被害者・主人公
付き合い始めて五年。
それは、突然訪れた。
それは、突然訪れた。
「ねぇ、なんでそんなことすんのよ?」
「ん? いいだろ、これくらい」
きっかけはささいなこと、
「これくらい、じゃないわよ。 だいたいアンタは……」
「なら、こっちも言わせてもらうけどなぁ……」
いつもなら、流すようなことも、
両者ともに最近忙しく、いつもの余裕が無かった。
両者ともに最近忙しく、いつもの余裕が無かった。
「なによ!! 自分の事は棚に上げて!!」
「それはこっちの台詞だ!!」
感情のままに続けた口論は、
「そんなに、私に不満があったのね!!」
「そっちは、俺と一緒にいたくないんだろ!!」
一つの悲劇を生む。
「それなら私じゃない人と一緒にいなさいよ!!!!!」
「そう思うなら好きなとこへ行けばいいだろ!!!!!」
それから、一週間がたっていた。
「くだらねェ」
高級なマンションの一室。
静まり返っていた空気にその声が響いた。
声の発信源はスーツ姿の男性。
この部屋の持ち主にして統括理事の一角、
一方通行である。
静まり返っていた空気にその声が響いた。
声の発信源はスーツ姿の男性。
この部屋の持ち主にして統括理事の一角、
一方通行である。
「……まあ、そうだな」
肯定したのは黄色い作業着を着た男性。
浜面仕上。
近日起業したばかりの「ロードサービス・アイテム」の社長だ。
浜面仕上。
近日起業したばかりの「ロードサービス・アイテム」の社長だ。
「……」
ピンク色の作業着を着た浜面理后は、
相変わらずの無表情である。
相変わらずの無表情である。
「お姉さま……」
腰まで伸びたシャンパンゴールドの髪、
長点上機学園の制服を着た打ち止めは、
姉をここに連れて来たことを少し後悔した。
長点上機学園の制服を着た打ち止めは、
姉をここに連れて来たことを少し後悔した。
今回の原因は皆聞いていない、
なんでケンカになったのかはわからない。
しかし、それが根本の原因ではない。
それを解決するのは、
自分たちではない。
なんでケンカになったのかはわからない。
しかし、それが根本の原因ではない。
それを解決するのは、
自分たちではない。
「わかってるの、これは、わたしが悪いのよね」
五年が経ち、大人になった美琴だが、
何も、わかっていない。
何も、わかっていない。
「……行くぞ、チンピラ」
「おう。理后、少し第一位と出かけてくる」
「うん、こっちは任せて」
「あなたー、あの音速何チャラ貸してーってミサカはミサカはずうずうしくもお願いしてみる!!」
「好きにしろ」
「え? 何?」
ついていけない美琴をよそに二人は出て行った。
そんな美琴に残った二人から声がかけられる。
そんな美琴に残った二人から声がかけられる。
「「さあ、みんなに会いに行こう!!」」
「カミやん、お客さんや」
日が傾きかけたころ、
青神ピアスの家の玄関に、一方通行と浜面仕上は訪れた。
青神ピアスの家の玄関に、一方通行と浜面仕上は訪れた。
そこに、上条当麻はいた。
「どうした? 二人とも? こんな所に来るなんて、なんかあったか??」
そこにはいつも通りの彼がいた。
「……オレにできることは?」
その「いつも通り」がこれほど腹立たしいとは思わなかった。
一方通行は上条の襟をつかむ。
「じゃあ、こいつ、借りていくぞ」
「おお、かまへんかまへん。そのまま返さんでもええで」
「ちょおっと酷くね!!」
「いいからいくぞ、上条」
「うぉい!! 自分で歩けるから引きずるなって!!!」
そんなこんなで三人が去っていく後ろ姿を眺めつつ青神ピアスがため息とともに呟く。
「まったく、仕方ないやっちゃな、カミやんも」
それから数十分過ぎただけで日は完全に沈み、
静寂に支配された暗闇の中に、上条の声が響く。
静寂に支配された暗闇の中に、上条の声が響く。
「うーん、第11学区、ですね、ここ」
トールとの戦闘会場はその後、別のことに活用されていた。
「俺たちがケンカする時はたいていここだよな。
全員3勝6敗7引き分けだったか?」
全員3勝6敗7引き分けだったか?」
三つ巴の戦いは原因がたいていくだらない。
やれロリコンだの、やれモゲロだの、やれ鈍感だの……
