とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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「悪いがここから先はいどぅわっ!」
「邪魔すんな地味男ぉ! せっかくの私と浜面のイチャイチャタイムに割り込むんじゃねぇよ!」

 半蔵を【原子崩し】の威嚇射撃で黙らせた麦野の気持ちは既に目の前に居る浜面にしか向けられていない。
 浜面は思う、肉食獣に襲われる小動物の気持ちが痛いほど分かると。
 麦野は浜面との1対1(本人の感覚で)を少しでも長く愉しむ為に、浜面は麦野相手に不用意に動けない為に膠着状態に。

「どーしたどーしたはーまづらぁ。私からボールを奪うんだろぉ? 私は攻めるの大好きだけど浜面なら攻められるのは大好きなんだぞ♪」
(だから動きづれぇんだよ! 半蔵はさっきの威嚇ビームで動けねぇ、麦野からボールを奪えそうな奴らにはマークが付いてるし……)

 麦野に対抗出来そうな土御門、白雪、真夜、翔太にはそれぞれエツァリ、ステイル、五和、結標がマークに付いているので浜面の援護にすぐには来られない。
 状況打破について真剣に考えている浜面にテンション上がりまくりの麦野がバカっぽい宣言をした。

「よし、浜面のやる気が上がる為に私から提案だ。私が抜いたら両乳、浜面がボール奪ったら両尻を好き放題にしていいぞ♪」
「いいぞ♪ じゃねーんだよ!! 俺らの間にそんな賭け成立しねーっての! どんだけエロいんだお前は!」
「浜面……そんなに褒めるなよ、照れるじゃない♪」
「照れんなーーーーっ! ええいっ、このままじゃ埒が明かねぇ。イチかバチか」

 浜面は目の前の少女がこうなった原因が自分にもあることを反省しつつも、腹をくくって麦野のボールを奪うべく動こうとした。
 しかしその前に情報屋が上がってきて奪おうとした、麦野の怒りを買うことも知らずに。
 イチャイチャタイム(あくまで本人の感覚)を邪魔された麦野は閃光のアームで情報屋を薙ぎ払おうとするも、浜面が割って入ることで惨劇は回避された。

「止めろよ麦野。こんな所でお前にそんなことはさせたくねぇんだ。ちゃんと試合で決着着けようぜ、いいな?」
「……ちっ、わーったよ。じゃあ私らが試合で勝ったら浜面、お前を私の部屋に監禁するからな。つーわけでショチトル!」
「ちょ! 最後にとんでもねーこと言ってんじゃねーよ! ……分かった、その賭け乗ってやる(勝てばいいだけだしな)」

 さらっと賭けを成立させた麦野、フリーのショチトルにパスを送るも情報屋が決死のスライディングでカットする。
 情報屋は気付けば自分がフリーだということに気付き、そのままボールを持って【歩く教会】チームへと攻め、PA内へと入る。
 しかしそこに追いついたショチトルがボールを奪おうとしたその時、情報屋を呼ぶ声が聞こえた。

「紫木こっちよ!」
「吹寄! 任せたっ!」
「えいっ!」

 上がってきた吹寄の声を聞いた情報屋は反射的に左へとセンタリングを出した、しかも奇跡的にタイミングピッタリで。
 情報屋の綺麗なセンタリングに吹寄おでこDX状態の吹寄がヘディングシュートを撃つも、心理掌握のダイビングキャッチで得点は奪えず。
 一進一退の攻防に観客が大いに盛り上がる中、心理掌握は近くまで下がってくれていた結標にボールを渡す。

「どうするの? 上条がキーパーになってから絹旗と削板でも得点できないのは大きな痛手よ」
「そうですわね。それにあの背の高い青髪の人も意外と当たりは強いですし、真っ正面からの力押しでは……真っ正面?」
「メン子?」
「結標さん、とりあえず削板さんにボールを渡して下さい。上条当麻から得点を奪う一手を思いつきましたので」

