだよ、泊まりたかったんじゃないのか?」
「そ、それは――」
「まぁ、紳士上条さんは間違っても中学生には手を出さないですけどね。」
「…さっきと言ってることが違うじゃない。」
「あれは言葉のあやというか気の迷いというやつでして決して御坂に魅力が無いというわけではないのですがって御坂さんなんでビリビリしてるんですか、気に障るようなこと言いましたっけ言ったんですか言ったんですねゴメンナサイーー!!」
「もういいわよっ!!」
(私だけ緊張してて、馬鹿みたいじゃない!!)
上条はすねて後ろを向いてしまった美琴を後ろから抱きしめる。
「別にお前に魅力がないとかじゃなくって、なんというか…大切にしたいんだよ。だから、まぁ、そのうちな。」
こんなことを耳元で囁かれたらひとたまりも無い。
「…うん、待ってる。」
(*1)
23:15
公園からの道中は会話はなかったが、手は繋いでいた。
それだけで2人は満ち足りていた。
それだけで2人は満ち足りていた。
「まぁ、狭いとこだけど入れよ。」
「…お邪魔しまーす。」
「…お邪魔しまーす。」
美琴は初めて入る男の部屋に緊張していた。
きょろきょろと辺りを見渡している。
そんな美琴に苦笑しつつ上条はこの後のことを考えていた。
(とりあえず風呂に入んねーと。体が冷えきってるからこのまま寝ると風邪引きそうだしなぁ。)
朝になって2人して風邪をひいているのはまぬけすぎる。
(先に御坂に入ってもらったほうがいいな。)
きょろきょろと辺りを見渡している。
そんな美琴に苦笑しつつ上条はこの後のことを考えていた。
(とりあえず風呂に入んねーと。体が冷えきってるからこのまま寝ると風邪引きそうだしなぁ。)
朝になって2人して風邪をひいているのはまぬけすぎる。
(先に御坂に入ってもらったほうがいいな。)
「御坂、先に風呂入れ。」
「ふっ!?」
「何だ、お前風呂入らずに寝る気だったのか?冷えてるんだし、風邪ひくぞ。」
「そ、そうね。頂くわ。…覗いたら超電子砲だからね。」
「そんな命がけで覗く勇気は上条さんにはありません。」
(別にアンタだったら一緒に入っても…!?っ何考えてんの私っ!?それはさすがに恥ずかしすぎるわよ!…でも、アイツとなら…)
顔を赤くしたり、慌てたりと忙しい。
ふと気づくと上条が不審な目で自分を見ている。
「ふっ!?」
「何だ、お前風呂入らずに寝る気だったのか?冷えてるんだし、風邪ひくぞ。」
「そ、そうね。頂くわ。…覗いたら超電子砲だからね。」
「そんな命がけで覗く勇気は上条さんにはありません。」
(別にアンタだったら一緒に入っても…!?っ何考えてんの私っ!?それはさすがに恥ずかしすぎるわよ!…でも、アイツとなら…)
顔を赤くしたり、慌てたりと忙しい。
ふと気づくと上条が不審な目で自分を見ている。
「~~~!!」
残像が残りそうなスピードで、美琴は何も持たずに脱衣所へと飛び込んだ。
残像が残りそうなスピードで、美琴は何も持たずに脱衣所へと飛び込んだ。
「何だったんだアイツ…」
美琴が風呂に入っている間、布団を引っ張り出す上条。
久々に風呂場で寝ることになるので、濡れた風呂場を拭くためのタオルも準備しておく。
(準備完了っと。後は御坂が出てから、風呂に入って…)
ここで問題に気づく。
美琴が入った後の風呂に入るということは、美琴が浸かった湯舟に入るということだ。
上条にとってそれは魅力的であり、理性を崩す要因である。
(今日はシャワーだけにしとこう…)
風邪をひくかもしれないが、目の前の問題と比べれば些細なことである。
美琴が風呂に入っている間、布団を引っ張り出す上条。
久々に風呂場で寝ることになるので、濡れた風呂場を拭くためのタオルも準備しておく。
(準備完了っと。後は御坂が出てから、風呂に入って…)
ここで問題に気づく。
美琴が入った後の風呂に入るということは、美琴が浸かった湯舟に入るということだ。
上条にとってそれは魅力的であり、理性を崩す要因である。
(今日はシャワーだけにしとこう…)
風邪をひくかもしれないが、目の前の問題と比べれば些細なことである。