とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
(仕方ない。この少年が火傷しないように地面に炎を放ってその熱気に怯んだ隙に)
(本当は危険だけど今の僕ならきっと出来る。この人の目の前で一瞬だけ炎を出してその怯んだ隙に)
*1

 お互いに炎で相手を怯ませた隙にボールを奪おうとし行動に移ろうとするが、それは起こらなかった。
 ステイルと自分を【座標移動】で入れ替え、恋人の翔太と一対一をしたくなった結標の仕業である。

「さー翔太、少しの間だけど私と2人っきりで遊ぼっか♪ あんな老け顔相手するよりかいいでしょ?」
「あ、淡希……えっと……」
「結標! 君は何を考えているんだ! 今は試合の最中だというのには、放せエツァリ!」

 入れ替えられたステイルが試合中にも関わらず結標に詰め寄ろうとするも良識あるエツァリに羽交い絞めにされてしまう。
 翔太は突然のことに最初は呆然とするものの、結標が自分をじっと見ていてボールを奪いに来る気配を見せないので謝りながら自分の恋人を抜き去った。
 それでも結標が追いかける気配を見せなかったので翔太が完全にフリーになるが、

「全く結標さんってばいざという時に使い物にならないんですから!」
「うわっ!」

 五和の鋭いスライディングタックルで翔太からボールを奪い、自ら上条チームゴールへと攻め上がる。
 一方通行は麦野に、白雪はステイルにマークされているので五和は猛然と駆け上がるかと思われたが、後ろからの気配に気付く。
 その気配に気付いた五和は上条チームゴールに背を向けてボールをバックパスすると、すぐさまそこから退避した。

「任せましたよ削板さん!」
「さすがだぜ五和! 俺並みの根性を持ったいい女、以心伝心ってやつだな! むっ」
「させないっ! たとえ怪我することになってもこの追加点は守るんだから!」
「口から衝撃波撃つ女か、俺の前に立つたぁいい根性してんじゃねぇか! いくぜ、手加減無しだ!」

 気配の主は削板で本人も以心伝心と言ってはいるが、単に妙に暑苦しさを感じただけに過ぎない。
 削板のオーバーラップに気付いた茜川は今までなら真横から衝撃波を撃ってシュートを防いでいたが、残り時間と後半の士気を考えて真っ向勝負に出たのだ。

「すごいパーンチ!!」
「ワアアアアアアアッ!!」

 衝撃波を撃ち出す2人、しかしレベル5とレベル4では真っ正面からのぶつかり合いでは勝負にならず、

「キャアアアアアアッ!」

 削板のすごいパーンチがボールを撃ち出す形になり、茜川も真っ正面に居たせいで吹っ飛ばされてしまう。
 しかも意図的かつ直接的に茜川を能力で吹っ飛ばしたわけではないので削板の反則は取られなかった。
 だがボールは上条チームゴールの遥か上を通り過ぎて得点にはならずゴールラインを割った所で前半終了のホイッスルが鳴った。

「ふっ、得点にはならなかったが前半最後にいい根性勝負が出来て満足だあだっ!」
「そんなこと言ってる場合ではないでしょう。女性に対してあのような……全く」

 削板の反省無しの態度を諌めたエツァリは怪我を負った茜川に削板を伴って謝罪しようとしたが、上条チームが集合して慌ててるのを見て後回しにすることに。
 それよりも問題なのは結標の翔太絡みのプレーの数々だが、こちらは心理掌握が考えを練り始めてる所だ。

「どうするメン子。淡希が自分の恋人に対してあの様子では2点リードでも危ういぞ」
「ええ、その辺は私に考えがありますわ。あまり人の想いに細工を施すのは好きではありませんが……」
「まさか淡希の恋人に対する感情を愛情から憎悪へと変えるつもりなのか?」
「そのような恐ろしいこと、するわけがありませんわ。ただ暴走しない程度に愛情を抑えるだけですわよ、2時間ほど」

 ショチトルは心理掌握の処置に安心すると、結標が控え室に着く前に目覚めたら気絶させるように頼まれると【歩く教会】チームメイトと一緒に控え室に戻って行った。
 一方、上条チームは体を張って追加点を阻止した茜川の心配をしていた。

「赤音ちゃん! 赤音ちゃん!」
「だ、大丈夫だよ月夜ちゃ~ん。ゴメンね、2人で活躍して勝とうって頑張ってたのに……」
「あまり無理するなよ茜川。後は俺たちが頑張ってチームを優勝に導くからお前はゆっくり休んでてくれ」
「あはは、か、上条君が言うと何か力強く感じるね~。うん、分かった。私は試合終了まで寝ることに……する……よ」

 妙な説得力を持つ上条の言葉に安心した茜川、ようやく意識を手放して気絶すると白雪に背負われて医務室へと運ばれる。
 白雪と茜川を見送った土御門は東原が右腕を痛そうに抑えてるのを見て、冷静な判断を下した。

「東原、お前さんも医務室へ行け。その様子じゃあ試合はもう無理だ」
「ま、まだだ、まだやれる! 後半も」
「怪我人のキーパーであのチームの猛攻は凌げると本気で思ってるのか? ハッキリ言ってやる、今のお前じゃあ足手まといだ」

 土御門の真剣な、それでいて容赦の無い言葉に東原は言い返すことが出来ず、頷くことでしか返事を返せなかった。
 落ち込んだ東原を見た土御門は普段のおちゃらけた(?)感じになって東原を労う。

「ま、お前さんはホントによくやってくれたぜよ。予想以上の戦果をあげてくれたにゃー。女の子へのアピールも十二分に出来てるぜい」
「女の子のアピール……? そ、そういえばそうだったな、すっかり忘れてたぜ」
「ありゃりゃ、てっきりお前さんは女の子にモテたい一心で頑張ってると思ってたんだが。オレの目算もまだまだ甘いってことかにゃー?」

 意外と熱い男だった東原が医務室へと向かうのを見て、ベンチで気絶してる野原に気付いた土御門は服部に野原を医務室へ運ぶように頼み込む。
 服部はそれを快く引き受けて野原を背負って医務室へ向かおうとするが、一つの事実を突きつけた。

「土御門、後半になったら真夜は絶対に出場する。そのことをよーく考慮しておけよ」
「おー、井ノ原弟が試合に出てくれるのか、そいつは好都合ってもんですたい。茜川が不慮とはいえ怪我したからにはあいつも怒って……怒って?」
「そうゆうことだ。始業式での怒れる真夜の復活だ、冷静で容赦の無いあの真夜がな……」

 土御門は思い出していた、始業式のゴタゴタで妙に礼儀正しいのに呼び方はフレンドリー、だけど麦野の【原子崩し】のダメージを精神力だけで耐えていた色々と異常な真夜を。
 とはいえ【歩く教会】チームに勝つためにはこれ以上は無い人材なのでその点では素直に喜んでいたが、別の問題が発生した。

「さて、問題は交代するメンバーぜよ。キーパーはカミやんに変えて、空いたMFとDFに2人。オレと姫神と井ノ原弟で3人、あと1人か」
「つっちー、そないなことは控え室に戻って考えたらええ。今ボクらに必要なのは休息なんやからね」
「青ピ、5分くらいしか参加してねぇお前さんが言うことじゃないと思うぜい」

 後半の出場メンバーについて考えるのは青ピの言う通りに控え室に着いてから考えることにした土御門。
 しかし上条チームの控え室を開けると美琴、初春、佐天が出迎えることはまだ知らない。

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注釈

*1 ボールを奪う!