とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part4

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だれでも歓迎! 編集


「…散々だな…」
「せやな…」
「…にゃー…」
今日の役目を終え、とりあえず解放された3人は校門前の階段で休んでいた。
もう顔に覇気はなく、3人ともげっそりとしていた。
「中学のときは先生方も手伝ってくれたからなんとなく楽しんでたんやけど、
 高校じゃ全部生徒にまかせっきりなんやね…今日はもうかえって明日に備えて
ねようかね」
そういって青髪ピアスは帰っていく。
「もう帰宅時刻になるしな。バスももうないころか?」
「にゃー、そういえば俺今日は舞夏に用事があるんだった。
 悪いカミやん。先帰っててくれぃ」
土御門も去っていき、上条は1人になる。
もう少し休んでから帰ろう。と考えていると上条の上影ができる。
「?なんだ…?」
そこにいたのは御坂美鈴だった。
「あぁ、美鈴さん。」
「やっぱり君だったか。」
「どうしたんですか?」
「うん。美琴ちゃんを追いかけてきたんだけど見失っちゃってね」
「御坂がウチの学校に来たんですか?」
御坂がこの高校のイベントに興味を示すとは思えないし、
ただフラフラ回っていただけなのか。と適当に考えてみる。
「この学校に入っていったのは見たんだけどねぇ」
「美琴がこの学校のイベントに興味を示すとは思えないんですけど」
「誰かさんに会いたかったのかしらね」
「誰か…アイツの知り合いがこの高校にいるんですかね」
会話していてこの男は本当に鈍感野郎なんだなと美鈴は思いつつ、話を進める。
「でも時間が時間だからね。もう寮に帰っちゃったかも知れないわね」
「そうですね。電話とかしてみたらどうですか?」
「残念だけどバッテリーがね…」
と、美鈴はウソをつく。
「俺の携帯…は教室においてきちまったし…」
立ち上がって玄関へと向かう上条と美鈴が呼び止める。
「あぁ、大丈夫よ、あとで寮に顔だすから」
これも実はウソである。
彼女が上条のもとに現れた理由は、ただ会話するためだった。
「そういえば、初日美琴ちゃんといたわね。あの子キミに迷惑かけなかった?」
何があったか、知っていて、それでも上条に聞く。
「あぁ、楽しかったですよ、でも、俺途中でアイツほったらかしちゃったし、
 それで美琴を怒らせちゃって…
 でも、昨日電話きたんで謝ったら許してもらえました。」
「そう、よかったわ。でもね、
 美琴ちゃんは怒ってはいたかもしれないけど、きっとそれ以上に悲しかったのよ。」
「え…アイツ、またなんか俺に黙って悩みでもかかえてるのか…」
ポツリとつぶやいた上条に美鈴は言う
「そう、悩んでる。きっと、君に言いたくても言えない悩みなのかも…
 悩みって言うより、もっと単純なものかもね
 あの子素直じゃないから」
「それは、俺もわかりますけど…」
「もし、あの子に会って、あの子が君にその『悩み』を打ち明かそうとしていたら
 聞いてあげてね。きっと君以外誰にも解決できないわ」
(例えどんな結果でもね…明日一緒に回るって話だし)
「はぁ、わかりました。俺、ちょうど明日アイツと回る予定でしたから」
「あらそうなの、とりあえず美琴ちゃんと普通に接してあげてね。」
話の断片もつかめないまま返事をしておく上条。
(つまり俺は自分から聞いたりしないで、
美琴が話そうとするまで普通に接してればいいのか…?
あれ?これでいいんでせうか…?)
じゃあ…と美鈴は去って行く。


