とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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男なら一度は憧れるアレ



ここ最近に上条の寮の近くに100円均一、通称100均ができた。
ビンボー学生上条当麻にしてはありがたく週に2回は寄っている。
そして今現在その100均にいるわけだが…

「で?なんでお前がいるの?」
目の前には常盤台のお嬢様、御坂美琴がいた。
常盤台のお嬢様にとってこの店はかけ離れた存在だろう。
「え、なんでって…」
(アンタを見かけたからって死んでも言えない…)

美琴はたまたまブラブラしてたら100均を発見した。
『私には一生縁がないわね…』とスルーしようとしたのだが
頭がツンツンした少年を発見して気付けば店に入ってたというオチだ。
もちろん美琴は何も買う気はない。『何買うんだ?』と言われたらお手上げだ。

「べ、別に関係ないじゃない!じゃぁアンタは何しに来たのよ!」
顔を赤くして上条を指さしそっぽを向く。
「はぁ?買い物に決まってんだろ。お前も買い物か?」
「うっ…そうよ、買い物に決まってるでしょこの馬鹿」
「へぇ、お嬢様がねぇ…で、何買うんだ?」
これはまずい…、と思い辺りを見渡す。
するとある物に目が止まる。
しばらく美琴が硬直してしまいおかしいと思った上条が美琴の視線を追う。
そこにはゲコ太グッズが置いてあった。
美琴の目がなにやらキラキラと輝き始めた。危険だ…、と上条は思う。
「えぇーっと、あの、御坂サン?まさかゲコ太が目的…ですか?」
恐る恐る尋ねる。しばらくすると美琴の意識が戻ってくる。
「へ?え、ち、違うわよこの馬鹿!じゃぁアンタは何買いに来たのよ!」
なんだそりゃ…、と呆れる上条だったが、美琴がやけにむきになっている。
スル―したり、変なこといったら間違いなくビリビリが飛んでくるだろう。

「えっと綿棒買いに来たんだけど、耳掃除用のヤツ壊れたし…」
「耳掃除…」
何やら一人でぶつぶつ呟いている。
今度は何が来るんだ神様!もうなんでもかかってこい!(電撃以外)、と勝手に心の準備を始める。
「あのさ…」
何やらモジモジしている。
これはこれで十分可愛らしいのだが今の上条にはわからない。
「何だ?」

「私がアンタに耳掃除…してあげようか?」

あまりにも衝撃な一言を口にした美琴。
あまりにも予想外な言葉が来て思考が停止してしまう。
(な、何て言ったんだコイツ…今俺の耳掃除してやるって言ったよな…?耳掃除ってまさか…)
そう男なら一度は憧れるアレだ。(膝枕+耳掃除)
ギャルゲーのお決まりだけじゃなかったんですね神様!、と色々ヒートアップしてくる。
(そういえば前にも美琴に膝枕されたよな…意識うすれたからあまり覚えてないけど。まぁそれはどうでもいい。
問題は美琴に膝枕で耳掃除されて上条さんの理性がいつまで保てるのかどうかですけどね!)
あんなことやこんなこと…様々な妄想が浮かんでくる。
その様子を不思議そうな顔で見ていた。
「あの…聞いてる?ねぇ」
すると上条の良心(意識)が戻ってきた。
「聞いてますよ!ええ、もちろん!あの流石に女の子に耳掃除されるのは純情少年上条当麻にはきついんですのよ?」
「駄目…なの?」
ここでお決まりの上目遣い。しかも今回は頬が赤く目がウルウルしている。
流石の上条もこれは可愛いと認めるしかなかった。
元々上条は美琴を可愛い娘と見ていたわけだが、
(ううう…断れません、断ったら罪悪感が…いやここでOKしたらどうなっちゃうんだー!
うおおもうOKしちゃえ!どうなるかはジェントル上条さんがどうにかします、ハイ!)
「お前には負けたよ…」
「え、いいの?」
「あぁ、好きにしろ」
恥ずかしいので美琴と視線をそらす。
綿棒を買い、いざ上条寮へ…
◆         ◇         ◆         ◇         ◆

しばらく道を歩き、ようやく上条の寮に着いた。
美琴の心臓の鼓動が速くなる。
上条がたまに話しかけてきても肯定の返事しか返さない。
美琴にとっては初めて彼氏の部屋に行く彼女のような心情だった。

「御坂着いたぞ…。おーい、聞いてますか―」
ドアの前に立っているのにもかかわらずそこから動こうとも話そうともしない。
美琴は自分の世界に入っていた。
(ここがアイツの…私どうなっちゃうんだろ…。やっぱりあんなことやこんなことされちゃうのかな…。
いや、別に嫌ってわけじゃないけど、だってアイツだし、そもそもアイツに限ってそれはないはよね…)
深くため息をつき『……意気地なし』と呟く。
「???」
心情が理解できない上条はとりあえずドアを開け、部屋に入ることにした。
一応美琴もついてきたようで安心する。

女の子を家に連れてくることはすごくドギマギすることなのだが今の上条の心情は…


(気まずい……)

部屋に入ってくるまでは良かったもののあれから会話がない。
しまいには美琴は頬を赤く染め俯いてしまっている。
こんな調子で大丈夫なのか…?と心配する上条だが、どうにかこの状況を突破しないといけない。

