とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part40

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集




『……なんとおっしゃいました?』

『いや、だから、新婚旅行。ハネムーンでしょ? これ』

『お、おほほぉい、後ろを見てご覧なさい。あの地平線を←から→まで埋めている黒い粒々は、全部オレたちに放たれた追手です。さて、問題。今私たちがしているのはなんでしょーか!!』

『はい!!『どうぞ!!』新婚旅行で『逃走ですよバカ!!』

『そんな食いぎみに……よく考えて』

『こっちのセリフだ!!』

『まぁまぁ。いい? まず私たちは新婚さんでしょ?』

『そうですね』

『で、海外にいっている最中です』

『ですね』

『ほら、新婚旅行じゃ『なんでだよ!!』

『どんな状況でも、私たちが新婚旅行っていったら新婚旅行になるでしょ? 楽しまないと!!』

『……はぁ、なんつー嫁だよ』

『あら、今更? 旦那様』

『わかったよ、新婚旅行、楽しもうか』

『うん!! そのためにまずは……』

『逃げる!!』













ダウンロードエラー
システムの復旧を行います
復旧率 0%


大冒険


残暑がまだ強い土曜日。
しかし、空に入道雲の影はなく、
鳴く蝉はアブラゼミからつくつくぼうしに変わっている。
そっと夏が過ぎ去ろうとしていた。
が、それを感動する余裕は彼らに無い。
ベンチには男性が2人座っていた。
ぐだーーーーーと。

1人は浜面、もう1人は一方通行である。
彼らが疲れている原因は同じだ。
上条と美琴が学校に行っている間、交代で担当している、
赤ちゃんのお世話にあった。

浜面は初日の事を思い出す。
インデックスを家に入れたら、予想通りのリアクションが待っていた。

『ふざけてんのか浜面!! いつからここは保育所になったんだゴラァ!!』

『超まったく麦野の言うとおりです!! 浜面は顔から超教育に悪いのに!!』

メキャドカメキャドカと、
もちつきのようにテンポよく浜面はミンチになる。
でも、彼の嫁はインデックスの相手をしていた。

『あう?』

『あっちが麦野、あっちが絹旗だよ。あいさつできるかな?』

『う、むぁの、きーはた、こーちゃ!!』

ピタッ と止まった後の
きゅるきゅるきゅーーん!!

『は? なんだ今の擬音は?コイツらには無縁の音がきゃぐるべぶ』

もちつきのように略。
そんなこんなで 浜面はくったくただったのだ

で、一方通行の場合、

『アナタ、ほらアナタの子よ』

と、あのクソガキがほざき、

『わたしとは遊びだったのかー。よし、復讐にアンタの家庭をグシャグシャにしてやる』

と、あの性悪がほざいて、

『そんな、じゃあ、このお腹の子はどうするの!!?』

と、あのニートがほざいた。
思い出すだけでめんどくさいのだった。


で、
目の前のジャングルジムではしゃぐ打ち止め、フレメア、フロイラインを眺めつつ、2人はつかの間の平和を満喫していた。
まぁ、そんな時間はこの2人にはそうやすやすとは訪れない。

「あくーた!!はーづら!! こーちゃ!!」

と元気に挨拶された。
そちらに目を向けると、案の定ヤツらだ。

「「おっす!!」」

いちいちハモるな。
疲労の原因の赤子、インデックスは御坂美琴の腕の中で、笑顔に手を振っている
彼女の御両親、上条当麻と御坂美琴も彼らが疲れている原因である。
コイツらの話をしょっちゅう聞くようになって、大体何を考えているかわかるようになった。
上条は自分の心境を隠すのがうまい。
美琴もようやくテンパりを隠せるようになった。
つまり、

((ぎゃぁぁあああ!! ハモったぁぁあああああ!!))

実は内心で2人はめちゃくちゃあたふたしている、と予想できる。
で、大正解なのだった。

「……なにしてんだよ?」

「なにって、買い物だよ」

「近くのデパートでバーゲンやってるの」

「そこまでは聞いてねェ」

「だぅ、どぅーだう!!」

「ダメよ、インデックス、お買い物しなくちゃ」

インデックスは自身の小さな手を、一生懸命打ち止めたちに伸ばす。
正直、一方通行達はめんどくさい。
めんどくさいが、

彼らの共通点として、上条と美琴には大きな借りがあるのだった。

「あー、置いていっていいぞ」

「「へ?」」

「怪我しねェくらいには見といてやる」

「ホント!!? ありがとう」

「いつも悪いな」

美琴は、打ち止めたちにインデックスを預けると、
上条と肩を並べて仲良く買い物に行った。
よくよく見ると、2人とも緊張で背中はガチガチに固まっている。
ため息がでた。

「……お互い、大変だよな」

「……うるせェ」


少ししてなにか違和感。
ドタバタと音が聞こえる。
上条達が消えた出入り口と、ちょうど反対の方からだ。
浜面と一方通行がそちらに顔を向けると、なにかが大声を出しながら猛スピードで走ってきていた。

「あぁ、オレが間違っていたぜ!! 恋は戦争だ!! 勝つか負けるかの世界に、遠慮なんてしてらんねぇよな!! 上条ちゃんよりオレのほうがいい男になればいいだけの話だったぜ!!」

金髪の女みたいな男が爆走してくる。

「それでこそ、私の元部下だ。互いの目的のために全力を尽くそうではないか!!」

恥女も猛スピードで向かってきていた。
両者ともに上条とのつながりで、顔見知りなのだった。

((メンドクセェェェェエエエエエエエエエエエエエ!!))

