とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

17-83

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匿名ユーザー

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「えー、皆さん。球技大会優勝、おめでとうなのですー♪ そんな皆さんの為に優勝記念パーティーを開いちゃいますよー!」

 一度集合した上条のクラスの生徒全員は、小萌のパーティー開催宣言に心の底から歓喜した。
 その後、小萌からそのまま友愛高校の食堂へ向かうように告げられて少しテンションが落ちたが、それでもバカ騒ぎが好きなことには変わりない。
 上条達選手陣は汗を流すためにシャワー室へ向かおうとする中、真夜が1人だけ小萌に呼び止められる。

「頑張った真夜ちゃんにこんなことを頼むのは心苦しいのですが、パーティーに出す料理を作ってもらえますか?」
「別に構いませんよ。でも俺だけってことはないですよね? 他にも人手が無いと」
「その点は抜かり無いのです♪ 先生はちゃんと頼れる人達に声をかけてるので安心して下さい」

 分かりました、真夜は嫌がりもせずに引き受けると荷物を小萌に持ってきてもらうように頼むとその場を後にした。
 その足で真夜は医務室に直行、風邪もほぼ治りかけている真昼と意識を取り戻した茜川を連れて友愛高校へと向かうことに。

――――――――――

「みんな試合ご苦労さんなのよ。ほら、自分のはちゃんと忘れずに持って帰るんだぞ」

 こちらは建宮の居る魔術師達の得物預かり所、預けていた魔術師達は既にシャワーを浴びて着替えも済ませてここに来ている。

「確かに返していただきました。天草式教皇代理、信用できる人物のようですね。ではショチトルに五和さん、自分達も向かいましょうか」
「五和、お前さんどこに向かうってのよな?」
「これから【歩く教会】チームの皆さん、もちろんサッカーの方ですが食わせ殺しでパーティーをするんです」
「ほぅ、それはまた羨ましいのよね。こっちは上条当麻のクラスの連中の為にパーティーの料理作らにゃいかんっつーのに」

 建宮の愚痴を聞き逃さなかった五和とエツァリが建宮に詰め寄る、あまりの速さに建宮は驚きショチトルは呆れていた。
 五和とエツァリは建宮から小萌に自分のクラスのパーティーの料理を作る依頼を受けたことを話したが、2人の興味はそこには無くパーティーが上条絡みということにあった。

「当麻さんの参加するパーティーでご奉仕するべきか、今日の激闘を一緒に戦った仲間達と楽しい時間を過ごすべきか……迷いますね」
「上条当麻が居るということは御坂さんも当然参加するでしょう。そこで自分の出した結論をお2人に告げるいい機会ですがチームの皆さんとも親睦を深めたいですし……」
「2人とも、今日の所は試合を共にした仲間と過ごすのよね。お前さん方が言ったことはいつでも出来る、けどあのチームで楽しく騒ぐことはあまり無いだろう。そうゆう出会いは大切にするのよ」

 建宮のまともな物言いに五和とエツァリが【歩く教会】チームの方を選ぶのを見て、ショチトルは建宮という男に関心していた。
 こうして何の問題も無く終わるかと思われたが、五和の何気ない一言が問題を引き起こす。

「まあ建宮さんの言う通り、当麻さんに大っぴらにアタック出来るチャンスはいくらでもあります♪ 初春さんがイギリスに居る約2週間が勝負ですね」
「…………五和、海軍用船上槍を組み立てろ。悪いがアステカの魔術師のお2人さんは先に行ってるのよ。五和も後で向かうから安心しろ」

 エツァリとショチトルは建宮の豹変ぶりに驚きながらもそそくさと部屋を後にし、五和も言われるがままに海軍用船上槍を組み立てて念の為に構えを取る。
 次の瞬間、建宮がフランベルジェで袈裟斬りしてきたので五和も慌ててガードし、ガギィィィィィン! と大きな音を出すだけに被害を抑えた。

「なっ、ななななな何するんですか建宮さん! 今の斬撃、本気で殺す気満々じゃないですか!」
「五和、世の中には言って良いことと悪いこと、そして言ったら死んで侘びることがあるのよね。飾利姫が俺を置いてイギリスへ行くなどと、死んで償うしか道は無ぇぞ」
「ちょ、ちょっとタイムです! ここはきちんと話をぬぐっ! こ、今度は押し潰す気ですか! うわっ!」

