とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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とあるファミレスのバカップル




とあるファミレス

テーブルの上のグラスにはまだ半分ほど中身が残っている。が、上条も美琴も、もう一度ストローに口をつける勇気はない。

演技マジック、もしくは非日常マジックと言おうか、役柄を演じることによって普段の上条と美琴なら絶対にしない事をしてしまった。

我に返るとかなり恥ずかしく、穴があったら入りたい気分。

そして上条としては困ったことに、

(話題が無い……共通の話題となると、御坂妹とか第3次世界大戦、グレムリンの時とかの話し。こんなところできるかっ!つーか恋人同士の話題じゃねーだろ、困った)

対して美琴は

(もうヤケよ、ヤケ。どーんと来い、つーの……あっ、黒子放ったままだった。黒子もひょっとしてナントカアイテムを使って、ああなった?)

ヤケッパチな自己逃避、関係無くもないがこの場には関係ないことを考えていた。

(どーすんだよ?)

困って美琴を見る上条に

(ふっ、早くなんか言いなさいよ)

自己逃避から開き直ってドーンと来いと構え上条を見る美琴。

内情を知らない店内の人々は見つめ合う二人、目で語り合える二人として見ている。

「すいません、このコーヒーもっと苦くなりませんか」

「そうですね、厨房で煮詰めて来ましょうか、少しお時間宜しいですか」

「できるだけ早くお願いします、砂糖を吐いて死にそうなんです」

「急須にお茶葉を目一杯詰め込んで淹れたお茶を頂けませんか、言い値で払いますんで」

「申し訳ありません、代金は要りません。サービスさせて頂きます」

「メニューに壁ありませんか?壁殴り代行に頼もうにも予約がいっぱいで追いつかないそうなんです」

「さすがに壁はメニューにございません、代わりに手打ちうどんの実演を急遽ご用意致しました、お試しになられては如何ですか」

「超甘いです」

店内のそこかしこでそんな会話がされていた。

漸く、上条が言葉を口に乗せる。

「美琴」

(また名前だけかよっ!)

「ナニ、当麻?」

(そういう私もナニってつけただけ……)

「これから、どーする?」

(……もっと気の利いたこと言えっ、つーのよ)

「当麻はどうしたいの?」

(ふん)

(御坂に決めて貰おーと思ったのに!)

「どーすっかな、このまま美琴と一緒に居られるだけで幸せなんだ、俺は」




(くっ、そう来ますか……演技とわかってても、そんな事言われたら、まだドキッと来るわ)

「それじゃあさ……」

(うーん、でもこのまま間が持たないのもね、一旦外に出てぶらつくのも、いいかな?)

上手く話題が見つからなくても、腕を組んで歩けばそれらしく見える、と。

美琴は想像する。

腕を組み歩く二人。恥ずかしげに上条を見上げる美琴。その美琴に微笑みかける上条。そして優しく言葉を……

頬が上気しそうになり、心臓の鼓動が早鐘を鳴らそうとする。

飽くまでも演技、演技だからこそ言葉を紡いで行けばその幻想は実現する、仮初めであっても手には入る。しかし、その言葉が中々出てきてくれない。

そんな美琴とは裏腹に、

(あっ、そーいや今日インデックス居ないんだったな、また小萌先生に呼ばれて……小萌先生の配慮だよな、奨学金が出た日ぐらい栄養あるもの食べなさいって……だが、ここは!)

「美琴、どーせだから此処で食べていかないか?」

「美琴も夕食まだなんだろ?俺が払うからさ」

(ア、アンタね!……って俺が払う?)

「ダメよ、私が払う」

(あーーーっ!私のバカっ、バカっ!つ、つい。それより、って提案すれば良かったのに……儚いのね幻想って)

「それこそ、ダメだ」

(心配すんな、今日の俺はファミレスの食事ぐらい、ふっインデックスの食費に較べたら屁でもねー!それより御坂に迷惑かけてんだ、これぐらいさせて下さい)

「私の方が(お金持ってるなんて言っちゃダメよね)余裕あるもの」

「カッコ良い俺で居させてくれよ」

素で微笑みかける上条。

(私の前に現れるアンタはいつもカッコ良いんじゃーーーっ!)

「あっ、カッコつけさせてくれよ、だったな(気障っぽくなっちまった)でもな美琴、払わせてくれないと上条さんが情けなさすぎます」

優しく語りかける上条。

想像したばかりの上条の姿に、

(あわわわわわわわわわわわわ)

ぷしゅー、と湯気が噴きそうな美琴。

この幻想は消えてくれない。演技でなく上条は心より言ってくれいる。

「ダメ、か?」

「ダメじゃない」

店内では

「激辛麻婆豆腐お願いします」

「ゴーヤチャンプルー、ゴーヤ増量で」

「刺身定食、ワサビ山盛りで」

「超激辛カレーで」

やはり夕食時間なのか、そんなオーダーが入る声が聞こえてくる。









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