大冒険
夢が溢れるオモチャコーナー。
上条は心を鬼にしていた。
上条は心を鬼にしていた。
「うちに大量にあるだろ」
「で、でもこのウィンクしてるのはない!」
「右手上がるパターン、左手上がるパターンなどなど、全245種のすべてのゲコ太集める気かよ?」
渋々美琴はもう一度ゲコ太に抱きつき、棚に戻す。
上条はウィンクゲコ太をじーっと見た。
上条はウィンクゲコ太をじーっと見た。
(……うらやましい)
「ねぇ」
「すんません!! そんなつもりはないんすよ!!」
「なにが?」
「あ、いや、どうした?」
見ると、ゲコ太モデルの車がある。
赤ちゃんが座れるようにできていて、ハンドルはあるが動く飾り。
後方についている棒を押して動かす、ベビーカーだ。
きっとあの子は喜ぶだろうし。
赤ちゃんが座れるようにできていて、ハンドルはあるが動く飾り。
後方についている棒を押して動かす、ベビーカーだ。
きっとあの子は喜ぶだろうし。
「これ、買ったら、ダメかな?」
彼女はいうまでもない。
「はぁ、仕方ないな。いいでしょう」
「やった!!」
「はいはい、かわいい笑顔ですこと。インデックスより喜んでんじゃねえか? さて、そろそろあの食いしん坊を迎えにいくか」
美琴はうなずくと、レジに向かう。
浜面に電話すりゃいいかな?
浜面に電話すりゃいいかな?
『な、なんだ? 大将?』
「いや、そろそろ迎えに行こうかと思ってさ」
『ま、待て!! 困る!!』
「へ?」
『い、いやぁ……そ、そうだ!! まだ服の買い物とかして2人でいろよ!! あの子はまだ遊びに夢中でさぁ!! 』
「そっか///// わかった。よろしくな」
ちょうど美琴が会計を終えて戻ってきた。
「どうしたの?」
「インデックスはまだ遊びたりないんだと。仕方ないし、季節の変わり目でバーゲンだし、 秋物の服でも見にいこうか」
「そっか、早く見せてあげたいけど、楽しみはとっておいてもいいよね」
ちょっと寂しいが、2人ともデートが続けられて、少し嬉しいのだった。
「ど、どう、かな?」
茶色のワンピースを着た天使が立っていた。
上条は、平静を装い、顔を真っ赤にしながら応える。
上条は、平静を装い、顔を真っ赤にしながら応える。
「あぁ、驚いた。似合ってるよ」
「ホント!!?」
顔をほころばせる美琴の前に、
ひび割れた理性を突貫工事で修復する上条さん。
彼は考えていた。
ひび割れた理性を突貫工事で修復する上条さん。
彼は考えていた。
(そもそも美人の美琴はなんでも似合うに決まってんじゃねえか!!)
「ね、ねえ、この服の上に着るなら、どっちが、いいかな?」
「ん? えーっと……えー…あー……えー………っと……」
「ど、どうかなってなんで片づけちゃうの!!?」
「どちらも小学生ものじゃん!! ゲコ太が可愛かったわい!!」
「え!!? だから持ってきたのに!!」
「せっかくの大人の魅力が台無しだよ!!」
「えー、じゃあ、また今度でいいや」
「ほんとにも~……っお? ベビー服か」
「かわいいわね!!」
「これなんかどうだ!!?」
「え? おさるさん? かわいい!! でも、動きづらそう」
「お、見た目の可愛さ優先でインデックスが窮屈になったら意味ねーな」
「これなんかどう? ひらひらがいっぱいついたスカート!!」
「水色でアイツの銀髪も映えそうだなぁ」
「かわいいでしょ」
「が、敢えてこのボーイッシュルックをオレは薦めてみる!!」
「うぅ、ベレー帽ってところが憎いわ!!」
「……」「……」
一方通行にTELTEL。
『よ、よォ、三下。元気か』
「? さっき会っただろ?」
『そ、そういやァ、そうだったな。元気なのはいいことだよな』
「気色悪い。キャラが大崩壊時代ですよ。そろそろ迎えに行っていいか?」
『ダメだ!!』
「へ?」
『ほ、ほら、せっかく2人きりなンだから、もう少し楽しめ。夕飯の買い物でもしたらどうだ? 時間はこっちから連絡するからよ!!』
「え? お、おい『ガチャ』あら? 切れた」
「?」
「まだ時間かかるんだと。……夕飯でも買いにいくか」
「……そうね、そうしますか」
自分たちといるよりも、インデックスはみんなと遊ぶほうが楽しいのだろうか?
