とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

17-25

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匿名ユーザー

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「ん~、今日も忙しかったなー♪ 明日もこの調子で頑張ろ……って一方通行? 何でこんな時間に?」
「アァ? ンだよ弟か。俺は訳有りで付いて来ちまった打ち止めを送って来たンだよ。テメェこそ何してンだよ?」
「俺は炊き出しの手伝い、ちゃんと先生達と吹寄さんに許可は貰ってるよ。それにしても美咲華ちゃんを送って行ったのか~、優しいんだな」

 真夜の善意の言葉に照れた一方通行は自然と早足になって教室へと向かい、後に続く真夜はそんな一方通行を楽しい奴だと思っていた。
 そして自分達のクラスの教室に入ると、

「さて土御門、青ピ、可哀想だけど白雪さん。私に朝練欠席の連絡をしなかった理由、きっちり話してもらうわよ」

 出張中の小萌に代わり災誤がHRを仕切っているはずなのだがその災誤はおらず、代わりに吹寄がHRを仕切っていた。
 しかも教卓の前で吹寄に土白、青ピが問い詰められているというかなり風変わりなシチュエーションだ。
 事情が飲み込めていない一方通行と真夜は、とりあえず当麻に今の現状の説明を求めるのだった。


「どォいうことだァ、これは?上条?」
「いやぁ、なんかさ吹寄にだけ欠席連絡してなかったらしいのよ。俺には連絡来てたんだけどな。あ、青ピは誰にも連絡してねぇや、理由も聞いてねぇ」
「それで、こういう状態な訳か。青髪にいたっては理由なしと」

真夜がそいうと三人は吹寄達のほうを見た
そこでは土御門が言い訳のようで言い訳ではないことを言っていた

「理由ですかにゃー?それを言っても吹寄さんはどうせ休ませてくれなかったと思うからですたい。あと、青髪君は彼女といちゃいちゃしていましたにゃー」
「ちょ、つっちー……」
「何ですって……?」

土御門たちが自分を信用していなかったこと、青ピがいちゃついていたことが相まって吹寄の怒りが爆発しそうになっていた
それを見た上条たち三人は、

「おィ、なンかやばくねェか?土御門の野郎が爆弾を落とした気がするぞ」
「そうだな、俺達もやばいかもしれない」
「なにはともあれ、この教室からはやく出ようぜ」

そう言って、三人は外に出ようとしたが無理だった
上条達の会話が吹寄の耳に入ったため、吹寄の怒りが爆発してしまったからである




「貴様らあああああ、何処へ行くんだああああああ」
そう言った瞬間上条が吹っ飛んだ

一方通行はベクトル変換で逃げ
真夜は能力全開で逃げた


「なんで俺だけ…………不幸だ」



 当麻を吹き飛ばしたのは吹寄の頭突きで、これにはクラスメート全員が驚いていた。
 一方通行と真夜はとりあえず逃げたが、冷静になって逃げる理由が無いことに気付く。

「ノリで逃げちまったがよォ、俺たちは逃げる必要無かったよなァ? 俺もテメェもデコ女に遅刻の事情伝えてンだからよォ」
「言われれば確かに……。とりあえず席につこう、吹寄さんがこれ以上怒らないうちにさ」

 真夜の賢明な判断に一方通行も頷き、真夜ともども自分の席へと座った。
 そんな二人のことはすっかり忘れて吹寄は当麻の所まで詰め寄ると、胸倉を掴んで凄んでみせた。

「上条貴様、さっきの口ぶりから察するに土御門と白雪さんの遅刻の事情を知ってたみたいね。どうして私に報告しなかったの?」
「いや、それはその……つい、球技大会で優勝する為に一生懸命朝練に取り組んでたわけでして、はい……」
「……まあ、そうゆうことなら今回は見逃してあげる。ただし! 次からはちゃんと私にも報告しなさいよ! 分かった!」

 当麻は言えなかった、朝練に熱中してて土御門からのメール報告を忘れたのは事実だが熱中してた理由が美琴との朝のいちゃつきの煩悩を振り払う為だとは。
 吹寄は釈然としないものを感じていたが、とりあえず当麻を許すことにし、その後で土白が遅刻した理由を聞き出した。

