とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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とあるカップルのホワイトデー



3月13日。学園都市に射していた光が既に沈み始め、街灯があちこちで点き始めた頃。とある学生寮の一室では、ある少年がお菓子作りに奔走していた。

「うーん、と。こんなものかなー」
とある高校に通うしがない一高校生・上条当麻は、目の前にある大量のラッピングされた箱を見て、軽く伸びをした。その箱の中には数個ずつのクッキーが入れられている。
-バレンタインに貰った分はホワイトデーにお返しをしなければいけない-
人伝ではあるがそれを情報として認識していた上条は、律儀にも3月14日に届くようにホワイトデーの準備をしていたのだ。

バレンタインデーに贈られた大量のチョコレート。
その数は数百個を数えており、普段から節制・節約に努めている上条とはいえ、差出人が分からないなどを除いても、全部にお返しをすることは容易ではなかった。
それでも、海外組、国内学園都市外組、国内学園都市内組…と区分けし、更にその中で優先度を決めるなど用意を周到にした上で準備をし、きっちりと仕上げることが出来たのだ。
後は配達会社の人にこれを引き取ってもらえば、それでお仕事は完了である。
幸いにも土御門舞夏の手が空いていたことがあり、ここから先の事は舞夏にお任せである。

何かと普段は茶化したりすることの多い舞夏ではあるが、こういう時は流石にメイド見習いである。
バレンタインにくれた人のリスト作成から材料や配達会社の手配、更には3月14日到着を叶えるための期日の設定。
そういった『上条からの義理』の部分での全面的なサポートを一手に引き受け、作り手の上条の尻を叩き、きっちりと仕上げさせる。
そんじょそこいらの家政婦でも難しいような難問をいとも簡単にやってのける彼女の手腕は、もはや秘書レベルなのかもしれない。

「上条当麻ー。贈り物は出来たかー」
「ああ、出来たぞ。これで全部だ」
「了解したー。じゃあこれは全部引き取っていくぞー。後はみさかの分だなー」
「それは分かってる。今から頑張るよ」
「そうかー。頑張れよー」

そんなやり取りをして、上条は舞夏に箱を全て渡すと、一息ついた。
「しかし、何つーか、大変だったな。量が多すぎて何が何だか訳が分からなくなりかけてたし」
10分程だろうか、テーブルで少し身体を休めた上条は、お茶を一杯グイッと飲むと、まだ片付いていないキッチンを見ながら、誰に言うでもなく
「ま、ここからが上条さんの大勝負なのですが」
と、呟いた。


所変わって、とあるデパート。
「さーてと。明日の準備は全部終わったし、後は…」
そう言うと、往来のど真ん中で突如顔を真っ赤にしながら立ち止まり、両手を頬に当てて首を左右に振るという謎の行動を取る、常盤台の制服を着た少女が居た。
その名は御坂美琴。
超電磁砲の異名を持ち、泣く子も黙る超能力者であり、学園都市・その表の顔(象徴)である。
決して不審者などではない。ないのだが…。

(明日はホワイトデー。幾ら当麻とはいえ、大事な彼女をすっぽかすなんてないわよね?明日はお休みだし、朝からちょっとお出かけなんかしちゃって、歩く時は常に腕組みで、ちょっと照れた感じの当麻の顔を見ながら色んな話をして、それで二人でゴハン食べて、何ならデザートをあーんで食べさせちゃったりして、『当麻、口元汚れてる』なんて言って『え?』って当麻が戸惑ってる間に舌で口元拭ってみちゃったり、何ならちょっと景色の良い二人っきりになれる場所に行って沈む夕陽をバックにキスなんかしちゃったり…って、私ったら何考えてるのよ!そんな事ありえないんだから!でも、でも、ちょっと強気で押しつつ、おねだりしてみたら当麻が野獣になっちゃったりして…キャー!)

