とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part27

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気付かれてしまった事、気付いてしまった事こぼれ話


美琴「(ね、ねえ!)」
上条「(何だよ? まだ駄々コネてんのか? 今回は14巻途中~16巻ってのは規定事項だぞ)」
美琴「(ほほほほほほ本当にいいのかな!? だってほらアンタ記憶喪失のこと隠してるんでしょ!? あの二人にバレちゃっていいの!?)」
上条「(あ、そうか)」
美琴「(でしょでしょ? だからさ、16巻を飛ばしても!!)」
上条「(ん~~~~~~~~~~~~~まあ別にいいや)」
美琴「(え、えええええええええええええええええええええええ!!?)」
上条「(だって、このこぼれ話に出てきたゲストにゃ、白井、佐天さん、初春さん、あと一方通行には話してるから、クラスメイトや両親と関わらないあいつらならいいだろ。特に五和と出会ったのは『記憶喪失後』だし。まあ神裂はビックリするかもしれんけどこのこぼれ話は二次創作だし)」
美琴「(それって究極のメタ発言じゃない!?)」
五和「さて、と――上条さん? 御坂さんと仲睦まじげにヒソヒソ話するのを止めてそろそろ中編を始めませんか?」
上条「な、なあ五和? 何かあるごとに槍の切っ先を突き付けるのは止めようぜ……背後だから見えないけど延髄に当たってる感覚は分かるんだからさ……って、ん? 神裂? 何お前目逸らしてんの……?」
神裂「い、いえ……単に映像がなくて良かったと思ったまでです……」
上条「ん? 御坂お前も……?」
美琴「そ、そうね。では早速始めましょうか。」
上条(レベル5と聖人が恐れ戦くって……? 見たいけどやっぱ見ない方がいいんだろうな……)
五和「……」


「……あれ。そういやインデックスはどうしよう」
 彼女を危険な場所へ連れていくのは反対だが、かと言ってご飯のない部屋に放ったらかしというのもまずそうな気がする。
「舞夏がカミやんの部屋に行ってるから大丈夫だよ。多分いつもの食いしん坊より三割近くツヤツヤしてるはずだにゃー」
 その言葉を聞いてホッとする反面、自分の存在意義はもう『ご飯を作ってくれる人』しかないのか、と上条はやや呆れる。


神裂「ふむ。あの子を危険な場所に連れて行かないという姿勢は評価できるのですが上条当麻。この発言からですと貴方の方も、どちらかというとあの子の身の安全よりも食の心配しているように感じるのですが?」
上条「そりゃ、まあ……」
美琴「まあ、あの子が満腹のときって見たことないしね。確か大覇星祭のときだって、朝食後2時間くらいでもう空腹で行き倒れてたし。アンタが貧乏というかいつもお金がないのは貰ってる奨学金の大半をあの子の食費に回してるからなんでしょ? いくら普通校でも趣味や娯楽を我慢すれば二人分の食費くらい出るはずなのに、ホントあの子の胃袋はどうなってるのかしら」
神裂「飢えさせている、という訳ではなさそうなので安心しました」
上条「なあ。今まで聞いたこと無かったんだけど、あいつが神裂と一緒に居た頃の食欲ってどんなだったんだ?」
神裂「さあ?」
上条「さあ、って……」
神裂「彼女の食事は別の担当が居ましたし、相伴という事もありませんでしたから答えようがないのです。食事以外の時間はほとんど一緒に居ましたけど」
上条(…………当時のコックだか調理師は大変だったのか……それとも必要悪の教会は相当裕福なのか……)
五和「でしたら上条さん! 私が毎日作りに行きましょうか!!」
上条「何でそんな話になるのか分からんし、別に作りに来てもいいけど毎日って一体どこに住み込むつもりだ? さすがにイギリスからは来れんだろ」
五和「そ、それは……その……やはり上条さんの部屋……に……/// って、あれ? 上条さん? 上条さん? どこ行ったんですか? あ。女教皇様と御坂さんも居なくなってます。はて?」


 上条は少し考えてから、やがて携帯電話の登録メモリを呼び出した。そこにある番号の一つに電話をかける。
「御坂!!」
『な、何よ』
 電話の相手は御坂美琴だ。


五和「……」
上条「な、何でせうか……? そのジトー……っとした眼差しは……」
五和「えっとですね上条さん……これ、カットされているから分かり辛いんですけど、いくら学園都市の駆動機だからって、すぐ傍に私が居るのに意見を求めることなく御坂さんに電話したのは何故ですか……?」
上条「え? 俺間違えてる? だって、学園都市製のモノなら学園都市の人間に聞くのが当然じゃね? これが魔術のことだったら俺、御坂じゃなくてインデックスに聞いてるぜ?」
五和「………………………………ちょっと待ってください………………私がすぐ傍に居るのに、ですか? この際ですから駆動機のことは納得しますけど……」
上条「いやだから何でそこで俺が恨みがましい視線を向けられなきゃいけないんだって。戦闘中だよ? 適切な判断だと思うけど違うの?」
神裂「上条当麻……五和の矛先が変わった事にも気付かないくらい鈍感だとは……」
美琴「そりゃー、科学サイドならまだしも魔術サイドのことをすぐ傍に居る魔術師に聞かないんじゃね。科学サイドで例えるなら、私が傍に居る時に妹達に電話するようなものよ」
上条「あ。」


