とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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第1回 チキチキ御坂さん争奪クイズ大会




上条当麻は、以前ある少女から度々勝負を挑まれていたらしい。
「らしい」という助動詞がつくのは、彼がその事を覚えていないからだ。
7月28日、彼はそれまでの記憶を失った。
だがどうやら、それ以前に街中や川原で何度も激しくその少女を弄んだ…らしいのだ。
その後、勝負はうやむやのまま決着がつかなかった様だが、
少なくとも記憶を失って以降、彼が少女から勝負を挑まれる事は今まで一度もない。
(大覇星際での勝負は、競技で決着をつけた為例外)

しかし今、彼は目の前の少女から勝負を挑まれている。

「…本当に…やるのか?」

上条は、相対する少女に向かってそう言った。
少女はゆっくりと頷く。

「ええ…そうするしか他に方法がないのなら」
「…考え直せないか?」
「無理…でしょうね」

上条の問いかけに、常盤台の制服を着たその少女は、上条に向かって宣戦布告をする。

「お姉様をかけて、類人猿【あなた】に決闘を挑みますの!!!」
「いや、意味が分からねーよ!!!」

ただし、勝負を持ちかけたのは白井だったのだが。



ここはファミリーレストラン「Joseph's」。上条は電話でここに呼び出された。
通話の内容は概ねこんな感じである。

「はい、もしもし?」
『あっ! もしもし、上条さんですか!? 今、大丈夫ですか!?』
「ああ、平気だよ。何か用か?」
『・・・・・・チョッ・・・・・・サテ・・・サ・・・・・・・・・』
『はい! それはもう大事な用がありまして♪』
『・・・・・・サ・・・サンテバ!』
「…? 何かさっきから雑音が聞こえるんだけど…横に誰かいんのか?」
『もう往生際が悪いですよ!
 ……え? あ…ああ! なな、何でもないです何でもないです! こっちの話ですから!
 それでですね、上条さんに今すぐこっちに来て欲しいんですけど…大丈夫ですか?』
「それは、まぁ…別に構わねーけど」
『じゃあ詳しい説明は来てから話します。場所は第7学区のJoseph'sで』
「分かった。すぐ行くわ」
『はい! 待ってますんで♪』

という訳で上条はファミレスに駆けつけたのだが、店に入るや否や白井に勝負を吹っかけられた。
詳しい説明とやらは一切無しに。

白井の後ろには、先程電話をかけてきた佐天。その向かいの席には初春。
二人はなぜか、目をキラキラと輝かせている。
そして佐天の隣には、顔を真っ赤にさせて俯く美琴の姿があった。
まぁこの4人は仲がいい訳で、美琴がここにいる事自体は不思議ではない。
しかし、何ゆえ体を縮こませているのかは全く想像できない。
だが今はそれよりも、

「お姉様をかけて、類人猿【あなた】に決闘を挑みますの!!!」
「いや、意味が分からねーよ!!!」

白井【こちら】の方を処理しなくては話にならなそうだ。



上条は知らない事だが、佐天が上条に電話をかける前、4人はこんな話題で盛り上がっていた。

「お姉様…いいかげんスカートの下に短パン【そんなもの】をお穿きになるのはお止めくださいまし!」
「別にいいじゃない! 誰に迷惑かけてる訳でもないんだから!」
「そういう問題ではありませんの!」
「まぁまぁ、落ち着いてくださいよお二人とも」
「初春は黙っていてくださいな!」ギロッ!
「あうぅ…佐天さ~ん……」
「おー、よしよし初春」
「大体、黒子は分かってないのよ! 短パン【これ】、すっごく便利なんだから!
 ハイキックしても下着見えないし」
「そもそもハイキックする事自体が問題ですの!!!
 少しはご自分が常盤台の代表である事を自覚してくださいまし!!!」
「ア、アイツはそんな事気にしないもん!!!」
「「「…………アイツ…?」」」