ちょっとジェラシー。
ちょっとジェラシー。
「「うおっしゃぁぁぁあああ!!卵ゲットぉぉぉおおおおお!!」」
タイムセール。
それは戦場である。
買い物かごを二人で持って、キャッキャウフフな展開を考えた我々のにやにやを返してもらいたい。
それは戦場である。
買い物かごを二人で持って、キャッキャウフフな展開を考えた我々のにやにやを返してもらいたい。
「ふぅ、なかなかの収穫だな」
「今晩は腕がなるわね♪」
「なんの予定?」
「オムレツかな?」
「楽しみですなー」
「あ、ミルクも買っとかないと」
「そうだな。そういやぁ、そろそろ離乳食にしなきゃなのか?」
「どうなんだろう? ママに聞いとく」
「おう、ありがとな」
「……」「……」
「ねぇ、もう迎えに行っていいんじゃない?」
「そうすっか」
いつのまにか空は夕焼けに染まっていた。
帰路につく上条と美琴の手には大量の荷物がぶら下がっている。
帰路につく上条と美琴の手には大量の荷物がぶら下がっている。
「持とうか?」
「ううん、大丈夫。……インデックス、喜んでくれるかな?」
「確かに喜んでくれなかったらショック……? おや?」
上条達は公園に入り、固まった。
人数が多い。
インデックス、打ち止め、フレメア、フロイライン、一方通行、浜面という最初の面子のほかに垣根とドレス姿の見慣れない女性がいる。
あと、垣根って白くなかったっけ?
彼らが纏う空気が重い。
人数が多い。
インデックス、打ち止め、フレメア、フロイライン、一方通行、浜面という最初の面子のほかに垣根とドレス姿の見慣れない女性がいる。
あと、垣根って白くなかったっけ?
彼らが纏う空気が重い。
フロイラインの腕の中で彼女はバタバタと垣根に手を伸ばす。
確実にそれが空気を変えた。
虚を突かれた表情をした垣根は少しして微笑む。
垣根は屈伸の要領で膝を曲げると、インデックスの頭を撫でた。
確実にそれが空気を変えた。
虚を突かれた表情をした垣根は少しして微笑む。
垣根は屈伸の要領で膝を曲げると、インデックスの頭を撫でた。
「今日はもう遅くなりました。また、今度遊びましょう」
微笑みかける垣根に、インデックスは不満だったようだが、しぶしぶうなずく。
垣根は立ち上がると、再び一方通行と浜面を一瞥したが、
そのままなにも言わずに立ち去った。
上条たちが知らない女性を連れて。
垣根は立ち上がると、再び一方通行と浜面を一瞥したが、
そのままなにも言わずに立ち去った。
上条たちが知らない女性を連れて。
「ばいばい!! カブトムシさん!! ってミサカはミサカは元気にあいさつ!!」
「大体ドレスお姉ちゃんもまたな!!」
「さようなら」
ちびたちの手を振る姿を見て、
ようやく上条と美琴も互いに笑顔を浮かべ、彼らの方に歩みを進めた。
ようやく上条と美琴も互いに笑顔を浮かべ、彼らの方に歩みを進めた。
一方通行が家のドアの前に立ったとき、もう空は暗くなっていた。
背中では打ち止めが眠っている。
なぜ子供はエネルギーを0にするまで遊ぶのだろう。
一方通行はあの後の事を思い出していた。
浜面が上条に対し成果を尋ねると、アノヤロウ
背中では打ち止めが眠っている。
なぜ子供はエネルギーを0にするまで遊ぶのだろう。
一方通行はあの後の事を思い出していた。
浜面が上条に対し成果を尋ねると、アノヤロウ
「いやぁ、やっぱりインデックスがいないと寂しいな」
などとほざいた。
こちらの気もしらないで。
当然ボコボコにして帰路に着く。
こちらの気もしらないで。
当然ボコボコにして帰路に着く。
上条は思い出すだけでイライラするだらしない笑顔だった。
うんざりしながら家のドアを開けると、またため息がもれる。
家中がキラッキラに輝いていた。
廊下に自分の顔が反射する。
チリひとつ落ちていない。
あの性悪も居場所がないのか、ソファーの上で体育座りしていた。
うんざりしながら家のドアを開けると、またため息がもれる。
家中がキラッキラに輝いていた。
廊下に自分の顔が反射する。
チリひとつ落ちていない。
あの性悪も居場所がないのか、ソファーの上で体育座りしていた。
(……今度はなにしでかしやがった?)
犯人はすぐ見当がついた。
始末書ものの失敗をすると、家を片付ける癖がある家主だろう。
ただ、これほど徹底的なのは珍しい。
相当落ち込んでいる証拠だ。
取り敢えず、打ち止めをベッドに投げようと思ったとき、
リビングに入る影があった。
家主ではなく、その親友である。
が、彼女の顔色も悪い。
片方の眉を上げ、最強はその理由を問う。
その女性は動揺を隠さず理由を伝えた。
始末書ものの失敗をすると、家を片付ける癖がある家主だろう。
ただ、これほど徹底的なのは珍しい。
相当落ち込んでいる証拠だ。
取り敢えず、打ち止めをベッドに投げようと思ったとき、
リビングに入る影があった。
家主ではなく、その親友である。
が、彼女の顔色も悪い。
片方の眉を上げ、最強はその理由を問う。
その女性は動揺を隠さず理由を伝えた。
「……愛穂が……プロポーズされたって」
一方通行の演算能力を大幅に上回る事態なのだった。