とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part03

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匿名ユーザー

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12月23日


―――――――――

薄汚れた学生寮の一室で身支度を整える少女。

美琴「もう。汚れちゃったじゃない。…さすがにコレは履いて帰れないわね」///

類人猿「スマン。でも、これ用意しといたから」

美琴「な、なんでこんなの持ってるのよ!」///

類人猿「お前が感じやすいって知ってるから、コンビニで買っといたんだよ」///

美琴「…アンタ、こういうの、好き…なの?」

類人猿「ま、短パンやゲコ太プリントよりは似合うと思うぜ」

美琴「ば、馬鹿」///

―――

黒子「ぐへへへへ…。じゃなくてっ!!そんなことになっていたら…でも、まさか、いや、しかし…」ガクガクブルブル

一三五七七号『今すぐこの場から立ち去りたい。と、ミサカは目の前で百面相をする白井黒子から距離を置くために歩き出します』

一〇〇三九号『いったい何が起きた?と、ミサカは一三五七七号に説明を求めます』

一三五七七号『ミサカにはわかりません。と、ミサカは戸惑いながら報告します』

黒子「お姉様!!」ガシッ!!

一三五七七号「馬鹿っ!実験中だって言っているでしょう!」『やばい、捕まった。と、ミサカは逃走方法を模索中です』

黒子「ごめんなさいお姉様。黒子は、黒子は、どうしてもお姉様にお聞きしたいことがありますの!」ウルウル

一三五七七号「な、なによ…」『なんだこいつ?と、ミサカは涙目の白井黒子を気味悪く思っています』

黒子「あの類人…いえ、上条…さんと、短パンについてですの」

一三五七七号「えっと…」『短パンってなんのことですか?と、ミサカは緊急に情報を求めます』

一〇〇三九号『短パンとはショートパンツのこと。と、ミサカは一般論を報告します』

御坂妹『お姉さまは普段、スカートの下に短パンを装着しています。と、ミサカは一三五七七号に報告します』

一三五七七号『なるほど。先ほど風でスカートが捲れあがったのを見て、短パンを履いていないことに違和感を感じたということですか?と、ミサカは質問します』

一九〇九〇号『おいおい、そんなことがあったのかよ。と、ミサカは一三五七七号に突っ込みを入れます』

黒子「なぜ答えてくださらないのですの?」

御坂妹『とりあえず、あの人のためということにしておけば問題ない。と、ミサカは一三五七七号に進言します』

一三五七七号「…あー。アイツ、短パン嫌いなんだよねー」『こんな感じでいいでしょうか?と、ミサカは一〇〇三二号に確認します』

黒子「…だから…ですの?」ハァ

御坂妹『グッジョブ。と、ミサカは一三五七七号を称えます』

一〇〇三九号『おいおい本当か?と、ミサカは一〇〇三二号に確認します』

黒子「そのショーツも…上条…さんの趣味ですの?」ハァ

一三五七七号「そ、そうね。…もういいかしら?」『と、ミサカはどす黒いオーラを纏い始めた白井黒子に恐怖を感じています』

黒子「いやああああああああああああっっ!!お姉様がっ、お姉様がっ、穢れてしまったですのおおおおおおおおお」シュンッ

一三五七七号「!?」『想定外。と、ミサカは混乱を隠せずに姿を消した白井黒子に言い知れぬ不安を感じます』

御坂妹『とりあえず早急に病院へ戻るように。と、ミサカは一三五七七号に進言します』

一〇〇三九号『白井黒子は大丈夫でしょうか?と、ミサカは不安を感じていることを報告します』

一九〇九〇号『監視カメラのデータから、白井黒子はお姉さまのいるショッピングモール方面へ向かったのでお姉さまにお任せすれば良い。と、ミサカは提案します』

一三五七七号『撤退開始。と、ミサカは帰院することを宣言します』

病院の一室で、一人の少女がベッドの上に腰を下ろしながらそっと呟いた。

御坂妹「お姉さまとあの人の邪魔をしてしまったかもしれませんね」ニヤリ



美琴「…」キラキラ

ショッピングモールにある喫茶店の店頭ウインドウの中を、少女が瞳を輝かせて見つめている。

『クリスマス限定キャンペーン!!カップルケーキセットをご注文のカップルのお客様に、サンタゲコ太、トナカイピョン子のペアストラップをプレゼント!』

そんなポスターの下に置かれたガラスケースの中に、どんぶりくらいの大きさのショートケーキが鎮座し、その横にサンタ服に身を包んだ髭を生やしたカエルのマスコットストラップと、茶色いトナカイの衣装を着たまつげの長いカエルのマスコットストラップが仲良く並んで置かれていた。

上条(御坂のやつ、すげえ目を輝かせている。…でもさすがにそれはないだろ)

美琴(凄い欲しい、ゲコ太もピョン子も可愛すぎる!!でも、でも…!!)

