とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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 何だかんだでそれぞれに昼食を済ませ、友愛高校の生徒と教師、【歩く教会】チームなどの助っ人達、観覧希望者は第二十学区の全天候スタジアムに集結した。
 決勝に出場する選手たちはそれぞれの控え室へと通される。

「じゃあ俺と真昼さんは医務室で応援してるから。みんなは試合頑張って」
「井ノ原弟、お前さんも一応控えに入ってることは忘れるなよ。いざとなったら試合に出てもらうからな」

 そうならないように祈ってる、真夜は真昼を背負って医務室へと向かった。
 いや、絶対にいざという時は来る、上条達全員が同じことを思っていた。

「さて、試合前にやっときたいことがあるぜよ」
「やっときたいことって何なん?」
「チームのキャプテンを決めるんだにゃー♪ ちなみにオレは監督兼選手だから外ぐおっ!」

 決勝に臨むにあたってキャプテン選びを提案した土御門だが、いきなり後頭部に打撃をもらってしまう。
 頭が割れそうな痛みに耐えながら後ろを振り返った土御門が見たもの、それは魔法のステッキ(ヘッドクラッシュ)を構えた姫神だった。

「土御門くん。寝言は寝てから言って。チームのキャプテンは秘密兵器の私」
「「その通りです姫神さま!!」」
「ちょっと待ちなさい! 大事な決勝戦のキャプテンはクラス委員長のこのあたしよ!」
「ふ、吹寄には悪いけどお、俺もキャプテンに立候補する! この試合に対する思いは誰よりも強いんだからな!」
「ハッ、テメェら雑魚どもに決勝戦のキャプテンっつー大役が務まるわけねェだろうがァ! つーわけでレベル5第一位の俺がやってやンよォ!」
「アクセラくんは打ち止めちゃんにカッコいい所見せたいだけでしょ! キャプテンは最初からサッカーに参加してるこの私だよ♪」

 姫神、吹寄、情報屋、一方通行、白雪のキャプテン立候補者たちが誰一人として譲ることなくもめ始める。
 東原と野原はあの雰囲気に入れず、茜川は真夜が居ないなら白雪でいいと考え、浜面と服部は姫神の応援、上条と翔太は巻き込まれたくないのでキャプテンに立候補していない。
 このままでは埒が明かないと思った土御門は、

「分かった分かった。そんなにキャプテンになりたいならジャンケンで決めたらいいぜよ。カミやんを含めた6人でパパッとやって欲しいですたい」
「ちょっと待て土御門! 何で俺まで入ってんだよ! キャプテンに立候補してないって分かってるよな!」
「こうゆうことはカミやんが居ないと始まらないですたい。ま、カミやんがジャンケンに勝てるなんて思ってないから気軽にやってくれ」

 上条も巻き込んでのキャプテン決定ジャンケンを提案すると、キャプテン立候補者達はあっさりと受け入れた。
 キャプテンなんかやりたくねぇのに……不幸だ、いつもの言葉を呟いた上条はジャンケンに負けるつもり満々である。
 ジャンケンの勝者がキャプテンというルールのもと、上条のクラスのキャプテン選出ジャンケンが幕を開けた。

――――――――――

 その頃、相手チームの控え室前では【歩く教会】チームと美琴、初春が顔を合わせていた。
 初春と大抵一緒に行動している神裂は、五和の上半身メイド下半身ブルマーの服装を見て別の部屋で五和に説教中。
 佐天はショチトルを発見、久々の再会を楽しんでいる最中である。

「……まあ、インデックスが居るからステイルさんも居る、最愛が居るからオバサンが居る、それは分かる。でも……なんでアンタがここに居るの?」
「何でと言われる意味がサッパリ分かりません、とクールビューティーはお姉様に未来のだんな様と試合で出来ることを自慢してやります」
「オーケー妹。今のは考えるまでも無く攻撃してもいいって合図よね」

 どや顔をする御坂妹(彼女なりに)に切れる寸前の美琴の前に割って入った初春、見事に美琴の怒りを抑えることに成功。
 ちなみにオバサン呼ばわりされた麦野も美琴に対して怒っているがこちらは絹旗が何とか抑え込んでいる。

「ダメですよ美琴お姉さん、妹(まい)さん。こんな所で姉妹ゲンカは」
「オーナー初春がそう言うなら、とクールビューティーは素直に引き下がると共に便宜上の名前は観阪 妹(みさか まい)と告白します」
「…………え? 何、アンタ達知り合い? というか便宜上って?」

