とある右手の番外編(パラレルワールドストーリー)4
御坂とズルい約束をして一週間。
アイツはほとんど毎日のようにオレの部屋に押し掛けてくる。
それを『イヤだ』と言ったらウソになる。
『好き』とか『嫌い』とか、そんな感情はまだ分からないけれど、チョット気になるヤツが自分の部屋に居る。
っていうのは、やっぱり……嬉しいのかな?……オレ。
アイツはほとんど毎日のようにオレの部屋に押し掛けてくる。
それを『イヤだ』と言ったらウソになる。
『好き』とか『嫌い』とか、そんな感情はまだ分からないけれど、チョット気になるヤツが自分の部屋に居る。
っていうのは、やっぱり……嬉しいのかな?……オレ。
しかし、『お嬢様』って言う人種はもうちょっと特別なもんだと思ってたんだけど……。
コイツは何をさせても『お嬢様』って言うより『優等生』なんだよな……。
『掃除』は完璧。『洗濯』ももう終わっている。何より『整理・整頓』が上手い。『炊事』に関しても、オレより腕は上だ。
何でも知り合いのメイドに教わったとか何とか言ってたな。
オレも隣の土御門の妹に教わってんだけど……何なんだ?……この差は?
コイツは何をさせても『お嬢様』って言うより『優等生』なんだよな……。
『掃除』は完璧。『洗濯』ももう終わっている。何より『整理・整頓』が上手い。『炊事』に関しても、オレより腕は上だ。
何でも知り合いのメイドに教わったとか何とか言ってたな。
オレも隣の土御門の妹に教わってんだけど……何なんだ?……この差は?
常盤台じゃあ、そんなコトも教えてんのかね?
噂じゃ『ペルシャ絨毯の修繕方法』なんてモノを教えてるらしいが……(んなモンが何の役に立つのやら……?)。
毎日やってたオレとしちゃあ、ちょっと悔しくもある。
噂じゃ『ペルシャ絨毯の修繕方法』なんてモノを教えてるらしいが……(んなモンが何の役に立つのやら……?)。
毎日やってたオレとしちゃあ、ちょっと悔しくもある。
だけど……そんなコトを考えられる暇はほとんど無い。
「アーッ!!また同じトコ間違えてるじゃないっ!?ッたく、アンタは何度言ったら分かんのよッ!?」
「んなこと言ったって、しょうがねえだろ!?……分かんねえんだから……(ゴニョゴニョ)」
「アンタねぇ……コレって中学生のテキストなのよ?高校生にもなってコレが分からないなんて……」
「いやぁ……上条さんは子どもの頃からバカだったので……」
「んなもん、自慢になるかっ!?このバカッ!!!」
「そんなに『バカ』『バカ』連呼しなくったって……」
「しょうがないでしょ、『バカ』なんだから……それに最初の『バカ』は自分で言ったんでしょ?」
「(グサッ!)ハウッ……」
「何一人で萌えてんのよ……アンタ、もしかして……M?」
「ンな訳あるかっ!?……ああ、不幸だ……」
「アンタねぇ、こんな美少女中学生に勉強見てもらって何が『不幸だ……』よ」
「自分で『美少女』言うな……」
「なによォ~、何か文句でもある訳?」
「い、いえ……ありません……」
「ッたく……ハァ、でもなぁ……ホントコレじゃあ、『あの人』に追い付くなんて夢のまた夢よ……」
「(グサッ!)うっ……」
「やっぱり、向こうとこっちじゃオツムの出来が違うのかしら……?」
「(グサッ!グサッ!!)ハウッ……」
「一体何が違うのかしら……?」
「うう……オマエの教え方が悪いとか……?」
「えっ!?(ギクッ!)」
「向こうの御坂の方が、教え方が上手かったりして……」
「ぐぐっ……(ギクッ!ギクッ!!)」
「もっと優しく、懇切丁寧に教えてくれて……そうしてくれたら、オレももっとやる気が出てさあ……」
「……ヒクッ(……パチッ!!……パチパチパチッ!!!)」
「『当麻ァ~……何度間違えたって、私がちゃんと教えてあげるからねぇ~』な~んて言ってくれたりしてさぁ……」
「フウン、それで……?(ビリッ!バチッ!!バチバチッ!!)」
「そんな風に教えて貰えたら、オレも『うん、美琴のためにオレも頑張るよ』なんて『擬人化美琴たん萌え~』に……えっ!?……」
「(バチバチバチッ!!!)……で、その後どうなるのかな?と・う・ま・く・ん?」
「……アァッ……あのッ……み、みみみ、御坂さんっ!?」
