とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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 絹旗が先取点を取ったことで決勝進出連合チームがはしゃぐ中、納得いかない吹寄が審判の災誤に詰め寄ろうとした。
 それを止めたのは絹旗をよく知っている浜面で、吹寄が納得出来るように説明を始める。

「絹旗の奴は直接ボールに触ってるわけじゃないから反則にはならないんだよ。あのパワーも全部あいつの能力の賜物ってやつだ」
「(だとしたらあの子は念動力系の能力者って所ね、しかもかなり強力の)分かった。説明ありがとう浜面」
「浜面の奴、吹寄にありがとうって言われてやがる……。くそっ、こっちも負けてられん! 吹寄にあの絹旗って子の情ほヒッ!」
「余計なコト喋ンじゃねェ。テメェが五体満足でデコ女とデートしてェならなァ」

 情報屋が何かを言おうとしたことに気付いた吹寄だが、一方通行が肩に手を回して脅してるのを仲良くしてるのだと勘違いしてその場を離れた。
 その一方で、絹旗の【窒素装甲】による殺人シュートをまともに喰らった東原を心配してるのは上条と野原のみ。

「お、おい大丈夫か? 東原。さ……あの子のシュートのダメージが酷いなら土御門に言って交代」
「だ、大丈夫だ、か、上じょゲホッゲホッ! こ、これくらい、し、白雪との練習で、な、慣れっこだし、ここで交代したらお、女の子に、モテねぇよ」
「よく言った東原! その頑張る姿に試合会場の女の子の何人かは感動してるはずだ! よし、俺も負けてられん。女の子にモテる為にも!」
(野原も東原も何であそこまで女の子にモテたいって思うんだ? 俺には分からんな。ま、モテたことなんて一度も無いわけだけど)

 熱血のベクトルを間違った方向へと向けてる東原と野原を見て上条は口に出してたら周囲からリンチに遭いそうなことを考えていた。
 そして試合が再開される、上条チームのボールで。

「さて、さっきは油断したけど今度はこっちの」
「言ってるそばから油断とは余裕ですね、とミサカは第五位へと立ち向かいます」

 ボールをキープしてる白雪に挑む御坂妹、能力の強度に差はあるが一対一を制したのは御坂妹だった。
 ミサカネットワークで得た効果的なプレッシャーのかけ方でパスを出せない白雪に放電で目くらましをし、その隙にボールを奪うという手段で。

「め、目がっ! ちょ、ちょっと今のはズルイよ!」
「油断してる方が悪いのです、とミサカはさらっと抗議を受け流します。それにこの程度で喚いていては試合には勝てませんよ」
《妹さん、ボールを五和さんへ。こちらの臨戦態勢を完全なものにする為に》
《了解です、とミサカは第六位ことメン子さんの指示に従うと共に念話もミサカネットワークでの会話もさして変わらないかもと感想を口にします》

 御坂妹はメン子呼ばわりされたことで喚いている心理掌握を無視して五和へとパスする。
 パスを受けた五和は全身で感じ取っていた、自分に対して視線が集まり、力が漲ってくるのを。

(周囲の期待の視線を自分の力へと変換するこの術式、上手く機能してますね。上半身メイド、下半身ブルマーの注目を集める服装が功を奏しました)
「おーい邪道メイド。さっさと攻め込めよ。あんたがしくじっても私らがフォローしてやるからさ」
「……上着を下乳がギリギリ見える所まで着崩してる貴女に邪道って言われたくありません。では天草式十字凄教五和、参ります!」

 変則的な強化術式を組み込んだ上半身メイド下半身ブルマーに身を包んだ五和、いつも以上の運動性能を発揮して相手ゴールへと疾駆する。
 ただでさえ強化されてドリブルのスピードが速い上に、鋭いフェイントで翻弄する五和は白雪、茜川、翔太、浜面、服部をあっさりと抜いた。
 見事な五和のプレーに観衆が湧き立つ中、一方通行が不敵な笑みを浮かべて五和の前へと立ちはだかる。

「ふン、この教育上よろしくなェ変態メイドがァ、でしゃばってンじゃねェぞォ!」
「例え白モヤシでも今の私は止められませんよ!……覚悟!」
「だったら見せてやるよォ……学園都市最強のフェアプレイって奴をよォ!!」

 一方通行はそう叫ぶや否やその場で足踏みをし、ベクトル変換で辺りの土を宙に巻き上げた。
 当然、そんな事をすれば五和のキープするボールは宙を舞い、更にその土埃のせいで五和の姿は観客には見えなくなってしまった。

