とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part28

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気付かれてしまった事、気付いてしまった事こぼれ話


上条「よう五和、n……もとい神裂。休憩終わりぜよ」
五和「ん? まだ早いような気がしましたがそうですか。それじゃ、と」
神裂「ふぅ。結構疲れますね。どうしてあんなおちゃらけゆるゆるトークで疲れるのでしょうか……」
五和「そりゃー上条さんと御坂さんが妙にイチャイチャしまくるからですよ。まったく」
上条「んにゃ。多分、単純に大声出しまくってるからじゃねーかな? 時々、アグレッシブにドタバタする事もあるしな」
神裂「でしょうね。って、おや? 御坂さんは?」
上条「お? そういやr……じゃなくて御坂はちょっと遅れるっつってたな。俺たちで先に始めちゃってて良いんじゃね? いつ来るか分からないんだしよ」
五和「……本当に良いんですか?」


 ――――病室の手前、直線的な廊下に立ち尽くしている女性が一人。神裂火織である。彼女も彼女で見舞いに来たのだが、何だかタイミングを外されてしまい(五和に先を越されたとも言う)、どうして良いのか分からなくなっている訳だ。


五和「あ、これはアックア戦の後ですね。……そう言えば、女教皇様も来ていらしてましたね……」
神裂「ま、まあそれは私もお礼を言わなければいけない立場ですし……」
上条「ふぅ……相変わらず奥手だねぇ……」


「(……どうしましょう。明日にはロンドンに戻らなくてはいけないのでスケジュール的には今しかないのですが、しかしまさにこの瞬間五和や『あの子』がいるようですし……」
「ねーちーん……そうこうしている内に日が暮れちゃうぜーい?」
 唐突に真後ろから聞こえた声に、神裂の肩がビクゥ!! と大きく動く。振り返るとそこにいるのは金髪サングラスの少年、土御門元春だ。


上条「んー? 五和は神裂と一緒にロンドンへ行く予定は無かったのか?」
五和「ええ。この時点ですと、まだ私は日本が活動拠点の天草式十字凄教の一員ですからね。この後、女教皇様がロンドンに戻られてから正式にイギリス清教の傘下に入ってロンドンに拠点を代えることになるんです」
神裂「時間制限なし……何ともうらやましい……」


「で、堕天使メイドセットは持って来たんだろうな?」
「ぶふげば!? も もも持ってくる訳がないでしょう!! 七天七刀以上に税関が厳しいんです!! そもそも、その馬鹿げた計画を実行に移すならより一層、一対一に決まっています!! 間に五和や『あの子』が挟まるなど絶対にありえません!! 『あの子』の完全記憶能力がどれほどのものか分かっているでしょう!!」


上条「そうか? 案外、K……とと、インデックスなら神裂の意外な一面を見れて喜ぶかもしれねーぞ」
神裂「そんなわけないじゃないですか!!/// 明らかに変態扱いされて、前に敵に見られて怯えた視線を向けられた時期がありましたけど、あんな姿を覚えられたら、金輪際、思いっきり変なもの扱いされて二度と目を合わせてくれないか、距離を思いっきり置かれてしまう視線を向けられてしまうかですよ!!」
五和「? 女教皇様? この土御門さんとの会話ってどう考えても前振りですよね?」
神裂「いいいいいいいいいい五和!! ななななな何を言って!!///」


「そんな気真面目で恥ずかしがり屋のねーちんのために……じゃーん!! 今日はより進化した堕天使エロメイドセットを持ってきたにゃーっ!!」
「一体どこがどう変わったと言うんですか!?」
「え、何言ってんの? ほらこの胸の開き具合とスカートの透け具合がですね―――」


五和「あ、私何か用事が思い立っちゃいました。少し外して良いですか女教皇様。」(棒読み)
神裂「って、ちょっと待ったぁぁぁぁぁあああああああああ!! 五和、貴女は何逃げようとしているのです!? 『用事が思い立っちゃいました』って何ですか!?」
上条「そりゃー。五和だって理解してるんじゃないか? 神裂のあの姿は、K……おっと。俺にしか見せられないものだってことを」
五和「ソウソウソウデスヨ、プリエステス。私ニハプリエステスノアノ姿は恐レ多クテ見ルノモ憚レルモノデスカラ」
神裂「いや明らかに言葉を選んでますよね!? というか私と目を合わせようともしませんよね!?」


