とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part02

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Chapter1 ~日常と非日常の狭間~


翌日、11月14日 A.M. 8:00

「……………………眠い、痛い、力が入らん…………………不幸だ………」

神様の答えに辿り着く前に、疫病神の新境地に辿り着いてしまいそうな少年――――登校途中の上条当麻はそう呟いた。

何故こう呟いたか?
その訳は実にシンプルである。

眠い→昨日の鬼ごっこが想像以上に長引き、帰宅時間が非常に残念な物となってしまった為

痛い→上条の事を心配して心配して心配しまくり、最終的にその心配が全て怒りに変換されたインデックスの餌食となった為

力が入らん→朝食なんか食ってる暇があるかあぁぁぁぁあああああ――――――!!!!!!!!(上条談)

そんなこんなで、朝っぱらから負オーラを撒き散らしながら歩いている上条の視界の端に、
ある知り合いの姿が映った。

ショートヘアーで、ベージュのブレザーに紺色のチェックのスカートを身につけた、その少女は

「おーっす、御坂」

「ふぇっ?!アンタあ??!!」

「…………何でテンパってんだお前?」

不意に上条に声をかけられ、極度に緊張した御坂美琴がそこにいた。

(はあ、びっくりしたあ…………………でも待って、これはチャンスじゃない?
…………………………………よし、絶対に誘ってやる!!頑張れ御坂美琴!!!)

と純情乙女 御坂美琴が心の中で密かに拳を固めていると

「?まあいいや。ところで、お前は一端覧祭に何やるつもりなんだ?」

「……………えっ?」

先手を取られた。
物の見事に、自分の言おうとしていたことを言われた。
しかし、せっかく一端覧祭の話になったので、どうにか一緒に回る方向へ持って行こうと思考を巡らす純情乙女。

「う~ん、私のとこでは喫茶店って話が出てるみたい。アンタは?」

「レストランだって。まあ喫茶店と似たようなもんだろ」

「レストランって新しいわね………。てかそもそもアンタって料理出来るの?」

「むっ、あんまり男子高校生の家事スキルを舐めない方がいいぞ。そういうお前はどうなんだよ?」

「残念でした!!こっちも一応、家庭科で一通り習ってるんだから」

「確か、お前んとこの家庭科って色々と規格外だった気が………………」

上条が言っているのは、ペルシャ絨毯のほつれの直し方や金絵皿の傷んだ箔の修繕方法のことである。
勿論、家庭科という名前もある為、そんな規格外な技術以外にも、家庭料理など普通のことも学習内容に含まれている。

「まあ、間違いなくアンタよりは美味しく作れるわね」

それを発言した瞬間、美琴は激しく後悔した。
普段通りの挑発的な態度を取ってしまったからである。
こんなんじゃコイツを誘えない、と思った美琴はいかに軌道修正するか超能力者(レベル5)の脳をフル回転させる。

が、その必要はなかった。
なぜなら

「ほぅ………………………それは私上条当麻に対する挑戦状と受け取るぞ?
………………いいぜ、一端覧祭が始まったら俺んとこに気やがれ!!その発言、必ず撤回させてやるからな!!!」