「成程ね、自分達を慕う女の子が泊まっていたから、か。まあ、それなら仕方ないわね。土御門さん、白雪さん、事情は分かったから戻っていいわ」
「いやー、ようやく解放されたぜい」
「ホントだよねー♪ あ、吹寄さん安心して。私たち、明日からはちゃんと出るよ」
「それを聞いて安心したわ。さて貴様たち、今後止むを得ない事情で朝練ないしは練習を休む時は私に直に報告すること、いいわね?」

 土白の遅刻の事情を聞けてかなりスッキリした吹寄、それでもしめる所はちゃんとしめる辺りは実に彼女らしい。
 青ピは自分のことは有耶無耶になってラッキーとか思っていたが、何だか自分が忘れ去られてるのは寂しかったので素直に事情を吹寄に話すのだが、

「青髪、貴様その歳になって小学生を二人も自分の部屋に連れ込むのは正直どうかと思うわ……。口だけじゃなくて実行に移すなんて……」
「え、ちょ、何やのその蔑みに満ちたみんなの視線は! つっちーと白雪はんは事情知っとるくせにあんまりやっ!」

 性格はどうあれ小学生を二人も自分の部屋に泊まらせ一夜を共に過ごしたということにクラスメート全員が引いていた、事情を知ってる土白も便乗して。
 青ピは自分の扱いに涙を流していたが、白子と赤見による自身の評価の変化としては序の口に過ぎないことをまだ彼は知らない。

―――――――――

 その頃、結標のクラスではエツァリとショチトルの短期留学の挨拶が行われている最中だった。



「今日から球技大会終了まで短期留学することになった、エツァリ君とショチトルさんだ。では二人とも自己紹介を頼む」

結標の担任教師が二人の名前を紹介し、自己紹介に移した

「エツァリです。出身はアステカです。少しの間ですが、よろしくお願いします」
「……ショチトルです。出身は同じく、アステカからです。……よろしくお願いします」

エツァリは柔和な笑みを浮かべ自己紹介し、ショチトルは緊張によりぎこちなく自己紹介した

「二人は球技大会では野球に行ってもらうことにした。以上だ。何か質問はあるか?」
「はい、先生」
「ん?なんだ、言ってみろ」

質問タイムで生徒A(仮)が質問を出した

「ショチトルさんは発音しやすいんですが、エツァリさんが発音しにくいでーす、なんでですか?」
「!?」

エツァリの心になにかが刺さった

「こら、失礼だろ。さ、お開きにして授業を始めるぞ」

担任教師が先を進め、授業を開始した
その後、エツァリは、

「(だから、素顔と本名で来たくなかったんですよ……)」

ひどく落ち込み、ショチトルと結標に慰められていた

――――――――――――――――――――――――――――

一方、上条のクラスでは自習をしていた

「月夜、さっきからなんで自分の前にあまり厚くない氷の壁なんか作ってるかにゃー?」

白雪が不審な行動しているものだから、土御門が訳を聞いていた

「んー、いやね、こう、薄くて、頑丈で、再生能力のある防御をつくろうかなーって、強いていうならA○フィールド?」
「にゃー、前もそうだったけど、それは色々と危ないぜい」
「あ、そうだ!時間がかかるけど頭上に氷結光線【レーザースノウ】と同様に氷の結晶を大きく作れば元気――――」
「にゃー!それ以上はだめにゃー!」
「ふごっ、ふご!」

白雪が色々と危ない事をいいそうになっていたので土御門が止めたりしている自習時間だった

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放課後に移り、バレーでは神裂コーチによるスパルタが行われていた
そして、野原以外の男子のほとんどは神裂のスパイクにより倒れていた


「ふむ、これでもきついということですか。飾利が居ないのでやる気ダウンでやっていてもこの様子では練習を少し易しくするべきでしょうか?」
「神裂さーん、飾利がジャッジメントの仕事で居ないからって手を抜かないで下さいねー。後でぜーんぶ飾利に報告しますから♪」
「ですが佐天、やはり飾利のお姉ちゃんとしてはあの子が居ると居ないとでは……」