「挟んで擦るぐらいの事はできんのか貴様はぁ!!」
「??? 挟むって、何をです?」
「こんのっ、お高くとまりやがって……ッ! ハイ質問ハイ質問!! ねーちんのそれは何のためについているのですか? その哺乳類のアカシすなわちおっぱいは何のためについているんですかって聞いてんだよォォォ!!」
「す、少なくとも、挟んで擦るために使うものではありませんけど……」
 土御門の言いたい事を頭の中でイメージできないのか、不可解な表情になる神裂。


五和「……///」
神裂「ん? 五和はイメージできるのですか? 土御門の言っている事が」
五和「!! できませんよっ!?///」
神裂「そうですか? ですが先ほどの表情を見ますと何か知っているような気がしたのですが」
五和「知りませんから!! ぱふぱふとかしこしことか全然分かりませんから!!///」
神裂「? 何ですかその擬音? ますます分からなくなったのですが、というか擬音が表現できるってことは五和本当は知っているんじゃないですか?」
五和「本当に分かりませんから!! 男の人のアレをアレしたりソレしたりだなんて想像できませんから!!///」
上条(いやー……マジで分かってねーんだな、このアマ……ッ!!)


 ――――神裂はゆらりと手を伸ばす。手刀のように五本の指を真っ直ぐ揃え、手の掌を上に、そのまま土御門の首をスッパリ切断できそうな感じで。
 神裂は言う。
「土御門」
「は、はい?」
「覚悟が決まりました。例の物を」


神裂「ふむ。今思えば、あのまま土御門の首をこの例え通りスッパリ殺ってしまっても良かったかもしれませんね」
上条「!!!!!!!!!!?! 何言ってくれちゃってんの!? 字面がおかしいよね!? ていうか何でそんなマジ顔なの!?」
五和「? どうしたんです上条さん? 何だか随分焦っているようなのですが、女教皇様は上条さんじゃなくて土御門さんの首を刎ねてしまえば、って言ってるだけですのに」
上条「『言ってるだけ』って何!? 『首を刎ねる』なんて表現なのに『言ってるだけ』ってどういう意味よ!! オレの身の心配してくんない!? ねーちんの手刀でやられたらマジで首が飛びかねんぜよ!?」
神裂「ん?」
五和「え?」
上条「あ゛」
神裂「上条当麻? 『オレの身』とはどういう意味でしょうか? 私は『土御門の首を刎ねてしまえばいい』と言ったのですが?」
上条「ええっと……その……」
五和「あーそう言えば、土御門さんもツンツン頭でしたね。金髪だけど黒く染めてしまえば髪型だけは上条さんと同じになるかも」
上条「う……か、神裂さん? 五和さん? 何故に二人は刀と槍の切っ先をか、上条さんに向けて、前髪の影を濃くしたとっても良い笑顔なのでしょうか……?」
??「あれー? 随分早いわね二人とも。まだ休憩時間終了までもうちょっとあるわよ……って、ん? 何で、と……あ、いやいや。ソイツがそこに居んのよ?」
上条「ぎくっ!?」
五和「あら御坂さん? ……ふーん、てことはやっぱこの上条さんは偽物なのですね……?」
神裂「そう言えば、学園都市には人の皮を利用して変装の魔術を使うアステカの者が居るとの情報がありましたか。しかもその者は、どこかの誰かさんと知り合いだとも。さらに言えば、その知り合いは過去に上条当麻の戦闘の最中に居た事もありますし、抜け目ない奴ですから、その時に『皮』を入手していたとしても不思議はない、かもしれません」
上条「ぎくぎくぎくぎく……」
??「どうした御坂。早く中に入ろうぜ……って、俺?」
上条「――――!!!」
神裂「……」
上条「ち、ちちちちち違うぞ! オレはねーちんの堕天使エロメイドの姿をもう一度見たくてカミやんに変装してこのスタジオに入り込んだ土御門元春じゃないにゃー!!」
神裂「ほほぉ。そうですか。では最期に何か言い残す事はありますか? 辞世の句くらい詠ませてあげますよ」
上条「いいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!」