上条「…」(まさか、な)

美琴「…」(ううー。欲しい、欲しい)キラキラ

二人はショーウインドウとお互いの顔を交互に見ては、無言でその場に留まっていた。

『カップルケーキセットをご注文の際には、お二人がカップルであるという証明を行っていただきます』

上条(…カップルの証明って、嫌な予感しかしないんだが)

美琴(ゲコ太欲しいなあ。ゲコ太…)キラキラ

上条(コイツ、このこと気づいてるのか?)

美琴(ゲコ太…)キラキラ「ね、ねえ…」ドキドキ

上条「!な、なんだ?」(まさか…)

美琴「ちょろ~っと、協力してくれないかな?なんて…」キラキラ

上条「やっぱりそうくる?」ハァ

美琴「い、いいじゃないの!可愛いんだもん!!」

上条「ホント、好きだな、お前」

美琴「ふぇ!?す、す、す、好きって!?」アセアセ

上条「…それ、えーっと、ゲコ太?」

美琴「わ、悪い!?」(焦ったじゃないの!!)

上条「いや、別にいいけど。…ホントにいいのか?」

美琴「ちょろ~っと『ふり』をしてくれればいいんだし、大丈夫でしょ?」

上条「いや、そこに書いてあることをよく読んでからにした方がいいと上条さんは思うんだが」

美琴「なによ、書いてあることって」

上条「その、『カップルの証明』ってやつなんだけど…」

美琴「んー?アンタとわたしならぜんぜん簡単でしょ?」ニコッ

上条「御坂さんがそう言うならいいんですが…」(マジか?)ドキドキ

美琴「じゃ、決まりね!すみませーん!!このカップルケーキセットくださーい!」

上条「…」ドキドキ

ウエイトレス「いらっしゃいませ。では、お二人がカップルという証明をお願いします」ニコッ

美琴「あ、アンタ、ちょっと携帯貸して」

上条「あ、ああ」ケイタイ サシダス

美琴「サンキュ。…んと、これでいいですか?」フタリノ ケイタイ サシダス

ウエイトレス「えーっと、はい。これならOKですね。じゃあお席でお待ちください」ニコッ

美琴「ほら、ぼけっとしてないで、行くわよ」

上条「あ、ああ…」(いったいどんな技を使ったんだ!?)

少女は軽やかな足取りで店内に入ると、適当な席に座って少年を手招きした。



美琴「いやー、ラッキーだわ。レアなゲコ太を手に入れられて♪」

上条「よ、良かったな。で、どんな技を使ったんだ?」

美琴「技ってほどのものでもないわよ。アンタとわたし、ペア契約してるじゃない」

上条「あ。そっか。そんなんで良かったんだ」

美琴「…アンタなに考えてたのよ」

上条「スマン!お前をここで抱きしめたり、キスしたりしなきゃいけないかと思ってた」///

美琴「うぇ!?アンタそんなこと考えてたの!?」ビリビリ

上条「だから謝ってるじゃないか!ってか、ビリビリ禁止!」

美琴「う~。ゲコ太に免じて許す!」(なに赤くなってるのよコイツは!)///

上条「ありがとうございます、御坂様」

美琴「…」(あれ?でも、これって脈ありってこと)///

ウエイトレス「お待たせしました。カップルケーキセットです。こちらは粗品のストラップになります。ごゆっくりどうぞ」ニコッ

美琴「やっぱりサンタゲコ太もトナカイピョン子も可愛い~♪」キラキラ

上条「良かったな。って、これは!?」カビーン

ジュースを飲もうとして少年の手が止まる。ショートケーキの横に置かれたストロベリージュースが入っていたのは、花瓶のような大きさのグラスで、そこにはストローが二本差し込まれていた。

