とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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橋の下の決闘その後・お姫様のキス

《あらすじ》
ひょんな事で対決することとなった上条当麻と黒妻綿流。
牛乳とお姫様のキスを賭けた一戦は、御坂美琴の決死の一言で勝負は引き分けとなった。
その、次の日―――
→「橋の下の決闘・上条vs黒妻」の続きとなります。


御坂美琴は途方に暮れていた。

さる理由があって「ムサシノ牛乳」を手に入れようとしていたのだが、
コンビニでは取り扱っていなかった。それで一旦は諦めていた。
しかし昨日、橋の下で2人の男の戦いに巻き込まれ、色んな目にあったのだが、
一つ成果があった。「ムサシノ牛乳」を扱っている店を知ったのだ!

授業が終わるやいなや、駆けつけた。昨日は特売とのことで売り切れていたと聞く。
今日は残っていますように…と祈りつつ乳製品売り場を探して、見つけてみると。

「ムサシノ牛乳」「ムサシノ骨太牛乳」「ムサシノカルシウム低脂肪牛乳」「ムサシノ特濃牛乳」

…どれだ。どれも在庫はたっぷりある。
(やっぱり、ノーマルにムサシノ牛乳、かしら?)
しかし、「骨太」「カルシウム」という言葉に惹かれる。
胸が大きくなっても、支えがなければ形が悪くなる。支えとは、骨格だ。カルシウムだ。
美琴の頭に一石二鳥、という言葉が舞う。
(でもそれで効果がどっちも中途半端、とかありえるわよね。両方狙いなら、意外に特濃とか?)
えー、こんなの分かんないじゃない、と顔をしかめて唸っていた。


「牛乳じゃ、胸大きくなんねーぞ。一応言っとくけど」

ギクウッ!その声は…
美琴は顔を引きつらせながら、振り向く。
上条当麻が痛痛しい格好ではあるものの、呆れたような顔で立っていた。

「ななな、な…!」
「常盤台のお嬢様がこんなスーパーで牛乳とにらめっこしてる、ってのはどういうことですかね」
「なんでアンタがここにいんのよ!」
「いや…昨日牛乳買えなかったし」
黒妻綿流とのケンカの結果、牛乳は黒妻に持っていかれたのだから、尤もである。

「ビリビリこそ何やってんだ?マジで…その、気にしてんのか?」
ちらっと上条は美琴の胸を確認する。
「み、見んな馬鹿!ち、違うわよ、えーっと、その」
「ま、お年頃の女の子の悩みには、カミジョーさんは踏み込みませんですことよ。でもまあ…」

上条は最近見た記事か何かを思い出すと、
「たしか鶏肉やキャベツのほうがいい、とか聞いたことあるな。牛乳は土台作りだな」
「えっ?」
「牛乳の成分には大きくなる要素がないんだと。牛乳で大きくなった人は、他に何を食べていたか、って話だな」
「なんでそんなに詳しいのよ…ア、アンタも大きい方が好みなの!?」

上条は首をすくめて、
「カミジョーさんは胸の好みなんてありませんよ。大きいと目は奪われますが、ま、それだけですね」
「…」
「まあそういうわけで、カミジョーさん的には目的はどうあれ、加工乳系はやめて、
普通のムサシノ牛乳をオススメしますよ。自然が一番。」
と言いながら、美琴の横に立って「ムサシノ牛乳」を取る。

「んじゃな。ビリビリみたいなタイプは、バランスのいい食事でいいと思うぞ~」
と言いながら、上条は手を振りながらレジに向かう。
美琴はしばらく立ちすくんでいたが、意を決して「ムサシノ牛乳」をひっつかみ、上条を追った。

美琴は上条と並んで土手を歩いている。
上条の持つビニール袋には、牛乳の他にもリンゴや白菜、鶏肉のパックなどが透けて見える。

「しかしアンタ、ほんとケンカ強いのね」
黙っていると余計なことを考えそうになった美琴は、無理やり話しかける。
「黒妻サンにも言われたけど、タフなだけだ。…ビリビリはそういや黒妻サンと知り合いだったんだよな?」
「うん。とある事件でね…」

美琴は数ヶ月前にあった事を簡単に説明する。
「スキルアウトまとめてた人なのか。道理で強いわけだ」
「5,6人相手でも普通に勝ってた人なんだけどね。そんな人に、アンタ五分に戦ってたんで、驚いたわよ」
「まあ正直、手加減されてたと思う。こうやって入院せずに歩けてる訳だしな」
「アンタは基準が入院か…」
美琴は、他愛ない話をしながら土手の上を男と2人で歩いている、というシチュエーションに、ドキドキし始めていた。