「ちょっと聞きたいことがあるんだけど、今大丈夫か?」
『へ、へえ。それって私じゃないとダメな訳? 他の人でも別に良いんじゃないの? 例えばウチの母とか』
「ん? ……そうか、そうだよな。別に御坂じゃなくても、美鈴さんとかに尋ねても――――」
『ノンノンノンノン!! ちょ、アンタ私に何か聞きたいことがあったから掛けてきたんじゃなかったっけ!?』
「??? まあ、美鈴さんよりも、学園都市内のヤツの方が良いか」


神裂「御坂美琴さん。敵に塩を送るという訳でもありませんが、もう少し素直に対応しては如何でしょう?」
美琴「んな!? そそそそそそれはですね!!///」
神裂「素直に返事しておけば、別の誰かに連絡されそうになることもなかったのではないでしょうか?」
美琴「いやそうなんだけどさ!!///」
五和「ああ! なんと素晴らしい!! 女教皇様が寛大にもサルバーレ000(救われぬ者に救いの手を)なところを見せてらっしゃいます!!」
上条「ところで神裂。『敵に塩を送る』って、どういう意味だ? いや言葉自体の意味は知ってるよ。けど、ここで使った理由が分からなくてさ」
神裂「んな!? そそそそそそれはですね!!///」
上条「まあ御坂は科学サイドで、神裂は魔術サイドだから敵味方と言えなくもないか」
神裂「いや……そうなんですけど……」
五和「……上条さんって相変わらず上条さんです」
美琴「デスヨネー」
上条「え? 俺間違ってないよね?」
美琴「うん。間違ってないわよ。ただ、私たちとアンタの間に『敵』という言葉の意味の捉え方でかなりの乖離はあるけどね」
神裂「ですよねー」
上条「???」


『――――テレビなんてどこを点けても臨時ニュースしかやってないじゃない。アビニョンってフランスの街でしょ。――――』
『――――……つか、アンタ今どこにいる訳? むしろこの情報が入ってこない場所を探す方が難しいんじゃないかしら』


美琴「で、その中心にいたと」
上条「ま、まぁ結果的にはそうなりますよね」
美琴「アンタねぇ! そうならそうってちゃんと言いなさいよ! 心配するじゃない!」
上条「いや、言えなかった理由も分かるだろ!? それに言ったら言ったで、結局心配かけちまうし!」
五和「……つまり上条さんは、御坂さんに心配をかけたくなかった訳ですかそうですか」
神裂「五和。何でもかんでも病んでしまうのはやめなさい」


 御坂美琴は携帯電話を手にしたまま硬直していた。
 スピーカーの向こうから聞こえてきた、雑音混じりの言葉を聞いて身動きが取れなくなっていた。


五和「ん? あれ? 随分とシリアスというか深刻な展開に? 随分飛びましたけど、ここら辺だと左方のテッラを退けた後なのに?」
神裂「一体何があったのでしょう?」
美琴「……」
上条「……あー…OPトークの時は思わんかったけど、いざ、このシーンが来ると結構緊張しちまった、な……」


 彼女の胸を締め付けているのは、たったの一言だ。
「……、」
 口に出そうとして、美琴は声が出ないことに気づいた。
 ――――体の震えが収まるまでじっとしていようと思ったのだが、いつまで経っても収まる様子はなかった。
 ――――意図していないのに、不気味なくらい掠れた声が自分の口から放たれるのが分かる。
 彼女が放ったのは、小さな声だ。
「……忘れて、いる……?」
 言葉に出してから、御坂美琴はその意味についてもう一度考えてみる。
 記憶喪失ですって?


神裂「な……!」
五和「え……?」
上条「……そういう反応になるよな。けど五和は心配するな。俺がお前と初めて会ったのは記憶喪失になった後の話だから」
五和「そ、そうですか……それは良かったです、でいいのでしょうか……」
神裂「ちょ、ちょっと待ってください! それでは私は!? 私と初めて会ったのは……!?」
上条「……悪い。今まで黙ってたけど、今の俺が神裂と初めて会ったのは御使堕しのときだったんだよ……あん時はまだ誰にも、というか……アイツに知られたくなかったからな……」
神裂「そう……ですか……あ、アイツとはもちろんあの子の事ですよね……?」
上条「まあな」
神裂「……でしたら仕方がありませんね……って、今はどうなのですか!? 今でもあの子は知らないのですか!?」
上条「いや、もう知ってる。アイツも受け入れてくれたっぽい。本心はさすがに分からないけど、表面上は今までと何ら変わりないぜ」
神裂「……それならばいいのですが……ところで原因は何なんです……?」
上条「知らん」
神裂「はい?」
上条「だって俺、原因を聞いてねえもん。分かっているのは七月二十八日以前の記憶がないから、記憶喪失になったのは七月二十八日ってことだけだ。原因を知ってるのは多分あいつだろうから聞けねえだろ?」
神裂「な、なるほど……」(とすると原因は竜王の殺息によって生み出された光の羽……ッ!!)
五和「女教皇様?」
神裂「い、いえ……何でもありません……」(これはさすがに私からも話せませんね……永久に記憶の奥底に封じ込めておかなくては……)
??「優先する。――――――記憶を下位に、秘密を上位に」
上条「わざわざ生き返ってまでシリアスブレイクすんなよ」


「――――それより十二月のスケジュールが決定しました。時期が時期ですから、最大主教にはサンタクロースの格好をして四三ヶ所の児童養護・福祉施設を回ってもらいます。これも公務ですので、どうかご了承ください」
「うむ。鼻血必至の悩殺ミニスカサンタセットはすでに調達できたるのよ」
「ッ!!!??? 今、自信満々にウムとか頷いて変なことを言いませんでしたか!?」