 およそ10分後。
 ゲラゲラ笑う土御門の顔面に拳を叩き込み、女性としての引き出しを増やし、また一段とレベルアップした天草式女教皇・神裂火織が一つの病室に突撃していく。


上条「あ~あ。ご愁傷様なり土御門……」
神裂「これこれ上条当麻。今回、あ奴は正式なゲストではないのですから名前を出してはなりませんよ」
美琴「いや、もう前の一節で暴露されてるし」
五和「え? ちょっと待ってください。上条さんも御坂さんも女教皇様も、このシーンの土御門さんが顔面を殴られたことに対しての感想ですよね? 何か少し違う気がしているのですが?」
上条「ン? モチロンデスヨ? 聖人ノ力デ殴ラレタラ、タダジャ済マナイジャナイデスカ。」
神裂「当然です五和。『この場に居ない男』のことなど論ずる意味はないではありませんか」
美琴「そ、そうですよね! じゃ、じゃあ早速次に進みましょう次!!」
五和(な、なんか女教皇様、とっても怖い……)


 その後、世界にどういう混乱が巻き起こったかは女教皇の名誉を守るために割愛する。


五和「……」
美琴「……」
上条「……」
神裂「!?」


 ただ言えるのは、上条当麻はミーシャ=クロイツェフとも風斬氷華とも違う、第三の天使の影に今後しばらく怯え続けるという事だけだ。


上条「いいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!」
美琴「ちょ、ちょっと!? いくら怖いからって何、絶叫して飛びついて力いっぱい私に抱きついてんのよアンタは!?/// てか、前にもこんな事無かった!?///」
五和(う、羨ましい……上条さんの側に居れば良かった……)
神裂「いいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!」
五和「って、女教皇様!? いくらトラウマだからって、絶叫しながらしゃがみ込んで私の腰にしがみつかないでください!! 聖人の力なんですよ!? わ、私の腰がミシミシ言っちゃってますからぁぁぁぁあああああああ!!」


『ウワサの新商品の名は大精霊チラメイド!! 相変わらず作っている人間の脳がZ区分になっているとしか思えない破壊力! なんか微妙に需要があるらしく今秋発売決定!!』
――――
「う、うう……私にはこんなの着れないッッッ!!」


神裂「そうですよね普通はこんなの着れないですよねこんなの着る奴は頭のおかしい人だけですよね私のような人間だけですよねいやむしろ私は人間ではないから着られたのかも知れませんねだって私は堕天使ですものねそしてエロメイドですものね所詮私は」
五和「ププププ女教皇様っ!! す、すみませんそんなつもりはなかったのですがっ!!!」
美琴「ちょっと! 何か変なトラウマスイッチ入っちゃったわよ!?」
上条「それだけあの堕天使の破壊力が凄まじかったって事さ。そんな破壊兵器を持ってきた土m…どこかのグラサン金髪アロハ野郎の罪は重い」
美琴「でも微妙に需要はあるみたいよ」
神裂「それだけ日本という国には特殊な趣味を持った者が大勢いるという事でしょう。全く嘆かわしい…」
上条「まぁオタクの聖地がある国だからなぁ。俺のクラスにも二次元星人がいるし」
美琴「……アンタはどうなの…? た、例えばその…わ、私がこんな服とか着たら…」
上条「えっ? あ、いや…可愛いとは思うぞ?」
美琴「そ、そそそ、そう…へ、へー、ふーん……///」
五和「なん…だと…?」
上条(……つってもまあ…「でも胸のサイズ的に着れないんじゃねーか」ってツッコミはしないでおこう。上条さん、この若さでまだ死にたくはないし)
神裂「上条当麻? 何故、彼女の胸のサイズでは着れないのではないか、という感じの表情をされておられるので?」
上条「うぉぉぉぉいいいいいいいい!! せっかく押し殺せたツッコミを暴露するんじゃねええええええええ!!! ――――って、ハッ!?」
美琴「……」(体全体が金色に輝いて髪の毛が逆立ち始めている)
上条「え、ええっと……御坂さん……? 貴女様はひょっとしてレベル6半覚醒状態を自覚して制御できるようになったのでしょうか……?」
美琴「……」
五和(こ、怖……)


 御坂美琴はそわそわしていた。
 ――――彼女がそわそわしている理由は明白だ。
(……とっ、とんでもない事を言ってしまった!! 後先考えずになんかものすごい事を言ってしまった……ッ!!)


