とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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海と水着とローションプレイ(健全)




学園都市には海が無い。
東京都の中央三分の一を円形に占めているこの街は、海に面した学区が無く、
高い外壁で囲まれている為、外の世界へ海水浴に行く事もできない。
そんな生徒達からの不満と要望により、
今年からここ第六学区(アミューズメント施設の多い学区)にオープンしたのが、

「いや~、やって来ましたね! 『海洋科学研究開発機構・海水遊戯体験センター』!」

なのである。
海水浴場には似つかわしくない程堅苦しい名前の通り、ここはあくまでも研究施設だ。
今まで学園都市で唯一手薄だった学問、海洋学について研究する施設なのだが、
休日はこうして、一般にも開放されている。
もっとも、その一般の人間が海水浴場で取る行動その物も、研究材料ではあるのだが、
そんなのは学園都市では『よくある事』なので、別に誰も気にしない。楽しめればそれでいいのだ。
ドーム型をした施設の性質上、天井も壁もあるので、波風や太陽光などは当然、自然の物ではないが、
学園都市の最新技術を導入している事もあり、本物の海と寸分たがわぬように再現されている。

そんな施設の長ったらしい正式名称を叫びながら砂浜へと飛び出した佐天は、
素足に伝わる砂の熱でぴょんぴょんしながら後ろにいる人物達に話しかける。

「うわっちちち…! ほらほら、御坂さん達も早く来てくださいよ~!」
「あ、う、うん! 今行くからー!」
「そんなに慌てずとも、海は逃げませんわよ?」
「でも佐天さんが、はしゃぎたくなるのも分かりますよ。日差し眩しいですねー!」

佐天に呼ばれたのは美琴、白井、初春だ。要するに、いつものメンバーである。

「それにしても御坂さん……」

後ろを振り返り、小走りでやってきた美琴をまじまじと見つめる佐天。

「えっ、な、何? もしかして私の水着、変だったかな…?」
「いえ! めちゃくちゃ似合ってますし、可愛いですよ。
 ただ何と言いますか…その日焼け跡が………妙~にエロいなぁ~、と思いまして…」
「エ、エエエ、エロいって佐天さんっ!!?」

顔を真っ赤にして、慌てて両手でその日焼け跡を覆い隠そうとする美琴。
オッサンと化した佐天の言うように、その姿は妙にエロスである。
美琴は顔や手足などをこんがりと日焼けしているのだが、
ストライプのビキニの下には、ワンピース型水着(ぶっちゃけスク水)の形が、
白い素肌でくっきりと残っている。

「だだだ、だって! 昨日、身体検査があってずっとプールにいたんだもん!」

美琴の能力の代名詞でもある超電磁砲は、
その威力が高すぎるが為に、プールの水で減速させてから測定しなければならない。
なのでプールにいた事自体は納得できるが、水着で測定する必要は無い。
その事を突っ込まれた美琴は、少し恥ずかしそうに、

「き…気分で……」

と答えた。
つまり、せっかくプールにいるのだから水着の方が開放感が出ていんじゃね?、という理由らしい。
実際、リラックス状態が自分だけの現実に良い影響を与えたのか、
いつもよりも調子が良く、測定結果も、かなり満足のいく物だった。

「でも痛くはないんですか? こんなに黒くなってますし…」
「心配してくれてありがとう初春さん。確かにちょっとピリピリするのよね」
「あ、じゃあ日焼け用のローション塗りますか? あたし持ってますんで」
「ホント!? 助かるわ~佐天さん!」
「では、この黒子がお姉様の柔肌にローションを塗りたくって差し上げますのグヘヘヘヘェ……」
「いや、自分で塗るわよ。黒子が持ってるそのローション、明らかに日焼け用に使う奴じゃないし」


白井が取り出したのは、あからさまに如何わしいデザインのローションだった。
ぬるぬるする以外は特に意味の無い、バラエティ番組と『一部の大人』しか使わない代物である。
それを使い、白井が美琴に何をしようとしたのかは……まぁ、察してほしい。

「そんな事を言ってお姉様。そのお姿、もはやわたくしを誘惑しているとしか思えませんの!」
「知るかっ!!! 違うわっ!!!」

全力の拒否りである。
「だったら黒子も私と同じように日焼けさせてやろうか?」と言わんばかりにバチバチと帯電する美琴に、
白井はしぶしぶながらローションをしまう。ちょっと惜しい気もする。