やれロリコンだの、やれモゲロだの、やれ鈍感だの……
「今日の私はバイオレンスですよー。な信号が北北西からきてる。って上条は上条は……」
しかし、今日は違う。
「……そろそろ会話のキャッチボールがしたいってお願いしてみたり」
「「御坂美琴」」
上条の顔が固まる。
ようやく日常の仮面がとれた。
「…………お前達には関係ねぇだろ」
「それがなァ、関係大ありなンだわ」
「残念だが、俺もだ」
「ふぅ、で? どうすんだ? 三人で殴り合えば満足か?」
「いいや、今日はオレはやんねーよ」
浜面の言葉に上条の頭から疑問符が出たと同時に、
一方通行がスーツの上着を投げ捨てた。
一方通行がスーツの上着を投げ捨てた。
「あなたは。確か上条君の……」
「ふふ。とても。悔しかった」
「でも。今なら思う。あなたは……」
「お姉さま……」
「そうですね、クローンだからダメなのかと、勘繰ったりしました。と、ミサカは当時を偲び苦笑します」
「ですが、考えてみれば、お姉さまが……」
「おや? あなたは上条の……」
「わたしのところに来るのはお門違いじゃない? わたしがアイツに恋心を抱いていたかどうかは、ちょっとあやふやよ?」
「でも、一つわかる。あなたは……」
「ん? そろそろ来るとは思っていたけど?」
「……負け犬の遠吠えはしたくないんだけど」
「敗因は、わたしがわたし、あなたがあなただったから、それだけだけど?」
操車場では戦闘が続いていた。
「はぁ、はぁ」
いや、少し語弊がある。
「もういい加減にしろよ、一方通行」
これは戦闘ではなく、
一方的な暴力であった。
一方的な暴力であった。
攻撃を受けはしつつもダメージを流す上条に対し、
一方通行は既に満身創痍である。
一方通行は既に満身創痍である。
一方通行の右手をギリギリでかわし、
上条は再び相手の腹部に強打を与える。
上条は再び相手の腹部に強打を与える。
確かに最初に比べ一方通行の戦闘センス、運動神経は飛躍的に伸びた。
しかし、それはいくつもの死線を超えた上条もまたそうである。
しかし、それはいくつもの死線を超えた上条もまたそうである。
さらに、
「いい加減、能力を使ったらどうだ?」
「てめェのような、三下には、必要、ねェな」
何故か一方通行は能力を使っていなかった。
上条は虚しく拳を振るう。
自分がなんで戦っているかわからなかった。
ついに大きな隙を作った一方通行に上条はとどめの一撃を加える。
自分がなんで戦っているかわからなかった。
ついに大きな隙を作った一方通行に上条はとどめの一撃を加える。
動けなくなった一方通行を背に、上条は浜面に対して吠えた。
「なんで、なんでお前らがそこまでするんだよ!!!!」
「おや? あなたは確かあの人の……」
「そうですね、恩返しを隠れ蓑にしていたわたしが、勝ち取れるものではありませんでした」
「それに、あなたでなければ……」
「こちらには、オリーブの味付けがいいのでございます」
「あら、御坂さん、御無沙汰しています」
「……この思いを行動に移せなかった私が、手にできる道理はございません」
「それに、御坂さんであればこそ……」
「あん? あなたは確か……」
「バカいってんじゃねえですよ!! 誰があんな奴!!」
「ですが、あなたがあいつにとって……」
「あら? あなたは幻想殺しの……」
「お姉さんにも、あんな失恋はそうそう無いのよ?」
「大丈夫、自信を持ちなさい。なんたってあなたは……」
「……あ、なたは……」
「実は、当時、上条さんを殺して私も死のうと、本気で、考えたこともありました」
「でも、あなたの隣にいる上条さんを見て、わかっちゃったんです。
あの人にとって、あなたは……」
あの人にとって、あなたは……」
「おお!! 御坂さんじゃないですか!!」
「うーん、御坂さんじゃなければ、諦めずにアタックし続けてたでしょうね」
「へ? なぜって、それは上条にとって……」
「ん? なんだ? お前は私とケンカをしに来たのか?」
「どうしてもらおうか、当時の私は初めての失恋で自分を見失ってしまっていたぞ?」
「しかし安心しろ。今ならもうどうということは無い。なぜならお前が……」
がさり、と。上条当麻の背後で、なにか物音が聞こえた。
(なんで……?)