「…へ?結局…?」

(アイツの悩みか…なんだろ、
 俺に言いたくても、言えない悩み…さっぱり見当がつかない…)
自分と腹ペコシスターの分の夕食を作りながら考える。
「とうま、とうま!明日は小萌達と晩御飯食べるから夕食はいらないんだよ」
「そうなの?じゃあ俺も外で済ませるか」
などと会話しつつ、美琴のことを考える。
(アイツが悩むって…相当なもんじゃねぇのか?
もしかして…恋の悩みとかな。アイツが男と歩いてるとこ見たことねえしな。
アイツなら飛躍していきなり『告白の仕方教えなさいよー!』なんてきたりしてな
男友達少なそうだし、俺に相談みたいな…ないない…)
「とうま、何ひとりでにやけてるのかな…?今日なんかあった…?」
「えぇ?インデックス!なんでそんな優しそうな言葉なのに、歯がギラついてるんだよ!」
(そんなにニヤニヤしてたか…?でも、美琴がああいうのしてるの見ると…
あれ、笑えないかも…むしろ笑ったら殺される…?あーやめやめ…
なんでアイツが恋をしてるってこと前提になってんだよ。って痛!)
「いってぇな!インデックス!」
「スキありーなんだよ!」

とある男子寮の部屋
隣の部屋から聞こえてくる叫び声と、逃げ回るドタバタした音は上条とあの禁書目録だろう。
「ふー、あの部屋はにぎやかだなぁ」
「まったくだにゃー…あ、もうちょい上のほうでいい?」
「はいよぉ~」
「気持ちいいにゃ~…やっぱり肩揉みは最高ぜよ…」


とある女子寮の部屋
(明日は、とにかく、その…ええと…アイツにきちんと告…こ、告白して…
でもいつ告白しよう…この期間の帰宅時刻はいつもより遅いから…
やっぱり…夜?ちゃんと告白できる…かな…?)

学園都市の夜は更けていく

最終日
待ち合わせた場所で美琴が上条を待って数十分
「早く来すぎたわね…それにしても遅い…」
いつもより早く起き、
バスルームで体の隅々を洗い、いつも通りヘアピンをつけ、
昨日購入した香り控えめな香水を後ろ首あたりにつけておく。
準備を終えると、時計もみずに待ち合わせ場所へと向かい、
30分前に着いてしまった。
そのまま30分、人の目を気にしながら待ち続けたが上条こない。
そして集合時間を過ぎて20分、上条はようやく美琴の前に現れた。
「いやぁ、ゴメンゴメン…ってなんでいきなりビリビリ…!?」
「遅いじゃないのぉ!いったいいくらまったと思ってんのよこの馬鹿ぁ…!」
飛んでくる雷撃の槍を右手で受け止めた上条は
(ちくしょう、アイツはいつも通りじゃねぇか…)
と思いつつ、平謝りする。
「いやぁ、なんというか、そのですねええと来る途中色々ありましてですね
そのなんていうかごめんなさいぃぃ!」
「遅れるのがわかってたなら、電話なりメールなりすればいいじゃない…
 その…少しは心配するじゃない」
かぁぁっと赤くなる美琴に上条は気づかない。
「あぁ、えぇっと…わりぃな」
「べ、別にいいわ…さ、行きましょ」
(素直に…素直に…いつも通りかつ素直にアタックよ…)
「今日は穴場スポットめぐりにするのか?」
「どこでもいいんじゃないかしら、最終日はいつもしらみつぶしに行ってない場所行ったり、
もっかい行きたいとこ回ったりするものでしょ?」
「それもそうだな。よし、行くか美琴」
名前で呼ばれた美琴はビクゥッ!と体を動かし、あとをついていく
「ね、ねぇ、アンタ私を名前で呼ぶ時っていっつもその時によって決まってないでしょ。」
「ん~?なんでせう?」
「いきなり名前で呼ばれるとアレだから…常に名前で呼んで欲しいんだけど」
「…は?そうなの?わかったよ。これからはいっつも美琴って呼ぶからな」
「…うん、それでよろしく」
赤くなりながら美琴は彼の横を歩いていた。