…というわけである。実に平和である(頭にお花畑が出来ているような気がするが気にしない)。

それもそのはず、先だってのバレンタイン当日、美琴は念願叶い、上条と恋人同士になれたのだから。
詳しい事は省くが、
「最近じゃ、御坂が居ない生活が、考えられないしな…」とか、
「好きだ。どんな事があっても絶対に手放したくない、いや、手放さない」
なんて嬉しいことを言われた上に、
「こんなにも可愛くて、愛しい女の子が彼女なんだ」
なんて言われて、唯でさえ幸せの絶頂に居るところに、
「俺、上条当麻は、御坂美琴とその周りの世界を守る。そして、御坂美琴と共に歩き続ける、ってな」
などと言われてしまったのだ。最早卒倒モノである。

そんなわけで、その日以来、美琴は変わってしまった。
見る人が見れば幸せ真っ只中なのは一目瞭然なのだが、
・明らかに焦点の定まっていない視線
・ニヤけた口元から今にも零れ落ちんとする涎
・常に上の空で話しかけてもスルーされる
など、かつて「お姉さま」「御坂様」などと呼ばれ、慕われていた姿はなく、「だらしない一人の女子中学生」がそこに居た。
気がつけば、周囲も美琴を纏う空気の異変に気付くようになり、誰も関わらなくなっていき、美琴の幸せ浮かれモードに歯止めが掛からなくなっていくのだが、それはまた別のお話。
放課後は基本的に毎日、上条とのデートである。
待ち合わせ時間は午後四時、場所はいつもの公園。
どちらがそうと言い出したわけでもなく、二人の初めての放課後デートがたまたまその状況で始まったが故に、次の日にはもうそれが習慣になってしまっていたわけである。

付き合い始めて数日は腕を組むことすらままならなかった。
美琴は美琴で頭が常に漏電一歩手前の状態であったし、上条は元々そんな事に気付く人間ではない。
結局美琴は寮に帰ってから、自分の思い通りに行かなかった事に頭を抱えつつ、それでも何だかフワフワとした幸せな気持ちで佇んでいるしかなかったのだ、

だが、天が美琴に味方をした。
異常気象と言うわけではないのだが、学園都市にしては珍しく、気温が上がったり下がったりを繰り返していたこともあり、たまたま雪がチラつくほど寒くなったバレンタイン数日後のある日。
日直やらで上条がやや遅れてきたこともあり、結構な寒さに耐えかねていた美琴が、
「ねぇ当麻、寒いから、腕組み、しよ?」
とおねだりをした事により、上条はあっさりと陥落。
それ以来、何かと理由をつけては腕組みを強要しているうちに、気付けば上条の方が最初から腕組みようのスペースを空けてくれるまでに進展したのである。
もっとも、当初は『スペースを用意していなければビリビリが来るかも』などと内心怯えていた上条も、最近では『美琴の身体は柔らかいなー』くらいにしか思わなくなっており、こちらもこちらで何だか危険ではあるが。

そんなわけで、美琴と上条の放課後デートは午後四時からの数時間をメインに行われるわけだ。
基本的にはセブンスミストや地下街でのいウィンドウショッピングがメインなのだが、たまにはちゃんと買い物をしたり、ゲームセンターで対戦する日があり、毎日充実した放課後を過ごしている。
もっとも、上条はといえば、第三次世界大戦の口封じ金や元同居人・インデックスが上条の元を離れるまでの扶養費用(推定)が口座に送られているとはいえ、生来の不幸体質である身の上条がそんな大金を使うわけがなく、相変わらずの極貧生活をしている、という事情もあり、週に1,2日は近くのスーパーに寄り、美琴が「安く済んで材料を節約出来る」レシピを教えたり、上条の手料理を二人味わったり、週末に上条が補習につかまらないように上条の宿題を一緒に解く、と言うようなどことなく家庭的な日を過ごす事もある。