美琴の突然の『アイツ』発言に、3人は同時に反応する。
美琴は「しまった!」と言わんばかりに顔を強張らせるが、後悔は先に立たない。

「何々、何ですか!? 『アイツ』さんが気にするならやめるって事ですか!?
 くぅぅ! 妬けちゃいますねぇ♪」
「そそそそれってつまり、『貴方色に染まりたい』って事ですかそうなんですか!!? ぬふぇ~~~」
「キィィィィイイイイ!!! 憎々々々しい!!! あの忌々しいウニ頭めがあああぁぁぁぁぁ!!!」

やはり、と言うべきか。案の定、話の矛先は短パンからアイツに移ってしまった。
美琴は慌てて訂正する。

「ちちち、違う違う!
 ただアイツは私の事、何でも分かってくれるのにな~って事が言いたかっただけで―――」

訂正した…つもりであったが、それは火に油どころか、ガソリンを注ぐ結果となった。

「何ですか!? 何なんですかそれ!!?
 『私の事を分かってくれるのは、「アイツ」さんただ一人……』って事ですか!!?
 それもう、ただのお友達の関係じゃないですよね!!? 只ならぬ関係ですよね!!?」
「そそそそそそそれってつまり!!!!!
 御坂さんの『弱い部分』まで知ってるって事ですかそうなんですか!!?
 てててててて事は御坂さんと上条さんはすでに一夜をぬふぇ~~~~~」
「ぶち殺おおおおおおす!!!!! あんの腐れ猿があああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

三者三様、それぞれ違ったリアクションだが、共通してテンションは高まっている。
どうしよう…いや、ホントどうしよう。と美琴はただただオロオロしている。
このままだと、確実におかしな方向に話が進むのは明らかである。それはもう、火を見るよりもだ。

「ムキー! お姉様の事は…お姉様の事はわたくしが誰よりも一番理解しておりますの!!!」

白井のその一言に反応して、佐天は目をキラリと輝かせる。

「それなら上条さんと白井さん。どちらが御坂さんの事を分かっているか勝負したらどうですか?
 勝った方が御坂さんを独占できて、負けた方は潔く身を引くって事で。
 ちなみにジャッジはあたしがやります♪」
「えっ!!? ちょ、佐天さん!!?」
「望むところですの!!! 不肖黒子、全身全霊で類人猿を叩きのめしてさしあげますわ!!!」
「御坂さんを…ど、独占………ぬふぇ~~~~~」

やっぱり、と言うべきか。
相当に面倒くさい事になってきた。
美琴が止める間もなく佐天は上条に電話をかけた。

「あっ! もしもし、上条さんですか!? 今、大丈夫ですか!?」



話は冒頭に戻り、4人がけの席に5人目【かみじょう】は無理やり座らされている。
佐天の勧めで美琴の隣に座らされたのだが、
佐天と初春はニマニマしているわ白井は睨んでくるわ美琴は挙動不審だわで、全く寛げない。

「で、美琴をかけて勝負って、どういう事だよ。
 つか何でそんな話になってんの? そして何で俺はそれに巻き込まれなきゃならんの?」

不幸イベントの臭いがプンプンするので、早々に帰りたい上条である。

「第1回 チキチキ御坂さんは俺(わたくし)のモノ! 御坂さん争奪クイズ大会~!!」
「やんややんやー!」
「俺の質問完全無視!!?」

だが聞く耳を持たない佐天と初春である。
上条はどういう経緯でこうなったのか全く分からないまま、この謎のクイズ大会に出席する事となった。

「ご安心なさいな。勝負とは言ってもドンパチやる訳ではありませんの。
 …個人的にはそれで貴方を亡き者にできれば御の字なのですが、一応わたくしも風紀委員ですので」
「さらっと物騒な事言ったよ!!?」