「私がアンタと『あの人』を比べたからって、アンタが私と向こうの私を比べてイイって理屈にはならないでしょう?(バチバチッビリビリッ!!!)」
「えっ!?……そ、そうなのかな?」
「第一、この前名前で呼び合うって言ってたのに、さっきから『オマエ』とか『御坂』とか、全然『美琴』って呼んでくれないじゃないっ!?(バチバチッビリビリッ!!!)」
「そっ、そう言うオマエこそ、『アンタ』とか『このバカ』としか言わねぇじゃねぇかよッ!?」
「アンタが呼ばないのが悪いんでしょうがぁ~ッ!?」
「エエッ!?……全部オレのせい?全部オレが悪い訳?」
「そーゆーコトにしといた方が、収まりがいいんじゃないのぉ~?(バチバチバチバチッ!!!!!)」
(まっ……マズいっ!このままじゃあ、我が家の家電製品達が……全部おシャカに……かくなる上はぁ~……)
「今更、土下座したってもう遅いからねっ!!」
「ううっ?……(行動パターンを読まれてるっ!?)」
「しばらく、テレビもネットもゲームも出来ないようにした方が、今後のためにもイイかも知れないわねぇ~……(ニタァ~)」
「(やっ……ヤバいっ。……こうなったら、だが……この手だけは……この手だけは、使いたくなかったが……)仕方がない」
「えっ!?」
「美琴」
「ふえッ!?(なっ……いきなりッ!?)」
「なんだ、名前で呼ばなかったから、拗ねてただけなんだ(ナデナデ)」
「ふえっ!?……あ……えッ!?」
「(なんだ。拗ねてただけかよ……ッたく、そーゆートコはやっぱり子どもなんだな)」
「アッ……あうあうあう……(ポンッ!!!//////////)」
「アレ?美琴……さん?……アレ?」
「……ふっ……ふ……」
「ふ……?」
「ふにゃぁぁぁぁああああああ~~~~~~(パリパチパリパチッ)」
「そっちかぁあああ~~~!!??」
『パキィィィンッ!!!』
とまあ、毎日がこんな調子で、一向に勉強なんて進みやしない……。
ああ、不幸だ……。
ああ、不幸だ……。
「む~~~~~~~~~~ッ!(パチッ……)」
「何、むくれてんだよ……ッたく。漏電は止めてやっただろ?」
「む~~~~~~~~~~ッ!!(パチッパチッ)」
「なんだよ。まだして欲しいのか?」
「(ポンッ!!!)/////……それは、そのッ……(ゴニョゴニョ)……」
「なんだよ、ハッキリしねぇな……」
「む~~~~~~~~~~っ!!!(バチバチバチッ!!)」
「ハイハイ……なでなで……な(ナデナデ)」
「ふ……ふにゅ……うう……」
「オマエ……じゃなくて、美琴もこうしてると……普通の女の子なのな?(ナデナデ)」
「む~~~~~~~~~~ッ」
「なんだよ、なでなでしてやってんのに……まだ拗ねてんのか?」
「……うもん……」
「ヘッ!?」
「ち……もん……」
「なっ……何が!?」
「違うもん……」
「あの~……何が違うんでセう?」
「拗ねてないもん……」
「じゃあ、何だよ……」
「だってさ……漏電してる私の髪だって……アンタじゃなくって……当麻の右手……平気で触れちゃうんだもん……」
「ヘッへッへ……ムカつくんだろ?」
「べっ……別にムカつかなんかないわよッ!!……ただ……」
「ただ……何だよ?」
「何でも無い……(ナデナデされると、嬉しくなっちゃう自分が悔しい……何て言えない)……何でも無いもん/////」
「あ~……そう?」
「(言えない……恥ずかしくて……言えない//////////)ゴニョゴニョ……」
「……(ポンッ)……(ナデナデ)……/////」
「ヘッ!?……バカ……(でも……気持ち……イイな……)」
「……バカで悪うござんしたね……んじゃ、その『バカ』を少しでも直せるように……頑張りますかね……」
「うんッ!!!その意気、その意気。……エヘヘ……」
「何だよ……何、嬉しそうにしてんだよ?」
「何でもないわよ……(ケンカしなくてすむから嬉しい……なんて言えないし……悔しいから言ってやらないッ!!!)」
「?……変なヤツだな?……まぁイイか」
「んじゃ、私は晩ご飯作るね」
「あいよ~、分かんねぇトコ有ったらまた聴くわ……」
「うん、そうして……さてと……」
そうしてオレたちはそれぞれにやることを少しずつこなしていく。
この前までは、考えられなかった日常が今ココにある。
コレって……もしかして……幸せ……なのかな?