美琴「ええっと……その……///」
上条(ぬおっ!? お、おい御坂、その胸の前で両手人差し指の先をくっつけてこねくりながら、顔を赤くした上目づかいでこちらをチラチラ見るそのお姿は反則的に可愛いのですが!?)
五和「はぁ……上条さん? 御坂さんの胸の前で両手人差し指の先をくっつけてこねくりながら、顔を赤くした上目遣いで上条さんをチラチラ見てるその姿が反則的に可愛い、なんて顔しないでください。何だか私の目が猫化(瞳孔が細い状態の時のやつ)して髪が伸びそうですから」
上条「!!!!!!!!!!?! いやもう髪伸び始めてるし!? つーか、それそんな槍なの!?」
神裂「五和? 貴女の持っているその槍は別に二〇〇〇年以上前に中国で創られた槍ではないのですよ? プラシーボ効果は薬での話なんですから」
美琴(うへぇ……一瞬で頭が冷めちゃったわ。というか、本当にあの人の持っている槍はあの槍じゃないのかしら? 前回OPで変身してたような……)


 脳裏にあるのは、第二二学区――学園都市最大の地下街で繰り広げられた、とあるツンツン頭の少年との一連の会話だった。
 ――――とにかく上条を止めるために、打算も出し惜しみもせず、自分の心の中にあった言葉を全部吐き出してしまったのだが……。


美琴「ななな、何よ悪いの!!? し、しし、仕方ないでしょあの時はとにかく必死だったんだからっ!!!///」
上条「いや誰も悪いなんて言っておりませんが」
神裂「恥ずかしさのあまり自分と周りを誤魔化すように虚勢を張る…これが若者言葉で言う所の『逆怒り』という物ですか」
五和「……あの、女教皇様? もしかして『逆ギレ』の事ですか? しかもそれ、今は別に若い人だけが使う言葉でもありませんが…」
上条「それにむしろ、その……お、俺は嬉しかったぞ…? 御坂に…そんな風に想われててさ…」
美琴「っ!!! そ、そう…それ、なら……い、いいん、だけど……///」
神裂「ああ、これは知っていますよ。『マルコメの波動を感じる』という奴ですね」
五和「…いや、お味噌の波動を感じてどうするんですか。ラブコメですよ。っていうか今はそんな事にツッコんでる場合じゃありませんよ女教皇様っ!!! またイチャイチャし始めちゃいましたよお二人がっ!!!」
神裂「はっ!!」


 ――――唯一の救いは(おそらく美琴自身の防衛本能が働いているおかげでもあるのだろうが)、件の少年と街中で遭遇する機会がなかった事だ。
 今、顔を合わせたら間違いなく意識が飛ぶ。


上条「何で?」
美琴「な、なな、何でってっ!!! 何でってそれは、その、あの、だから、ほら……///」
神裂「体が緊張している時に急に後ろから声を掛けられたら驚くでしょう。それと同じです」
上条「うん、それは分かるんだけど…この場合、俺がその緊張の元凶なんだろ? 御坂がそこまで緊張する理由がイマイチ分かんないんだけど…」
五和「そこは分からなくても大丈夫ですっ!」
上条「いや、けどさ」
五和「だ・い・じょ・う・ぶ・ですっ!!!」
上条「………はい」