そんな中美琴は…
(うわー入っちゃった…アイツは何もしてこないのはほぼ確定されたけど…あれ私の本来の目的は?あれ?)
本来の『耳掃除』という目的を忘れかけていた。
(あ、耳掃除だった。アイツに耳掃除…えへへ)
俯きながら『えへへ』と奇妙な笑い声を漏らす。

上条はとりあえず買ってきた綿棒の袋を開ける。
これは美琴に本来の目的を思い出してもらうための作戦であり決して上条が楽しみにしているわけではない。
その音を聞き美琴ははっとしたように上条に声をかける。
「耳掃除…やる?」
頬を染め、両手の人差し指を絡めてモジモジしている。
その姿はまさに可愛らしい女の子であった。
流石の上条もこれはドキッっとした。
「あ、あぁ、頼む」
いつも使っている耳掃除用の機械は壊れているため、
昔からあるごく一般のを使うことにした。

「えっと…じゃぁ寝転がって」
とりあえず指示に従い、美琴のそばで寝転がる。
膝枕じゃないのね…と心の底からがっかりする上条。
やはり神様(現実)はそんなに甘くはなかった。

しばらくしても美琴は何も始めようとしない。
不思議に思った上条が美琴の顔を見ると、顔が熟したトマトのように真っ赤に染まっていた。
「あのー御坂さん?耳掃除…」
「…」
めんどくせぇと心の中で舌打ちする。
「これってお前が言いだしたことだよな御坂」
ここで挑発をする。これならプライドが高い美琴は乗ってくれるだろうと思ったからだ。
「……ええ、そうよ。わかったわよ、やればいいんでしょやれば」
挑発に乗ってきて一安心。
だがこの先大丈夫なのか、と心配する。

作業スタート
「うう…」
「どうしたんだ御坂?」
上条は美琴のかどんな顔してるのか見えないのでとりあえず尋ねる。
「結構難しいわね、コレ」
手先が器用な美琴でも苦戦している。
学園都市で市販で売られているものとは違う『アナログ』のようなものだからだ。
ピンセットで丁寧に耳垢を取ろうとするも暗くてよく見えない。
「…暗い、アンタもっと近づいてくれない?」
言われたとおり美琴に接近する。いやすでに密着している。
膝がちょうど頭に触れている。
美琴には見えないが上条の頬も赤く染まっている。
「これで…見えるか?」
「一応…」

とりあえず作業に戻るが、やはり暗くて見えない。
(どうしよう…これ以上接近できないし…ううう)
しばらく考え込むとある提案が浮かぶ。
膝枕だ。最近見た恋愛マンガであった光景だ。
美琴も彼氏ができたら…、と妄想していたことがついに叶う時が来た。
(いやっ、流石にそれは恥ずかしい…だってアイツは恋人じゃなくて…ううう)

「???どうしたんだ御坂?」
「あああ、もう!アンタ、ちょっと私の膝の上に頭乗っけなさい!」


えっ?
今何て言ったんだこの人…?しばらく思考が停止する。
(はっ、これって膝枕ですね、膝枕なんですね!待ってたぜ神様!ここで断ったら漢じゃないぜ!)
しかし一応再確認を取らないと、『中学生に無理やり膝枕をさせた男』と噂になるだろう。
なので再確認する。
「いいのか?膝枕なん――――」途中で美琴にさえぎられる。
「ち、ち、違うわよ、別にそんなんじゃないって!暗くて見えないから仕方なくて…ここしかないから…」
途中で小声になりボソボソ呟いている。
「わかったよ…ったく」
後悔するなよ、と言い美琴の膝の上に頭を乗っける。

「ふぇッ…」
今まで味わったことのないような感覚が体中を駆け巡る。
(な、なんなの?今の…)
突然心臓の鼓動が早くなる。―――もちろん上条も。
(これが膝枕の感覚…味わったことないぞ…。ヤバイ、上条さんの理性もヤバイ…)
理性との戦いが始まった。

「なんか気持ちいいな…」
いきなり上条が爆弾発言をした。
「な、な、何言ってるのアンタは!……そんなに気持ちいいの?」
「あぁ、なんかよくわからないけどな」
お互い顔を赤く染め、しばらく会話がなくなった。

静かになりこれで集中できると思っていた。しかしまだしぶとい奴がいた。
耳垢が乾燥してへばりついている。いわゆるゲームでいう『ボス』だった。
これを取るのは時間がかかるし痛いだろう。
美琴なりに丁寧に取ろうとする。
「痛ッ…」
「あ、ごめん痛かった?」
上条を心配してか、作業を中断する。
「いや大丈夫だ、気にするな」

しばらく悪戦苦闘するもどうにかとることができた。
あとは綿棒で掃除をして終了だ。
(もう終わっちゃうのか、嫌だな、もうちょっとこのままでいたいし…)
名残惜しいが上条を待たせるわけにもいかないので仕方なく掃除をする。

ようやく耳掃除が終わった。残念なことに…
上条に聞こえないように浅い溜息をする。
「終わったわよ」
「…」
返事がない。どうしたんだ?、と思い上条の顔を覗き込む。
寝ていた。疲れていたのかしばらく起きる様子もない。
「なによ、一人だけ寝ちゃって、この」
寝心地がいいのか幸せそうな顔で寝ていた。
「いい寝顔…写メ撮っちゃえ」
ポケットから携帯を取り出し、写メを撮る。
「永久保存決定ね♪起こすのもかわいそうだししばらくこのままでいてあげる」
幸せそうな笑みを浮かべる。
時間的には短くても美琴には長く、幸せな時を過ごせた。



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