「じゃあ私(佐天さんの)ローション塗るから、黒子!
 アンタ海の家からビーチパラソルでも借りてきて」
「ああ…海の家まで再現されてますのね……って、何故にわたくしがっ!?
 お姉様のお願い事とあらば、この黒子、何でも喜んでやらせて頂きますが、
 しかし今はお姉様が自らのお体をヌルヌルのヌレヌレになさるそのお姿を、
 この目に焼き付けるという大事な仕事が…!」
「だ・か・ら・よっ! 黒子が近くにいたんじゃあ、落ち着いて塗れないじゃない!」
「そ…そんな! マットプレイだけでなく、視姦する楽しみまでお奪いになるおつもりですの!?」
「はいアウトー!!! 黒子、完全にアウトー!!! つか、マットまで持参してきてたんかいっ!!!」

「信じられない」と言わんばかりの表情を作る白井に、美琴も「信じられない」である。
ともかく、このままでは身の危険なので、白井を海の家に追いやる。
一部始終を見ていた初春と佐天は「あはは…」と乾いた笑いをするのだった。

「ぜー、ぜー……ごめんね二人共」
「い、いえ。いつもの事ですから…」
「そ、そうですよ! むしろアレこそが白井さんの白井さんたる所以ですから!」
「うん…ありがと、初春さん佐天さん……全然嬉しくないけど…」

力なく溜息を吐く美琴。だが今は悠長にしている場合ではない。
白井が帰ってくる前に、ローションを塗らなければならないのだ。

「あ、じゃあ私はこれが終わってから海【そっち】に行くから、二人は先に遊んでて」
「あ、はい。ではお言葉に甘えさせてもらいます」
「御坂さんも早く来てくださいねー!」

手を振りながら海へと走っていく初春と佐天。
美琴も急いで手足や首筋、胸やお腹などにローションを塗り始める。
しかしここでアクシデント発生である。

「ぐっ…! せ、背中…届かないわね……どうしよう…後ろは諦めようかしら…?」

背中がうまく塗れない。もたもたしていたら白井が帰ってくるので、諦めようとしたのだ。
だがそんな美琴に救世主である。
海の方から、誰かがこちらに近づいてくる気配がする。
海側から、という事は白井ではない。おそらく、初春か佐天のどちらかだろう。
きっとビーチボールか浮き輪か、何か忘れ物でもして取りに来たのだろう、と美琴は推測した。
白井が戻ってくるまで時間が無いという事もあり、美琴は相手の顔を見る事もなく、
そのままレジャーシートの上でうつ伏せになり、ビキニのトップスの結び目を解き、

「ごめん! 急いで背中、塗ってくんない!?」

とその相手に頼む。しかしこれが、美琴最大の失敗であった。

「へっ!!? 俺が!? ま、まぁ別にいいけどさ……」

そう返事をしてきたのは、初春でも佐天でもなく、男の声だった。
それも美琴のよく知る人物―――

「なななななな何でアンタがこんな場所にいんのよっ!!!?」

上条当麻であった。
首だけ振り向き、海パン姿の上条にドギマギするが、今はそれ所では無い。

「ああ、バイトで監視員やっててな。今は休憩中だ」

上条の監視員姿を想像し、更にドギマギするが、今はそれ所では無い。
美琴は一瞬で、ありとあらゆる予測演算を繰り返す。


(これからどうしよう!?) (早くしないと黒子来ちゃうし!) (やっぱり背中は諦めるべき?)
(てかコイツがどっか行ってくれないと動くに動けない!? トップス外してんだから!)
(やだ…そう考えたら急に恥ずかしくなってきた……背中だけとは言え思いっきり見られちゃってる…)
(でも佐天さんと間違えてコイツに頼んじゃった訳よね、私) (コイツの手が私の背中を………)
(って! ななななんかエロくないそれ!!?) (……ちょっとだけなら塗って貰おうかな…?)
(はっ!!! ももももしかしたらこれきっかけで、コイツも意識してくれたりして!?)
(いや、ないないない) (コイツの鈍感さは、そんなのでどうにかなるレベルじゃなかったわ)
(てかこんな事考えてるうちに、黒子帰って来ちゃうじゃない!) (やぱり背中は諦めるべき?)

