とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part30

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夏祭り



インデックスは『夏でも最新技術で快適!! モフモフゲコ太着ぐるみ』を装備した!!

「かわいすぎですよ!!インデックス!!」

夏祭りの中心から少し外れた簡易テントの中は、撮影会場になっていた。
残像が残るほどのスピードで、自称カメラマンは赤ちゃんを撮影しまくる。
横では神裂がはしゃぎ、
インデックスは23本目のミルクに突入する。
同僚の間抜けな姿にステイルはため息を吐きながら、インデックスに対し携帯のシャッター音を鳴らし続けた。

「インデックス!! 美味しいですか?」

「ぷぅ……う? あい!!」

(((…………天使がいる)))プルプル

いわゆるツッコミ不在である。




太鼓の音が遠くで響いてくる。
屋台の明かりがぎりぎり届くか、届かないかの距離。
暗闇の中に浮かぶ彼女の顔は、驚きに染まっていた。
自分の手が震えている。
予想以上に緊張しているようだった。
告白なんて柄じゃないのはわかってる。
でも今、しなければならなかった。

最初は応援していた。ついでに上条とケンカできればよかった。

だが、彼女にいつの間にか惹き付けられていた。
辛い思いはしてほしくない。
正直困らせるのも嫌だ。


だから、今じゃなきゃいけない。


彼女の向こうに見える木の下に隠れた、あの憎い鈍感野郎を焚き付ける。
そう彼女を困らせる言い訳にしないと、自分は2度と動けない。
だから、言った。
自分の本心を、
結末すらわかる、思いを




あわてて漏電を抑え込む。
思いっきり動揺している。
「異性に直接思いを伝えられた」のは初めてだった。

白井はなんだかんだいって異性じゃない。白井には悪いが現実味がない。
海原の好意には気付いていた。しかし搦め手であったため、こちらの対応も婉曲にすることができた。

今回は違う。

感情を直接ぶつけられた。
冗談ではないことが表情から読み取れる。

美琴は……尊敬した。
その姿は、何度もイメージした自分の姿だった。
自分がやるべき行動。
しかし、恐怖が彼女の足を止めた。
もし、断られたら?
そう思うと動けなかった。

彼は違う。
彼は自分に確認した。
「上条クンのことが好きだよね」と
勝ち目の低い戦であることもわかっているのだ。
しかし、逃げなかった。
だから、彼の想いに応えるには、自分も正面から、挑まなくては、ならない。



美琴は予想以上に動揺していた。
あのツンツン頭の少年が、彼女の後ろにいたことも、彼がトールの言葉を聞いてその場から離れていったことにも気づかなかった。


上条は走る。

(…………??)

何が起こった?
ただトイレに行き、オティヌスのところに戻ろうとしただけだ。
その途中で美琴とトールを見つけた。

(なんで動揺してるんだ??)

声をかけようとした瞬間、
アイツは言った。



「オレがアンタのことを好きだと言ったら、アンタどうする?」


(……別に、いいこと、じゃねー、か)

以前の、海原の件もある。
アイツは自分と違ってモテて当然だ。
頭もいいし、運動神経も高いし、
美人で、かっこよくて、かわいい一面もあって、
ゲコ太が好きで優しくて友達思いで……

「……い!! 聞こえてないのか!! 人間!!」

腕を掴まれ、ようやく上条は立ち止まった。

「…………オティヌス?」

「どうした? 珍しくおびえているな?」




「ごめんなさい!!!」

美琴は深々と頭を下げた。

「正直、あなたの好意はうれしい。でも…………」

???
声が出ない。
目の前にいるのは、想いを伝えたい相手ではない。

「わ、わた…………私、は……」

なのに、こんなにも苦しいのか?
自分の本心を認めて、さらに口に出すというのは。

「と、ととう、ととうまの…………こと、が!!」

顔が真っ赤に染まる。
目も開けていられない。
息がうまく吸えない。
指の爪が手のひらに食い込んで痛い。

「す、す…………!!」


でも、言うんだ。
彼に答えるためにも、
なにより、

「す…………き…………」

ここで言えなくて、

アイツに……伝えられる訳がない

最後の「だから」は消え入って聞こえていないと思う。

彼は教えてくれた。
今のままではいけない。
想いとは、伝えなければ意味がないのだ。
カシャッ

「……は?」

「いやーもしも、の話に、そんなガチな返答が帰って来るとは思わなかったぜ」

「へ? 携帯? シャッター音?」

「これを録音した内容と一緒に上条クンに送し「やめんかーーー!!」







彼が、冗談にしたいのならそうしよう。
表情に隠しきれていないことも、指摘しないでいいだろう。

その時だった。

オティヌスと会いようやく落ち着いた上条と、
やっと自分のやるべきことを見つけた美琴の耳に

「「インデックス!!!!」」

と、叫ぶステイルと神裂の声が届いた。









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