とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part17

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御挨拶
第三章 帰宅


聞き覚えのある単語だった。

「ちょっと!! あな「ダメだ、美鈴」!!」

「これは、『親父』の役割なんだよ」

美鈴は何も言えなくなる。
旅掛はそちらを一瞥し、再び上条に視線を戻すと言葉を続けた。

「君についていろいろ調べさせてもらった。
第三次世界大戦をはじめ、多くの事件の中心に君はいたらしいな。
それは幼少時からで、付いた異名が『疫病神』……」

「でもそれは当麻が優しくて、苦しんでいる人をほっとけなくて、手を差し伸べた結果ですよ!!
それなのに、なんでそんなふうに言われなくちゃいけないんですか!!??」

美琴はつい口を挟んでしまった。
それを聞き詩菜は少し微笑むが、続ける。

「そう、確かにそれは結果論です。しかし、周りはそう考えなかった」

旅掛は一息入れ、さらに語りかける。

「それらの事件に『不幸にも上条当麻は巻き込まれた』のか、
『上条当麻を不幸に巻きこむために』起こったのかが俺たちにはわからない。
だが、一つ言えることがある……」

詩菜は辛そうに言葉を紡ぐ。

「『上条当麻の周りに、不幸な人物がいる』という構図が存在することです」

インデックス、一方通行、浜面仕上、そして

御坂美琴。

「あの子の『親父』として聞く。
君は娘を不幸にしたいのか?」

「あの子の『母親』として聞きます。
あなたは不幸になりたいのですか?」

しばしの沈黙が続く。
そして美琴は我慢できず

「くすっ、くっ、あはは、ははははは」

大笑いしてしまった。


上条は、

「う~~~~~~~~~~ん」

と腕を組んでなにやら思案していた。


美琴はようやく落ち着き、話し始める。

「いや、すみません。だって、ほんと、その」

素晴らしい笑顔で語る。

「今更な話だったので」

懐かしそうに、いとおしそうに。

「アイツは本当にバカのくせに無茶する奴で、いったい何回呆れたことか」

出会ってたったの一年もたっていない。

「そのうえ危険な目に会うたびに女性にフラグ立てるし、しかも鈍感なせいかぜんぜん気付いてないんです。こっちは一人で嫉妬してなくちゃいけないんですよ」

付き合い始めて数カ月しかたっていない。

「彼の信念に付き合い始めてから、一緒にいるだけで何度死に目に会ったかわかりません」

そして、その中で何度も不幸に巻き込まれた。

「でも、そんな毎日が楽しいんです!!!」

でも、その不幸があるせいで彼を好きになれたのなら、

「そんな当麻だから惚れたんです!!」

その不幸に感謝でもしてやろう。

「どうか、息子さんとの交際を許していただきますよう、よろしくお願いいたします」

「……そう、ですか」

詩菜は静かに笑う。



そのころ上条の方はというと、ようやく、

「えー、お言葉ですが、あいつが持ってくる不幸も結構多いですよ」

なんて爆弾発言をしていた。

「いや、これは付き合う前からで、すぐ致死量の電撃撃ってくるし、恋人の振りしろなんて無茶ぶりするし、罰ゲームだなんだと突っかかってくるし……」

まだ続く。

「付き合い始めても、怒りっぽいし、ゲコ太とか自分の趣味を押し付けてくるし、家電は何度も全滅されました」

そして笑う。

「そんなことが、彼女といると幸せなんです」

幸せだと笑う。

「美琴が一緒にいれば、少なくともオレは幸せなんです!!」

もし

「確かに、オレが近くにいるせいで美琴を不幸にしているかもしれません」

この出会いや関係が不幸だと言うなら、

「それなら、より一層の幸せでその不幸を上書きしてみせます!!」

大歓迎してやるよ

「だから、どうか娘さんとの交際を認めてください!!」

神様(バカヤロウ)。

「お願いします!!!!!!!」

「………………参ったな」



電車の車内に、上の空で外を見る少女が一人。
「超電磁砲」こと御坂美琴である。
彼女はあの後の事を思い出していた。


「美琴さん、ありがとう。こちらこそ、宜しくお願いします」

涙ながらにそう答えたお義母さまは、少しして化粧室に向かった。
その間にお義父さまが話を切り出す。

「詩菜さん、いや、私たちは昔から当麻の事が心配で仕方がなかった。
どんどん孤独になり、傷ついていくあいつに胸が張り裂けそうだった。
今でもあいつが入院したと聞くと、詩菜さんは雨の日だろうと雪の日だろうと、近くの神社でお百度参りをしている」

海を見ながら話すお義父さまは、なにかを思い出しているようだった。

「でも、この前あいつはその不幸を『幸せ』だといった。
……そして、今はその幸せを共有できる人物がいる。親としてこれほどうれしいことは無い」

「ありがとう」


その言葉に引きずられるように回想は夜へ進む。

「眠れないんですか?」

そのお義母さまの問いかけに、はいとだけ答える美琴。
それからしばらく二人は並んで月を眺める。

詩菜は

「当麻さんの事、頼みました」

とだけ言った。
もちろん美琴は……



一方別の電車で外を眺める少年が一人。
「幻想殺し」こと上条当麻である。
上条もあの後の事を思い出していた。


「だー、おもしろくない!!!」

御坂パパの発言に驚いた上条だが、
御坂ママはニヤニヤと理由を尋ねた。
御坂パパは大声でそれに答える。

「こっちが七十点取れば合格の問題を出したら、百点で帰ってきたうえに、いままでの教育に減点ダメだしされたんだぞ!!」

ダメだししたつもりはなかったのだが、とりあえず合格ということでいいのだろうか?
そんな風に思っていたら、御坂パパはおもむろに席を立ち、
少し離れたところでどこかに電話をかけ始めた。