天気もよく、今日は休日であり、最終日ということもあり、
学園都市は初日より人であふれていた。
その中を上条と美琴は歩いていた。
「なぁ、美琴、腹へってねぇか?」
「は、はひっ!?」
名前で呼んでもらうことになったはいいが、まだクセでビクンとしてしまう
「はひじゃねぇよ。腹減ってない?って」
「あ、あぁぁそういえばもうお昼だもんね、確かにおなかすいてきたかも…」
「じゃあ、なんか食べようぜ、何がいい?出店もあるし、喫茶店もあいてるけど」
「そうね、せっかくのお祭りだし、出店でいろんなもの食べようかしら」
「そうだな、そうするとすっか」
適当に出店を回り、目に付いたものを買って食べる
「すいませーん、フランクフルト2本」
「はいはーい、お待ちくださーい」
このような出店は基本的に学校ごとに範囲が決まっていて
学生が店員となり、時間ごとにパートが決まっている。
「こういうのはやっぱり、男子である俺がおごったほうがいいのかな?」
「別に、自称貧乏学生からおごってもらうほど私の心はすさんじゃいないわよ
それがもしバリバリする財布だったらショックだし」
「支払いは俺に任せろーバリバリッみたいな?」
「そうそう」
「俺はそんな真似はしませんのことよ」
「お待たせしましたー、こちらケチャップのみ、こちらマスタード付きとなっております」
店員が上条にフランクフルトを手渡す。
「ハイどうも、ほれ、美琴」
「どうも」
次はあっち、これもたべたい!といったテンションで2人は祭りを楽しむ。

「あぁ~こりゃ人ごみにのまれちまったな…」
「そうね…はぐれないようにしなきゃ…」
そういう側から、美琴は通勤ラッシュの駅のホームのごとく、飲み込まれそうになる。
「えっ?美琴…?どこいったー?」
「こ、ここ!」
必死に人の壁を乗り越え、上条の手をつかむ美琴。
「危なかったな、いきなりはぐれるところだった…」
「う、うん…」
手を離してうなずく
「気をつけようぜ、お互いに」
「あ、あのさ、手、つないでたらはぐれないんじゃないかしら…」
そういって、美琴は上条の手をにぎる。
「…い、いくわよ!」
「え?痛い!肩ぶつかった!あぁ、すいません、
って美琴!ちょっとペースダウンって痛!すいません!そんな何回も握りなおさなくても大丈夫だって」
「デパートの中入っちゃえばあとはすいてると思うから我慢して…!
 私だって大勢の前で手つなぐのは恥ずかしいんだから!」
(手を握りなおしてるのはアンタの手をしっかり握りたいからよぉぉぉぉ!
 気づけやこの馬鹿ぁ!)
人ごみのなかを二人は走る。
デパートのベンチで2人はとりあえず休んでいる。
「はぁ…はぁ…もう無理…」
「やっぱデパートの中は空いてるのね…」
「飲み物かって来る…美琴何がいい?」
「えっと…ヤシの実サイダーで」

このままデパートの中で時間を潰して、少し外の様子をうかがおう。
という結論を出した2人は洋服店などを回っていた。
「ここっていろんなアクセサリーあるのね。」
「そういや、9月30日の事件があった日、御坂妹にネックレス買ってやったんだよ
 すげー喜んでたように見えたのは気のせいかもしれないけど。」
上条の言葉は美琴には届かない。美琴はヘアピンやネックレスなどを食い入るように見つめていた
(私ももっとこういうのつけておしゃれしようかしら…)
「聞いてるのか…?気に入ったものがあったら買ってやるよ。何がいい?」
「え?あぁ、うん…どうしよう…」
「ためしにつけてみりゃいいじゃねぇか。」
「いや、もう決まったわ…コレにする。」
「ネックレスか…わかった、ここは上条さんにお任せを!」
ピッ
「○○○○円になります」
ニコリと笑う店員さんだが、上条さんの財布的にはよろしくない値段かもしれない。
「ほら、美琴。」
「えぇっと、ありがと…ここでつけていきたいんだけど…」
「ん、わかった。じゃ後ろ向いて。」
(なんか店員さんこっち見てるし恥ずかしいな…
 つーか美琴からいい香りが…なんだか余計ドギマギしちまうじゃねぇか…)
「どう…かな…?」
顔を真っ赤に染め上げて上目遣いな美琴に上条はめまいがした。
(やばい!何故かものすごく可愛くみえてしまう!落ち着け上条当麻!)
「に、似合ってるよ。なんていうか、お前らしいデザインのチョイスだよな」
「うん、ありがと」
顔を真っ赤にした2人はデパートから出ることにした。