そして上条に明らかな敵対心を燃やす白井である。
上条はどういう経緯でこうなったのか全く分からないまま、彼女と対決する事となった。

「……………」
「それで…何か美琴が主役っぽいけど、肝心の本人【おまえ】は何で黙ってんの?」

ついでに俯いたり赤くなったり、何か言いかけて止めたり、
チラッと上条の方を見てはまた赤くなったりする美琴である。
上条はにどういう経緯でそうなったのか、全く分からない。

「それでは第1問!」

と急に佐天が叫ぶ。どうやら始まったらしい。上条を置いてけぼりにしたままで。

「御坂さんの…今日の下着は!?」
「佐天さん!?」

いきなりエッジの効いた問題である。佐天さんは、今日もエンジン全開なのだ。

「いや、知らねーよ!! つか、俺が知ってたらヤバイだろ!?」
「もらいましたわ! カエルのキャラクターがプリントされた、子供用のランジェリーですの!!」
「ゲコ太はカエルじゃないもん!!!」
「…それは正解って事でいいのかな? 初春」
「いいと思います」

白井、一点リード。

「第2問! 御坂さんの好きな人は!?」
「佐天さああああああん!!?」

もう一度言おう。佐天さんはエンジン全開である。

「ぐっ…! そ、それは勿論……わ…わたくしですの!!!」

白井は正解を知っているのだが、それを言っては試合に勝っても勝負に負けてしまう。
なので不正解と分かりつつも、ここは願望で答えてみたらしい。不正解と分かっている事が涙を誘う。

「いないんじゃないか?」

一方、上条の方は普通に不正解である。

「お二人とも残念! 正解はかmもぐふぁん!!?」

佐天が『うっかり』正解を言おうとした瞬間、美琴が口を押さえた。

「え、何? 今何つった?」
「ああ、それはかmもぐふぁん!!?」

今度は初春が『ちゃっかり』正解を言おうとしたのだが、
白井の持っていたおしぼりが初春の口の中にテレポートした。
結局正解は分からず終い(笑)のままだ。

その後、クイズ大会は意外な展開となった。

「第3問! 御坂さんは上条さんの事をどう思ってる!?」
「な、何とも思っておりませんのよ!!!」
「んー…何かいつもツンツンしてるしな。あんまりいい印象は持ってくれてないんじゃないか?」

両者、不正解。
 
「第7問! 御坂さんは上条さんとお揃いのケータイストラップをとても大事にされてますが、
 それはなぜでしょう!?」
「…お姉様は、物を大切にするお方だからですの。他に理由なんてありませんわよ!」
「ゲコ太だからだろ? しかも限定品だし」

両者、不正解。

「第19問、御坂さんが上条さんの話をする時、いつも赤面してしまう理由は?」
「この殿方の事を話す時は、ついつい頭に血が上ってしまいますの。
 わたくしも経験がありますので、間違いありませんわ!!」
「……風邪…引きやすいのか?」

両者、不正解。

「……第35問…えー、御坂さんが上条さんに伝えたくても伝えられない事とは?」
「乙女たる者、殿方に言えない事の一つや二つあるものですの」
「……通帳の残高?」

両者、不正解。
49問目までやったが、ポイントは初めに白井が取った1点以外全く変動せず、
上条 0  :  白井 1 のままだ。見事なまでの泥仕合である。



白井は、美琴と上条の関係に関する質問ばかりする佐天に少々苛立ってはいるが、
一応リードしているので余裕の表情だ。
対して佐天と初春は、上条の顔を見つめ、「何やってんのこの人」と言わんばかりの顔をする。
そして美琴は、初めのうちは佐天のとんでもない質問の数々にイチイチ慌てていたが、
上条があまりにも正解しないので、今は体育座りをしながらストローを弄っていじけている。
で、肝心の上条はというと…うん、いつも通りである。