 スパルタ、それはあくまで他者から受けた印象で実際は神裂はそれほどスパルタな練習はしていない、というかする気が起きないのが事実。
 ここに居ない初春に頼まれて神裂の面倒を見ている佐天も最初は大げさかと思ったが、現実を目の当たりにして初春の判断は正しいと思うのだった。

「でも神裂さんの練習に付いて来てる人も居るじゃないですか。その人達の為にもやる気を出しましょうよ!」
「……そうですね。飾利とは後で会えることですし私も頑張るとしましょう。しかし付いて来てる三名のうち二人が女性というのは意外ですね」

 とりあえずのない物ねだりを止めた神裂、自分を頼ってきたバレー組を思って気持ちを入れ替える。
 ちなみに神裂の練習に付いて来てるのは野原、そして吹寄と赤音の三名のみ。

「ハァ、ハァ、あ、茜川さん、平気? わ、私はま、まだまだいける、けど……」
「私? 私なら大丈夫大丈夫♪ まぁ、少し疲れてるけどこれくらいなら、ね」
(ふ、吹寄はともかく、あ、茜川ってここまで出来るのか……。お、俺も女子二人には、ま、負けてられん! 頑張れば頑張る分だけコーチの乳揺れが……!)

 赤音が神裂の練習に付いて来れる理由は至ってシンプルで、木山が組んだ能力強化メニューのが若干きついからである。
 ちなみにこの能力強化メニュー、付いて来れるのは結標、月夜、真夜、真昼、赤音、翔太のみと意外と過酷。
 ゆえに赤音は付いて来れるわけで、吹寄は元々の運動能力の高さ、野原は執念とも呼ぶべき煩悩のお陰だったりする。

「では三人とも、小休止はここまでとしますが大丈夫ですか?」
「「「はいっ!!!」」」
「いい返事です。では練習を再開させましょう」
「みなさーん、神裂さんの練習がぬるいって思ったらいつでもあたしに言って下さいね。ちゃんとさせますから♪」

 神裂、そして佐天のもとでバレー組の練習はさらに厳しさを増していく。
 しかし吹寄、赤音、野原の表情には嫌そうな雰囲気は全く見受けられなかったのだった。

―――――――――

「なるほど、野球とはそのようなルールだったのですか。ありがとうございます皆さん。自分とショチトルに分かりやすくルールを教えて頂いて」
「い、いいの、気、気にしないで! わ、私たちはショチトルさんとエ、エツァリ君がこ、困ってるようだったから……」
「いえ、それでも自分は皆さんに感謝しています。恥ずかしながら野球のルールをよく把握していなかった自分たちに手を差し伸べてくれたことは忘れません。いつかデーぐふっ!」
「私からも礼を言わせて欲しい。君達の好意に報いる為にも優勝を目指そうと思う」

 こちらは野球場、結標のクラスに短期留学して来たエツァリとショチトルがクラスメートに野球のルールを教えてもらっていた、何故か女性ばっかり。
 というのも理由はエツァリで、素顔の彼も結構美形で性格は紳士そのものでクラスの女子のハートを射止めるのに時間は掛からなかった。
 クラスメートの好意は嬉しいショチトルだが、チヤホヤされているエツァリにやきもちを焼いてすかさず見えないように肘打ちを喰らわせる。

「ど、どうしたのエツァリ君? 急に脇腹押さえて蹲るなんて……具合悪いの?」
「気にしなくてもいい。最低一日一回は起きるただの発作だ、すぐに良くなる」

 サラッと嘘を吐くショチトルにエツァリは恐怖を感じながらも脇腹に走る激痛と戦っていた。
 そんなエツァリの戦いなど知る由もないショチトル、早速練習を開始しようとしたその時、