上条「はい!? 最大主教って一番偉い人ですよね!? イギリス清教って厳格な十字教ですよね!? いったい何言っちゃってんのこの人!!」
神裂「……そういう反応になりますよね……はぁ……」
五和「あ、あの……女教皇様……我々はこんな淫らな輩の下に居るのでしょうか……」
神裂「世の中にはどんなに理不尽なことでも受け入れなければならないというときがあるのです……それにロシア成教・殲滅白書のトップよりはマシでしょう」
美琴「ふーん。珍しくアンタにしては『ミニスカ』サンタに喰いつかなかったわね」
上条「いや御坂さん!? 『珍しく』って何ですか!? 紳士で硬派たる上条さんは『いつも』そういったモノには喰いついていないはずですよ!?」
五和「女教皇様、ちょっと左足をこの台の上に乗せてもらえます?」
神裂「? こうですか? と、随分高い台ですね。膝が腹部に付きそうな……って、上条当麻? 何、凝視しているのです……?」(ジト目)
上条「はっ!!」
美琴「やっぱり太股に喰いついてんじゃんかゴルァァァァアアアアアアアアアアアア!!」
上条「すすすすすすんませぇぇぇえええええええんんんん!! 男の性なんですぅぅぅぅぅぅううううううううううううう!!」


「やかましいこのド素人が!!」
「ッ!?」
「さっきっから黙って聞いてりゃベラベラとと!! ――――」
「かっ、神裂? 神裂さーん……? あの、ええと、先程から先ほどから口調がおかし―――」
「言葉遣いに関してテメェにゴチャゴチャ言われる筋合いはねぇこのクソ野郎!!」


上条&美琴&五和「「「……………」」」
神裂「う゛う゛んっ! ごほんごほん!」
美琴「えっと…もしかしてハンドル握ると性格が変わるとかそういうアレですか神裂さん?」
上条「いや、これは普通にキレるとこうなるってだけだろ。そうですよね神裂さん?」
神裂「な、なぜ急に敬語なのですか!?」
五和「女教皇様は怒ると恐いですから…」
神裂「五和に言われたくはありませんよ!!?」
美琴「キレると性格が荒くなるのも、キレると病んじゃうのも、どっちも恐いと思うけど…」
神裂&五和「「うっぐっ…!」」
上条「まぁ、御坂はいつも軽く怒ってるけどな」
美琴「なっ! そ、それはアンタが…その…いつも無意識で私に変な事するから……///」
上条「変な事って?」
美琴「そ、そそそ、そんなの言える訳にゃいじゃない!!!///」
五和「…ちょっと目を離した隙に、す~ぐそうやって……うふふふふふふ…」
神裂「イチャイチャしてんじゃねぇよド素人共がっ!」
上条「病んでる病んでる。荒くなってる荒くなってる」


「わ、私は、それだけじゃないと思いますけど……」
「?」
 ごにょごにょ言う五和に上条が首を傾げると、彼女は慌てて両手を振ってごまかした。


五和「………///」
美琴「へー。ほー。ふーん」
上条「え、な、何? ミコっちゃんから何やらやたらと痛い視線が突き刺さるのですが…」
美琴「べーつーにー!? アンタがそういう奴だってのは、よ~~~~~く知ってるし!?」
上条「だから何がだよ!? 俺が…どういう奴だって!?」
美琴「何でもないって言ってんでしょ!? バーカバーカ!」
上条「なっ!? 古来より、馬鹿って言った方が馬鹿だって相場が決まってんだぞ!?」
神裂「…何ですかコレ。ただの痴話喧嘩にしか見えないのですが…」
五和(おかしい…私が上条さんと……ごにょごにょ…する流れのはずだったのに……)


「五和の野郎……さっきから業務連絡ばかりで、ちっともアタックしませんね」
「まったくよな。せっかく上条当麻にゼロ距離攻撃できるチャンスを与えてやったというのに――――」


五和「ううう牛深さんも建宮さんも何言ってんですか!!!///」
上条「…なぁ五和」
五和「あっ! ひゃ、ひゃいっ!!?///」
上条「五和ってアックアから俺を守る為に学園都市に来たんだよな? なのに何で建宮達は、五和に俺を襲わせようとしてんの? アタックしないとか、ゼロ距離攻撃できるチャンスとか」
五和「………デスヨネー」
美琴「うん。分かってた分かってた」
神裂「上条当麻ならば、そう言うだろうと予想はしていました」
上条「よくは分かんないけど君達、そこはかとなく馬鹿にしてるね?」


