とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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とある物理の恥ずか詩集



はじめに

今日から詩を書いてみようと思う。テーマは「あの馬鹿に想ってる事」。
アイツの事が好きなのは自分でも分かってる。けど、アイツを前にするとどうしても素直になれない。
でも溢れ出すこの想いは止める事ができない。
だからその想いを詩に残す事で、精神バランスを保とうとしてるのかも知れない。
…正直、後々読み返したら死ぬほど恥ずかしくなりそうだけど、その時は燃やしちゃえばいい訳だしね。
あとはノートの表紙に『物理』って書いておけば、カムフラージュも完璧。
よっし! じゃあ早速書いてみますか!




「気がつけば」

気がつけば、アンタの事を考えてる。
気がつけば、アンタの事を探してる。
気がつけば、アンタと一緒にいたいと思ってる。
気がつけば、アンタの顔を見つめてる。
ねぇ、アンタも気づいてよ。
私の気持ちを少しだけでも。




「その右手でも消せないもの」

その右手なら、何でも打ち消せるって思ってる?
確かに雷撃の槍も、砂鉄の剣も、超電磁砲だって効かないもんね。
でもね、その右手にだって打ち消せないものがあるのよ。
え? それは何かって?
じゃあ…私に触れてみて。
……ほらね? 消えないでしょ?
その右手でもね、恋する気持ちは打ち消せないの。勉強になった?




「嫌い」

アンタなんか嫌いだ!
いっつも私をスルーするから嫌い! いっつも他の女の子と仲良くしてるから嫌い!
無自覚に私の気持ちを振り回すから嫌い! 自分の体が傷つくのを何とも思ってないから嫌い!
でも一番嫌いなのは、
アンタの事を「嫌い」って言っちゃう私自身だ。
本当はアンタの事、全然嫌いじゃないくせにさ。




「夢」

夢を見た。
目の前にはバージンロード。
ウエディングドレスを着た私が歩いている。
隣を見ると、アンタが照れながら笑ってる。
そしてタバコをくわえた神父が言うの。「君達は永遠の愛を誓うかい?」って。
アンタは「誓います」って言う。
私も「誓います」って言う。
でもね……私はそこで起きちゃったの。
そのまま目が覚めなければ良かったかって?
ううん。そんな事は思わない。
だって眠ったままじゃあ夢を見る事はできても、叶える事はできないじゃない。




「言えない事を」

せっかくの機会だから、普段言わないような事を言ってみる。
『当麻、大好き♡』
……さすがにこれは恥ずかし過ぎるわね………




「いつからだろう」

アイツと歩いているだけでドキドキする。アイツの声を聞くだけでドキドキする。
アイツに触れられるだけでドキドキする。アイツが一緒にいるだけでドキドキする。
いつからだろう。
パーソナルリアリティが崩壊するほど、アイツの事が気になりだしたのは。
いつからだろう。
こんなに好きになっちゃったのは。




「キスって」

キスってどんな感じだろう。
どんな感触がするのかな? どんな気持ちになるのかな? やっぱり初めての時は緊張するのかな?
未体験の私には、それがどんなものなのか、想像する事しかできない。
だから………
アンタの唇で試してもいい…?




「約束記念日」

「私の世界を守る」とアンタが言ったから、八月三十一日は約束記念日。



「宝箱」

私のケータイは宝箱。
アンタと撮ったツーショット写真。二人で分け合ったゲコ太のストラップ。恋人気分になれるペア契約。
どんなに離れても、アンタを近くに感じられる魔法のアイテム。
何気ないメールのやり取りも、なんてことのない会話も、全部私の宝物。
思い出の詰まった、私の大切な宝箱。




「10回クイズ」

「『好き』って10回言ってみて?」、とアンタが言ったら、
私は言われるがまま、「好き」って10回言うだろう。
「好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き」
そしたらアンタが、「じゃあ俺の事は?」って聞いてくるのだ。
だから私は答える。
「大好き!」って。




「もしかしたら」

それがカップルかどうかなんて、一目見れば大体分かる。
例えば、あっちの二人は手を繋いでいる。そっちの二人はお揃いのアクセサリーをつけている。
こっちの二人はお互いに目が合って赤くなっている。
羨ましい。
私もアンタとそんな関係になりたい。恋人同士になりたい。
でも…もしかしたら……
私達も周りからはそう見えてるのかも知れない。
一緒に歩いてるだけだけど、恋人に見られてるのかも知れない。
そうだったら、ちょっと嬉しいな。




「初恋」

「初恋は実らない」ってよく聞く。
でも私はそんなの信じてない。
アンタの言葉を借りるなら、「そんな幻想は私がぶち壊してあげる」
私は絶対に実らせてみせるの。
私の一世一代の初恋を。




「一目惚れ」

一目惚れっていうのは、目と目が合った瞬間、身体中に電気が走るらしい。
じゃあ電撃使いの私は、ずっとアンタに一目惚れしてるのかな?
な~んてね♪




「たまにはそんな夜」

私にだって、寂しくて仕方がない夜がある。
私にだって、人恋しい夜がある。
私にだって、アンタに会いたくて泣きたい夜がある。
だから、声だけでも聞かせてよ。
アンタの声を聞くだけで、私は安心して眠れるのだから。




「こだまじゃないです」

「アンタ」っていうと、「御坂」っていう。
「一緒にいたい」っていうと、「別にいいよ」っていう。
「楽しい」っていうと、「俺も」っていう。
そうして、あとで恥ずかしくなって、
「ごめん今の無し」っていうと、「やだ」っていう。
全然こだまじゃないけど、それも幸せ。