すると御坂ママが静かに微笑む。

「よかったね、当麻君。実は心配してたんだよ、あの人過保護だから。
美琴ちゃんが学園都市に行くときも、なかなか折れなかったし。
心配しすぎて、できるだけ一緒にいるために仕事をやめる、とまで言いだしたこともあったのよ。
そんなこともあって、この前の戦争直前に、私も少し後悔したの」

でもね、といったん区切り上条を見たその目は、強い光を宿していた。

「美琴ちゃんが美琴ちゃんでいられる、あなたという場所が学園都市にあった。
だから、学園都市にあのこを送って本当に良かったと、今は思ってる」

「ありがとう」

回想は数時間進み、露天風呂まで飛ぶ。

「オレは、娘がなにを背負っているのか、詳細をまだつかめていない……」

旅掛はいろいろあった感情をたった一言に託す。

「美琴を、任せた」

上条当麻の答えは……。



数時間後、二人は駅の出口で


喧嘩していた。


「ほーう、私が持ってくる不幸が大量ねー。
付き合う前から今に至るまでですかー。
『できるだけ当麻君に迷惑かけるなよ
愛しのラブリー美琴ちゃん、ハート』
ってやかましいわボケぇ!!!」

「後半の台詞はお義父さんにいえよな!!!
そっちこそ余計なこと言いやがって!!
『美琴さんに苦労をかけすぎです。
次に会うときは覚悟しておいてくださいね』
って母さんからメール来たぞ!!
恐すぎだろコンチクショー!!!」

喧嘩するならつないでいる手を離してすればいいのに。

ちなみに後ろのボロボロな残骸は

「『超電磁砲』と交際し、御坂家とパイプを作るのは私だ!!」

とかほざいていたLevel4で金持ちないつもの不幸だが、いろいろ割愛。


「なによ!! 私は事実を言ったまでよ!!」

「オレが、いつ、そんな大量なフラグを立てたよ!!?」

「すみません」

「『すみません』って自覚してんじゃない!!」

「オレがいつ謝った!!? それにオレが言ったものこそ事実だ!!」

「あのー」

「そんなに電撃撃ってないわよ!!」

「『あのー』って、心当たりありまくりじゃねえか!!!」

「そんなの言ってない!!」

「いい加減にしてくれ!!!!」

「は?」 「へ?」

いつのまにか彼らの横に小男が立っていた。

「駅のホームで声をかけようとしたらすぐ抱き合って二人の空間にする。
 その後はなにかの戦闘になる。そして喧嘩。
 こっちも忙しいのに、勘弁してくれ」

「「はぁ、すみません」」

前にもあったなそんなこと。懲りない二人だ。

そして彼らは知らない。

「早く乗ってくれ、すぐ向かうぞ」

この小男が一方通行から悪党向きと評された男であることを。





「……あんたの人脈どうなってんの?」

「なるほど、親舟さんだったか、しかし何なんだろうな?」

「おい、着いたぞ。降りてくれ」

車から降りた二人はまーーだ手をつないでいる。

「「ここは……」」

一軒家が建っていた。

「「どうゆうこと??」」

「息がぴったりだな。
 これが、渡すよう言われていた親舟さんからの手紙だ」

手紙を渡した小男は「それでは失礼する」とだけ言い、去って行った。
質問をスルーされた二人は、急いで手紙を開く。


『上条当麻様 御坂美琴様

 拝啓

 上条さん、お久しぶりです。御坂さんははじめまして。
 今回、御坂旅掛さんから、とある依頼を持ちかけられました。
 お二人が今までこの都市に貢献してきたことに対し、
 なにかしらお礼をしたいと考えていた私は、よろこんでこの依頼を受けました。
 二人には新年度からこちらで生活してもらいます。
 できれば、学生らしいお付き合いをしてくださいね。

敬具

                         親舟最中』


「「な、なんだってーーーー!!!」」

その瞬間、美琴の電話が鳴った。
もちろん相手は

『美琴ちゃ~ん元気!!?
 会えなくて、パパ、さびしかったよ~~!!』

バカ親父だ。

「ちょっと!! 何考えてんのよ!!」

『え? プレゼント。 気に入らなかった??』

「気にいったけども!!!」

『上条君いい男だなぁ。 よく見つけた! 美琴たん偉い!!』

「たん言うな!! うれしいけども!!」

『二人の世界に足りない物、二人だけの時間を与えたつもりだ』

「渇望してるけども!!」

『上条家にも許可は得ている。両家を代表し、二人の幸せを願う』

「ありがたい『じゃあ、元気でね美琴ちゃん!!』けど『プツ!!!』も……」

切れた。

上条の方を見ると、優しく微笑んでいる。
察してくれたらしい。
二人は家を見上げながら同時に思う。

(( 結婚の挨拶っぽかったもんなぁ ))

これから大変になりそうだ。



『わたしおおきくなったら、ままとけっこんする!!』

『ああ、テレビでやってたのそれか。うれしい、ありがとね!!』

『美琴ちゃん、おれは~?』

『ぱぱは、ままをひとりぼっちにするからやだ!!』

『そ、そんな~』

『でも』

『?』

『でもね、もしぱぱよりもね、かっこいいひとがいなかったら』

『うん』

『しかたなく、ぱぱともしてあげる』

『本当か!!??』

『だ、だからしかたなくだってば!!』

『ダメ!! 美琴ちゃんは私の物!!』

『じゃあ、二人ともオレが離さん!!』

『ぱぱくるしい!!』 『なにそれズル~い!!』

『絶対に、絶対にオレが守りぬいてみせるからな!!!!』










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