「んー? あれ、ビリビリじゃん。お前ここで何やってんの?」
「ッ!!!???」
 突然後ろからかけられた声に、美琴はビックゥ!! と肩を大きく振るわせる。


神裂「ほら、このように」
上条「だからそれは分かってるんだってば。俺が聞きたいのは」
五和「だっ! いっ! じょっ! うっ! ぶっ! でっ! すっ!!!」
上条「………はい」
美琴「で、でもこの時は本当にビックリしたんだから……///」
上条「つっても俺はいつも通りに話しかけただけだぞ? 別に驚かすつもりもなかったし」
美琴「アアア、アンタにとってはそうかも知れないけど、私にとってはある意味最悪のタイミングだったのよっ!!!///」
上条「何で?」
美琴「な、なな、何でってっ!!! 何でってそれは、その、あの、だから、ほら……///」
神裂「体が緊張している時に急に後ろから声を掛けられたら驚」
五和「みなさん!? 会話がループしてますよ!?」


 ――――美琴は美琴で今の状態に内心で『あれ???』と首を傾げていた。
 ……そんなに嫌じゃない。


美琴「何か…意外とホッとしちゃったのよね。ひ、久しぶりにアンタと喋ったら…///」
上条「まぁ俺としても、御坂に緊張されるよりはその方がいいけど」
神裂「それだけお二人が、お互いに心の許し合えるの間柄なのだという事でしょう」
美琴「そそそそそんな事はないけどねっ!!?///」
五和「そ、そうですよ女教皇様! 旅先から実家に帰ってくるともの凄く落ち着くじゃないですか、アレと同じですよきっと!」
美琴「じっ! じ、じじ、実家ぁっ!!? こ、ここここの馬鹿が実家…!///」
五和「ああぁっ!? しまった逆効果だコレ!」
上条「ん~、ミコっちゃんのこのテンパり具合…実家のような安心感だな」


「ど、どうにゃってんのよ……。普通はここで思いっきり拒絶してとりあえず走り去る場面でしょ何で居心地良くなってんのよ私のココローっ!?」


上条「確かによく見るな…何か急に走って逃げる御坂の背中。そういう時は、決まって顔が真っ赤になってるけど」
美琴「それはアンタがっ! 変な事言うからでしょっ!?///」
上条「変な事って例えば?」
美琴「はえっ!? た、例えば…あの、その………ごにょごにょ…///」
神裂「と言うか御坂さん、先程から赤面しっ放しですね」
美琴「気のせいじゃにゃいかしらっ!!? 暑いからそう見えるだけよきっと!!!///」
五和「では冷たいおしぼりを差し上げますので、クールダウンしてください」
美琴「あ、う、うん…ありがと…」
上条「じゃあほら、俺が顔拭いてやるから」
五和「何ですとっ!?」
美琴「えっ!? あの、ちょ、ちょっとっ!!?///」
神裂「…再び赤面してしまいましたね。彼女の熱で、結局おしぼりも熱くなってしまいましたし」
上条(冗談でも言ってこの場を和ませようと思っただけなのに、何かえらい事になっちまった)


「ふにゃー」
「ふにゃァァあああああああじゃねェェええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」


上条「『ふにゃー』誕生の瞬間です」
神裂「こ、これが噂に名高いあの『ふにゃー』ですか!」
五和「私、本物の『ふにゃー』って初めて見ました!」
美琴「何その観光名所でも見たかのような感想!!? え、何、噂になってんの!? てか誕生の瞬間も何も、この時の一回しかしてないわよ多分!」
神裂「ええ…ですが貴方の『ふにゃー』はあらゆるSSで使われておりますから」
五和「言ってみれば『ふにゃー』は御坂さんの代名詞ですからね」
美琴「私の代名詞って『超電磁砲』じゃなかったっけ!!?」
上条「で、結局の所コレの原理って何なんだ?」
美琴「そ、それは…私の自分だけの現実に影響に及ぼすくらいの…アンタのその……///」
上条「やっぱり俺が原因なのか…けど俺に御坂の自分だけの現実に影響するだけの力なんてないと思うんだけどなぁ」
美琴「そんな事ないわよっ!!! だってアンタは私にとって」
上条「……え…?」
神裂&五和「「っっっ!!!!?」」
美琴「私にとって………………………………ふにゃー///」
上条&神裂&五和「「「ふにゃァァあああああああじゃねェェええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」」」


 問答無用の午前中授業だ!!
 なので、超能力開発の名門校・常盤台中学のエースである御坂美琴はファミレスにいた。
(……それにしても――――何よこのファミレスは。たまたま今日初めて入ったけど、ここは巨乳の国なのか……?)
 ――――長い黒髪におでこな巨乳セーラー(とその向かいに座る、特に胸も大きくない巫女装束の似合いそうな女)に、そこの学校の教師なのか、緑色のジャージを着たもう馬鹿みたいに爆乳の体育教師、おまけに、あの窓際の座席に座っている、メガネで巨乳の……立体映像?