「「「「あっ」」」」

 同じく練習を始めようとした当麻、土御門、一方通行を顔を合わせてしまう(エツァリは激痛でまだ気付けていない)。


「ショチトル!?何故お前がここにいるぜよ!」

開口一番に疑問をぶつけたのは土御門。続いては一方通行

「どういう事だァ?何でテメェがここにいる?」

さらに続いて上条

「というか、なぜにうちの学校の体操着を着ているのでせうか?」
「にゃー!言われてみればそうだぜ、どういう事か説明を求むぜ!」
「って、おいおい・・・グローブを持ってるっつう事は、まさかとは思うが・・・」

一方通行の言葉にデルタフォースの二人は

「「グローブ?」」

と声を合わせてショチトルが持っている物へと視線が動いていき

「は!まさかアナタ様も出るということでしょうか?!いやだが、学生でもないのにどうやって紛れるつもりだ?」
「いや待てカミヤン!魔術を使えば簡単に紛れることが出来るぜよ」
「オイオイ!?てことは何かァ、変装して俺たちと戦うつもりなのか?」
「おそらくそうだにゃ、しかもショチトルがいるという事は海原もいるはずだ。そしてこんな事を思いつくのは結標ぐらいだぜ」
「ショタコンならやりそうだなァ!俺たちに対抗しようと考えたわけだァ」
「で、どうなんでしょうか?ショチトルさん?」

一を知り十を知るかのごとく速さで解答を導き出しておきながら質問をしてくる三人。
その三人の質問に答えることも出来ずショチトルは思うのだった。

(ここに居るはずのない知人が、学校の体操着姿で目の前に現れたのだから誰だって驚くだろう。そしてなぜこうもあっさり答えを導き出せるのか!)
と。


「まあ大方正解だ。ちなみに魔術は一切使っていない、球技大会中の短期留学の名目でここに居るからな」

 ショチトル達が皮膚の護符を使用して潜り込むよりも無茶苦茶な方法を選んだことに、当麻たちは驚きを隠せずにいた。
 しかし目の前のアステカの魔術師がこのような手段を思いつくわけがないと踏んだ土御門は、

「ところでその短期留学を思いついたのはお前さん達じゃないだろ? 誰の入れ知恵だ?」
「淡希が言うには雲川という女が手続きを済ませてくれたらしい」

 誰の仕業かとショチトルに尋ねた所、予想の範囲内だが良くない答えが返って来たことに頭痛がしてきた。
 当麻も一方通行も雲川がきっとどこかで高みの見物をしてるかと思うと、ため息を吐かずにはいられなかった。

「ったくあの先輩はまた変なことを……。けど他人様の皮膚を引っぺがすなんて真似をされるよりはマシか。ん? じゃあ海原の奴は」
「ああ、素顔だぞ。ちなみに私はいつもの制服だがエツァリはいつもの制服から学ランに着替えている。しかし驚いたな」
「驚いた? 何が?」
「私たちは淡希からは野球には土御門と一方通行が参加しているとは聞いていたが上条、お前が参加しているとは聞いてなかったぞ」

 そう、結標は同じ『グループ』の仲間の土御門と一方通行のことは話していたが当麻が居ることは話していなかったのだ。
 それを聞いた一方通行は嫌な予感を立てると共に、臨戦態勢を取り始める。

「ちょっと待て。するってェと何か? 海原の奴は上条が野球に参加してることは知らねェってことか?」
「ああ、言われれば確かに。もし上条が参加していると知ればもっと積極的になっている筈だからな」
「ちなみにショチトル。件の海原は一体全体どこかにゃー?」
「エツァリなら私の横で蹲っているぞ。ちなみに海原の顔ではなく、エツァリ本人の顔だ。要はスッピンだな」

 当麻達はショチトルの横に人間が蹲ってることに気付いてビックリしていた。
 三人が三人とも、エツァリが魔術で当麻に襲う前に黙らせた後にちゃんと野球で決着をつけるように説得する決意を固めていた。
 そしてようやくショチトルの肘打ちの痛みから解放されたエツァリが顔を上げる、彼の視界に飛び込んできた人物、それは最悪なことに当麻だった。
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