まだ立つんだ?
上条当麻は歴戦の士である。
どれだけのダメージを負えば人間が動けなくなるかを経験則で知っている。
さらに交友した時間の長い一方通行が、とても丈夫と呼べないことも知っている。
どれだけのダメージを負えば人間が動けなくなるかを経験則で知っている。
さらに交友した時間の長い一方通行が、とても丈夫と呼べないことも知っている。
その彼がまた立ちあがっていた。
上条は理解できなかった。
まず、浜面が戦わない理由は、おそらく自分の逃げ道を作らせないためだ。
また、一方通行が能力を使わず、殴るという方法しかとらなかったことも、
自分を追い詰めるためだ。
まず、浜面が戦わない理由は、おそらく自分の逃げ道を作らせないためだ。
また、一方通行が能力を使わず、殴るという方法しかとらなかったことも、
自分を追い詰めるためだ。
だから、わからない。
「これは!! お前たちがそこまでする問題じゃない!!
オレが、力不足だから、オレではアイツを幸せにできない。
それだけの話だろ!!!!!!!!!!!」
オレが、力不足だから、オレではアイツを幸せにできない。
それだけの話だろ!!!!!!!!!!!」
二人は答えない。
一方通行は、無言で上条に近づく。
それに対し上条は一方通行に向け走り出した。
それに対し上条は一方通行に向け走り出した。
「なんで今ので倒れてくれないんだよ!! 一方通行ぁあああああああ!!!」
言葉が返ってきた。
間近で両者の血に濡れた拳を握る。青年の口から、
間近で両者の血に濡れた拳を握る。青年の口から、
「うるせェんだよ、三下ァああああああ!!」
複数の足音が砂利を弾く。
拳と拳が交差する。
空気が叩かれ、いくつかの攻撃が当たり、血が飛び散った。
拳と拳が交差する。
空気が叩かれ、いくつかの攻撃が当たり、血が飛び散った。
「そもそもそれはてめェの思い込みだろォが!!!
オリジナルが今の境遇を不幸だと言ったことが一度でもあったのかよ!!!
百歩譲って力不足なら、力を付ければいいだけだろ!!
勝手に悲劇のヒロインを気取ってンじゃねェぞ!!!」
オリジナルが今の境遇を不幸だと言ったことが一度でもあったのかよ!!!
百歩譲って力不足なら、力を付ければいいだけだろ!!
勝手に悲劇のヒロインを気取ってンじゃねェぞ!!!」
言葉を吐くごとに、一方通行の力は増していく。
それとは対照的に上条の動きは鈍くなっていった。
優勢のはずの上条の顔が、歪む。
それとは対照的に上条の動きは鈍くなっていった。
優勢のはずの上条の顔が、歪む。
「これは、オレ達の問題だ!! お前らには、関係ねぇだろうが!!!!!!」
繰り出された右手は、一方通行の頭上をかすめた。
「関係、あるンだよ!!
オレは……あのクソガキとその周りの世界を守ると決めてンだ!!!!!」
オレは……あのクソガキとその周りの世界を守ると決めてンだ!!!!!」
上条の動きが、止まる。
「お前は、今、アイツの周りの世界を脅かしてる!!