 結標にメン子呼ばわりされたことなど気にも留めず、心理掌握はボールを持った削板ではなく御坂妹と絹旗に念話を送った。

《絹旗さん、削板さんがクリアされたボールをキープして妹さんに渡して下さい。妹さん、上条当麻を抜ける自信はおありですか?》
《まさかこんな時にメン子さんが当麻さんで抜けるなんて下ネタを言うとは、とミサカは常盤台の性の乱れを嘆かずにはいられません》
《いっ、言ってませんわよ! 私は妹さんに上条当麻を抜き去るフェイントがあるかどうかを尋ねてるのであって……》
《メン子さんメン子さん、妹さんは超分かっててやってるんですから流していいですよ。私の方は超了解です、確かにお兄ちゃんには効果的ですし》

 ちょっとしたイザコザはあれども、心理掌握の作戦を御坂妹と絹旗は受け入れることにし、削板の様子を注意深く見ながら走り出す。
 猛然と上がる削板はPAの少し手前でドリブルを止め、ボールを胸元まで上げるとすごいパーンチでシュートを撃ち出した。

「いくぞ、上条ぉ!コレが俺の根性の詰まったすごいシュートだぁぁあぁぁあぁぁ!!」
「いいぜ、削板……お前が俺からゴールを奪えるっていうのなら、まずはその幻想をぶち殺す!」
「……それ以前に、削板くんから吹き出している謎の煙に対するツッコミはないの!?」
「翔太……気にするだけ無駄ぜよ。なんせ削板だからにゃー」

 自らの本気を相手にぶつけ合う削板と上条―――もとい、FWとGK。
 その2人の間にはいれる者はおらず、観客達も含めてすべての者が静かにその行く末を見守っていた。

「削板………お前の根性が凄い事はよく分かった…………だがな!この程度で、俺の美琴への愛に勝てると思うな!!」
「愛の力、だと……!俺の根性に勝つとは……なんつーパワーだ………」
 自称愛の力で上条は削板の『すごいシュート』を真っ正面から打ち破った。
 全員はその上条の力に圧倒されつつも、すぐに上条が弾き飛ばしたボールを取りに行った。

「全員、ボールとって速攻だぜい!相手は今のカミやんの活躍で隙が出来ている筈にゃー!」
『皆さん、落ち着いて下さい。今はボールをとって妹さんに回して下さい!』

 互いの指揮官の指令はすぐに両チームに伝わり、両チーム同時にボールを取るために動き出した。
 しかし、その中で1人だけ動かぬ者がいた。

『い、五和さん?何故そこで止まってらっしゃるのですか?』
『だって……ついさっき当麻さんが……』
『(まっ、まさか今頃気づいた――いや、ようやくと言うべきでしょうか?)そ、そんなにおち―――』
『――こんな大衆の中で私への愛を言ってくれるなんて!!』
『はぁ?』

 五和がつい先ほどの上条の叫びで、ようやく上条と御坂の関係に自分がはいれるものじゃないという事に気がついたのか、と思っていた心理掌握にはこの状況は理解できなかった。

『いっ、五和さん?』
「だってメン子さんも聞いたでしょう?ついさっきの当麻さんの告白!『俺の五和への愛に勝てると思うな!!』ってもう最高じゃありませんか!」
『アナタの耳はどんだけ希望に満ち溢れているんですか!?』

 心理掌握が五和の暴走を止めようとしている間に両チームほぼ全員参加のボール争奪戦は絹旗が勝利していた。
 そして絹旗は取ったボールを先ほどの指令の通り御坂妹に渡した。

「当麻さんには悪いですがミサカが確実に得点してみせます、とミサカは必勝宣言をしてみせます」
「随分と面白い事を言うようになったな、御坂妹。だからといってチームの守護神たる上条さんを相手に」
「えいっ」

 上条と1対1になった御坂妹はシュートをするフリをした、しかし上条は見事なまでに反射的に動いてしまう。
 その後もシュート、パスのフリに過敏に反応してしまい面白いように御坂妹の単純なフェイントに引っかかる上条。
 観客はその様子にクスクス笑ってしまうが例外は居るものである、美琴に御坂妹に五和だ。

(ちょっと何よあの当麻、お猿さんみたいで可愛いじゃない♪ 今度家に帰ったら私もやってみよっと)
(ここまでいいように反応してくれる当麻さんに萌えを感じます、とミサカはもう少し続けたいと思いつつも仕上げにかかります)
(きゃーーっ当麻さんったらかーーわーーいーーいーー♪ さっきの告白はカッコよかったのに今度はかわいいなんて素敵です!)