「――――そう、それは『五和隠れ巨乳説』ッッッ!!」


五和「………」
神裂(建宮ェ…)
上条「大声で何言ってんだこのクワガタ」
美琴「くっ」
上条「あれ!? でも何か御坂一人だけ大ダメージ受けてる!」


 ――あの少年は身近なところにいるように見えて、実は良く分からないことがかなり多かった。


美琴「あー……そう言えばこの時点でもうすでに私、何周くらい周回遅れだったのかしら……」
上条「なあ御坂? あの僧正のときのことなら気にしなくても良いと思うぞ? アレはそういう存在なんだから多分、五和どころか神裂だって歯が立たないと思うぜ」
美琴「だからなんじゃない!! 東京湾の時にやっとアンタと同じステージに立てたと思ってたのに、それなのにアンタはもっと先に行っちゃってて……」
上条「いやあのな? 俺だってできればあーゆーのと関わり遭いたくないわけで、たまたまお前より先に関わっちゃってたってだけで」
美琴「……何かアンタのフォローはフォローじゃなくてトドメっぽいわよ……はぁ……」
上条(ううん……どうやって御坂を元気づければ良いものか……)
五和「上条さん! 何やら聞き流せないようなことをサラッと言いませんでしたか!!」
神裂「その通りです。確かに私にだって太刀打ちできない相手は多々存在することは認めますが、だからと言って『歯が立たない』とまで言われるのはどこか心外ですね」
上条「…………魔神って知ってる、よな?」
神裂&五和「!!!!!!!!!!!!!?!」
美琴(え? この二人も魔神って存在が分かるの? だったら私ってもしかしてこの人たちよりも周回遅れ??)
上条「お、おい御坂! お前なんだかさっきよりも精神的なダメージを受けてないか!?」
??「優先する。――――――プライドを下位に、メンタルダメージを上位に」
上条「だから、わざわざ生き返ってまでシリアスブレイクすんなっての」


(知り合いの精神系能力者に相談するって選択肢もあるんだけど)
 常盤台中学には、美琴の他にもう一人、第五位の超能力者がいる。


上条「ああ、噂には聞いた事あるな。まだ会った事はないけど」
美琴「…? ねぇ。前々から思ってたんだけど、アンタあいつの事忘れすぎじゃない?」
上条「へ? あいつって?」
美琴「だから、その第五位の事よ。何だったら、こぼれ話にもゲストで来てたでしょ」
上条「えっ!? いつ!?」
美琴「……本当に覚えてないの? …ま、まぁ私的にはそっちの方が都合がいいけど」
神裂「……………」
五和「あの、女教皇様? どうかなされましたか? 何だか難しい顔して…」
神裂「…ああ、いえ。何でもありません」(科学サイドの力を借りれば、もしかしたらあの子の記憶も…なんて、この少年の前で言える訳はないですね)


(だぁーっ!! くそ、そもそも何で私があの馬鹿の事でこんなに頭を悩ませなくちゃならないのよ! なんか下手に焦って頭が回らなくなってるし、そのせいで余計に焦りまくってるし――――)


美琴「そ、そうよ! 何で私がアンタなんかの為に悩まなくちゃなんないのよ!」
上条「いや何でって聞かれても…それを一番知りたいのは上条さんなのですが?」
美琴「っ! いや、だから、それは、そのっ!///」
神裂「…墓穴を掘りまくっていますね」
五和「あの…女教皇様。一応確認いたしますが、この巻って私がヒロインなんですよね?」
神裂「諦めなさい五和。この『すれっど』には、何か見えない力が働いているようですから」


 バゴン!! という良い音と共に、上条当麻の側頭部にボールが激突する。
 しかもその勢いに押され、上条の頭が隣を歩いていた少女の胸の谷間へと突っ込んだ。


五和「ききき、来ました! これは流石に私のターン///」
美琴「へー。ほー。ふーん」
上条「え、な、何? ミコっちゃんからの何やらやたらと冷たい視線で凍りつくのですが…」
美琴「べーつーにー!? アンタがこういう奴だってのは、よ~~~~~く分かってたし!?」
上条「だから何がだよ!? 俺が…どういう奴だって!?」
美琴「何でもないって言ってんでしょ!? バーカバーカ!」
上条「なっ!? 古来より、馬鹿って言った方が馬鹿だって相場が決まってんだぞ!?」
五和「なん…だと…?」
神裂「だから言ったでしょう。何か見えない力が働いているのですよ。この二人をくっ付けさせようとする、謎の力が」


 ――ツンツン頭の少年は、なんだかんだで未だに少女の胸にめり込みっ放しだ。しかも『うっ、ううん……』と言いながら、寝ぼけて少女の膨らみをわし掴みだ。


美琴「……」
神裂「……」
五和「……///」
上条「い、言っておくが、この時の記憶が俺には無いから、な……?」
神裂「上条当麻。ちょっと、これを左手で持って天に突き上げてくれますか?」
上条「ん? 抜刀状態の七天七刀、だな。こうか? って、神裂? お前何俺の左手をぐるぐる巻きにして刀から手を離せないようにしてんの?」
神裂「はい。それでよろしいかと。では御坂美琴さん。よろしくお願いしますね」
美琴「うん。おっけー」
上条「って、おい! これってアレだろ!? この刀に雷落とそうって腹だろ!? お前ら何打ち合わせもなく息ぴったりに俺を抹殺しようとしてんだよ!?」


(……お、女の子のお料理風景だ)


上条「や~、やっぱ自分ちの台所に女の子が立って料理するっつーのは男の夢だよな~」
五和「あ、ありがとうございます…嬉しいです……///」
美琴「…わ…私だって料理くらいできるし!」
上条「いや常盤台で教わるのって、大体が聞いた事のないようなオシャレ料理だろ? オリーブオイルドバァの野菜ザクザクーの塩コショウファサーの。そういうのとは違うんだよな」
美琴「どこ'Sキッチンの話してんのよ! 家庭料理くらい作れるわよ! ご家庭にない物は使わないわよ!」
神裂「ちなみに私も料理は得意です。和食が特に」
五和「私は…ご覧の通りです!」
上条「え? え? 何みんなして。何この料理得意自慢大会。これはアレですか? 三人で食戟して上条さんが審査するフラグですか?」
美琴「お望みならやってもいいわよ」
神裂「公平に判断してくださいね?」
五和「三人とも旨い、なんてのは無しですから」
上条「……何故だろう? 相当旨そうな料理が出てくる予感は漂ってくるののに、どんな判定をしても上条さんの身の危険しか感じないのは……」