そいつをオレが許すわけねェだろ!!!!!!!!」
そいつをオレが許すわけねェだろ!!!!!!!!」
一方通行の攻撃が、容赦なく上条の腹部にはいり、上条の意識を削っていく。
優劣は既に存在していなかった。
優劣は既に存在していなかった。
「お前が決めろよ……」
あのロシアの時とは異なり、無能力者の英雄の懐に、超能力者の悪党が踏み込む。
「御坂美琴に対してどうしたいのか、人のせいにせず、自分で決めやがれ!!」
一方通行は右手を握る。
握る。
上条の右手が襲いかかるが、左手でそれを払いのけた。
握る。
上条の右手が襲いかかるが、左手でそれを払いのけた。
「歯をくいしばれよヒーロー(最強)――――」
極寒の地で、自分はこんな表情だったのだろうと予想させる三下の顔に、
一方通行は、拳を振りぬく。
一方通行は、拳を振りぬく。
「――――オレの悪党(最弱)は、ちっとばっか響くぞ」
上条当麻は真後ろに倒れこみ、静かに意識を手放した。
大聖堂の扉が大きく開く。
その先、ステンドグラスと十字架の前で、祈りを捧げるシスターが一人。
背は伸びた。また、それを見た人間が聖母と錯覚するほどの美貌。
ティーカップのような純白の修道服に、床に届くほどの銀髪。
ティーカップのような純白の修道服に、床に届くほどの銀髪。
シスターインデックス
今最も最大主教に近い女性だ。
扉の音に気付いた彼女は、振り返り、かつての宿敵の姿を認めると
「……わたしの教会へようこそ、美琴」
聖母の笑みで歓迎した。
美琴の表情は暗い。
「ねぇ、聞いてもいい?」
「……迷える子羊の疑問に答えるのもシスターの役目です」
「わたしがアイツと付き合った時、どう思った?」
自分は最悪な人間だと思う。
こんな質問をすること自体、相手への冒涜だと思う。
なのに、
こんな質問をすること自体、相手への冒涜だと思う。
なのに、
「……絶望」
「!!」
「憤怒、悲嘆、嫉妬、疑問、恐怖、当惑、寂寥」
「……」
「そして、幸福、安堵、期待、感謝、解放、
……わたしは、当麻が美琴を選んで、美琴が当麻を選んでくれて、心から良かったと思っています。あの人は、あなたの隣がよく似合っていたから」
……わたしは、当麻が美琴を選んで、美琴が当麻を選んでくれて、心から良かったと思っています。あの人は、あなたの隣がよく似合っていたから」
「なんでよ……」
「?」
「なんでみんなそんな風に言うのよ!!!! わたしは、わたしが!!!
アンタ達から、上条当麻を奪ったっていうのに!!!」
アンタ達から、上条当麻を奪ったっていうのに!!!」
教会の中で美琴の悲鳴がこだまする
「それなのに、アイツを幸せにできていない。わたしのせいで当麻が不幸になっちゃう。そんなわたしなのに、なんでアイツの隣にいることを許しちゃうのよ!!! もっと……責めてくれれば……」
「あなたは間違っています」
「なにが!!!「間違っています!!!!」……」
「あなたは、人の幸福が、他者にお分かりになるとお思いですか?
