イヤだ
あれから5時間がたった。
『もう!! めちゃくちゃ痛かったんだから!!』
結局、木山先生は戻ってこない。
『こうやってみると、あんたっておっきいわねー。
これがインデックスからのしてんなのよねー』
これがインデックスからのしてんなのよねー』
本当は自分が動けばいいのだ。
『だいとーぶよ。 きっとなんちょかなるから』
赤子になった彼女を抱えて病院に走ればいい。
『きやまてんてーやゲコ太てんてーがなんちょかしちぇくれりゅから』
しかし、それだと、木山先生と入れ違いになったり、
道中で魔術師に襲われる可能性がある。
道中で魔術師に襲われる可能性がある。
『……らかりゃ、ちょんな、かなしそうなかお、しにゃいれ ……』
違う。
怖かったのだ。
あの凄腕の医者が、首をふるところを見たくなかったのだ。
怖かったのだ。
あの凄腕の医者が、首をふるところを見たくなかったのだ。
夕日が差し込む室内。
インデックスは美琴と遊び疲れて眠っていた。
その隣。
赤子になった美琴がカエルのぬいぐるみで遊んでいる。
これ以上は小さくなるような気配はない。
しかし、戻る気配も全くなかった。
上条は膝をつき、美琴をそっと抱き上げる。
夕日が彼女の瞳を照らした。
インデックスは美琴と遊び疲れて眠っていた。
その隣。
赤子になった美琴がカエルのぬいぐるみで遊んでいる。
これ以上は小さくなるような気配はない。
しかし、戻る気配も全くなかった。
上条は膝をつき、美琴をそっと抱き上げる。
夕日が彼女の瞳を照らした。
「あー、とー、あう」
そして、座ったままの姿勢で、そのまま抱きしめる。
最初は優しく抱いていた。
最初は優しく抱いていた。
「大丈夫だ」
しかし、少しずつ力が入る。
「大丈夫だぞ、美琴」
(……)
「12年なんて、すぐだ」
そんなに、状況も変わっていない。
「周りも最初は驚くだろうけど、すぐ迎え入れてくれるよ」
(…………)
電撃がないぶん平和かもしれん。
「逆に美鈴さんなら喜ぶかもな。
私も若返った気がするとか言ってさ」
私も若返った気がするとか言ってさ」
ワガママに振り回されずに済むし、
(……………………)
「白井は怖いなー」
部屋はゲコ太に埋めつくされずにすむ。
(…………………………………………)
「リアル源氏物語とか言ったりしてな」
あ、家事は分担できなくなるのか。
(……………………………………………………………………………………イヤだ)
「……もう、いっそ、二人とも、オレが育てようか?」
買い物の荷物も1人で持たなくてはいけない。
(…………………………………………イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ)
「…………インデックスと同じように、パパなんて、呼んだりしてさ」
二人で料理することもない。
(……………………イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ)
「……………………将来、パパと、結婚、する、なんて言って」
一緒にインデックスを心配したり、
(…………イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ)
「…………………………………………オレが、守る、から、大丈」
この前のように、ともにインデックスの成長を喜ぶことはできない。
(イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ)
「……………………………………………………………………………………イヤだ」
「……美琴とこれから、一緒に同じ道を、歩けない、なんて……」
そんなの、
「イヤだ。イヤだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
そして
ポンッ と美琴は元に戻った。
上条は、目に涙を浮かべたまま、パチクリと瞬きする。
美琴も、自分の顎を上条の肩に乗せた状態で、パチクリと瞬きする。
上条は、目に涙を浮かべたまま、パチクリと瞬きする。
美琴も、自分の顎を上条の肩に乗せた状態で、パチクリと瞬きする。
美琴は正座した上条の膝の上に、またがるように座っていた。
そして、元に戻る前に、上条が美琴に何をしていたかというと、
そして、元に戻る前に、上条が美琴に何をしていたかというと、
抱きしめていたのである。
更に着ていた服は、おむつと赤ちゃん用の、着脱が簡単な押してはめるタイプのボタンの奴。
つまり、大きくなるときに、簡単に脱げてしまい、
つまり、大きくなるときに、簡単に脱げてしまい、
今、美琴ちゃんは丸裸なのだった。
しばらく、二人は状況が飲み込めてなかった。
しかし、少しずつ顔色を変えていく。
しかし、少しずつ顔色を変えていく。
「なに、してんのよ!!! アンタ!!!!」
「ちょっと!! 不可抗力なのわかってるザマショ!!?」
「動くな!! ぜ、全部見る気か!!!」
「とはいっても胸部にそのなんかやわらかーな感触がありまして、そっちは放置でヨロシイザマス!!?」
「……いっそ、死ぬ?」
「こっわ!!!!!!!!」
「二人とも!!! 遅くなって済まない!! あの薬は6時間しか効果がないことがわかっ……わ、わるい、お楽しみの最中とは思わなかったから、それでは、私は帰るよ」
「っおーーーーい!!なに誤解……ってなんでアンタも下着姿なんだよ!!」
「動くなって言ってんでしょこのドスケベぇぇえええええ!!!」
「へべけろっ」
インデックスがべそをかきだす10秒前。
学園都市の壁の前に影がうごめく。
「ようやく、戻って来たな」
「にゃ~」
「つい、この間来たばっかりなのに、懐かしささえ感じるぜ」
その言葉を聞き、オティヌスの表情に、笑みが浮かんだ。
猫の上でドヤ顔する元ボスをほほえましく眺めるトールに対し、
ちょっと珍しいものを見た気分に浸って、
今回のお話は終わらせていただく。
ちょっと珍しいものを見た気分に浸って、
今回のお話は終わらせていただく。