そして、美琴は門限数分前に寮に戻ると、そのままその思い出を胸に焼き付けようとして夢の世界へと落ちていくのだ。
そんな美琴であるから、休日ともなれば朝からテンションはMAXである。
傍からは気付かれない程度におめかしをして、身嗜みを整えるとはやる気持ちを抑えるようにゆっくりといつもの公園へ向かう。
二人のデートの待ち合わせ時間は決まって午前九時。美琴の到着は溯る事一時間前。
三十分もしたら上条が到着するので、一緒に行動する時間はその分増える。
やっている事はと言えば、市街地から離れたところにある大型のレジャー施設に行く事が増えるくらいで、基本やっている事は放課後デートのそれと変わらないのだが、一分一秒でも上条と一緒に居たい、ほんの少しでも長く上条を独占したいという美琴の乙女心は止まることを知らない(ちなみに、先ほどの美琴の妄想は今の二人の関係よりも少しだけ進んでいる。まだまだ二人は初心なカップルなのだ)。
そんな訳で、お休みの日に家族と出かける子供の様に、上条と会う前の美琴の心はいつも浮かれていたりして、同居人の白井黒子はそんな美琴を見てはマットを歯で引き裂かんとするのであるが、それはまた別のお話。

閑話休題

さて、めくるめく妄想の世界から復帰した美琴。
ふとゲコ太仕様の携帯に目をやると、着信が入っていた。発信主は『上条当麻』となっている。
(もしかして、私が電話に出ないから嫌われたと思ってるんじゃ…)
などと、無駄に妄想をしつつ、一分一秒を急かす様に(ちょっとベソをかきながら)電話を掛けてみると、

「あーもしもし?」

上条は落ち着いた調子で電話に出た。美琴がホッと胸を撫で下ろしつつ、

「良かったー。当麻に嫌われてなかったー」

と呟くと、上条がそれを聞き逃すはずもなく、

「俺が美琴を嫌うわけないだろ?」

と言うものだから、「…ふ、ふにゃ…」と、美琴はなんだか心がフワッと浮いてしまった。
美琴の異変に気付いた上条は慌てて、
「ちょ、ちょっとストッープ!落ちついてください美琴センセー!というか、何でこれだけでー!?」
と声を掛けるが、そう言い切るかどうかのうちに、上条には電話越しにビリビリビリというスパーク音が聞こえた(ような)気がして、通話が途切れたので、取りあえず書きかけだった美琴へのメールをさっさと書き終えて送信すると、その後は深くは気にしないことにした。

美琴は実際にスパークを出したわけではなかった。
ただ、生体電流がちょっとばかり暴走したため、携帯は故障しかけているし、無意識のうちに能力が外に出つつあった事もあり、少しだけ恥ずかしく思った美琴は、デパートを出て家路を急ぐことにした。
デパートを出て2,3分歩いたところで、上条からのメールが届いた。

From:当麻(はーと)
件名:明日は
本文:もう付き合いはじめて一ヶ月になるんだな。
上条さんにとってはあっという間に感じますよ。
凄く毎日が楽しいし、幸せに感じる。
そんな訳で、美琴に贈り物をしたいと思うから、楽しみに待ってろよ!

『シンプルなのが当麻らしい』、と美琴は思いつつ、翌日のデートを楽しみに待つことにした。
「当麻と一緒に入れるだけで幸せなんだけど、その当麻がそう言うなら楽しみにしてる」と返信をして。

翌日、雲一つ無い晴れ間の中、美琴が準備を済ませていつもの場所へ向かうと、そこには既に上条が居た。

「おはよう、当麻」
「おはよう、美琴」
「今日は早いのね。もしかして、待った?」
「いや、全然。まあ、自分から呼び出してるし、待ち合わせに遅刻するのだけは避けたかったしな。普段の美琴の行動とかを考えて、こんなものかな、と」
その言葉に、美琴の心は一気に満たされた。胸がジーンと来て、思わず泣きそうになり、照れ隠しや恥ずかしさもあって、美琴は上条の胸元に顔を埋めた。
「当麻…」
「うん…」
上条は胸元に飛び込んできた美琴の背に手を回し、力強く、けれど優しく抱きしめる。
その上条の体が少し冷たいのを感じ、美琴は頭を走らせる。