 建宮の斬撃を受け止めたはいいが、私服に着替えてしまった五和には球技大会で見せたほどの力は無く大人げない建宮の押し込みに負け、部屋のドアを突き破って廊下の壁へと叩き付けられる。
 背中に強烈な痛みを感じながらも五和は体勢を立て直したが、それよりも速く建宮の横薙ぎの一閃が迫っていた。
 五和は割と本気でマヌケな人生の終幕に泣きそうになったがそうはならなかった、神裂が七天七刀の鞘で建宮の後頭部に一撃入れて建宮を気絶させてくれたお陰である。

「まったくこのような所で何をしているかと思えば……。五和、怪我はありませんか?」
「は、はい。あ、ありがとうございます女教皇様」
「先程の試合、服装はともかくお見事でした。ところでどうして貴女が建宮に襲われていたのですか?」

 命を救ってくれ、自分の試合を褒めてくれた神裂に最初は感激していた五和だが、この経緯を説明すれば同じことの繰り返しになると思って頭を悩ませる。
 どうにかして切り抜けようとしたその時、神裂の横にいた佐天に気付くと、

「そのことなら隣に居る女の子に聞いて下さい! おそらく女教皇様の知りたいことも教えてくれますから! では私はこれで!」

 早口かつ大声で佐天へと責任転嫁をしてダッシュで逃げ出したが、神裂も初春のことを知りたがってると瞬時に推測したのは流石である。
 神裂は五和の逃亡に少しだけキョトンとすると、気絶した建宮を引きずって上条たちの居る控え室への歩みを再開させた。

「佐天、飾利はどこに行ったのですか?」
「(その質問97回目……)当麻兄さんか土御門さんが教えてくれます」
「そうであればいいのですが……。もしシェリー辺りが飾利が可愛いからと独り占めしていたらと思うと」

 同じ質問、似たような妄想をする神裂に佐天はげんなりしていた。
 少し歩くと一室のドアが開き、上条のクラスの決勝進出メンバーがゾロゾロと出てきた(美琴、黒子、打ち止め、滝壺、郭はスタジアムの外で待っている)。
 神裂、疲れた表情の佐天、気絶している建宮を見た土御門は状況を理解して自分と上条以外を先へと行かせた、神裂に食い下がる野原を力づくで黙らせて。

「佐天はあなた達に聞けば分かると言っていました。なので聞きます。飾利はどこに居るのですか? 嘘や黙秘は許しませんよ」
「(やっぱりそれか……。下手に引き伸ばすよりもスパッと真実を告げた方がいいな)さ、カミやん。ねーちんに教えてやるぜよ」
「ああ、別にいいけど。あのさ神裂、飾利なら今日からGWが終わるまでイギリスに留学するってさ。多分キャーリサやヴィリアン、最大主教の世話に……神裂、さん?」

 特に深く考えずに初春のイギリス留学を告げた上条、しかし神裂が何のリアクションも見せないことを不思議に思って神裂に近づいた。
 そして上条は気付いた、神裂が立ったまま気絶していることに。

「カミやん、お前さんは本当に残酷な男だぜい。ねーちんに初春ちゃんがイギリス留学してることを平然と告げるとはな。ねーちんの初春ちゃんへの依存っぷりを知ってるくせに」
「当麻兄さん、もう少しくらい優しく言ってあげても……。飾利が誰かと一緒って知っちゃったせいで神裂さん、考えること放棄しちゃったじゃないですか」
「……悪い。いくら神裂でも飾利のイギリス留学でここまでの反応するとは思わなかった。けどとりあえず神裂と建宮、どうし」
「おーい兄貴ー、上条当麻ー、佐天ー」

 自身の軽率ぶりの反省を終えた上条は気絶してる神裂と建宮を置いてはいけないと思い、どうしようか考えようとしていた。
 そこへ舞夏がのほほんとした雰囲気で現れた、珍しく警備ロボットの上に乗らず自分の足で。

「にゃー舞夏ー♪ 会いに来てくれたのは嬉しいんだがちょーっと間が悪かったかな。今カミやんと佐天ちゃんと一緒にこの2人をどうしようかと」
「それなら問題ないんだぞー。私はもともとこの2人を探してたんだぞー。なんてったって兄貴のクラスの優勝パーティーの料理を作るんだからなー」
「だったらこの2人を担いで学校に戻ればいいな。学校に着く間には2人も意識を取り戻すだろ」
「2人がこの調子というのはちと心配だが腕の振るい甲斐はありそうだなー♪」

 神裂を佐天と舞夏で、建宮を上条と土御門でそれぞれ運ぶことに。
 そして残ってくれていた美琴と白雪と合流し、同じく残ってくれていたマイクロバス(運転手は災誤)に乗って友愛高校へと向かうのだった。
 かくして球技大会は幕を閉じ、優勝パーティーというGWを含めた大型連休が始まるのであった。
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