先程説明したように、白井には正解できない理由がある。
上条【このおとこ】にはどうしても負けたくはないが、それを曲げてでも頑なに不正解を続ける。
もっとも、そこら辺は佐天の作戦通りだったりするのだが。
白井が不正解を続ければ、それだけ上条が勝つ確率は当然上がる。
逆に美琴【けいひん】欲しさに白井が正解を続ければ、上条は美琴の気持ちに気づくはずだ。
仮に約束通り白井が美琴を独占しようとしても、
美琴に好意がある事に気づけば、後でどうとでもできる事すら計算済みだった。
しかしここに来て、佐天最大の誤算が生じていた。
上条の鈍感さである。
いくら何でも、49問中一度も正解を出さないとは思いもしなかったのだ。
このままでは、たった1点とっただけで、白井が優勝してしまう。
しかも美琴の気持ちが一切上条に伝わらないままで。
それはもう、考えられる中で一番最悪な結果である。
なので佐天はある賭けに出る。というか、このままやっても埒が明きそうにもないし。

「えーっと、次がラスト問題です!」
「あ、そうなのか?」
(や、やりましたわ! これでわたくしの勝利は揺ぎありませんの!!!)
「ちなみに、この問題に正解した方は1億点入ります」

白井が「ちょっと待ってくださいよー! 今までやったのは何だったんですかー!」と立ち上がった。
お約束の展開には、お約束のリアクションで返すのがマナーである。
それにしても、1億というのはさすがにインフレさせすぎだと思うのだが。

「第50問! 御坂さんの魅力を語ってください。
 正解か不正解かは、御坂さんの表情を見て、あたしと初春で判定します」

ストローの袋で作った芋虫に水を与えていた美琴は、その最終問題にピクッと反応する。
上条の語る自分【みこと】の魅力…気にならない訳がない。
しかもこの問題は美琴自身の事ではなく、回答者が美琴の事をどう思っているかという、
問題というよりは質問に近い。
つまり、今までは「分からない」で済まされていたが、今回は回答者自身の気持ちを答える為、
そこに鈍感さは関係ないのだ。
さすがは佐天さん。本当にこの子は、面白い事に対して天才的である。

「お姉様の魅力ですの? 全てを語るには、食事と睡眠の休憩の時間を削っても、
 2~3日は話し続けなければなれませんが…それでもよろしいのですの?」
「…できれは1分以内がベストかと……」

白井は色々な意味で恐ろしい子である。

「たった1分ですの? むぅ…それでは伝えきれませんが……まぁいいでしょう。
 お姉様の魅力を一言で表すならば、正に『全て!』ですわね」
「と、言いますと?」
「超能力者容姿端麗頭脳明晰スポーツ万能は勿論の事、
 その溢れ出るオーラは庶民のそれとは全くの別物ですの。
 優雅にして可憐。清らかかつ美しく。
 その白魚のような柔肌も少々控えめなお胸も、全てがお姉様の魅力であって、
 それはつまり人類の…いえ、世界の宝として―――」
「はいはい、ストップです。時間ですよ白井さん」
「―――っと、そうですの? まだまだ話し足りませんのに……」

言ってる意味が分かりそうで分からなかったが、とりあえずめっちゃ褒めてた事は伝わった。
美琴も照れ照れしながら頭を掻く。
いくら美琴でも、こんなど直球に好意をぶつけられるとさすがに気恥ずかしい。
何しろ、さり気なく『控えめなお胸』と言った事にもスルーするくらいだ。

先攻の白井が終わり、後攻の上条が口を開く。

「ん~…今の言い方だと美琴が雲の上の人って感じがして、何か違和感があるな。
 むしろ美琴って親しみやすいっつーか、距離を感じさせないキャラだろ?
 確かに美琴はレベル5の第三位だし、常盤台のお嬢様なんだから華やかな部分もあるけど、
 それ以上に内面の可愛らしさの方が際立って―――」



言いかけて、上条は周りの空気が先程と変わっている事に気づく。
佐天と初春は目をキラッキラと輝かせ、白井は逆に白目を剥いている。
そして美琴は耳まで真っ赤にしながら、テーブルに突っ伏していた。