常盤台外部学生寮に住む生徒の行動時間は平日、休日問わず制限が加えられている。
流石に休日は平日ほどは制限は厳しくないが、それでもそれなりに制約がある。
日頃のデートで門限の時間は知っていた上条だが、朝については知らなかったという事情もあり、常盤台寮の内情をも知る舞夏からその時間を聞き出し、上条自身にやってくるであろう『不幸』による時間のロスや美琴の移動時間などを勘案した上で、「確実に美琴より早く待ち合わせ場所に着ける時間」を決めていたのだ。
ちなみに、上条の自宅出発は午前7時である。そして、こういう時に限って『不幸』に遭遇することがないため、上条はこの場所で1時間以上待っていた、という事になる。

「当麻、ちょっと冷たいよ?大丈夫?」
「大丈夫だよ、美琴。上条さんはそんなにヤワな身体じゃないし、待ってる間に体を少し動かしてたから、意外と中身は暖かいんだな
「そう…良かった…」

上条は「ちょっと心配させたかな?」と思う。
と言うのも、朝方は放射冷却の影響からか少し冷え込んでいたからだ。
また、美琴が上条の体が冷える、という行為自体に抵抗感を持っていることも大きい。
彼氏彼女の関係になってすぐの週末、急な雨で体が冷えてしまった時も、美琴は異常に動揺していた。
上条にはその原因は分からないのだが、とにかく美琴の端正な顔立ちからは表情が消え、まるで妹達の一件で鉄橋の上で会った時やロシアから帰ってきた後初めて再会した時と同じような絶望の顔が自分の眼の中に映し出されたのを、上条は今でもはっきりと覚えている。

美琴は、上条に抱きしめられ、能力を上手く上条に活かせてやれない自分が恨めしかった。
上条の体が冷えていたり、傷ついていたりすると、美琴は自分のことを放り出してでも上条のことを何とかしたいと願うようになっていた。
いつからその思いが自分にあったのかは分からないが、こと「上条の体が冷える」事への抵抗については、今でもそのきっかけを鮮明に覚えている。

去年の10月31日、舞台は極寒のロシア。

美琴は、肌を切り裂くような寒さの中、後少しの所で掴むことが出来なかった上条の手のことを思い出す。
何故、どうして?という戸惑いと困惑。
ブツッと切れた磁力線に悟った、今宵の別れを思わせる感情。
手掛かりを求めて彷徨った果てに見つけた、千切れたゲコ太のストラップ。
一縷の望みを持って繋いだPDAに表示された、該当データなしの記述。
あの時味わった絶望感は、妹達の一件にも匹敵するものだった。
必死に手掛かりを求めて学園都市に戻ってきても何も得られず、ただ時間のみが過ぎていく。
夢の中で魘されたことも一度や二度ではない。
それは、ロシアの舞台そのままに、「さよなら、美琴」と声付きで付加される、文字通りの悪夢。
または、手を繋ぐことが出来ても、その手の冷たさに、上空数千メートルで流れる風の冷たさに、繋いだ手を引きちぎられる、そんな夢。

上条は帰ってきた。帰ってきたことに泣きもしたし、失った時間を、忘れていた感情を、芽生え始めていた思いを取り戻すために、事ある毎に上条と行動を共にした。上条が北極海に沈んでいた事も聞いたし、その過程で上条の周りで起こるトラブルが全世界を巻き込んだものになっている事を知った。

それだけに、あの悪夢だけは未だに忘れられない。
上条は帰ってきた。色々あって、美琴は上条の彼女となり、上条は美琴の彼氏になった。
それなのに、その夢に自分が縛られ続けている。美琴は自覚しながらも、何も出来ないでいる。
だからこそ、今の美琴は『次』があるのではないかと不安に駆られる。付き合い始めて最初に上条に抱きしめられた時、上条の体は暖かく感じた。だからこそ、暖と冷の対比が美琴には重く感じられる。