 御坂妹に踊らされた上条に御坂妹がボールを取れるか取れないか微妙な所に出す、当然ながら上条は反応して飛びつく。
 しかしそのボールはバックスピンがかかっており、地面に付くとボールは御坂妹の所へ戻り上条は地面にダイブしてしまう。
 突っ込んでくる(?)上条をスピンターンでかわして無人のゴールへと進み、シュートを撃つ。

「これで確実に逆転です、とミサカは余裕なので普通のシュートを撃ちます。えいっ」
「当麻くんを抜いたからといって余裕を持つには早いですねっ!」

 御坂妹のシュートは全力疾走でゴール前に走ってきた真夜にクリアされてしまうが、その光景に誰もが驚いていた。
 いくら五和のマークが緩くなったとはいえ実は一番ゴールから遠い所にいた真夜が間に合うなど味方含めて誰一人思っていなかったのだ。
 これで上条チームの危機は回避されたはずなのだが、

「助かったぜ真ぎゃふんっ!」

 地面に転がっていた上条が勢い良く立ち上がって真夜のクリアボールを振り向きざまの顔面に受けてしまい、自分のチームのゴールネットを揺らした。
 後半16分、あまりの間抜けな逆転劇に御坂妹と真夜は「えっ?」と呟くしか出来なかった。
 決勝戦初得点をオウンゴールで上げた上条に吹寄と姫神から制裁が加えられることに。

「馬鹿か馬鹿なの馬鹿なんでしょ! せっかく井ノ原弟が貴様のフォローしてくれたのにオウンゴールするなんて真正の馬鹿ね!」
「せっかくの私の。同点ゴール。こんなふざけた展開で。無駄にするなんて。死んでいいよ」
「いだっ! 俺だって好きでオウンゴール決め! ぐえっ! たんじゃね! あだっ! ぎゃんっ! いだだだだっ!」
「制理さんも秋沙さんも落ち着いて下さい。当麻くんだけに非があるわけではありません。ボールをキープして攻め上がる選択をしなかった僕も悪いんですから」

 真夜の自分達を宥める発言に吹寄と姫神は上条への制裁を止めた、理由は真夜の発言の正当性と名前呼びである。
 吹寄も姫神も真夜に名前を呼ぶのを止めてもらうように頼むも、真夜が頑として折れなかったので受け入れることにした。
 逆転されたことで策を練ろうとした土御門だが流れが相手側に傾いてるのを感じ、どうしようか迷っていると真夜が策を出す。

「元春くん、一方通行くんがピッチに再び戻るのはいつ頃なんですか?」
「そうだな……この後の通常活動時間を考えると残り時間6分って所だ。ロスタイムも考えた上での時間だがどうしてそんなことを聞く?」
「僕が稼げるだけ時間を稼いで、時が来たら当麻くんか秋沙さんと仕上くんと半蔵くんのどちらかに同点ゴールを決めて貰うんです」

 最初は真夜の策に難色を示した土御門だが、残り時間が少ない所で同点にすれば流れも自分達に向き、尚且つ一方通行のテンションもいい状態で試合に臨めると感じて受け入れることに。
 ちなみに真夜が姫神&浜面&半蔵を推したのは切り札があると知っているから、上条を推したのはキーパーのオーバーラップは意外性があるからとのこと。

「僕はあの変わったメイド服を着た女性との1対1で時間を稼ぎます。あの人は1対1なら逃げないでしょう、それ程の身体能力と自信を持ってますから」
「(確かに今の五和は観衆に魅せるプレーをしている。きっと観客や周囲の期待の視線や歓声を力にする術式を組んでるんだろう。成程、それなら)分かった、それでいくぜい。皆もフォロー頼むぜよ」
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