「あああ――――――!!!ゴメンゴメ…………………………っへ?」

「だから、一端覧祭が始まったら俺んとこで飯を食っていけって言ってんだよ!!!」

上条が勝手に軌道を直してくれたからだ。それもかなり良い方向に。

さて、当の美琴はと言うと、一緒に回るまではいかなくても、上条の方から誘ってくれたことに対する嬉しさと気恥ずかしさとが混ざった結果

「ふ……………………」

「覚悟しとけよ!!みさ…………………かさん?……………………………まさか…………」

「ふにゃああ―――――………………」

「何でいっつもこうなるんだああぁぁぁああああ―――――――!!!!!!!!!」

言うまでもなく、美琴の漏電が上条を襲った。


A.M. 8:50

「…………で、何なんだこの班分けは?」

美琴の漏電を抑えて疲れきった上条を待っていたのは、『一端覧祭における班分けリスト』を掲げた一端覧祭実行委員 吹寄制理(フキヨセおでこDX ver.)だった。

勿論、その吹寄の行動が問題なのでは無い。
問題は吹寄の掲げる『一端覧祭における班分けリスト』にあった。

「上条当麻、何か問題でも?」

「大ありだ!!!何で俺だけ全部の班に振り分けられてんだよ!!!!」

確かにリストを見ると、接客班、調理班、雑用班と全ての欄に上条の名前が書かれている。

「中々、斬新な班分けだとは思わないかしら」

「斬新過ぎらああ!!!…………………どうせ異議は通らないだろうから、せめて理由だけでも聞かせてくれ………………」

「簡単に言えば、全部の班から『上条をこっちに寄こせ!』っていう要望があったからよ」

「………………吹寄、何故お前はその要望を通したんだよ…………」

補足説明すると、それぞれの要望理由は

接客班→「上条君なら、女の子も呼べると思うんだ!!」

調理班→「かみやん、意外と手際がいいんだぜい?」

雑用班→「上条は一番、雑用が似合ってんだよ!!!」

と、かなり的を射ているものが多い。
実際に吹寄も、要望理由の説得性と、各班の勢いに押された節がある模様。

「人気者は辛いわね……」

「いやどう考えても、厄介事を押しつけたいだけだろ!!!」

こうして、上条が吹寄とぎゃあぎゃあ騒いでいると、教室に見た目小学生の担任が入ってきた。

「上条ちゃ~ん?何を朝から騒いでいるのですか~?」

「これのせいですよ!!!見て下さいよ先生!!!!」

教室に入ってきた我らが担任――――月詠小萌に、上条は吹寄への抗議も含めて例のリストを見せる。

「…………………………少し……というか結構常識を凌駕した班分けですね、吹寄ちゃん…………」

「すみません……、みんなが上条の事をほしがってたもので……つい…………」

その言葉を聞いて表情を明るくした上条が吹寄に、だろっ?だろっ?という目線を送るが、直後に、その幻想は打ち砕かれる事になる。

さて、上条の表情の変化と共に、月詠小萌と吹寄制理の会話を見ていこう。

「もう…………吹寄ちゃんも困ったちゃんですね………………しょうがありませんね、今回は特別ですよ?」

「すみませ………………………って、えっ?」

もうこの段階で上条の表情は曇っていたりする。

「今回だけは上条ちゃんに我慢してもらいます!!それでいいですね、上条ちゃん?」

「だって、良かったわね上条当麻」

上条の表情が、完全に暗くなった。
漆黒とはこの事を言うのかもしれない。

「ああ分かりましたよ!!!どうせ上条さんには味方なんかいないってことが!!!!もう接客班だか調理班だか雑用班だか孤立班だか何だか知らないが勝手にしやがれコンチクショ――――――!!!!!!!!!!!!!!!」

自暴自棄――――――――その言葉は、今の彼によく似合う。

因みに、そんな上条を見かねた土御門や青髪ピアスが

「……かみやんならきっと大丈夫だぜい………きっと……」

「かみやん、全部の班に入れるなんて名誉なことなんとちゃう?……………ハハハ……」

と頼りないフォローを出していたりするが、今の上条の耳に届くはずもない。


TIME:UNKNOWN

男は自宅にいた。
自宅と言っても、廃ビルの一室に布団を敷いただけのものだが。

男は今、パソコンで学園都市の書庫(バンク)を調べて……いや、正確にはクッラキングをしていた。
理由は当然の如く、処分対象の情報収集である。

「………………ちっ、こりゃまた随分と厄介な能力だな……………、アレを調達するか…」

時折こうして独り言を呟く姿は、正の世界はおろか、負の世界の中でさえ異質を思わせる。

「……………………………………よし、これで最後か……………」

どうやら目的のものが見つかったらしい。
目に止まらない動きでキーボードを叩き、最後にEnterキーを入力する。
そして、画面に映し出されたものは――――――――――

「…………………は?無能力者(レベル0)だあ?………ハハハ………俺も舐められたもんだなあ!!!!!!!」

自宅の床に打ち捨てられている『処分対象リスト』。
そこに書かれていた名前は、

Accelerator

Last Order

MISAKA Worst

Mikoto Misaka

そして――――――――――

Toma Kamijo

闇の暗殺者(アサシン)は静かに笑う。


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