「捕まっちゃってたんだけどね。いつ出てきたんだろ」
「しかしそんな暴行容疑で捕まるなら、なんでお前は捕まらないんだ」
「なんでよ!」
「胸に手を置いて考えてみろ!オマエの俺への電撃は立派な暴行傷害だろーが!」
「アンタ怪我してないじゃない!」
「防いだら加害者の罪が消えるのかよ!」

いつものパターンだ。
そして私が電撃出して、アンタは逃げる。そして今日はバイバイ、っていう…
美琴の心にムクリとイタズラ心が芽生える。
―――私がここで泣いたら、コイツどうするだろう。
私の演技力、見せてやる!


「う…ふぇぇぇ」
「え?」
「私、私、…」
「ちょ、ちょっと御坂…さん?」
「ア、アンタなら、絶対、絶対、止めてくれるって、信じて、…ふぇぇ」
「だー、ちょっとちょっと」
「暴行って…思ってたのね。…ごめんね、ごめんね…ぐすっ」
「いやその、冗談だから!俺こそスマン!このとーり」

(え?)
上条は荷物を地面に置くと、美琴を優しく抱きしめた。
(きゃーっ!きゃーっ!)
「悪い悪い。泣き止んでくれ。ほんと冗談だから。ついオマエが中学生なの忘れちまう」
上条は美琴の頭をなでだした。
(うきゃーーーっ!)
美琴は逆に何もできなくなった。

「お…落ち着いた、か…?」
コクン、と美琴は頷く。
というより硬直して首しか動かせないのだ。
(あ、あれ…?)
元々泣き真似をしていたので、やや涙ぐんでいたが、さらに嬉し涙のようなものが出てきた。

上条も実際次どうしてよいのか分からなくなっていた。
泡を食って、つい美琴を抱きしめ、頭を子供をあやすように撫でてしまっている。
落ち着いたのなら、離しても、いいよ、な…?
とりあえず、撫でていた手を降ろす。

美琴が、瞳をうるませながら見上げてきた。

ここで、上条に電流走る―!

(だめだーっ!)
上条は美琴を離し、ガクンと腰を落とし、片膝をついた。
息を整える。
(何という破壊力だ…あんなの耐えられるかっ!)

美琴はなぜいきなり上条が挙動不審になったのか、分からない。
しかし何となく、ちょっと幸せな時間はここまでか、というのは分かった。
「ど…どしたの?」
「い、いや…立ち眩みのようなもんだ…は、はは…」


少し照れくさいような気まずいような雰囲気の中、2人はまた歩きだした。
「あの…」
「あ、ああ」
「私の電撃、やっぱ嫌?」
「もう好きにやってくれ。怒ったりしないし、してねえし。あれは冗談だよ」
「申し訳なく思うけどさあ…私やっぱりアンタに受け止めて貰うことで、ガス抜きになってる気がすんのよね」
「ただホント受け止め損なうと、カミジョーさん死にますからね?そこだけは分かって欲しい」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ♪」
ようやく言葉もほぐれてきた。

美琴は上条のナイロン袋に手を伸ばし、おもむろにリンゴを一個取り出した。
「オイ」
「そういえば、昨日の賭け、お姫様のキスだったわよね…?」
「な…なにを?」
上条は不穏な空気にドギマギする。

美琴はリンゴを目の高さに持っていくと、ちょうど一番赤い箇所に『ちゅっ』と口付け…
そのまま、「えーい!」と上条の頬にリンゴを押し付けた!

「アンタにはこんなキスで十分だ!ほら家宝にしなさい!」
上条の左手にリンゴを握らせ、そっぽを向く。うなじまで赤くなっている。

いきなりの展開にしばし呆然としていた上条は、すぐに美琴の正面にまわりこみ、
美琴の目の前でリンゴの『その部分』をガブリとかぶりつく。
「ひっどーい!」
「俺はリンゴ食っただけだが?」
「国宝級のモノを…!ええい、私も食べたくなった!」
美琴はまた上条のナイロン袋に手を出して、リンゴを取り出すやいなや、噛み付いた。
「おまっ…俺の!」
「んー、おいし♪」
「ちょっとはおしとやかに食えよ!お嬢様だろ!」
「しーらない♪」

―――こうして、また上条と美琴の楽しい日々は、過ぎて行く。


fin.


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