ショートケーキの横に置かれているフォークも一本だけだったりする。

上条(カップルケーキメニュー…。侮れないな)ゴクッ

美琴「どうしたのよ…って」カァッ

ストローを凝視して少女の頬が赤く染まる。

美琴(本当にこんなのあるんだ…。アイツを見ながら同じジュースを飲むの?)///

上条「あー、喉渇いたから、飲むぞ?」///

美琴「う、うん」///

少年がストローを口に含むのを見て、慌てて少女もそれを真似る。

上条「!!おまっ、何も一緒に飲まなくても!?」ゴホゴホ

美琴「カップルなんだから一緒に飲まないといけないでしょ!?」///

上条「『ふり』なんだから、一緒に飲まなくてもいいんだよ」ボソボソ

美琴「へ、変な目で見られたらゲコ太没収されちゃうかもしれないじゃない!協力してよ!」///

上条「そんなことないと思うけど、お前がそう言うなら協力する」ボソボソ

美琴「ありがと…」(アイツの顔がこんな近くに)チュー

上条「…」(へ、平常心、平常心)チュー

美琴「…」チュー

上条(恋人っぽく…か。じゃあ、やっぱりアレだな…)///

少年はストローから口を離すと、フォークを持ち、ショートケーキの一部に切込みを入れてフォークに刺して持ち上げた。

上条「…あ、あーん」(めちゃくちゃ恥ずかしいぞコレ)///

美琴「ふにゃっ!?な、なに!?」ゴホゴホ

上条「あー、フォークが一本しかないからこうするものなのかと思ってな」///

美琴「そ、そうなんだ…」///

上条「これって結構恥ずかしいんですけど?」///

美琴「…あーん」パクッ///

上条「…」(き、緊張する)



美琴「…」モグモグ(た、食べさせてもらっちゃった)///

上条「もう一口、どうだ?」アーン

美琴「い、いただきます…」パクッ モグモグ

上条(なんだこれ。なんか色々ヤバイ)カチャッ

美琴(あ、フォーク置いた。…わたしも、やっちゃおうかな?)「…あ、あーん」///

上条「う…」(もう自棄だ)「…あーん」パクッ モグモグ(あれ?これって間接…)ハッ

美琴(あれ、コレって間接キ、キ、キ…)カァッ

真っ赤になって見つめ合うふたり。なんだかいい雰囲気である。

???「しぬぅうぇええええええええええええっい!!!」ブワッ

上条「あぶねえ!!」ガシッ

美琴「!!なによアンタ!?」(あれ、アイツの友達よね?)

上条「テメエ!なにしやがる!!青ピ!」

青ピ「なに朝から美少女中学生といちゃいちゃしてるんや!!この裏切り者!」クワッ!

美琴「!」///

上条「い、いちゃいちゃなんか…」カァッ

青ピ「同じグラスのドリンク飲んで、同じフォークで『あーん』なんてやっておいて、いちゃいちゃしてないとは言わせへんで、カミやん」

上条「そ、それは…」(いやいや待て、ここは肯定しておかないと御坂のストラップを没収されてしまいかねん)

美琴「っ~!」///

上条「あのなあ、青ピ。俺たちが頼んだのは『カップルケーキセット』なんだから、仕方ないだろ?」(俺たちは恋人って設定なんだよ)

美琴(え?それって、それって…)カァッ

青ピ「カミやん…。それってどういうことや?」

上条(ウエイトレスさんが見てる…)「デ、デートの邪魔をするんじゃねえって言ってるんだよ」///

美琴「!!」(デ、デートって言った!?言ったよね!?)///

青ピ「な、なんやて…。カミやん、いつの間に…」

上条(よ、よし、もう一押し)「わかるだろ?青ピ」

青ピ「う、うわああああああ!!カミやんの裏切り者おおおおおおおおっっ!!」ダッ

この世の終わりのような表情を浮かべ、向かい合って座っている少年と少女を交互に見比べると、青髪の少年は大声を上げながら走り去っていった。

上条「まったく、青ピの奴…。御坂、悪かったな」ハァ

美琴「…」(デート、デート…)ニヘラー

上条「御坂?」(なにボーっとしてるんだ?)

美琴「ふぇっ!?…あ、その、ゴメン。…はい、あーん」スッ

上条「うぇっ!?…あ、あーん」パクッ モグモグ

美琴「…美味しい?」ニコッ カチャッ

上条「…」コクッ

美琴「…あーん」アーン

上条「!!…あ、あーん」

美琴「…」パクッ モグモグ

上条(なんか自然にカップルしちゃってるんですけど!?)///



???「はうぁ!?何故あの二人が一緒にいるのですか?幻ですの?…いえ、ここはまず確かめないといけませんの!」シュンッ

美琴「ひぅ!?」ビクッ

下半身に違和感を感じ、美琴は身体を震わせた。スカートの中で何かが蠢いている。

上条「どうした?御坂?」

美琴「な、なんでもないっ!」(コイツに気付かれちゃいけない)///

平静を装って机の下を覗きこむと、自分のスカートに頭を突っ込んでいる常盤台中学の制服が目に入った。その右腕にある風紀委員の腕章と、背中に垂れた二本の黒髪の束には見覚えがあった。