「しっ…………しまった!!!」
「どォした、変態メイドォ!さっきまでのキレがねェぞォ!!」

 そう、一方通行の巻き上げた土埃によって五和の姿が見えなくなってしまった事により五和が用いていた自分に向けられる視線を力に変える魔術の効果が薄れたのだった。
 当然ながらそんな魔術だとは一方通行が知るはずもないが、やはりそれは運が良かったのだろう。

「はン、このままゴールまで一直線だァ!」

 そのまま一気に加速する一方通行。
 いきなりの加速にディフェンス陣は呆気にとられ、その隙に一方通行はゴールを目指した。

「おい、第六位!ソッチ行ったが大丈夫か?」
「アク様が…………アク様が私のもとに向かってきているぅーーー!」
「こんな第六位で学園都市は大丈夫なのでしょうか?とミサカは今気付いた不安を口にだしてみます」

 御坂妹が呟いた不安の通り、大丈夫ではなかった。
 何故なら現在心理掌握は一方通行に見とれている。
 つまり一方通行が蹴ろうとしているボールの軌道やらを全く見ていない。

「コレが学園都市最強のフェアプレイって奴だァ!!」

 当然、そんな事になればシュートはド真ん中にでも行かなければ普通に決まってしまうのだった。
 コレにより開始1分で上条チームが得点、スコアは1―1と降り出しに戻った。

「アク様が私に、アク様が私にきゃんっ!」
「はいはいトリップは試合が終わってから。こっちも一方通行のノーモーションの加速に反応出来なかったから大きいことは言えないけどね」
「俺はあの第一位の一方通行が真っ正面から突っ込んでくるっつー根性入ったプレイに関心してただけだ! 次はちゃんとやるから任せとけ!」

 夢見心地の心理掌握をチョップ一発で現実へと引き戻した結標、自身の油断に反省しつつ削板の態度に若干呆れていた。
 そこへ残りのチームメイトが集まってきたのを確認した心理掌握はインデックスに尋ねる。

「インデックスさん、相手チームの行動パターンを完全に記憶するのに時間はどれだけ有しますか?」
「う~ん、20分あれば何とか。よく知ってる人達なら時間はかからないけど、あまり知らない人も居るから」
「分かりましたわ。皆さんも相手チームのプレーを多く引き出すようにご協力、お願いします」

 心理掌握の謙虚な態度にチームメイト達は頷くと、迅速にポジションへと就く。
 そして決勝進出連合軍のボールで試合再開、反撃が始まるかと思われたが、

「ハッ遅ェ! そンなハエが止まりそうな動きしてンじゃねェよ!」

 足元のベクトル変換を使っての鋭いスライディングで御坂妹からボールを奪った一方通行に阻まれる。
 すぐさま五和、エツァリ、ショチトル、麦野が一方通行に詰めようとするがインデックスがそれを制する。

「そのまま行かせて。白い人のプレースタイルを確認したいから。それにゴールならさいあいが向かってるしぐんはも居るから大丈夫、シュートは防げるんだよ」
(これが一〇万三〇〇〇冊の魔道書を記憶している禁書目録ですか。見た目と違い、冷静な判断力を持っているとは実に頼もしいですね)
「エツァリ、私達は絹旗たちが止めたボールを受け取るためにこのまま待機だ。前線は既に五和と麦野が上がっている」

 エツァリとショチトルは絹旗と削板を信じてすぐにボールを受け取れる場所まで下がり、五和と麦野はいつでも攻められるように上がっていた。
 そんな相手チームの動向などお構いなしな一方通行は完全フリーの状態でシュートを放つ、コースは真っ正面に。

「これで2点目ェ!」
「それはどうでしょうねアクセラ! 私が居るかぎりはそう簡単にゴールはぬぐっ! うおおおおおおおおおっ!」
「口だけは達者じゃねェか絹旗ァ! けどテメェに【窒素装甲】があってもその小せェナリじゃあボールは受けれても止められやしねェンだよ!」

 一方通行のシュートに立ち向かう絹旗、シュートこそキャッチ出来たもののシュートの威力に体が押されてしまう。
 何とかグラウンドに足をつけてふんばって威力を殺そうとするもそれだけでは足りず、なおも押される絹旗の真後ろに削板が現れる。

「よく踏ん張ったな絹旗、いい根性してやがる。後は俺が根性入れて踏ん張ってやるからお前はボールをグラウンドに叩きつけろ!」
「超了解です! やあっ!」

 削板の指示通りに絹旗が無理矢理ボールをグラウンドに押し込めるように叩きつけると、削板は両足に力を入れて絹旗を支える。
 その結果、PA(ペナルティエリア)まで2人の体は持っていかれたもののシュートを止めることに成功した。
 一瞬の沈黙の後、スタジアムから大歓声が湧き起こる中、絹旗はグラウンドに半分埋まってしまったボールを引っこ抜いてエツァリへと渡す。
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