もし、ヤツらにあの2人が追いつかれたら、なんのためにインデックスを預かったのか分からなくなってしまう。
だから、浜面は餌を投げた。

「よかったな、第一位。さっき話していたトールがちょうど来たぞ」

浜面たちの目の前で、魔神と雷神は走っているポーズのまま固まった。
ついでに白いアイツも固まった。

「は?」

「だから、今お前が雷神と手合わせしたいっていってただろ?」

ぴくっ っとトールの耳が動く。

「て、テメェ!!「いやー、どう考えてもお前の言うように、勝敗は決まってるけどな。圧倒的にお前が勝ち越すと思うぜ、さっきお前が言ったとおり」

うずうず。

「わ、悪い、オティヌス。こんな楽しそうなケンカ、ほっとけねぇ」

「……まぁ、好きにしろ。私は奴らを追うぞ」

一方通行は浜面をにらみつけるが、ヤツは明後日の方を向き口笛を吹いている。
しょうがない、乗ってやろう。

「ふ、はーっはっは!! テメェのような三下、軽くひねりつぶしてやンよォ!!」

しかし、

「で、チンピラ、さっきテメェは『自分にとって魔神なんて赤子も同然だ』っていってたが、どうやって倒すンだ?」

テメェも道連れだ。

は? と呟いた瞬間、浜面はどっと汗を流す。
プレッシャーが半端ない。

「……そうか、赤子も同然か。いい度胸してるじゃないか」

そちらに目を向けると、憤怒の形相をした魔神様がいらっしゃった。
後方ではすでになにかしらの戦闘が繰り広げられている。
浜面は、覚悟を決めた。

「早口言葉だ!!『生麦生米生卵』!!」

「は!?」

「早くいえよ!! 『生麦生米生卵』!!」

「な、なまむぎなまもめなまなもも!!」

そんなこんなをやってる間に、
3人の幼女と、その1人に抱かれた赤子が公園から出て行ったのに、だれも気付かないのだった。


上条は緊張していた。

(どうしよう、買い物デートだよ!!)

美琴も動揺していた。

(どうしよう、買い物デートだよ!!)

上条の左を美琴が歩く。
上条君に言いたい。
右上には別段なんにもないよ。
美琴君にも言いたい。
足元ばかり見て歩くのは危ない。
2人に言いたい。
熱があるなら帰りなさい。


なにか話題なにか話題。
お、ちょうどいい。

「ちょっとこの書店によっていいかな!?」

「もちろんよろしゅうございますよ!」

よし、会話になった!!

「で、なにしに行くんです?」

「ん?次の授業で『破骨細胞』がもう一度出てくるから、軽く復習しとこうと思って』

「……なんだって?」

「だから、『破骨細胞』よ。数個から数十個の核を有する多核巨細胞で、細胞質は好酸性を示していて酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ活性をもってるアレがもう一度出てくるから、ちょっと関係する本をざっと流し読みしようって話』

すんません、会話になりませんでした。

「あー、オレマンガのとこいるから、終わったら声かけてくれ」

そういって頭が痛くなる本棚から離れる。
すっかり忘れていた。
彼女はスーパーウーマンだった。
仕方がないじゃないか。
いつもの彼女はただの女の子なのだ。料理が上手で気が利いて、ちょっと短気で照れ屋で、子供が好きで母性に溢れて、笑顔がキュートで……。

上条さん、顔真っ赤です。

頭を振ってマンガコーナーに向かう。
が、途中にエロ本コーナーが出現!!
正常な男子たる上条はチラッと視線が動く。
あれ? あの子美琴に似てないか?
いや、もう少し美琴のほうが美人でって、イカンイカン!!

あわててマンガコーナーに逃避する。
煩悩をはらうために手に取ったマンガ雑誌を開いた。
内容がちょっとえっちいやつだった。
さらに触手にいじめられている女の子が、またまた美琴に少し似ている。

「ごめん、おまたせ!!」

「タイミングがえげつない!!!!!」

「え? いいとこだった?」

「あ、いや、そうじゃなくて、終わりかた!! 次週が気になる終わりかたでさぁ!!」

「なるほどねぇ。あ、密室×密室探偵どうなった?」

「いやぁ、また釣竿だった「何で言うのよ!!」聞いたのそっち!!」

「結果じゃなくて、感想を聞いたの!!」

「さいで」

お、自然に会話できるじゃん。

「じゃ、この雑誌買ってデパートに行くか」

「あれ?」「ん?」

「今、インデックスの声がしなかったか?」

「わたしも聞こえた気がしたけど」

気のせいか。










ウィキ募集バナー