「……湯上りゲコ太ストラップ……」


上条「……………」
美琴「な、何よ! 言いたい事があるならハッキリ言いなさいよ!」
上条「…じゃあ言うけどね。お前、俺とペア契約した時に同じ奴もらってたじゃん。何でわざわざもう一回もらおうとしてんの?」
美琴「は…はああああ!? 全っ然同じのじゃないし! アンタと一緒にもらったのはペアゲコ太でしょ!? こっちは湯上りゲコ太なのよ!? 全然違うじゃない!」
上条「だから違いが分かんねっつの!」
五和「……………この短い会話の中に気になるワードがてんこ盛りだったんですけど…」
神裂「ああ、変温動物のカエルが銭湯のような高温のお湯に浸かっても大丈夫なのか…という所ですね?」
五和「いえ。そこは全く気になってないと言いますか考えもしなかった所です」
美琴「て言うか! ゲコ太はカエルじゃないわよ!?」
上条「…天然神裂さんのおかげでツッコミが錯綜してるな」


――――脱衣所に入って手早く衣服を脱ぐ。淡い色のタオルを体に巻き、ロッカーの鍵をかければ突撃準備完了だ。
(……意外に短いのがネックなのよね)
 バスタオルの端、太股の辺りをやや気にしながら、美琴は大浴場への扉を開く。


美琴「目潰しっ!///」
上条「ぎいいいやああああ!!! な、なな、何をしますか急に!!!」
美琴「ううう、うっさい馬鹿! 人の着替えをまじまじ見ようとしてんじゃないわよ!!!///」
神裂「それにここから先は五和やあの子の入浴シーンもあるのでしょう? まさか貴方は、そこも覗くつもりだったのですか…?」
五和(私は…別にいいんですけど……///)
上条「ううぅ…ちくしょう不幸だ……どうせ規制がかかって湯気で見えないクセに…」
美琴「そういう問題じゃない!!!///」


 実はあんまり熱いお風呂が好きではない美琴は、三分割された浴槽の内、一番子供向け方へと足を進めていく。


美琴「ち、ちち違うわよ!? 私はただ脳卒中とか心筋梗塞の危険があるから熱いお風呂に入りたくないだけで別に子供だからとかそういうんじゃないからね!?」
上条「…何も言っておりませんが」
五和「女教皇様は熱いお風呂お好きですよね?」
神裂「そうですね。比較的好きな方かと思います」
上条「まぁ…大気圏に突入しても平気だもんな。そら熱いのも大丈夫だろ」
美琴「えっ!? た、大気圏!?」
神裂「そ、それはこの話と関係ないでしょう!?」


(意外とデカそう……)
 素直に負けを認めるしかない状況だと気付いて舌打ち。


美琴「くっ」
上条「また御坂が大ダメージを!?」
五和「一体どうしたんですか!?」ポヨン
神裂「ご気分でも悪くなりましたか?」ボイン
美琴「アンタら、わざとやってんじゃないでしょうねっ!!? てか、何でアンタの周りには胸のデカイ奴ばっかりなのよおおおおおおおお!!!」
上条「美琴さんが血の涙を流しながら怒りを爆発させていらっしゃる!?」
神裂「このようなモノ、あっても日常生活には邪魔なだけなのですが…」
上条「神裂さん!? その台詞、絶対に言っちゃダメなやつ!」
美琴「うわああああああああああん!!!」
上条「落ち着けミコっちゃん! 女性の価値は胸だけじゃないって! それにほら、今のミコっちゃんだって充分魅力的な訳だしさ!」
美琴「うわああああああああああん!!!」
五和(今…上条さんがサラッととんでもない事を仰ったような気がしましたが……き、気のせいですよね…?)
上条「そ、それにだな! 俺の周りに居る奴でもミコっちゃんより胸小さいのは結構いるぜ!! インデックスとかオティヌスとかバードウェイとか白井とか」
美琴「あ。」
上条(ふぅ~~~やっと御坂が泣きやんだ……って、あれ? どうしてだろう? 今度は俺が泣きたくなって来たような……背後から猛吹雪のような冷たくて射殺されそうな視線を感じるんだが……)
??「……」(歯がギラリと光っている娘)
??「……」(槍を掲げている体長15cmくらいの娘)
??「……」(槍を掲げている娘その2)
??「……」(金串を構えている娘)


 他人に心配をかけさせるような事は全部内緒にしているから、誰かに声をかけてもらう事なんて絶対にありえないと、何も言わなくても誰かが自分のピンチを察して助けに来てくれるなんて都合の良い事は起こる訳がないと、本当のそう信じている顔。
 その小さな事が頭にきた。
 心の底から。
「何で……言わないのよ」
 気がつけば、美琴はポツリと呟いていた。
 後戻りはできなくなると分かっていながら、言葉を止めることはできなかった。


美琴「アンタ、本当に馬鹿でしょ」
上条「何おう!? じゃあ何か? お前が俺のピンチに颯爽と登場してくれるってのか? んな都合の良い偶然あるわけねえだろうが!! 幸運の塊のような神裂ならあるかもしれねえけど不幸体質の俺に『都合が良い偶然』なんて起こるわけねえんだよ!!」
五和「ううん……こういうことになると上条さんって本当に卑屈になりますね」
神裂「くっ……私が『幸運』を引くから上条当麻は『不幸』を引き当ててしまうのでしょうか……」
五和「女教皇様? それは考え過ぎですよ?」