この前までは、考えられなかった日常が今ココにある。
コレって……もしかして……幸せ……なのかな?
だけど……ずっとこのままって訳にも……行かないんだろうな……。
「ごちそうさまでしたっ!!」
「おそまつさま」
「ふぃ~……食った、食った」
「そう?……普通ならもっと食べない?」
「あ……そう……かな?」
「どうしたのよ?……何かバツが悪そうにして?」
「あ……イヤ……(やっぱりこういうトコロ、鋭いよな……コイツって……)」
「何よォ~……ハッキリ言いなさいよ……」
「ああ……いや……アイツがいた頃は……もっと少なかったから……」
「アイツって?……えっ!……インデックスのこと?」
「あ……アハハ……まあ……」
「そういや……そうよね……あの子……」
「何でも『美味しい』って言って食ってくれるのは嬉しかったんだけど……量がな……さすがにキツい時は、ちょっと『イラッ』と来る時も……うん……」
「そんなに食べてたんだ……あの子って……」
「エンゲル係数が100を超える時が何度か……」
「どういう食生活よ!?……それって……あり得ないじゃないッ!!!」
「アハハハハ……ハァ……」
「どうせ、インデックスにはちゃんと食べさせて、アンタはカップめん1個とかっていう生活を送ってたんでしょ?」
「うっ……」
「図星ね……。ハァ……、何でアン……じゃなくて、当麻はそういうコトをしちゃうのかしらね……」
「いや、まあ……オレがそうしたかったから……」
「それで、相手はどう思うのか……考えたことある?」
「えっ!?」
「どうしたのよ?……急にビックリしたような顔して?」
「あ……いや……別に……(コイツから、向こうの御坂と同じコトを言われるなんて……)」
「アン……当麻は当麻なりの優しさでそれをしているつもりだろうけど……」
「それって……『相手のことを考えてないから』なんだ……か……」
「えっ!?」
「向こうの御坂にも同じコトを言われた……」
「あ……そうなんだ……」
「ああ……そう言えばさ……」
「うん?……何?」
「例のメッセージ……聞いたのかなって?」
「あ……ううん……まだ……」
「あ……ゴメン……変なこと聴いちまった……」
「イイよ、別に……ただ……」
「ただ……何だよ?」
「あのメッセージ……聴けないかも……」
「えっ!?……何でだよ?」
「パスワードが設定されてるのよ……しかも、能力で無理にこじ開けようとしたら『ドカン』って行くようになってる」
「そんな……」
「パスワードは何度失敗してもイイみたいなんだけど……」
「けど?……」
「思いつく限りのパスワードを打ち込んでみたんだけど……どれもダメなの……」
「そうか……」
「どう言うつもりなのかな?……向こうの私……」
「アイツを庇うつもりはないけど……アイツが無意味なことをするとは思えない。……それにも必ず意味がある……と思う」
「……当麻……」
「ん?……どした?」
「……ちょっと……ね……(何だか、そんな風に言えるなんて……妬けちゃうじゃない……)」
「何が『ちょっとね……』何だよ?」
「イイじゃない……バカ……」
「あ~ッ……また『バカ』って言いやがったなっ!?」
「フンだっ!!『バカ』だから『バカ』って言ったんじゃないッ!!!『バカ』じゃなきゃ『鈍感』よッ!!!!!」
「わぁ~ッ!?……新しいワードが増えやがったァ~!!!」
「少しは自覚するように繰り返し言ってあげてるんだから、少しは感謝しなさいっ!!!」
「だァ~~~ッ!!!そんなモンに感謝出来るかっ!?」
「『バカッ』『鈍感』『バカッ』『鈍感』」
「連呼すんじゃねェ~ッ!!!……そんなに言うんなら、もう『ナデナデ』してやんねぇぞッ!!!!!」
「ヘッ!?……ヤダ……」
「えっ!?……アレッ?……(ちょっと……想定外の反応が……)」
「ヤダッ……ヤダヤダヤダッ!!!……ナデナデしてくんなきゃ……ヤダッ!!!」
「ヘッ!?」
「ナデナデ……して……当麻ァ~」
「(……何……この……カワイい生き物は……?)」
「ねぇ……当麻ァ~……お願い……(スリスリ)」
「み……美琴……オマエ……キャラ変わってないか?」
「イイじゃない……だって……当麻の『ナデナデ』……気持ちイイんだもん」
「えっ!?……そっ……そうなのか?」
「……うん……だから……ね……」
「分かったよ……ほら、こっち来いよ……」
「うん……(スリスリ)」
「(ポンッ)……ナデナデ……コレでイイのか?」