デパートから出ると、外はもう薄暗く、街灯がついていた。
「もう薄暗いな。結構時間はたったけど、まだ人が多いな」
「最終日は夜のほうが盛り上がるのよ
 今日はナイトパレードもあるし」
「パンフレットに書いてあったな、そういや」
「歩きっぱなしだから疲れちゃった」
「そうだな、すこし休むか」
2人は人ごみを縫うように歩き、いつもの自販機のもとへ
周りはにぎやかだが、ここはやはり人が少ない。
ベンチに座り、2人は休んでいた
「ふぅ、ナイトパレードまでは時間があるな…
 もう少しここで休むか」
「そうね」
何気ない会話だが、美琴は戸惑っている。
(この状況って…もしかして、今…告白したほうが…は、恥ずかしい!)
実は上条も戸惑っていた
(なんか近くないでせうかぁ!?いい香りがしてるのですが)
「さ、寒くねぇか?美琴?」
「うん、大丈夫…」
「そ、そりゃ良かった」
そわそわとしながら、美琴は上条の顔を見つめる。
(え、どどどどうしたんですかー!美琴さん、この状況でなんでアナタまで顔が真っ赤に!
もしかして、美鈴さんの言ってたように悩んでるのか…?)

「は、話が…あるの」

来た、と上条は思った。
「お、おう…なんか悩みでもあるのか?」
(知らないふり、知らないふり…今悩みごとを知ったかのような表情で…)

「悩み…っていうか…
 その、私はアンタに、色々助けてもらったじゃない。
 …アンタは忘れちゃったけど、最初は、不良にからまれてる私を助けようとして…
 最初は、アンタのことあんまり好きじゃなかったのよね…
 でも、アンタと接するうちに、その、アンタといるのが楽しく思えるようになってきて、」
「美琴?ど、どうした…?」
「それで…ね、私は、アンタとこれからも一緒にいたいわけなの…」
(ちょっと待て…これってもしかして…)
鈍感な上条でも理解した。それほどまでに美琴の顔は赤く、真剣だった。
「あ、あの、美琴…さん?」
「ちょっと黙って聞いてなさいよ!人がせっかく決心して話てるのに…!
 もう、色々考えてたんだけどやめにした!だから、ハッキリ言うわよっ!」
「…」

「アンタが、…上条当麻が好きなのよっ!!!
 前からずっと好きだった!でもアンタは全然気づいてくれなかった…!
 アンタとずっと一緒にいたいの!私は…私は…っ!?」
言い切る前に上条が美琴を抱き寄せる。
「今日のお前…反則だ…」
「え…何言って…」
(これが美鈴さんの言ってた悩みってわけか…なんて馬鹿だったんだろ俺
心の中では美琴のことこんなに好きだったじゃねぇか…!
土御門が言ってたっけ、ツンデレは見抜けないって
俺の心も立派なツンデレだな…
自分の気持ちにも気づけないなんてな…)

「美琴…俺と付き合ってくれるか…」
「…うん…大好きよ…」
もう一度、上条は美琴を抱きしめる。
「苦しいってば…」
「…ははっ、ごめん」
「ねぇ…ナイトパレード始まっちゃうよ…と、当麻…?」
「そうだな…行くか、美琴。」
幸せに包まれた2人の学生は人ごみの中へと消えていった。





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