「―――って、アレ…? 俺、何か変な事言いましたかね…?」
「いえいえ! 全然変じゃないですよ♪ ねっ、初春!?」
「は、はい! むしろ、もっと続けてくれても構いませんよ!?」
「えっ? でももう、1分経っちゃったんじゃ」
「「そんな事気にしなくていいですからっ!!!」」

佐天と初春がハモる。
さっき「時間ですよ白井さん」と言っていたのは何だったのか。



勝者は、今の美琴の様子を見れば明らかだった。当然、上条である。
ポイントも 上条 100000000  :  白井 1 と大差がついている。
だがこの結果に不満を持つ者が一人だけいる。

「キイイィィィィィ!!! こんな物【しょうぶ】納得できませんわよ!!!」
「白井さん! 往生際が悪いですよ!? 素直に負けを認めたらどうですか!?」
「初春は黙っていてくださいな!!!」ギロッ!
「こればっかりは、黙る訳にはいきません!」

いつになく初春も強気だ。
ぶっちゃけ、白井の方が正論だとは思うのだが。

「こうなったら実力行使ですの…やはり当初の予定通り、この類人猿の脳みそに直接金属矢を…
 くひひひひひひひ!!!」

密かにそんな恐ろしい計画を練っていた白井にドン引きである。
だがその計画も白紙に戻された。
なぜなら、次の瞬間に白井のケータイがなり、固法から
「路地裏でスキルアウト同士で喧嘩してるとの通報があったわ! 至急現場に急行して!」
とのラブコールがあったからだ。

「ぬああああぁぁぁぁ!!! 何故!!? 何故このタイミングですの!!?」
「ほらほら白井さん! 風紀委員のお仕事なんですから、早く行きますよ!」
「そんな! お姉えええええ様ああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

初春に押されながら、白井はファミレスを後にする。
店を出る前、初春は佐天に目配せし、佐天もそれに対して親指をグッと立てる。

「さて、と。では優勝した上条さんには景品があります」
「え、何? 結局勝ったのか? あんなグズグズで?」
「勝ちましたよ! 自信を持ってください! だって見てくださいよ今の御坂さん。
 こんなに煙出してるんですよ!?」

御坂はテーブルに突っ伏したまま、頭からモクモクと煙を出している。
上条は、「これ何て現象?」というツッコミを呑み込み、とりあえず現状を受け入れる。
まぁ、何か貰えるというなら貰っておこう。

「まぁ…何で勝てたのかは分からないけど、それでいいなら別にいいか。
 で、俺は一体何を貰えるのでせう?」

佐天は「その言葉を待ってました」と言わんばかりに顔をニヤつかせる。
そして人差し指をピンと立てて一言。

「御坂さんです!」

「へ?」と気の抜ける返事をして、キョトンとする上条。
想定内の反応に、佐天が続けて説明する。

「実はこの勝負に勝った方が御坂さんを独占できて、
 負けた方は潔く身を引くってルールだったんですよ。白井さんも承諾してくれていましたし」
「え……えっ!? ど、独占…って…」

なるほど、最初に白井が言っていた、「美琴をかけて勝負」とはそういう意味だったのか、
と上条は理解したが、今はそれどころではない。

「そんな訳なんで、あたしは失礼します。ごゆっくり御坂さんを堪能してください♪
 あ、ここのお勘定はあたしが払っておきますのでご心配なく!」
「あ、い、いや! そういう事じゃなくて!!」

佐天はそそくさとその場を後にした。残された二人には気まずい沈黙が流れる。
上条は何をどうすればいいのかただただオロオロし、
美琴はずっと突っ伏したままである。

とりあえず目の前の煙【なぞのげんしょう】を何とかしようと右手で美琴の頭に触れてみたら、
何故か状況は悪化した。

上条は叫んだ。

「どうすりゃいいの!? ねぇコレどうすりゃいいの!!?」

答えは返ってこず、美琴はただ顔を赤くさせて、ひたすら煙を出し続けたのだった。









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