上条「あれ? ここって俺の学校の近くのファミレスじゃないか。へぇ、吹寄に黄泉川センセ、それに風斬、か……おいおい姫神は( )扱いかよ……」
美琴「何? やっぱ、ここにいる全員、アンタの知り合いなの?」
上条「ちょっと待った。やっぱって何だよ? たまたま知り合いが集合してるだけじゃねーか」
美琴「ほー。つ・ま・り、アンタの知り合いには胸のデカイのが多い、と?」
上条「たまたまつったろ? 俺の知り合いにだってそんな胸の大きくないのは居るって。インデックスとか白井とかバードウェイとかオティヌスとか小萌センセーとか、御坂妹とかアニェーゼとかレッサーとか。あとお前」


 その瞬間、大神ゼウスも真っ青な落雷が上条に降り注いだ。


五和「というか、スラスラとそれだけ女の人の知り合いが浮かぶのもどうかと思いますけど」
神裂「これが上条当麻の上条当麻たる所以なのでしょう」
上条「って、お前ら何達観してやがんの!? 俺の命、危うく消し飛ぶところだったのよ!?」
美琴「ちっ……」
上条「コラ御坂! お前今、舌打ちしなかったか!?」


(なっ、何で!? 何の用なの! あの馬鹿の方から電話がかかってくるなんて滅多に……だーっ! 事前にメールで何の用かを送ってくれれば、こんなに慌てなくて済んだのに―――いやダメだその場合だと今度は緊張してメールを開けない……ッ!!)


上条「……ミコっちゃんの中で、上条さんてどういうポジションなの。何かもう、学校の先生から直接呼び出しをくらった勢いのリアクションなんですが…」
美琴「アアアアンタが普段、電話してこないのが悪いのよっ!!! きゅ、急に来るから心の準備とか…間に合わなくてその……///」
上条「だから、何で俺の電話に出るのに心の準備とか必要なんだよ! それに特に用も無いのに電話するのも迷惑になるだろ!」
美琴「そんな事は!」
上条「…そんな事は?」
美琴「そんな事は……あ、あるけど…///」
神裂(今、明らかに『そんな事はないわよ』と言いかけましたね…)
五和「で、でも御坂さんの気持ち、私にも分かります。私も…上条さんから電話がきたら、同じように緊張しちゃうと思いますし…///」
上条「え~…五和も~? じゃあ聞くけど、五和は建宮と電話する時って緊張するか?」
五和「いえ全く」
上条「断言!? しかもその『何言ってんのこの人』的な表情は何!? ……御坂は海原と電話する時って緊」
美琴「する訳ないでしょ。そもそも電話した事ないけど。てかする気もまったくないけど」
上条「否定早っ! ………つーか、何が違うん……?」
神裂「その違いが分からないようなら、先はまだまだ長そうですね」


――――混乱する美琴の耳に入ってきた最初の言葉は、
『悪りぃ御坂! これから地下鉄駅に忍び込みたいんだけどシャッターの電子ロックの開け方とか分かるか!?』

「………………………………………………………………………………………………………、」
 御坂美琴は携帯電話を耳から遠ざけ、一度大きくため息をつくと、極めて冷静な動作で親指を使って通話を切った。


美琴「この瞬間の私の気持ち分かる…? さっきまで緊張してたのが馬鹿らしくなって、怒りを通り越して呆れたわよ」
上条「え? いや、この後思いっきり怒ってたじゃん。俺がもう一度かけ直したら、出るまでに随分間があって、出たらいきなり、『聞こえた上でシカトしてんのよ!! 気付けこのド馬鹿!!』って」
美琴「それはアンタが当たり前のようにもう一度同じ事言ってきたせいでしょうが!!!」
神裂「確かに、開口一番で犯罪の片棒を担いてくれと言っている訳ですからね。貴方の事ですから何か事情があるのは想像に難くはないですが、それでも普通はお断りする場面ですよ」
上条「うっ…! そ、そう言われるとそうだけど…でもこの時は緊急事態だったし、それにこんな事を頼れる人も御坂以外にいなかったし」
美琴「っ! へ、へー。そう…ま、まぁ確かに電子ロックの構造には、他の人よりはちょろっと詳しいつもりだけど…///」
五和「ああっ!? さっきまで口喧嘩モードだったのに、上条さんから頼られてるって知っただけで御坂さんが上機嫌に!」