「助けてほしいって、力を貸してほしいって! ううん、そんな具体的な台詞じゃなくて良い! もっと単純に!! 怖いとか不安だとか、そういう事を一言でも言いなさいよ!!」
「御坂……。なに、言って……」
「知ってるわよ」
 この期に及んでまだごまかそうとするように……いや、美琴を巻き込ませないように演技を続ける上条に、美琴は切り捨てるようにこう言った。

「アンタが記憶喪失だって事くらい、私は知ってるわよ!!」

 その瞬間、上条の肩がビクンと大きく動いた。
 大きな――――それこそ人生を左右するほど大きな『揺らぎ』が見えた気がした。
 戸惑っている上条を見て、美琴の方にも衝撃が走る。
 だがそれがどうした。


神裂「あー……正直申し上げまして私には上条当麻の気持ちが少し分かる気がします……」
五和「でしょうね。でもまあ女教皇様は上条さんよりも早く、自分の過ちに気付いていただきましたから、もう私たちは女教皇様に対して何のわだかまりもありませんよ」
神裂「ありがとう五和」
上条「けどなー。俺は『助けが来てくれる』ってのは『幸運』に分類されると思ってるから、『不幸体質』の俺だから、『助けが来る』なんてどうしても思えないんだ」
美琴「はぁ。アンタのは『不幸体質だから助けが来ない』んじゃない、って何で分かんなかったのかしら。現実、東京湾まで気付きもしなかったもん」
神裂「ですね。なぜなら現実として言いますと、この時でさえ御坂美琴さんが『偶然』あなたを見つけているのに、どうしてそれを『都合の良い偶然』と思えないのでしょうか」
上条「あ。」


 ――――上条当麻は現れたのだ。全てを一人で抱えて死のうとしていた美琴の心の奥底へ、土足でズカズカと踏み込んでくるようなやり方で。
 確かにそれはデリカシーの欠片もない、ともすればプライバシーすら侵害するような意地汚い方法だっただろう。しかし御坂美琴という少女は、――――そういう方法で救われたのだ。
 そのやり方を、上条当麻だけには否定させない。
 この少年だって、そういう方法で救われたって良いはずだ。


美琴「アンタ覚えてる?」
上条「もちろんだ、と言いたいところだけど、ここまで罵倒されるやり方だったか俺?」
美琴「当然でしょ。私の居ない間に私の部屋に入り込むわ、そこで私が隠していた秘密を盗み出すわ、挙句の果てに、それを私に突き付けるわで、どこをどう考えてもえげつないやり方だったと思うわよ」
五和「か、上条さん? いくら非常事態だったからと言ってもちょっと酷いような……」
神裂「いえ、逆に上条当麻らしいとも言えるのではないでしょうか?」
美琴「ん?」
神裂「女心に誰よりも鈍い上条当麻が『女の子の繊細な心』を理解できるはずもないから、このような行動に出られたのではないかと」
五和「あー」
美琴「なるほど」
上条「うわ。何その『納得』って表情は。俺だってあん時は一生懸命だったんだぜ!?」


「私だって戦える」
「私だってアンタの力になれる!!」
 それは学園都市第三位の『超電磁砲』があるからではない。そんな小さな次元の話ではない。たとえこの瞬間に全ての力を失ってただの無能力者になったとしても、それでも美琴は同じ事を言えると絶対に誓える。
「アンタが一人傷つき続ける理由なんてどこにもないのよ! だから言いなさい。今からどこへ行くのか。誰と戦おうとしているのか!! 今日は私が戦う。私が安心させてみせる!!」
「み、さか……」
「人がどういう気持ちでアンタを待っているのか、そいつを一度でも味わってみなさい! 病院のベッドに寝っ転がって、安全地帯で見る事しかできない気持ちを知ってみなさい!! アンタ、妹達を助けた時もそうだったじゃない!! こっちには相談しろって言っておきながら、自分だけ学園都市最強の超能力者に挑んで!! 何で自分の理論を自分にだけは当て嵌めないのよ。どうしてアンタ一人だけは助けを求めないのよ!!」


上条「……うん。こん時は意識が朦朧としていたから気付かなかったけど、確かに御坂の言ってる事は、そのまま俺が御坂に言ったことだな」
美琴「でしょー。なのにアンタはこの時も結局は私に何も言わないいでフラフラ消えちゃったんだから。あのね、今思い返してみても本気でアンタに説教したくなるんだけど」
五和「(プ、女教皇様……この時って、ひょっとしなくてもアックアと我々が対峙していた時なのでは?)」
神裂「(ま、まあ、御坂美琴さんが来てくれたら来てくれたで相当有難かったかもしれませんけれども、曲がりなりにも彼女は科学サイドの方です。魔術サイドのいざこざに巻き込むのはどこか心が痛むと言いますか……)」
五和「(それを言ったら上条さんも、なのですが?)」
神裂「(いえ。正直言って五和も上条当麻が来るとは思っていなかったはずですよ)」
五和「(それはそうですが……)」
美琴「で? これからはどうなの?」
上条「分かった分かった。つーか、東京湾のときもそうだったし、この前の僧正ん時もお前を巻き込んだろうが。これからもああいった事があるかもしれんが、そん時は側に居て一緒に戦ってくれるんだろ?」
美琴「ふっ! モチのロンよ!!」
五和(あれ? 何だか上条さんと御坂さんが良い雰囲気?)
美琴(と、言いたいところなんだけど、ちょっと自信失くしてんのよね。コイツは相当先に行っちゃってるだけに……)
神裂(おや? 御坂美琴さんの表情が何だか急に曇ったような……)
上条「じゃあ、遠慮なく呼びつけるからな。あとから文句言うなよ?」
美琴「わ、分かってるわよ!!」