黒子「短パンも履いてますし、ゲコ太パンツですの。…するとさっきのお姉様は偽者!?」

美琴「く、く、く、黒子!!アンタ一度死んどく?」バチッ ビリビリ

黒子「お、お姉様が類人猿色に染められていなければ…、黒子はそれで一安心ですのおおおおおおおぉ!?」ビクビクッ

美琴「い・い・か・ら離しなさい!!」

上条「ん?白井か?…オマエ、机の下に潜り込んで何してるんだ?」ヒョイ

美琴「!!アンタは覗くなあああああ!!」ビリビリ

机の下には電撃を喰らって痺れているツインテールの少女がいて、その少女の右手にはクリーム色の短パンが掴まれており、短パンから伸びたすらりとした足の上には、口髭を生やしたカエルのプリントが施された白い布地が燦然と輝いていた。

上条「ス、スマン!!」///

美琴「アンタ見たの!?見ちゃったの!?見やがったの!?」///

上条「不、不可抗力だ!」///

美琴「く~ろ~こぉ~」バチバチ

黒子「ああ~んっ!!愛の鞭ですのぉぉぉぉぉぉ!!」ビクンビクン

美琴(み、見られた!見られちゃった)カアァァッ

ツインテールの少女の手を引き剥がし、短パンを履き直しながら、少女は真っ赤になって俯く。

上条「あー、そ、その。…とりあえず、あーん」スッ

美琴「何でそうなるのよっ!?」

上条「馬鹿お前!ここで変なそぶり見せたらゲコ太没収されるぞ!いいから口開けとけ!」ボソボソ

美琴「そ、それは嫌!」ボソボソ「…あ、あーん」パクッ モグモグ

上条「もう一口、あーん」

美琴「…あーん」パクッ モグモグ

上条「…」カチャッ

美琴「…あーん」スッ

上条「あ、あーん」パクッ モグモグ

黒子「…なんかとてつもなく凄いことが私の上で起きている気がしますの…」(お姉様が類人猿と食べさせっこをしている!?)ガクガクブルブル

美琴「…あ、クリーム付いてる」スッ パクッ

上条「!!」(な、なんですと!?)カァッ

美琴「あ…」カァッ(や、や、やっちゃったーーーー!!)

黒子「お、お姉様が、お姉様が類人猿と間接キス、うふ、うふふふふ、うふふふふふ」ガクガクブルブル

上条「あー…」///

美琴「…」///

上条「喉渇いたなー」

美琴「喉渇いたわねー」

二人はそう言うと、ほぼ同時にストローを咥えた。



上条「!!」///(なんでこうなるんですかー!?)

美琴「!!」///(なんでアンタも咥えるのよー!?)

黒子「ま、真っ赤になって見つめ合っている!?しかも同じ飲み物を!?」ガビーン

美琴「く、く、く、黒子!デ、デートの邪魔しないでよね!?」///

上条「!!」

黒子「お姉様?今、なんと仰いました?」

美琴「デートの邪魔をするなって言ったのよ!」カァッ

黒子「お、お姉様が…お姉様が…、穢されてしまいましたのおおおおおおおおおっっ!!」シュンッ

美琴「な、なにを言ってるのよ!あの子は!!」カァッ

上条「…」チュー

美琴「…で、アンタはなんでそんな普通にジュース飲んでるのよ?」

上条「上条さん、さっきからドキドキしっぱなしですけど!?」

美琴「嘘!?」

上条「ホント!もういっぱいいっぱいです!」

美琴「そ、そう…」カァッ

上条「…」チュー

美琴「…わたしも、いっぱいいっぱい、かな」///

上条「御坂…」

美琴「…」チュー

上条「と、とりあえずそれ飲んだら出ようか」

美琴「…」チュー コクン

上条(気、気まずい!!)



―――



姫神「…」

たまには。喫茶店でモーニングセットを食べてみよう。

そう思って。ショッピングモールまで来てみたら。上条君が。常盤台中学の女の子とデートをしていた。

途中で青ピ君や。女の子の知り合いと思われる子が乱入してきたけど。

そのたびに上条君や女の子が。『デートの邪魔』って言って追い払っていた。

それからすぐに上条君たちは出て行った。

真っ赤な顔の二人は。とても幸せそうに見えた。

私に気づかなかったのは不幸中の幸い?かな。

小萌の家のクリスマスパーティ。上条君はこないよね。

だって。可愛い中学生の彼女がいるんだから。

姫神「…」ハァ

上条君の家の居候のシスターは。あの子のことを知っているのだろうか?