「いやそれは大丈夫だけど……ちょっと待ちなさいアンタ。時差って、今どこにいんのよ?」
『ロンドン』
 その回答に、美琴はもう一度電話を切ろうとした。


美琴「この瞬間の私の気持ち分かる…? 一気に気分がどんよりしたわよ」
上条「ロンドンだけにどんよりか。晴れたらパリなんだな」
五和「カルメン麺よりパエリア好きですね」
神裂「……また私が知らない話題を…」
美琴「いや、そんな事はどうでもいいんだけどさ。ってか誤魔化すんじゃないわよアンタ! フランス行ったりイギリス行ったり、しかもイタリアにも行ったんでしょ!? その後もロシアだのハワイだのデンマークだの…何なのアンタ!? この短い期間で世界一周旅行でもするつもりなの!?」
上条「いやいやいや、上条さんだって伊達や酔狂で世界中あっちこっち飛んでる訳ではありませんですことよ!? 毎回魔術師関係の事件に借り出されてですね!?」
神裂「くっ…! 本当に申し訳ありません…無関係な貴方を巻き込んでしまっている事は、魔術師を代表して私が謝罪いたしますので、どうかご容赦を…!」
五和「プ、女教皇様! 頭をお上げください! 謝罪ならば私がいたしますから! という訳で上条さん! わ、わわ、私に思う存分おしおきしてくださいっ!///」
上条「ああ、もう! それぞれ別の意味で面倒くさい!」


『……ダメ?』
 ダメじゃない、と美琴は思わず口に出しそうになった。


上条「そのまま口に出してくれれば良かったのに……って、あれ? 何故にみなさん、お顔が真っ赤になってらっしゃるので?」
五和(か…可愛い……///)
神裂(普段はこんな言い方をしないだけに、甘えた声を出されると破壊力が違いますね…///)
美琴(コイツは天然でこんな事しちゃうんだから…///)
上条「…?」


「……俺は南京錠も開けられないのですが」
『アンタの技術レベルは江戸時代ね』


上条「いやいや、普通はそんなピッキングスキルを持ってる方がおかしいって。どっかのスキルアウトじゃねーんだから」
美琴「でもアンタ、私の部屋に入った事があるんでしょ?」
上条「そりゃお前のルームメイトに開けてもらったからだろ。…まぁ神裂ならそんなスキルなくても、力づくで鍵とか開けられるんだろうけど」
神裂「ひ、人を怪力なバケモノみたいに言わないでください! ………確かに、やろうと思えば可能ですけれども…」
五和「流石は女教皇様です!」
神裂「ううぅ…そんな事で尊敬の眼差しを向けられても…」


「開いた! サンキュー御坂!」
『あいよー。言っとくけどこれは貸しだかんね』


上条「そう言や、この時の借りって返してなかったな」
美琴「へ? いや、別にいいわよ。半分冗談で言ったんだから」
神裂「よくありませんっ!」
美琴「おうわっ!? え、いやでも私がいいって言ってるんですけど…って言うか、何で神裂さんがそんなに声を荒げるんですか?」
神裂「……私も彼には多くの借りを作りました。自分でも不甲斐ないと思います…が、過去は変えられません。ならばこそ私は誓ったのです。多くの借りを作ったのならば、全て返せば良いのだと。以来私は、彼に借りを返すべく悪戦苦闘の日々を…!」
美琴「えっと…何か語り始めちゃったんですけど?」
五和「女教皇様は真面目な方ですから」
神裂「という訳で、今から御坂さんを抱き締めてあげてください」
上条「…はい?」
美琴「っっっ!!!!?///」
五和「女教皇様あああああああ!!!? ととと突然何を仰っているのですか!? たった今、真面目な方だとフォローしたばかりなのですけど!?」
神裂「私は至って真面目です。御坂さんを抱き締める事こそが、何よりの恩返しになりますから。その理由は五和ならばお分かりでしょう?」
五和「いいいいえ、それは分かりますがしかしですね急にそんな事言われても上条さんも困ると言うかその」
上条「えっと…理屈は分からないけど、とりあえずこんな感じか? むぎゅ~~~…」
美琴「ぴゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!///」
五和「」
上条(…あれ? 何かすげードキドキする…)