(……そう、なんだ)
 知らず知らずに内に、彼女は自分の胸に手を当てていた。
 御坂美琴という一人の少女は気づいた。


美琴(…ん? ここって……………)
上条「ちょっと飛んでるから説明するけど、ここで俺は、御坂が俺の記憶の事を知ってるって聞かされたんだよ」
神裂「貴方がボロボロの体で病院を抜け出してきた時ですか」
五和「あの時の上条さん、とても…その……カッコ良かった…です…///」
上条「いやあ、あん時は必死だっt」
美琴「ああああああああああああぁぁぁぁぁっ!!!!!!!///」
神裂「っ!? ど、どうしたのですか急に!?」
五和「て、敵襲ですか!?」
上条「あれ!? 前回もこんな事なかったっけ!!?」
美琴(おおお、思い出したああああああ! この後じゃないのよ『あのシーン』!!! どどどどうしようこのままじゃコイツに私の気持ちがふにゃああああああああ///)


 御坂美琴は知る。
 自分の内側には、こんなにも軽々と体裁を打ち破るほどの、莫大な感情が眠っている事を。
 学園都市でも七人しかいない超能力者として、『自分だけの現実』という形で自分の精神の制御法を熟知しているにも拘らず、それらを全て粉砕するほどの、圧倒的な感情が。


美琴「にゃああああああああああああああ!!!!!!!! ちちちち違うからこれはアンタの事が好!!!…って事に気付いたとかそういうんじゃなくてただあのあれよほらそのつまりだから違うのよおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!!!///」
上条「」
美琴「だからアンタも勘違いしないで/// ……ってアレ? 何か白目むいてぐったりしてるのは気のせいかしら?」
神裂「いえ。彼は今まさに気絶をしています」
美琴「え、えっと……なんで?」
神裂「当て身です。あなた方の言葉で言うならば、確か『腹パン』…でしたか」
美琴「えっと…誰が何の為に?」
五和「私がやりました。何だか本能的に、上条さんに聞かせてはいけない気がしましたので。…あっ! ご心配しなくても、すぐに目が覚めますのでご安心を」
美琴「う、うん。そこは別に心配してないんだけど……」
五和「私もよくは分からないんですが、急に頭の中に『御坂さんの話を上条さんに聞かせちゃ駄目なんだゾ☆ アナタのその当身力でぇ、上条さんを気絶させちゃってくれないかしらぁ? 私の超能力で上条さんの記憶を操作する事もできるんだけどぉ、幻想殺しがある限り一時的にしか効果力がないしぃ』と謎の声が流れてきたもので」
美琴「しいたけェ…」
神裂「他にもおへそを出したカチューシャの女性、巫女服の似合いそうな女性、御坂美琴さんにそっくりな女性、ツインテールな女性、高飛車でワイルド口調な女性等々、数多くの女性から同様の意見が出ている模様です」
美琴「あっ、そう…ですか……」
上条「………ハッ! 俺は一体何を!? 何だかとてつもなく人生で最大の損をしたって気がするけど気のせいなのかなどうなんだろ!?」
五和「え? 上条さんはいつも何だかとてつもなく人生で最大の損をしてるじゃないですか。口癖が『不幸だー』なんですから」
神裂「ですよねー」
美琴「まあ……言われてみればそうよね……」
上条「えええええええ!? 今のはいつもの『不幸』で済ませられるの!? 済ましちゃっていいの!?」


 ――――呆然と戦いを眺めていた現天草式の面々は、その瞬間、確かにその声を聞いた。
「―――、……を」
 世界で二〇人もいない、本物の聖人の声を。
「……、して、ください」
 かつて天草式を率いていた、元女教皇の声を。
「力を貸してください、あなた達の力を!!」
 神裂火織の声を。


五和「おお! ついに来るのですね! 天草式十字凄教の一番の見せ場が!!」
神裂「い、五和……そのように興奮しなくても……というか、このこぼれ話でどうして私たちのシーンがクローズアップされるのですか!? 確か、上条当麻と御坂美琴さんのシーンだけを切り取られるのではなかったのでしょうか!?///」
上条「いやまあ……さて何ででしょうね……?」
美琴「……」


 あれだけ絶対に届かないと思っていた神裂火織が、所詮は生まれた時から持っているものが違うのだと思っていた神裂火織が、大切な仲間を傷つけたくないと言って貧弱な自分たちに背を向けた、あの神裂火織が。
 協力を求めている。
 自分一人では倒せない敵を倒すための協力を。
「――――あ」
 震えている自分に気づいた者は何人いたか。
 涙を流しかねない表情を浮かべていることに気づいた者は、何人いたか。


上条「え? 神裂お前って、そんな風に考えてたん? それって五和たちに悪くね?」
神裂「し、仕方ないでしょう……/// わ、私だってこうなるまでは分からなかったのですから……///」
五和「ですよね。そう! 強い弱いじゃないんです!! 才能の有無じゃないんです!! 同じ目的を持った者同士であればどんなことだって力を合わせられるんです!!」
美琴「――っ!!」