「にんげんなんですから」

こいをしたっていいじゃないですか
にんげんなんですから
                 みこと




「you アンタだから」

happiness この幸せな時間が、   eternal 永遠に続けばいいのに。
together アンタと一緒にいられるこの時間が、   endless 終わらなければいいのに。
why 何故そう思うかって?   be decided そんなの決まってるじゃない。
それは勿論―――――――



◈  ◘  ◈  ◘  ◈  ◘  ◈  ◘  ◈  ◘  ◈  ◘  ◈



 ―――――――それは勿論 love アンタを愛してるからよ』、ですか。ほうほう、なるほどなるほど」
「さ、佐天さん! その辺にしておかないと、御坂さんも白井さんもライフはゼロですよ!?
 御坂さんは頭から煙出してますし、白井さんに至っては口から魂が出てきてます!!!」


とある詩集の拷問時間




人には、他人に見られたくない物の一つや二つがあるものだ。
日記であったり、小学校の頃の作文であったり、昔のラブレターであったり、中二病ノートであったり、
それは人それぞれだ。
その中の一つに、『詩集』という物がある。
詩。つまりはポエム。それは感動や叙情を記した文学の一形式だ。
特に中学生などの多感な時期には、こういった物をノートに書き記しておく人も少なくはない。
だが気をつけよう。多くの場合は、それが後々地雷となる。
ここにいる美琴も、その地雷を自分自身の手でせっせと組み立てている最中だ。

「『アンタを愛してるからよ』…っと。うん! 我ながら中々の出来!!」

自我自賛しているが、これがとんでもない悲劇に変わる事になろうとは、
この時の美琴には知る由もない。

美琴が満足気にノートを眺めていると、

「お姉様、お風呂上がりましたわよ?」

と、ルームメイトの白井がヘアブラシで髪をとかしつつバスルームから出てくる。
美琴は反射的にノートをバタンと閉じた。

「あ、あぁ、おお、お風呂空いた!? じゃ、じゃあ私もそろそろ入ろっかな!!」
「あら、お勉強中でしたのね」

美琴が閉じたのは、表紙に『物理』と書かれたノートだった。
美琴はこれを、カバンにしまいながら話を続ける。

「そ、そうなのよ! ちょろ~っと気になる事があってさ。
 いや~、物理ってちょっと難しいわよね~!! ははは!」
「はぁ…そうですの……?」

学園都市で第三位の演算能力を持つ美琴に、苦手科目があったというのは若干不自然に感じたが、
お姉様でも調子の悪い時くらいあるだろうと、白井はさほど気に留めずに流した。

「ではもうすぐ消灯時間ですので、お風呂に入るのでしたらお急ぎを」
「あ、ああうん。サッと入って、パッと出るから」

美琴はその日、風呂から出るとそのまま眠ってしまった。
あのノートをカバンに詰め込んだままで。
だが翌日、美琴はその事を死ぬほど後悔する事となる。


◈  ◘  ◈  ◘  ◈  ◘  ◈  ◘  ◈  ◘  ◈  ◘  ◈


翌日。
いつもの四人組は、いつものようにファミレスに集合する。
そして注文を終えると、佐天が急に手を叩き、美琴にこんなお願いをしてきた。

「すいません御坂さん! ちょっと御坂さんのノートを見せてください!」
「ど、どうしたの佐天さん!?」
「いえ、実は……」

実は先日、柵川中学では小テストが行なわれたのだが、
佐天はその時の物理の成績が芳しくなかったらしい。
そこで美琴のノートを見て勉強したい、というのだ。
中1で物理の小テストがある辺り、さすがは学園都市といったところか。

「私はいいけど……だったら初春さんのノートを見た方がいいんじゃないの?
 学校も学年も同じなんだし」
「あ…いえ……私も佐天さん同様今一つだったので……まぁ、ギリギリ合格でしたけど……」
「…という事は、佐天さんは不合格【あかてん】でしたのね?」
「は、はっきり言わないでくださいよ白井さん!」
「でもだったらせめて、黒子のにしたら?」
「残念ながら、わたくしのクラスは今日、物理の授業はありませんでしたので、
 ノートは持っておりませんの」
「あ、そうなんだ」
「けれどもお言葉ですが佐天さん。わたくしもお姉様も常盤台中学に通っておりますから……その……」
「分~かってますって! 柵川中【ウチ】とレベルが違う事くらい!
 だからあくまでも参考にしたいだけなんです。……駄目ですか?」
「ううん。さっきも言ったけど、私は全然構わないから。はい、これ私のカバン」
「ありがとうございます、御坂さん!」

美琴は何の気もなしに佐天にカバンを渡した。
否、渡してしまった。と言うべきだろうか。

「あー…でも私も今日、物理とかなかったからなぁ~。カバンの中にノート入ってないかも」
「…? 何を仰ってますの? 昨夜ノートをお入れになったではありませんか」
「……へ? そんな事したっけ?」
「ええ、確かに」
「えっ……よく覚えてn」

言いかけて美琴はハッとした。
昨日の夜の事を思い出したのだ。

「ちょちょちょちゃ待って佐天さん!!!!!」
「おっ! あったあった。え~、どれど……れ……?」

一瞬。まさに一瞬だけ遅かった。
美琴が止めようとした時には、すでに佐天がページをめくった後だった。

さぁ、地獄の時間の始まりである。







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