とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part03

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匿名ユーザー

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上条と美琴がメニューを覗き何を頼むか考えていると、新たに手書きの『本日のオススメ』なるものが二人の元にも配られた。

店員がそれぞれのテーブルに配布している。

通常メニューから上条がそちらに目を移すと、

「復活、伝説の苦瓜と蝸牛の地獄ラザニア……復活させるなら旨いのか?」

食べたことは無い、と思いながら何故なのか上条はその料理が引っ掛かる。

「なんか聞いた覚えが、何だっけ? あまり良い思い出じゃ無かったような……あっ!」

「どうした美琴?」

「ははは、当麻が記憶を無くす前に食べようとして食べれなかったとか言ってた……」

「へー、そーなのか、だったら」

「止めときなさい、絶対ハズレだから」

そんな事は無い!と上条は言いたい、言ったうえでムキになり注文するのが普段の上条、

「それを間違いだと言い切れない、上条さんの不幸体質」

であったろうが、今日は恋人を演じ中。言い争いになるような事は禁止。

仕方なく改めてオススメメニューに目を落とすと料理に変なキャッチコピーが添えられている。

因みに今の苦瓜と蝸牛の地獄ラザニアには『苦痛に目覚めよ』その他には

『糖分撃破!』

『忘却の彼方へ』

『天壌の劫火』

『怨念の手打ち』

『お客様のリクエストにより超をつけました』

などなどと書かれてある。

(これは御坂に止めて貰って正解?しかし、これ)

(何なのよ、このオススメメニューは、誰が頼むっていうの?)

『忘却の彼方へ』など実際に記憶を無くしてしまった上条は頼みたくもならない。が

((うん?))

『本日のオススメ』その一番下に書かれた一品。それに上条と美琴の目は釘付けになる。

カップル限定と書かれてある、『愛に包まれた特製オムライス』。

(……カップル限定、恋人を演じてるなら頼むべきなのか?)

(それに出費が少なくて済むわねぇ)

通常メニューに載っていたオムライスより1.5倍の値段。但しカップルで二つ頼むと半額、一人前の値段で済む。

美琴は上条に奢って貰うことを許してしまったが、やはり上条の財布が心配。

懐にも優しい。

(けど)

(なあ)

テーブルに残されたグラスに二人の目が注がれる。




上条と美琴が恋人役を演じる道具として頼んだ前例。それは成功した、成功したものの自らのダメージも大であった。

同じ失敗をするのか?と不安がよぎる。

結局、上条と美琴は演技を続け、見せつけるためには頼むしかないと『愛に包まれた特製オムライス』を二つ注文することにした、さほどおかしなことにはなるまいと信じて。

見せつけると言っても不特定多数にまで見せる必要は無かったのだが、二人ともそこまで気が廻らない、演じることだけで精一杯だったのだ。

この時は事が終わった後、どうなるかなど思いも寄らなかった。

上条と美琴が店員を呼び注文を告げると、

「『愛に包まれた特製オムライス』ですね、それではカップルであることを証明して頂けますか?」

「「はっ?」」

落とし穴が待っていた。

「なにぶん半額ですので確かな証拠を見せて頂く必要があります。この場でキスして頂けるだけで構いませんよ」

などと店員はのたまう。

(キ、キスゥゥゥゥゥゥゥゥ?そ、そんな人前で出来るわけが無いっでしょうがぁ!……でも、いっ今さら取り消せないのよね。やっやらなきゃ、コイツとキ、キス……ふふっ、うふふ、ふふふっふふふふふふふふにゃーーーっ!)

明らかに挙動がおかしい美琴、唇は動いているのに音は聞こえない、声に出すことだけは必死に耐えているのだろう。

その美琴に、

(お、落ち着け御坂、こんな絶対絶命何度も経験してきたじゃねーか、考えれば道は開ける!切り抜けられる!こんなところで絶望してんじゃねーっ!)

と、目で訴える上条。しかしながら美琴を落ち着かせようとする本人も錯乱気味。上条は美琴の瞳を見て訴えているのだが当然、上条の目に映るのは瞳ばかりではない、美琴の唇も映る。

瞳から唇へと上条の視線は移ってしまう。ストローをくわえ最接近したついさっきのことがリアルに蘇る。

艶やかに紅い唇に引き寄せられる。

(うがああああああああああああああああああああああああ、ナニ考えてんだ俺はっ!御坂の唇が柔らかそうだとか、感触はどうなのかとか、触れてみたいとか、できれば味わってみたいとか、迷惑かけてんのに信頼して協力してくれてる御坂にナニしようとしてんだ俺はーーーーーーーーっ!)