『って、ちょっと!? これからほら「一端覧祭」の準備期間で午前中授業が増える訳じゃない? だからええと時間を調節すれば色々遊べる時間も―――ッ!?』


上条「な~んだ、ミコっちゃんってば俺と遊びたかったんですか。それならそうと言ってくれれば…って、あら?」
美琴「ぷしゅー……///」
上条「何か煙出して気絶してらっしゃるね」
神裂「…少々借りを返しすぎて、お釣りが余ってしまいましたか」
上条「えっと…どうしようか五和?」
五和「」
上条「……こっちは白目剥いて固まってる」
神裂「思わぬ二次災害を生んでしまいましたね…申し訳ありません、五和……」


上条「じゃあ二人が再起不能になっちゃった所で、今回はここまでにしとくか」
神裂「そうですね。ここから先は、御坂さんの出番も無いようですし。次は第三次世界大戦編ですか?」
上条「そうだな。19巻は暗部関係の話だし、今までの傾向からすると20巻になると思うぞ」
神裂「ではいよいよロシアですか…旧約の大詰めですね」
上条「……一回目のこぼれ話をやった時は、まさかここまで長編になるとは思わなかったけどな。っつーか、おーい! もう締めやってんだから、そろそろ起きれお前らー!」
美琴「………えっ…? あ、はぇ? 私、今まで何を……」
五和「……ハッ! ゆ、夢を見ていたようです。何だか、とてつもない悪夢を…」
神裂「おはようございます。お二人共」
美琴「あ、お、おはようございます…? いやー、変な夢見ちゃいましたよ。きゅ、急にコイツがその…だ、抱き締め…てきたり……なんて…///」
五和「私もそんな夢を見ました。あくまでも、ただの夢ですけど」
上条「…え? 夢じゃないよそれ。ほら、さっきもこんな風に………むぎゅ~~~…」
美琴「ぴゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!///」
五和「」
神裂「はい。同じ事を繰り返した所で、今回はここでお開き。また次回お会いしましょう、さようなら……って、あれ? よく見たら五和は白目剥いて固まった訳では無さそうですね? というか、何だか前髪の影に目を隠しているような……」
五和「か~~~~~~み~~~~~~~じょ~~~~~~~~さ~~~~~~ん~~~~~~」
上条「は、はひぃ!?」
五和「何だか私ぃ~~~~~瞳が猫化(ただし瞳孔が細いやつ)して、歯が全部牙に変わってぇ~~~~~頭髪がとっても伸びてくるんですけどぉ~~~~~~どうしてでしょうかぁ~~~~~~?」
美琴「え? え? 私、電撃使いだけど雷獣とか長飛丸とか字伏とかシャガクシャとかとらとかいう名前の金色の妖怪じゃないわよ!? だ、だから協力できないからね!?」
神裂「み、御坂美琴さん! ツッコミどころはそこではありません! というか五和の槍もあの槍じゃないはずですのに!?」
上条「ま、まさかこれがヤンデレレベル6!? てかこれ! 中編OPの伏線回収だろ!?」
五和「この槍をぬきな…小僧!」
上条「抜いてんじゃん! まず俺を食らって、昔のようにこの辺の人間どもを地獄へひきずりこむ気満々じゃん! てか五和、今どっちのポジションだよってツッコむ余裕はないみたいでギャアアアアアアアアアァァァ!!!!!」
神裂「……はい。五和が七教七刃を放った所で、今度こそ本当にお開きです。ではまた次回」
美琴「いいのかしら…こんなオチで……」











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