とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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猫耳美琴のペットな生活 3




上条は美琴と共に彼がいつもお世話になっている病院に来ていた。
ある医者にだけ、猫耳を打ち明け検査をしてもらった。

「さすがの僕にも無理だね?」

どんな病気や怪我でも、患者が生きてさえいれば必ず治すと豪語し、実際に治してみせる医者、冥土返し。
そんな彼ですら匙を投げた。

「そんな……だって、どんな怪我や病気だって治すって言ったじゃないですか」

嘆く美琴に、冥土返しはカルテを見せながら説明をする。

「この耳は神経系が鼓膜と繋がっているね?」

つまり、と冥土返しはもうしわけなさそうな表情で美琴を見る。
美琴もそれがどういう事か、わかっているかのようだ。

「無理にその猫の耳を取ると、聴覚が低下する恐れがあるから、僕としては手術はお勧めできないね?」

はい。と美琴は頷くなだけで、上条は何もできずに申し訳なくなる。

「それでも君達は僕の患者だからね?患者に必要な物はそろえるよ?」

そして冥土返しは上条を見て言う。

「僕は肉体的な怪我は治せても心のケアはできないからね?彼女を支えるのは君だよ?」
「……はい。ありがとうございました」

美琴にフードをかけてやり、病室から出て行った。

「……ごめん」

病院の廊下を歩きながら美琴は上条に謝った。

「何で謝るんだよ」
「学校を休ませてまで巻き込んで、迷惑でしょ?もういいわよ」

上条から離れようとする美琴を、それは違うぞ。と上条は引きとめた。

「別に迷惑だなんて思ってないし、俺はその耳、可愛いと思うけどな」
「か、かわっ!?……――!!」

フードを更に深く被りながら、スタスタと上条を置いて早歩きで行ってしまう。

「あ、おい御坂!」

上条も置いてかれまいと、足早に美琴を追いかけた。








6時ごろ、美琴は電話をしていた。

「――はい――――で、―――」

相手は寮の管理人だろうか。

「そうです――――すいません――」

美琴は普段上条には見せない低姿勢だ。
言葉使いも丁寧であり、相手を良く思わせる。こんな所でも、育ちの良さというものが現れる。

「え?……あ、はい」

美琴は携帯を耳元から離すと、携帯を上条へと差し出す。

「寮監様から、アンタにって」

上条は携帯を受け取り、耳元に近づけた。

「ただいま代わりました」
『君が上条君か。御坂が世話になっているな』

それは20から30代の間の女性の声だった。
声だけでも、威圧感を感じるが、それは見ず知らずの男から生徒を守る為のものだろうか。

「いえ、俺は大丈夫ですよ」
『そうか大体の事は御坂から聞いている……ものは相談なんだが』
「何でしょうか?」
『御坂の耳が元に戻るまで、そちらで預かってはくれないかね?』

…………。
上条は固まってしまった。
年頃の男の部屋に自分の寮生を泊らせるなど、何を考えているのだ。

「え、いや、だって、そんな」
『これは御坂からの頼みでもあるのだ』
「……御坂の?」
『本来はこんなこと認められないのだがな、事情が事情だ。あの恰好で登校させるわけにも行かないからな。学校の方にはインフルエンザだと言っておけば一週間は誤魔化せる』
「いいんですか?」
『あの御坂が頼み込むほどの男だ。信用はするさ』

寮監のこの言葉で、上条は覚悟を決めた。

「わかりました。この上条当麻。責任を持ってあなたの生徒を預からせていただきます」
『頼んだぞ』

そう言って、通話は終わった。
上条は美琴に携帯を返しながら言う。

「そういうわけで、しばらくはよろしくな、美琴」
「お、お願いします」

美琴も下を向きながら返事をした。









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