それこそ、酷い傲慢です」
それこそ、酷い傲慢です」
「……何の、話?」
「あなたは上条当麻ではない。なのに彼が幸福かどうか、どうしてお分かりなのですか?」
「それは……」
美琴は圧倒されていた。恐怖からではない。その温かさに。
「そんなこと、本人しかわかるはずがありません。
ならば、あなたが悩むべきは、上条当麻がどうなのかではなく、
あなた自身がどうしたいのかのはずです」
ならば、あなたが悩むべきは、上条当麻がどうなのかではなく、
あなた自身がどうしたいのかのはずです」
「わたしが、どうしたいのか?」
「あなたの、最も望むものはなんですか?」
ステンドグラスからの光が、インデックスの後方より、美琴に降り注ぐ。
「わたしは……」
それはさながら、
「当麻と……幸せになりたい」
神への祈りのようで……
「ならば、他を考えず、迷わず、あなたはそれだけを考え行動するべきです」
「……はい」
「それにわたしたちは短髪を許したつもりはないかも!!!」
「はい?」
「隙あらばとうまを取り戻そうと虎視眈々と狙ってるんだよ!! 略奪愛万歳!!!」
「な、なに言ってんのよ!!! それでもアンタはシスターか!!!」
「ん? 今なら傷心まっただ中のとうまに付け入るチャンス?」
「悪魔か!!!!」
「シスターかも」
「ええい!! 帰る!!!」
扉が閉まる直前、美琴が「ありがとう」といった気がした。
しかし、あのツンデレがそんなこと言うはずがない。気のせいだろう。
再びシスターは十字架に向かって祈りを捧げる。
しかし、あのツンデレがそんなこと言うはずがない。気のせいだろう。
再びシスターは十字架に向かって祈りを捧げる。
とある二人の幸福を願って。
「おきろ、上条」
どれぐらい気を失っていたのかわからないが、
浜面に無理やり立たされたことで、上条当麻は目を覚ました。
浜面に無理やり立たされたことで、上条当麻は目を覚ました。
「オレは、理后の味方でよかったと、思っている。それは日々ずっとだ」
浜面の後方から一方通行が近づいてくるのが見える。
「お前はどうなんだ、上条当麻!!」
上条の目に光が宿る。
「お前は御坂美琴の味方じゃねえのか!!」
足に、体に芯が通る。
「自分じゃアイツを幸せにできないだぁ? ふざけんな!!」
上条に、力が戻る。
「お前以外の誰が御坂美琴を幸せにできるんだ!!」
もう、大丈夫だ。
「そんなつまんねぇ幻想なんか自分でどうにかしやがれ、上条当麻!!」
上条は自分の力で立つ、
「……ありがとう、目ぇ覚めた。
ちょっくら行ってくる」
ちょっくら行ってくる」
上条当麻は走り出す。
自分のたった一人のヒロインを救うために。
自分のたった一人のヒロインを救うために。
「……なあ、第一位」
「ハァ…ハァ…なンだよ?」
「もう、倒れてもいいぞ」
「ハァ、ハァ、……クソッタレ」ドサッ
深夜と呼ばれる時間帯、
「当麻!!!」 「美琴!!!」
鉄橋で再開した二人は、力強く抱きしめ合った。
「ごめん、ごめん……」
「わたしこそ、ごめんなさい……」
美琴の後ろからは、世界中の移動に付き添った二人の女性が、
上条の後ろからは、死闘を終えた男とそれに肩を貸す男が近づく。
上条の後ろからは、死闘を終えた男とそれに肩を貸す男が近づく。
四人はやさしいほほえみを浮かべていた。
次の言葉を聞くまでは
「お前の卵焼きを一切れとるなんて、あのときのオレはなんてことを……」
「そんな、悪いのはわたし、当麻にアーンしたかったからって、
あんなに怒る必要はなかった」
あんなに怒る必要はなかった」
「そう、だったのか、なのにオレは美琴の愛情がこもった卵焼きを、もっと食べたいという欲求だけで動いて……ん?」
「どうした……ん?」
ようやく二人は気付いたようだ、
ただならぬ殺気に
ただならぬ殺気に
「あれー? 浜面さんや、かっこいいバイクと駆動鎧ですねー、それでどうするつもり? な信号が南南東から来てるー」
「あれ?? 能力が使えない?? 浜面さん、ちょっと、冗談はやめてよー」
「一方通行さん、その黒い翼にいい思い出ないんですけど―。って上条は上条は……」
「打ち止め、そのレールガンを教えたのはわたしよー、それをわたしに向けるのはちょろっと感心しないなぁー、なんて……」
四人は二人の言葉が終る前に容赦なく襲いかかった。
「「ふ、不幸だぁぁぁああああああああああああああ!!!」」
「「「「こっちのセリフだぁあああああああああああああああ!!!!」」」」