以下、エンドレスである。
しかしそんな美琴の様子を気づきもせず、また、気づいた所で気にしないであろう上条は、

「塗るのって、これでいいのか?」
「はひゃっ!!!?」

勝手に美琴の背中に、ローションを塗り始めた。確かに、『急いで』塗ってくれとは言ったが。
しかし「やっぱりいいから! 塗んなくていいからアッチ行って!!!」と叫ぶその前に、
美琴の身体は素直な反応を見せてしまっていた。

「ひんっ…! ふぁ…あ、ぁあんっ! くっ、は、ぁ……はぁ、はぁ………んんんっ!!!」
「ちょっとおおお! 変な声出さないでください美琴さん!
 何か、上条さんまで変な気分になって来ちゃうからあああああ!!!」

美琴はびくんびくんと身体を細かくはねさせながら、甘美な快楽に興じていた。
漏れ出す吐息に熱が帯びているのは、この暑さのせいではないだろう。
背中から伝わる上条の手の感触は、容赦なく美琴の敏感な部分を刺激し、
もはや自我を保っていられるのがやっとの状態となっていた。
上条は上条で、初めて触れる女の子の柔らかさに戸惑いつつも、その手は止められずにいた。
その健康的な日焼け跡と雪のように白い素肌のコントラストはとても美しく、
ローションでてらてらと光る事で、艶かしが増していた。
上条は思わずゴクリと生唾を呑み込み、己の中にある衝動を抑えられなく―――

「ってちょっと待てええええい!!!
 何で官能小説みたいになってんのっ!!? 上条さんはアレですよ! 紳士ですよ!
 け、けけけ、決して中学生に手を出すような事は致しませんのですよ!!!」

ともあれ、相手が上条だったからなのか、それとも上条のテクニック自体が凄かったのか、
美琴は色々な意味で『感じてしまい』、だらしなく涎を垂らしながら「くたぁ…」とへたる。
美琴のその表情に、上条も一瞬だけ「背中以外の部分も塗ってしまおうか」と頭を過ぎったが、
幸か不幸かその時、

「上条さーん。休憩終わりですよー」

というバイトの先輩からの一声で、我に返る。

「じゃ、じゃあな美琴! 俺、仕事に戻るから!」
「はぁ……はぁ…………あっ…ひゃい………」

上条の言葉が届いているのかいないのか、
美琴は返事にもただの喘ぎにも聞こえる声で、虚ろな目をしながら上条を見送った。



数分後、

「お姉様~! パラソルお借りして来ましたの~!
 海の家が思っていたより混んでおりましたので、少々時間がかかりましたが……って、おや?」

帰ってきた白井が見たのは、顔を赤くしたままポケ~っと座り込んでいる美琴の姿だった。
ちなみに水着は、すでに結び直してある。まぁ、そりゃそうだが。

「お姉様? どうなされましたの?」

白井の問いに美琴は、

「……黒子…私ちょっとだけ…大人になっちゃったかも………」

とよく分からない返答をするのだった。


「御坂さーん! そっちボール行きましたよー!」
「……はぇ? わきゃっ!!! っつ~~~…!」
「あわわわわ! す、すみません!」
「あ、う、うん。平気平気。ごめんなさい佐天さん。ちょっとボーっとしてて……」

あんな事があってすぐに正気に戻れる訳もなく、美琴は海に入ってからもポケポケしており、
佐天の投げたビーチボールを顔面でキャッチする。
明らかに様子のおかしい美琴を心配しているのは、佐天だけではない。

「……白井さん。御坂さん、何かあったんですか?」
「むー…わたくしも考えてはいるのですが、原因が分かりませんの。
 海の家から戻ってきた時には、すでに、ああなられておりましたし」

白井も初春も佐天も、上条の姿を見てはいない。
監視員は上条以外にも何人もおり、しかも客も美琴達だけではないのだ。
この人ごみの中で上条と会えたのは、四人の中でも美琴ただ一人だけだったのである。
他の三人は上条と美琴が『ナニ』をしていたかなど、知る由も無かった。

(はぁ…アイツの手……温かかったな…男の人の手って、あんなに大きくてゴツゴツしてるんだ………)