…たぶん。知らない。

インデックス『クリスマスパーティー楽しみなんだよ!スフィンクスも、とうまも!』

あんなに嬉しそうに言っていたのだから。



二人が店を出て少ししてから。私も喫茶店を後にした。

小萌の家のツリーを彩るクリスマスオーナメントや。小物を見るために雑貨屋へと足を向ける。

姫神「…味。わからなかったな」

なんでだろう?

…上条君たちにあてられたかも。

今までに見たことのない表情。

真っ赤になって。それでいて相手を気遣っている優しい表情。

姫神「…」ハァ

???「溜息なんてついてると、幸せが逃げちゃうんやで?」

姫神「え?」

振り返ると。クラスメイトの青ピ君が片手を挙げて立っていた。

青ピ「やっほー。姫神ちゃん。なんか嫌なことでもあったん?」

姫神「ううん。別に」

青ピ「あれ?もしかして落胆の溜息じゃなくて、感嘆の溜息やった?」

姫神「え?」

青ピ「いや。それ、綺麗やと思わん?」

そう言って青ピ君が指差したところには。クリスタルガラスでできた小さな天使像が。下からのライトに照らされてキラキラと輝いていた。

姫神「うん。綺麗」

青ピ「綺麗やなぁ」(姫神ちゃんも綺麗やで)

姫神「…青ピ君は。どうしてここに?」

青ピ「ボク?下宿先のクリスマスオーナメントの買出しとかやな」

姫神「下宿?寮じゃなくて?」

青ピ「うん。ボク、パン屋さんの二階に下宿させてもらってるんや」

姫神「そうなんだ」

青ピ「姫神ちゃん、もしよかったら、一緒にクリスマスオーナメント選んでくれへん?」

姫神「え?」

青ピ「ボクよりセンス良さそうやし」

姫神「そうかなあ?」

青ピ「ボクみたいなむっさい大男が選ぶよりも、姫神ちゃんが選んだ方が百万倍マシに決まってるやん」

姫神「私。そんなセンス良くないと思うけど?」

青ピ「姫神ちゃん。自分を過小評価するのはアカンよ」

姫神「でも。着てる服も地味だし」

青ピ「そういうのは、地味やのうて、スタンダードとかオーソドックスって言うんや。よく似合ってると思うで」

姫神「ありがとう。でも。褒められている感じがしないのはなぜ?」

青ピ「そこは深く考えちゃアカン」

姫神「そう」

取り留めのないことを話しながら。私は。気になっていたことを切り出してみた。

姫神「裏切り者って。どういうこと?」

青ピ「え?仲間を裏切ること?」

姫神「そうだけど。私が聞いているのは。…上条君にそう言ったこと」



青ピ「なんや、姫神ちゃん。見てたん?」

姫神「うん。モーニング食べてた」

青ピ「あちゃー。恥ずかしいとこ見られたわー」

姫神「恥ずかしい?」

青ピ「うん。まるっきりボクのひがみやもん。ホンマは友達としてカミやんのこと祝福せなアカンのに」

姫神「そっか」

青ピ「でも、カミやんもひどいんやで?あの子、さんざんカミやんにアプローチしてたのに気づいてへんかったし。だけど、今日会うたら『デートの邪魔するな』やって。ひどいと思わへん?」

姫神「どのへんが?」

青ピ「カミやん、気づいてへんかったから、昨日買い物にでも誘ってみ?って言ったんよ。案の定、あの子、二つ返事で了承したみたいやし」

姫神「…」

青ピ「でも、デートに誘ったわけやないのに、デートになっていたってことは、あの子、カミやんに告白したんか!?いや、でもそれはありえへんで」

姫神「どうして?」

青ピ「あの子、超電磁砲やで?常盤台のエースが自分から告白なんて、普通せえへんよね?」

姫神「そう?上条君の傍だと普通の女の子にしか見えなかったけど」

青ピ「さすがカミやんやで。超能力者も関係あらへんなんて」

姫神「上条君。誰にでも優しいから。きっとそんなところに惹かれたんだと思う」

青ピ「…姫神ちゃんも?」

姫神「私は。…別にそんなんじゃないよ」

青ピ「ホンマに?」

姫神「うん」

青ピ「そっか。…っと、そんなことよりもクリスマスオーナメントや。姫神ちゃん。ひとつよろしく頼むで」

姫神「んー。どうしようかな」

青ピ「後でクレープでも奢るさかい。助けると思って!」

そう言うと青ピ君は大げさに両手を合わせて拝んできた。特に急いでいるわけではないし。まあ。いいかな?

姫神「クレープ。スペシャル頼んでもいい?」

青ピ「ええよ。飲み物も付けちゃうで。ま、飲み物は自販機やけど。…交渉成立でええ?」

姫神「うん」



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