真っ赤になって黙り込む二人、しかし、徐々に徐々に顔を寄せ合う上条に美琴。





そこへ、

「別に写真とか物的証拠でも構いませんよ?」

店内の空気、俺達を殺す気か!という空気を察した店員が助け舟?を出した。

「「写真?」」

店員の言葉に我に返る、正気に戻る上条と美琴。

「しゃ写真なら」

と、美琴がラブリーミトン、ゲコ太モデルの携帯電話を取り出す。

「ペア契約した時の写真が」

「あの時の?」

そう、9.30にも同様の事があった。

携帯電話を開くとフォトフォルダーでなく、いつでもすぐに眺められるようにしてある画像を呼び出す。

上条と美琴、顔が引き攣れ合いながら上条が美琴を抱き寄せている画像。

店員に見せる。

「付き合い始めた頃のお写真ですか? 微笑ましいですね」

引き攣っているのが照れているのか恥ずかしがっているのかに見えるのだろう。

「「そ、そうです。そうなんです」」

「思い出の写真がいっぱい残ると良いですね」

リア充爆発しろ、という本音は隠してニコッと笑う店員。

「「はい!」」

釣られて返事する上条と美琴。

「これで証拠は結構です。ではお名前を頂いても宜しいですか」

「上条当麻に」

「御坂美琴です」

ベルトコンベアーに載せられた品物のように流されていた。

一つ嵐が去って放心状態、何故名前を聞かれたか疑問に思わないし、隣席に客が座ったことにも気がつかない。

嵐を持って来た張本人の店員が去っていくのを見送り、

「つ、疲れた」
(俺は何をしようとしてたんだ?)

「は、はははは……(残念」

「えっ……残念?」

「へぇ、って?」
(わぁぁぁ!口に出ちゃってた! ああああああ、言い訳が利かない! ナンで残念なんて言っちゃうのよ、って残念なんて思っちゃうのよ!くっ、どうする、どうする!学園都市第三位の『超電磁砲』でしょ私は!こんな事でどうすんの!……はっ!今は演技中、ならば!)

「キスできなくて残念だった?って聞いたのよ」

「なっ」
(御坂ーっ!どーゆーつもりだーっ!くそって何で動揺してんだ俺はっ! 図星だってゆーのか? ま、まさか……み、御坂はまだ中学生、中学生で御座いますよ! そんな、そんなあり得ませんよ、ね?……と言いながら恋人役を御坂に頼んでんだよーっ!おのれ魔術師!許さねー!!……はあはあはあはあ……れ、冷静に、冷静に考えたら、こっ恋人役として演じてくれてんだよな、そーだよな?なら、ここは)





「そうさ、美琴の唇が誘ってたんだ、残念に思っても仕方ないだろ?」

ガタッ

テーブルが揺れる。

美琴が撃沈しそうになる身体を支えた結果。

(な、ナニが誘ってるちゅーのよ!……ああ、もう。上手く返さないと)

「そっそう、当麻がしたかったら私は構わなかったのに」

(やめてーっ!そんな目で見ないでっ御坂ーっ! 誘うようなそんな目で見ないでくれーっ!)

「でも人前で美琴が恥ずかしがってる可愛いところを誰にも見せたく無かったんだ」

「えへっ」
(えへへへへへへへへへへっ。そ、そうなんだ)

「美琴」
(そ、そろそろこの話し終わりにしよ、な?)

(はっ!)
「当麻」
(そ、そうね。これ以上は身が持たないわ)

「本当に超がつく激辛カレーが来るとは思いませんでした。はぁ、超甘いです」

(つ、次の話題、話題。あっそーだ、大丈夫だよなこれ?)
「美琴は俺が記憶を無くす前の俺の事を知ってんだよな?」

(び、微妙ね、付き合う以前の話しってことにしとけば大丈夫かな?)
「そうね、7月の終わりだっけ?私達が出会ったのが6月だから、その間のことしかわからないわよ?」

「なら苦瓜と蝸牛の地獄ラザニアの話から」
(食べようとして食べれなかったとか、良い思い出じゃ無かったとか気になる)

「あー、幻想御手事件ってのがあって調査に協力してたら当麻に邪魔されたのよね」

「はぁー?それが食べれなかった事に関係あんのか?」

「不良グループに聞き込み調査だったのよ、ソイツらに絡まれてると見て助けに入ったのが当麻、その時当麻が注文してたのが苦瓜と蝸牛の地獄ラザニア、食べる前だったらしくてね」

「おっ、なんかカッコ良いじゃありませんか、上条さんは」

「当麻が助けようとしたのは不良グループね」

「へっ?」

「ソイツらは私が焼いちゃったけど当麻との最初の出逢いもそんな感じ、その時は私を助けようとしたんだけどね(うー、あの頃の私って)その辺の話はもういいかな?」

隣席より

「ダメですね、それこそ最初の出逢いを詳しく話して貰わないと」

「佐天さん、邪魔しちゃ!」

強者現る。




ところ変わって

「逃げ足が早いにゃー」

土御門は件のマジックアイテムの販売先に踏み込んでいたが、そこは既にもぬけの殻になっていた。

「魔草調合師バルビナか」








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