 あの女教皇様が認めてくれた。
 単なる重荷としての仲間ではなく、共に肩を並べる戦力という意味での仲間として。


五和「いやーほんと、この時は嬉しかったですよ。正直、女教皇様を少し恨んだ時期もあったんですが、それは自分たちが弱い所為だって決めつけてたことが全部晴れたみたいで、あの時の感動は今でも忘れません」
神裂「いえ、あのだからですね……///」
上条「おぉ! あの神裂を五和が圧倒してる!!」
美琴(……そっか。そういうことなのね……)


「行くぞ! 我ら天草式十字凄教のあるべき場所へ!!」
 叫び声と共に、我先にと――――戦場へと突き進む。
 無力である事など百も承知。
 それでも戦うべき理由は揺らがない。
 だからこそ、天草式十字凄教は束になって強敵へ立ち向かう。


美琴「なるほど。これを入れてきたのはそういう事だったのね」
上条「御坂?」
美琴「本編の私はどうなるか分からないけど、ここに居る私は、今回、どうしてこの件【くだり】を入れてきたのか理解できたわ。おかげでちょっと楽になったかな?」
上条「?」
美琴「クス。アンタは分からなくても良いわよ。私の中であの時の魔神のことで納得できる答えが見つかった、ってだけだから」
神裂「そ、そう言えばちょっと待って下さい御坂美琴さん。貴女は上条当麻と共に魔神に立ち向かったんですよね?」
美琴「……アレって立ち向かったって言えるのかしら?」
上条「まあな。どっちかつーと逃げ回ってた、だよな?」
神裂「ま、まあこの際どっちでもいいですが、重要なのはそこではなくて、今、この場に上条当麻と御坂美琴さんが居ることなのです。正直申し上げまして、魔神と関わって生き残れただけでも奇跡という言葉すら生易しい事象なのですが……」
上条「あの魔神の力が一兆分の一まで落ちてたからじゃね?」
五和「あの……魔神の力が一兆分の一まで落ちていたとしても、地球を文字通り瞬間で丸ごと壊せる力はあるのですよ……?」
美琴「なら力が落ちてたプラスあの魔神が遊んでたからでしょうね」
神裂「そ、そんな簡単な話でもないのですが……いえ、むしろ知らぬが仏だからこそ生き残れたのでしょうか……」
上条「な、御坂。あの時、一緒に居たのがお前だったから助かったって俺の言葉、間違いでも気休めでも無く純然たる事実だっただろ? 下手に魔術サイドの奴(インデックス、オティヌス含む)だったらアイツに委縮して俺もろともやられてたってことになるんじゃねーの? この神裂と五和の反応からすると」
美琴「う、うん……そうだね……///」(な、なんか嬉しい……///)


上条「っと、今回はここまでだな」
神裂「次回はイギリス清教王室派編ですね」
上条「キャーリサがクーデター起こす話だよな。…って事は神裂は関係してる回だから、次回もゲストで出るのか」
神裂「ええそのはず…」
??「ふっふっふ…そうだと思ったら大間違いだぜい。まっ、せいぜい次回を楽しみにしているがいいにゃー!」
??「女教皇様のアレに触れないとか、有り得ないのよな!」
神裂「っ!!? な、何だか悪寒が…」
上条「…? まぁ、いいか。五和は?」
五和「私も少しだけ出演してますので、多分次回も。……予定ではですけど」
神裂「ですがやはり、お二人が出ているシーンがメインなのでしょうね」
五和「はぁ……そうなんでしょうねぇ…」
上条「何故に溜息?」
美琴「そう言えばさ、アンタ英語とかからっきしなのにイギリスとかよく行けたわね」
上条「まぁ何だかんだで、みんな日本語が通じてくれたからな。ありがたい事に」
美琴「ふぅん? でも毎回そうとは限らないんだし、今度海外に行く時は通訳くらい連れて行きなさいよ? た、例えばその…私とか…///」
上条「そうだな。御坂って何ヶ国語も喋れるもんな」
五和「わ! 私だってそれくらい!」
上条「いや、五和は学園都市にいないし。御坂なら一緒に行けるし」
美琴(一緒に…///)
神裂「ですがこれからの事を考えると、英語くらいは勉強した方が良いかと」
上条「う゛っ…!」
五和「だ! だったら私が! 教えてさしあげます!」
上条「いやだから、五和は学園都市にいないじゃん? 一緒に勉強するなら近場にいる御坂の方が」
美琴(一緒に…///)
五和「………もう、この話はやめましょう。で、さっさと締めましょう」
上条「おおう!? 五和は急激に不機嫌に! ま、まぁダラダラ話してても仕方ないしな。つー訳で、今回のこぼれ話はここまで。また次回会いましょう、さような………あっ! ちょっと待って」
神裂「? どうかなされましたか?」
上条「んー、さっき寝る…って言うか気絶?する直前にチラッと耳に入ったんだけど、御坂の内側にある体裁を打ち破るほどの莫大な感情って、一体何だったのでせう?」
神裂&五和「「!!!!?!!?!??!?!!!?」」
美琴「!!!!?!!?!??!?!!!?///」
上条「あっ、あれだろ? 大覇星祭の時に御坂の内部から生み出されてた莫大な力。レベル5を越えるものだったし、俺や軍覇も太刀打ちできなかったし――――って、違うの?」
美琴「……」
五和「……なるほど、これだから私のおしぼり作戦が通用しないのですね」
神裂「……さすがにアレを作戦と呼ぶのはどうかと思いますが、まあそういう事です」
美琴「アンタって奴は~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!! 『感情』って言ってんでしょうが!! このどアホォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」(9巻巻頭イラストののジェットアッパーをご想像ください)
上条「なんでぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええええええええ!!!」(車田飛びをご想像ください)










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