「うん……ふにゃ……ふにゅぅ……」
「(み……美琴が……メチャクチャ……カワイく見える……)」
「ねぇ……当麻……」
「なっ……何でせう?」
「もうちょっとだけ……甘えても……イイ?」
「ちょっとだけだぞ……うん……それなら構わないから……(何か……理性が……ヤバい気が……)」
「帰るまで……このままで……イイでしょ?」
「あ……、ああ……。イイ……けど……」
「エヘッ……ふにゃ……にゃぁ……」
「ん?……あの~……美琴さん?……コレってもしかして……」
「うん?……なあに……当麻ァ……ふにゃぁ……」
「あ……いや……何でもない……うん……(洗い物はオレにしろって事か?って聞こうと思ったけど……、まぁ……イイや)」
「ふにゃ……にゃにゅ……(ゴロゴロ)」
「(何か……ホントに……ネコみてぇ……)」
「ふにゃ……(コイツに甘えてる……私……当麻に……甘えてるの?……そして……それが……こんなに心地イイなんて……)」
「(そう……だよな……コイツも……美琴も……ある意味、ただの中学生……何だもんな……)」
「(甘えてる……コイツに、当麻に甘えてる……。今は……私だけ……私だけの……)」
「なァ……美琴……」
「ふえっ!?……なっななななななにっ!?」
「オレたちまだ……ズルい関係のままだけどさ……」
「あ……うん……」
「甘えたくなったら……甘えてイイから……な」
「えっ!?」
「色々あんだろ?……『レベル5』とか、『常盤台のエース様』とかさ……肩の力を抜きたくなったら……いつでもイイから……」
「そんなコト言われたら……ホントに甘えちゃうよ……」
「ああ……イイぜ……」
「当麻から……離れなくなったって……知らないから……」
「それは……困る……」
「む~~~~~~~~~~ッ……何でよォ~……」
「また……泣かせちまうかも……知れないから……」
「え?……そ、それって……」
「あ……そろそろ、帰る支度しないと……な……」
「あ……もう、そんな時間……?」
「……だろ?……ほら」
「あ……ホント……(もうちょっと……居たい……な……)」
「ほら……送ってやるから……」
「えっ……イイよ……勉強もあるし……」
「ダメだ……いくら『レベル5』とは言え、こんな時間に女の子を一人で歩かせられるか!?……ちゃんと寮まで送ってやるからさ……」
「うう……(そんなコト言われたら……もっと甘えたくなっちゃうじゃない……。そしたら……もっと離れられなくなっちゃうよォ……)」
「早くしろよ……」
「う……うん……(コイツはそういう事を平気で言うだけ。コイツは、自覚なしに言ってるだけ……。私がどんな想いで聞いてるかを分かってない……。だけど……だけど……。コレって……期待して……イイの?)」
「美琴……早くしろよ……」
「あ……うん……(『期待するな』って言われてる訳じゃない……。だったら……でも……でも……やっぱり……紛らわしいのよ……このバカ……)」
「それじゃあ……行こうか?」
「あ……うん……」
「ん?……どうしたんだ?……黙りこくって……」
「……何でもない……」
「……変なヤツ……」
「(アンタが紛らわしいからじゃないッ!!……ホントに鈍感でバカなんだからっ!!!……)」
「何か言ったか?」
「……べっ……別に……」
「そっか……なァ……美琴……」
「何よ?……当麻……」
「コレからも……ズルい関係のままだけどさ、……もうしばらくの間……ヨロシク……頼むな……」
「うん……イイよ……」
「オレも……『答え』が出せるように……頑張るからな……」
「えっ!?……『答え』って?」
「あ……スマン……まだ……今は話せない……。だけど……いつか必ず……話すよ……」
「うん……じゃあ……待ってる……」
「ありがとな……美琴……」
「ね……当麻……その……待つ代わりにね……」
「うん?」
「時々だけど……甘えても……イイ……よね?(ポッ//////////)」
「あっ……ああ……それは……時々なら……イイ」
「うんッ……約束……だよッ」
「ああ……約束だ……」
「エヘッ(ギュッ)」
「(何か……柔らかいモノが……当たってるぅ~~~~~……)」
この時、二人の顔は真っ赤に染まっていたのだが……街灯の灯りでは、そこまで分からなかったようだ。
今はまだ、『友だち以上、恋人未満』のこの二人。
今後どうなりますことやら……。
今後どうなりますことやら……。
ただ、『本来のあるべき日常』を取り戻しつつあるのは……間違いなさそうです。