思わず、思い出し赤面する美琴。やはりおかしい。
だがこの後、美琴は地に足をつけずにフワフワしていた事で、ちょっとした事故に遭う事となる。

「っ!!! お姉様! 危な―――」

白井がいち早くそれに気づき、美琴に伝えようとしたのだが、遅かった。
美琴は「えっ?」と言う間もなく、高波に飲まれてしまった。
この施設は、本物の海を再現されている。そうでなければ、海洋学の研究などできないからだ。
つまり、人間の脅威となり得る、自然災害などまでもが再現されていたのだった。
白井の空間移動で迅速に救出され、浜辺へと運び込まれた美琴だったが、

「どどどどどうしましょう!!!」
「落ち着きなよ初春! 風紀委員でしょ!? まずは救急車を呼ばないと!」
「お姉様!!! お姉様!!!! お姉様っ!!!!!」

意識が無かった。
この騒ぎを駆けつけたのは、勿論、海の監視員だ。
人ごみを掻き分けてやってきたのは……

「下がってください! 道を開けてください!」

その声に三人は、

「「上条さん!?」」
「類人猿!!?」

もの凄くビックリしていた。
しかしリアクションに対して反応する事もなく上条。
どうやら現状は把握できているらしく、即座に人命救助に取り掛かる。

海やプールの監視員は、バイトと言えども最低限の救助術を研修で学ばされている。
加えて救助は、初動の応急処置が的確になされていたかどうかで、
その人の命が助かるか否かを大きく左右する事も少なくない。
だから上条には、躊躇する暇すらもなかった。
これから自分が行う事に対して、言い訳すら出来なかったのである。
(いいのか!? 本当にやっちまってもいいのか!?)とか、
(つーか、これが俺のファーストふがふがになるのか……不幸…なのか…?)とか、
(やっべぇ! すげードキドキしてきた!)とか、
(美琴…後でもの凄く怒るんだろうなぁ……謝って許してくれればいいけど……)とか、
(唇…柔らかそうだな………って、駄目だっ! 変な事考えんな上条当麻!!!)とか、
(こうして見ると…やっぱ美琴ってすげぇ可愛いんだな)とか、
余計な事を色々考えている場合ではないのだ。

気道確保。
あご先を持ち上げるようにして頭を後ろに反らし酸素の通り道を作り、
異物が詰まっていないか口内に指を入れて確認する。
…別にいやらしいプレイではない。

胸骨圧迫。
心臓のあたりを両手で圧迫して血液の循環を促す。
…別に胸を揉んでいる訳ではない。

人工呼吸。
言わずもがな。

上条が美琴に対して、迅速に『人命救助』をした結果、
佐天は「おおう♪」と何故か面白い物を見るように笑い、
初春は「ぬっふぇっ!?」と何故か顔を赤く染め上げ、
白井は「」と何故か真っ白になって固まっていた。
美琴がこんな状態だと言うのに、三者共、中々にどうして不謹慎な態度である。


「うっ…ん…? …あれ…私、どうしたんだっけ……?」

上条の処置のおかげか、美琴は後遺症もなく目が覚めた。
ちなみに上条は今、この場を初春と佐天に任せてバイトの雇い主に報告に行っており、
この場にはいない。

「いっや~! とりあえずご無事で何よりですよ! どこか具合は悪くありませんか?」
「あ、うん。えっと…確か私………あっ、そっか。波にさらわれて…」
「そうですね~! いやいやホント、大変でした!」

大変だったと言う割には、何故かニヤニヤしている佐天。
初春は赤面してモジモジしながら俯いているし、白井の口からは魂が出ている。
頭もはっきり動いてきて、特に体に変調も見られないので、佐天に問い質す。
この三人の様子を見れば、自分が気を失っている間に、
『気を失っている事以上の』異常事態があった事は明白だ。
若干、聞くのが怖くもあるが。

「……佐天さん…何かあったの…?」
「いやいや。実はですね―――」

佐天が美琴に先程の事を説明し終わるのと同時刻、佐天が呼んでおいた救急車が現場に到着した。
しかしその瞬間、謎の漏電【ふにゃー】が施設全体に襲い掛かり、
救急車は一台では済まない事態となってしまっていた。










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