 初春曰く、冥土返しの病院に通院しているうちに【妹達】と知り合いになり、今では仲良くさせてもらってるとのこと。
 そんな時、御坂妹からレンタルショップの会員証を作るのにミサカ10032号では作りづらいと相談を受ける。
 最初は初春も迷ったが、冥土返しに尋ねたら力になってくれと後押しされて学園都市に居る【妹達】に色々と便宜を図るようになったのだ。

「そうゆうわけでクールビューティー達は彼女をオーナーと崇め、頼まれごとを引き受けるようになったのです、とクールビューティーは現状説明を終えます」
「いつかは世界中の【妹達】さん達もと思ってるんですけど今の私の力では学園都市の【妹達】さん達が精一杯で……」
「知らなかったわ、飾利とあんた達がそんな関係だったなんて。……ね、ねぇちょっと待って。まさか飾利、あんた……」

 今までの会話を聞いて信じたくない1つの事実に気付いた美琴、血の気が一気に引くのが分かった。
 目の前の義妹から侮蔑の視線を送られる、罵倒を浴びせられる、そう考えると怖くて堪らない美琴を襲ったもの、それは初春からの抱擁だった。

「大丈夫ですよ美琴お姉さん。【妹達】さん達のことも【絶対能力進化】計画のことも知ってます。でもそれで美琴お姉さんを嫌いにはなりません」
「……嘘。だったらあんたは私のしたことも知ってるんでしょ? なら」
「言ったはずです、それで美琴お姉さんを嫌いにはならないって。悪いのは小さい美琴お姉さんを騙してDNAマップを提供させた人達です」

 それ以上の言葉は美琴には出せなかった、初春の小さい体ながらも包み込むような抱擁の不思議な力によって。

「責めたくなる時もあるでしょう、たとえ乗り越えた今でも。でも美琴お姉さんはこうやって生きています。本当なら許せないはずの一方通行さんとも仲良くなって」
「飾利……」
「全てを受け入れて未来に向かって生きてる美琴お姉さんの味方ですよ、私。たとえこの先どんなことがあったとしても。もちろん一方通行さんもでわぷっ」

 初春の言葉を遮って美琴は目の前の少女に抱きついて声を出して泣き続けた、時々ありがとうと呟いて。
 年不相応過ぎる包容力を見せる初春を見てその場に居る面々は思った、精神年齢が実年齢の倍以上はあるだろうと。
 そして泣き止んだ美琴に何度も大丈夫と尋ねた初春、本人のスッキリした表情を見て気持ちを思いっきり切り替えた。

「じゃあ皆さん、試合頑張って下さい♪ 私達は観客席から皆さんの頑張りを見てますから」
「待つんだよかざり。私たち、いい加減この覆面脱ぎたいんだけどどうしたらいいかな? このままだとうまに私たちが参加してるって分かってもらえないし」
「……インデックス、あんた本気で言ってるの?」
「みことには悪いけどとうまは追試と補習を逃れたことが無いくらいのおバカさんなんだよ。私たちの正体なんて検討すらついてないかも」

 いや、そこまでバカじゃあ無い、インデックス以外の全員が思ったがバカ自体を否定していないのはあんまりな話だろう。
 しかしインデックスが納得していないので初春が彼女に覆面を脱ぐタイミングを教えることに。

「だったら試合開始前に皆さんで一斉に脱いだらどうでしょう? それならきっと当麻お兄ちゃんも驚いてくれますよ」
「確かにそれなら上条当麻も驚いてくれるだろうね(驚くよりも呆然としそうだけど……)」
「でしたらクールビューティーも従います、とクールビューティーは覆面を脱いでもゴーグルは取らないことを宣言します」
「幻想殺しはともかく浜面の驚くツラが見られるならそれが一番良いタイミングか。本当ならもっと派手にバラしたかったけど」
(お兄ちゃんにはとっくに超ばれてるとは言えませんね。けど麦野の言うとおり浜面のバカっぽく驚く顔は超見ものかもしれません)

 他の【歩く教会】チームのメンバーが肯定的なことを受けてインデックスも初春の案を受け入れることに。
 そこに闇咲が現れ、ステイル、五和、エツァリ、ショチトルを呼び寄せて別室での禁止事項についての説明を始めた。
 なおインデックスは禁止するような事項は無いので対象外となったが、そのことで少しむくれたのは本人だけの秘密である。
 合流した神裂に抱きかかえられながら初春は美琴、佐天と一緒に観客席へと向かうのだった。

――――――――――

 その頃、数十回のあいこを経て上条のクラスのチームのキャプテン選出ジャンケンが終了、それはすなわちキャプテンが決定した瞬間でもあった。
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