上条の傍に自分が居ることを示すために、また何処か、自分の力の届かないどこかに行き、体を冷たくしながら、全身傷だらけでボロボロにしながら、それでも戦う事の無いように。


上条当麻という存在が、何でもない普通の一学生として日常生活を歩んでいる証として、美琴は上条の身体は暖かくなければいけないと思うのだ。

どれ程の時間抱き合っていただろうか。
日差しが高くなり始め、お互いがお互いの暖かさに少しだけ満足しだした頃。
上条は本日の目的を思い出した。

「そうだ、美琴」
「うんにゃ?にゃに?」

そういうと、上条は少し美琴を引き離し、徐にポケットから小さな袋を取り出した。
引き離された美琴は少し不満そうだったが、袋を見ると頭に?マークを浮かべる。

「バレンタインのお返し。今渡しておかないと、いつもの不幸で途中で失くしたりするかもしれないからな」
そう言って美琴に袋を渡す。

一方の美琴は、「そういえば…」と昨日のやり取りを逡巡しながら、手に持たされた袋を見つめる。
細かな所に見受けられる荒っぽさ、それがその包みが既製品のそれではない事を表していた。
大きさの割に中身は重みがあるようなので、何だろうと思いつつ、袋を開けてみる。

そこには、ネックレスと袋詰めにされたクッキーが入っていた。
当然ながら、ネックレスとクッキーにはそれぞれ理由がある。

ネックレスは御坂妹のときと同様に地下街の露天で売られていた安物ではあるのだが、二人で放課後デートをしていた時に見つけた物でもあるのだ。
美琴がほんのちょっとの間眼を奪われていたのを見逃さなかった上条は、その後美琴と分かれた後で一人地下街に戻り、そのネックレスを購入していたのだ。

クッキーはといえば、その作り方の自由度に意味がある。
勿論、他にも作り方に自由度があるものは多くあるが、型を意識すると意外とそうでもない。
美琴のチョコレートがやや凝っていたもの(ちょっと苦めのトリュフ仕立て)という事もあり、平凡なものしか作れない上条は形で勝負に出たわけである。
クッキーの枚数は全部で12枚。アルファベットが7種類11枚、記号が1枚。全て綺麗に形作られており、型崩れ等もしていなかった。

「んー、まあ、結構失敗もしましたけどね。お陰でクッキー作りだけは上達したよ。後はネックレスににおいが移ってなければ良いけど…」
上条はそういうと髪の毛をポリポリとかく。美琴の心は嬉しさや喜びで一杯だった。

「嬉しい…ありがとう…」
「どういたしまして」
「ねえ当麻、これ…私に付けて?」

そう言うと、美琴は袋からネックレスを取り出して、上条の前にかざす。
上条はそれを受け取ると、美琴に近づき、慣れない手つきで慎重に、美琴の首にそれを通した。
上条が離れると、美琴は首に掛かったネックレスを手に取り、上条の方を見た。
お互いの眼と眼が合った瞬間、美琴が口を開いた。

「ありがとう。当麻、私、一生大事にするね」
そう言って微笑んだ美琴の顔は、今までで一番美しかった。
そして、その笑顔に含まれた妙な愛らしさと色っぽさに、上条は少しドキリとする。

「俺も、美琴が喜んでくれて嬉しいな」
「だって、当麻からのプレゼントだもの。当たり前でしょ?」

それもそっか、と上条は苦笑いをする。
美琴はそんな上条を見て、「ああ、やっぱり当麻は当麻だな。まあ、そんな当麻が好きなんだけれど」と思いながら、空を見上げた。

先ほどよりもまた少し日が高くなった青空は、綺麗に澄み切っていた。

美琴は「今日もいい天気だな」と思いながら、ふと思い立ったように上条の手を取り、飛び出すように動き出した。
「え、ちょ、美琴!?」
「さあ、当麻、今日は何処に行こっか?」


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